フランス国立図書館のコンサベーション部門のページでは、紙媒体資料を対象にした治療的な処置(Conservation : traitements curatifs)の例として、水性洗浄と脱酸性化、繊維キャスティングによる損失部補填ほか、同部門が実施している技術を紹介している。特に目新しいものはなく、8つの技術のうち最後のを除く7つはイギリス、アメリカ、、ドイツ、デンマークのコンサーバターがこの20年ほどの間に開発し、欧米の、あるいは弊社のような工房で普通に実践している技術だが、フランスのコンサベーションの現在がわかり、興味深い。
水性洗浄と脱酸性化(Le nettoyage aqueux et la désacidification)
補填、表打ち等の紙力強化の前段階として不可欠の資料の水性洗浄と脱酸性化処置。汚れだけでなく、紙中の経時劣化物を紙から追い出す洗浄の後に、紙中にアルカリを入れるのが脱酸性化。(PDF 88KB)
欠損部の紙繊維による補填(Le colmatage)
紙の繊維を水頭差の吸引力で欠損部に補填するリーフキャスティング機による方法と、サクション(吸引)テーブル上で資料の穴、破れ等の欠損部に手作業で充填する方法。(PDF 153KB)
表打ち(Le doublage)
極薄の和紙またはマニラ麻紙による傷んだ紙の表打ちによる強化法。(PDF 106KB)
間剥ぎ(Le clivage):
一枚の紙を、厚みの真ん中で引き剥がし、二枚にして、中に別の紙や不織布を挟み、再び張り合わせて一枚に戻す技術。(PDF 166KB)
分離した表紙の本体との再接合(Le rattachement des plats):
後々の本格的な修復処置を前提にした、利用時に支障のない程度の強化を目的にした接合方法と、ボードの厚みの中に溝を設えて背からの綴じの支持体を挿入する本格的な方法。(PDF 187KB)
パーチメントを表装材にしたコンサベーション製本(La reliure de conservation)
いわゆるリンプ・ベラム製本のコンサベーションへの応用。本体以外の表紙部材がなくなっているもの、製本がこわれていて、なおかつ製本自体に歴史的な価値が無いもの、同じ製本の中に別のドキュメントが含まれているものなどを対象に、よりフレキシブルで丈夫な製本に改装する。(PDF 142KB)
古典籍の革装幀部位を和紙で修復する(Le traitement de conservation des reliures anciennes en cuir effectué avec du papier japonais)
革を革で直すのではなく、絡みが良く、成形がしやすく、丈夫な和紙を革のように使って直す。(PDF 196KB)
古典籍の革装幀を革で修復する(Le traitement de conservation des reliures anciennes en cuir effectué avec du cuir)
昔から行われている革装幀本の修復法。(PDF 190KB)
La restauration traditionnelle
http://www.bnf.fr/pages/infopro/conservation/cons_traitement_trad.htm