ほぼ日刊資料保存

必也正名乎

図書館やアーカイブ等の資料保存に関する世界のニュースを伝える、ほぼ日刊のページです。 土日・祝日は休刊します。 リンクも引用も自由です。

2005 年 4 月 のアーカイブ

2005年4月28日(木)

AIC写真グループ–写真のコーティングとコンサベーションで出版物

アメリカ保存修復学会(Amrican Institute for Conservation)の写真グループはこのほど写真のコーティングとコンサベーションに的を絞った新しい出版物 Coatings on Photographs: Materials, Techniques, and Conservation を上梓した。編者はConstance McCabe。フルカラーの出版物で、19世紀から今日までの写真のコーティングについて、その歴史、物性、コンサベーション状の注意について、42名の専門家が執筆している。特にアンセル・アダムズなどの「生の写真」を対象にしたケーススダディ、非破壊的な試験・分析法の解説が興味深い。価格は70ドル。詳細は下記へ。PDFでのアブストラクトとオーダーフォームが掲載されている。


http://aic.stanford.edu/sg/pmg/coatings.html

2005年4月27日(水)

専図協–多様化する情報媒体への対応で研究集会

平成17年度専門図書館協議会 総会・全国研究集会の第六分科会は「資料保存―多様化する情報媒体に対応するには」をテーマに二つの講演を予定している。


1. 国立国会図書館のデジタルアーカイブ事業について(仮)
講師:未定(国立国会図書館)
2. 媒体変換と保存性
講師:金澤勇二氏(富士写真フイルム(株)参事)


日時:平成17年6月23日(木)~24日(金)
会場:日本科学未来館


詳細は、専門図書館協議会のHPでhttp://www.jsla.or.jp/seminar/zenkoku_program17.html

2005年4月27日(水)

JHK– デジタルアーキビストの養成でセミナーを6月に

資料保存関連の業者の団体である情報保存研究会(JHK:金澤勇二会長)は6月3日に第4回JHKオープンセミナー「デジタルアーキビストの養成 -教育現場からの報告-」を開催する。


報告者:岐阜女子大学教授 後藤忠彦氏
日時:平成17年6月3日(金) 18時30分~20時50分
会場:日本教育会館 中会議室 (千代田区一ツ橋2-6-2)
参加費:無料
参加定員:先着120名
申込み締切:平成17年5月27日(金)


詳細は、情報保存研究会のHPに。
http://www.e-jhk.com/

2005年4月25日(月)

最古の聖書『シナイ写本』のデジタル化で4機関が国際協力

050425

1933年にソビエト連邦から英国博物館に売却されたシナイの写本


旧約・新約がひとつの冊子になった最古の聖書「シナイの写本」(Codex Sinaiticus)をデジタル化するために、この写本の一部をそれぞれもつ世界の4つの機関が協力し、英国図書館を中心にしたプロジェクトを推進することになった。ドイツのライプチヒ大学、サンクトペテルブルグのロシア国立図書館、エジプトの聖キャサリン教会が参加する。4年後の完成を目標に、130万ドルが投入される。この4世紀の聖書は、古く、傷みもあるために、どの機関においても現物へのアクセスを制限しているが、コンサベーション、デジタル化、原文ギリシア語からの翻訳、学者の解説がほどこされて、完全な一冊になったウェッブ版「シナイの写本」聖書は、世界の誰もが繙くことができる至宝になる。デジタル版とともに、より精細なファクシミリ版、CD-ROM も出版される予定である。


http://www.theartnewspaper.com/news/article.asp?idart=11761 Googleによる粗訳

 

「シナイの写本」はコンスタンティヌス帝時代のギリシア語聖書で、6世紀にエジプト・シナイ山にある聖キャサリン教会の所蔵になった。これを1844年に発見したのがドイツの学者のティッシェンドルフで、全50枚あったパーチメントの丁のうち43枚を、さらに347枚を「借り」て、それをロシア皇帝の元に運んだ。皇帝はこれを自分への贈り物にするため、当時の金額で9,000ルーブル(2,600ドル)を寄付した。しかし1933年にソ連政府は交換可能通貨の獲得のためこれのの売却を計り、英国の古書店を通じて英国博物館に10万ポンドで売却した。ただ、一部はロシアとドイツに残された。さらに1975年には、聖キャサリン教会で12枚の丁と15の断片が見つかっている。


英国図書館の Codex Sinaiticus
http://www.bl.uk/onlinegallery/themes/asianafricanman/codex.html

2005年4月22日(金)

SOLINETがスクラップブックの保存で遠隔教育–日本からも参加可

アメリカの地域保存センターのひとつSOLINET (Southeastern Libr /ary Network, Inc.)は5月と6月にウエッブによる、新聞や雑誌の切り抜き、写真、チラシその他のスクラップブックの保存の遠隔教育を行う。全2時間のコースでSOLONET に加盟していなくても140ドルで授業を受けられる。詳細は以下に。


http://www.solinet.net/workshops/ws_details.cfm?doc_id=3516&WKSHPID=12CS#

2005年4月22日(金)

英国コンサベーション協会、大同団結しての活動を本格化

英国の文化財の保存と修復のための中核組織になるコンサベーション協会(Institute of Conservation)の会長(CEO)がこのほど決まった。英国学士院からのAlattair NcCabe氏で、着任は6月。


このコンサベーション協会は、これまで分野や地域ごとに別組織を作って活動してきた英国内のコンサベーション関連協会・学会が大同団結し一本化するもの。 Care of Collections Forum, Institute of Paper Conservation, Photographic Materials Conservation Group, Scottish Society for Conservation and Restoration, United Kingdom Institute for Conservation が母体機関になり、初の会合を5月3日に予定している。


Institute of Conservation
http://www.instituteofconservation.org.uk Googleによる粗訳

2005年4月21日(木)

MIP–「紙中の金属」で来年1月に国際会議

MIP(European Thematic Network Metals in Paper)は来年(2006年)1月23~27日に、英国ニューカースルアポンタイ ( UK )で、これまでの研究成果を発表するコンファレンスを開催することになった。2000年に英国ノーサンブリア大学で開催された没食子インクセミナーに続くもの。研究成果はMIPのウェッブサイトでも発表される。


欧州の主要な研究機関や図書館・文書館・博物館・美術館の関係者がネットワークを組んで進めてきた「紙中の金属」の研究は、鉄や銅に代表される遷移金属元素がもたらすインク焼けや、紙そのものの酸化による劣化促進から資料を救おうという目的を持つ。今回の会議では、次の四つの分野での現在の到達成果が発表される。


1 .紙の劣化の基礎科学:診断・分析技術に焦点を当て、劣化プロセス(内因と外因)、熱安定性評価のための方法論について。。
2. 積極的なコンサベーション(資料そのものへの介入的な処置)化学的側面:旧来法および脱酸性化技術も含む。
3. 同じく積極的なコンサベーションの物理的な側面:ペーパー・スプリット法、紙力強化、リーフキャスティング、クリーニング。
4. 予防的保存処置の問題:保管環境、容器ほか。


会議への参加等の詳細は今後下記のホームページで掲載される。
www.miponline.org Googleによる粗訳

2005年4月20日(水)

コロンビア大図書館–多用なアーカイブ資料の保存調査ファイルを提供

コロンビア大学図書館(CUL)のホームページに、同図書館が2003年10月から2004年7月にかけて行ったアーカイブ資料の大規模な保存調査のために作成された調査方法が掲載されている。同館の調査はまだ目録化されていないものや目録化途中の資料を対象にしたもの。調査時間は延べ1,585時間、コレクション数は569(87,498点の簿冊資料、100,903点の設計図面、158,478点の写真資料ほか、マイクロフォルム、音響レコード、ビデオテープ等々)。メロン財団基金からの支援を受け、アクセス、状態、現物価値等の項目を含む調査を行い、データベースソフトのAccessに入力されデータベース化された。方法の説明(Word形式のファイル)も含め、Accessのファイル形式で以下からダウンロードできる。


CULでは今後、この信頼性の高い調査結果を保存計画、資源配分の優先順位付け、保存目標の設定に活かしてゆくとしている。


Special Collections Materials Survey Instrument
http://www.columbia.edu/cu/lweb/services/preservation/surveyTools.html Googleによる粗訳

2005年4月20日(水)

米公文書館–月面第一声、マッカーサー「老兵は死なず」などを国家遺産に登録

音声記録のアメリカ国家遺産(National Recording Registry)として、アメリカ公文書館が保存する6つの記録が登録された。この中には月面着陸したアームストロング船長の第一声(1969)、ウィルソン大統領の終戦放送(1923)、大西洋横断成功直後のリンドバーグの声(1927)、マッカーサーの引退議会演説「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」(1951)などが含まれる。


アメリカ国立公文書館が保有する視聴覚資料は、フィルム26万点、音声資料が22万5千点、ビデオテープが9万点以上。


http://www.archives.gov/media_desk/press_releases/nr05-60.html Googleによる粗訳

2005年4月19日(火)

ACRL–貴重書の貸し借りのガイドライン

アメリカの大学・研究図書館協会(ACRL=Association of College and Research Libr /aries)は展示のための貴重資料の貸し借りのガイドライン(Guidelines for Borrowing and Lending Special Collections Materials for Exhibition)を発表した (January 2005)。


貸す・借りる前にどのような了解事項(料金、期間、セキュリティ、所有権等)が必要か、複製に関わる認識と許可、貸借期間中の注意事項(梱包、輸送から受け取り、返却まで)の三章にわたり、明記し、心得ておくべきことを簡潔に述べている。

 

Guidelines for Borrowing and Lending Special Collections Materials for Exhibition
http://www.ala.org/ala/acrl/acrlstandards/borrowguide.htm

2005年4月19日(火)

紙の博物館–「和紙が伝えた文化:和本とその周辺」を5月17日から

紙の博物館(東京・北区王子)は5月17日から7月3日まで「和紙が伝えた文化:和本とその周辺」を開催する。保存性の高い和紙の原料や製法・加工・種類などについて記された絵巻物や和本・錦絵などを中心に展示する。聖武天皇筆と伝えられる経文「大聖武」、紙漉き工程を描いた最初の刊本「紙漉き重宝記」、江戸時代の流通した和紙を記した「紙譜」、ショッピングガイド「江戸買物独案内」など。


紙の博物館のホームページ
http://www.papermuseum.jp/

2005年4月18日(月)

印刷革命が始まった–印刷博物館でプランタン = モレトゥス展が24日から

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印刷博物館(東京・文京区)は4月23日から7月24日まで「プランタン = モレトゥス博物館展:印刷革命が始まった–グーテンベルグからプランタンへ」を開催する。アントワープ(ベルギー)にある同博物館は16世紀創業当時の印刷所跡、印刷者邸宅を生かした世界有数の印刷出版系博物館。15世紀以降の貴重な書籍、版画類が数多く残されている。今回の日本での展示では、アジア初公開となる作品83点を含む計100点前後の作品を見ることができるという。


印刷博物館の企画展示
http://www.printing-museum.org/jp/exhibition/planning/050423/

2005年4月18日(月)

小宮山博史氏の連載「タイポグラフィの世界 書体編」

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小宮山博史氏(佐藤タイポグラフィ研究所)による「タイポグラフィの世界 書体編」の第9回は「アイデアは秀、字形は不可―偏旁・冠脚を組み合わせて一字を作る分合活字」。大日本スクリーン製造株式会社のサイトでの連載である。タイポグラフィに関心のある人にとってだけでなく、明治期以降の活字本のコンサベーションを考えるうえにも役に立つ。氏による連載は2004年9月の第一回「上海から明朝活字体がやってきた」から開始され、月一回掲載というペースで続いている。タイポグラフィ研究の第一人者である筆者自身の用語解説、関連する図版の豊富さ、周到な調査を元にしたわかりやすい立論–等で秀逸。


分合(ぶんごう)活字とは、金属活字を組むときに、「無い字」を作る方法。いわゆる作字と違うのは、作字は、その場で既存の活字の部分を削って組み合わせ、「無い字」を無理やり作るのだが、分合活字は最初から組み合わせることを目的に開発された活字。偏と旁、冠と脚の4種に分けて作ってある。1873年にパリで刷られた経書『大学』に使われたのが最初で、中国に伝わり、明治の日本にもたらされたという。


連載「タイポグラフィの世界 書体編」
http://www.screen.co.jp/ga_product/sento/pro/index.html#sekai

2005年4月15日(金)

当社のHP–80~90年代前半の資料保存関連の邦文文献リストなど掲載

当社はこのほど以下の二つのページを作成し公開した。当社のサイトのトップページの Only Yesterday’s からもたどれる。


日本の資料保存の新しい地平を拓いた、かなやひろたか氏の個人誌『ゆずり葉』全目次 (リニューアルし、新たなリンクも)。

2005年4月14日(木)

JCP–観音寺市郷土資料館の被災資料救援活動の報告

NPO文化財保存支援機構(JCP)のホームページに、2004年8月20日の台風により被災した香川県観音寺市郷土資料館への救済活動が掲載されている。

 

山本賢子氏(京都造形芸術大学歴史遺産学科4回生)による。塩分除去作業を主として丁寧に解説。
http://www.jcpnpo.org/00_home/00_rpt20050401.htm


なおJCPは4月から新しい事務所での活動を始めた。


特定非営利活動法人 文化財保存支援機構
〒160-0003 東京都新宿区本塩町22番地102号
TEL03-5363-4533
FAX.03-3341-8577
URL: http://www.jcpnpo.org/

2005年4月13日(水)

IDAP–パーチメントの劣化機構の解明で成果を発表へ

050413

加水分解によるパーチメントのゼラチン化


パーチメント(皮紙)劣化のアセスメント法の開発を進めてきたIDAP(Improved Damege Assessment of Parchment)はその成果を 2005年8月にコペンハーゲンで開催するセミナーとワークショップで発表する。IDAPは欧州のコンサーバターや皮革業者、図書館、文書館、博物館の関係者などが協力し、EU協会からの支援を受けて発足した研究機構。今回の発表で一区切りをつける。成果はセミナー参加者だけでなく、ホームページでも詳しく発表される。


パーチメントは、タンニンなめしの革と異なり、比較的耐久性が良いことは知られているが、近代の製造法の変化による質の低下や、没食子インクによる腐食などの問題をかかえている。このため英仏独などの欧州の八カ国の研究者が協力し、劣化機構のアセスメント法の開発を進めてきた。


詳細はIDAPのサイトで。
http://www.idap-parchment.dk/portal/DesktopDefault.aspx

2005年4月12日(火)

CCAHA–防災・災害救助のための問い合わせ先、資材の一覧

アメリカの地域保存修復センターの一つCCHA(Conservation Center for Art and Historic Artifacts) はこのほど防災計画立案時や災害時にどこに問い合わせ、どのような物資をどこから調達するかを一覧できる Mid-Atlantic Resource Guide for Disaster Preparedness をまとめ PDF(44p. 556KB)にした。次の三章に別れる。


I. NATIONAL AND REGIONAL RESOURCES FOR IN FORMATION
II. SERVICE PROVIDERS FOR EMERGENCY RESPONSE
III. EMERGENCY SUPPLY AND EQUIPMENT VENDORS


下記のページからダウンロードできる。
http://www.ccaha.org/emergency_resource.php

2005年4月11日(月)

オンラインで引くコンサベーション用材料の百科事典–参考文献等を充実

050411

ボストン美術館が提供しているコンサベーション用材料のオンライン百科事典(CAMEO: Conservation and Art Material Encyclopedia Online)は紙媒体記録資料のコンサベーションにおいても利用価値が高い。参考文献や画像も徐々に拡充している。


CAMEOは同美術館のコンサベーション・コレクション管理部門が作成している。アート、建築、考古などの制作とコンサベーションのためのあらゆる材料に関して、その物理的、化学的、視覚的、分析的情報を網羅し、オンラインで提供している。現在使用されている材料ばかりでなく、過去の歴史的な材料も含む。材料名だけでなく商品名でも検索ができる。また、CAS 登録番号(米国化学会のCAS=Chemical Abstracts Service が化学物質を一つ一つ識別するために付けた番号) や、参考文献も掲載している。


例えば funori を検索すると—


A carbohydrate extract from the seaweed Gloiopeltis furcata. Funori is used as a weak water-soluble adhesive. It is primarily composed of galactose and is similar to agar. The mucilage has a low viscosity and dries to a thin, flexible, matte film. Funori is traditionally used by Japanese scroll mounters as a consolidant for friable media (AIC Book and Paper Catalog).


と説明され、See attached image(s). では布海苔とIRスペクトルが画像で得られる。

 

CAMEO: Conservation and Art Material Encyclopedia Online
http://www.mfa.org/_cameo/frontend/

2005年4月8日(金)

デジタル・プリント、デジタル写真のコンサベーションで第3回国際会議–来春4月にロンドンで

英国物理学会印刷・製紙・包装グループ(Printing, Papermaking and Packaging Group of the Institute of Physics)とロンドン・コミュニケーション・カレッジ(London College of Communication)は2006年4月24日、25日の両日、第三回「デジタル印刷とデジタル写真のプレザベーションとコンサベーション」に関する国際コンファレンスを開催する。こうした技術による記録物をアーカイブとして長期保存してゆく責務があるアーキビストやコンサーバターと、技術開発に関わる産業分野の研究者の橋渡しをするのも目的のひとつ。デジタル印刷と写真技術の最新情報、テキスタイルや紙やプラスチックなどの媒体への色剤と発展とその安定性、長期保存のための規格とアーカイブ・プロトコールの進展状況を。


詳細は—-
Third International Conference on: Preservation and Conservation Issues Related to Digital Printing and Digital Photography
http://conferences.iop.org/PPP/

2005年4月7日(木)

国立公文書館、環境調査結果を発表– 温湿度、虫カビ、大気汚染物など周到に

、かんきょう国立公文書館の機関誌『アーカイブズ』(第19号、平成17年3月)は(財)元興寺文化財研究所による「国立公文書館書庫環境調査報告書」を掲載している(p.72-83)。温湿度はもちろん、虫カビから大気汚染物質にまで及ぶ広範囲なもので、しかも平成15年度調査を踏まえた対策が施された翌16年度にも、同じ調査を行い、対策の効果を確認するという周到な内容になった。同種の調査は日本ではこれまでに例がないもので、意義ある報告書といえる。


予想以上に資料の劣化の要因なっているとして世界的に注目されているのが、硫黄酸化物や窒素酸化物、オゾン等のガス性の大気汚染物である。調査では「科学系調査」として粉塵とともにこうした汚染物質も対象になった。平成16年度に空気調和機びフィルタ交換、書庫内の整理・清掃の徹底等の各種の対策を施し、9月に測定したのは、15年度の調査で問題とされたホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、酢酸、窒素酸化物(いずれも基準値または推奨値を超えていた)の濃度で、ギ酸と酢酸は減少、ホルムアルデヒドも推奨濃度以下、窒素酸化物の濃度は20ppb代に減少している。


同報告書では「調査のまとめ」として、16年度においては保存環境が改善されていることがわかったが、国立公文書館は高濃度の大気汚染地区にあることから、外気の取り込みについては適切なフィルタを通して窒素酸化物や汚染粒子を館内に入れないことが重要、としている。


なお、表4「調査項目の主な基準値一覧」が掲載されており(p.82)、佐野千絵氏(東京文化財研究所)の論文からの数値、ビル管理法の数値、国際規格(ISO 11799, 2003 Information and documenntation — Documents storage requirements for archives and libr /ary materials)からの数値がそれぞれ引用されているが、「浮遊粉塵」の「国際規格」の数値が50mg/m3とあるのは、50μg/m3の間違い。


調査項目としては二酸化硫黄が挙がっているのだが、この結果が出ていないのはなぜだろうか? また、計測の対象にはなっていないが、酸化劣化の原因になっている室内オゾン(国際規格では窒素酸化物と同等の 5~10ppb以下)の数値が欲しかった。

 


国立公文書館・刊行物のご案内
http://www.archives.go.jp/event/kankou.html


■ISO 11799「図書館・文書館資料の保管条件」については
http://www.hozon.co.jp/report/kibe/kibe-no010-iso_strage_requirement.html

2005年4月7日(木)

20億時間の視聴覚記録を残すために–国際テレビアーカイブ機構が呼びかけ

050407

 

国際テレビアーカイブ機構(FIAT/IFTA=International Federation of Television Archives)は消滅しつつある視聴覚記録の保存のための国際的な協力を呼びかけている。Call from Paris (同機構の本部がパリにある)と名付けらたこの呼びかけによると、20億時間に相当する視聴覚記録が消滅の危機に瀕しており、特に発展途上国での記録の保存が緊急の課題になるとしている。


今回の呼びかけは、このような視聴覚記録のアーカイブの危機を打開するため国際連盟に対して支援を要求する署名を世界中から集めようというもの。すでに各関連機関等から6931の署名を集めているが、今年の9月16日に開催されるニューヨークでのFIAT/IFTA大会までにできる限り多数の署名を集めて国連事務局長に渡すという。


International Appeal for the Preservation of the World Audiovisual Heritage;Call from Paris
http://www.fiatifta.org/aboutfiat/policy/petition/index.php


国際テレビアーカイブ機構はARD(ドイツ)、BBC(英国)、INA(フランス)およびRAI(イタリア)により、放送と視聴覚記録のアーカイブ、関連するドキュメンテーションの収集などの情報提供と研究促進を目的に、1977年に設立された。現在70か国が加盟。日本は1990年にNHKが加盟した。