ほぼ日刊資料保存

必也正名乎

図書館やアーカイブ等の資料保存に関する世界のニュースを伝える、ほぼ日刊のページです。 土日・祝日は休刊します。 リンクも引用も自由です。

2005 年 8 月 のアーカイブ

2005年8月29日(月)

「職人ではなく、知恵ある技術者に」–ブランディ『修復の理論』の日本語訳刊行

image

 

チェーザレ・ブランディのTeoria del restauroの日本語訳が『修復の理論』として三元社から出版された。現在の文化財のコンサベーションの理論的な基礎を据えたCesare Brandiの主著。長くローマのIstituto Centrale per il
Restauroを指導してきた。


Brandi は多くの著作を発表してるが、今回日本語訳されたのは修復の科学技術や技法を説くものではなく、いわば修復倫理哲学。以下は三元社の案内から。

 
——————————————–
修復家とは、「臨床医のように目はしが利き外科医のように慎重で腕のたつ」(C.ブランディ)者である。ブランディにとって、より本来的な意味での修復の目的は作品を原初の様相に戻すことではなく、原初の様相のうちで残っているものやそれが時の経過する中で蒙った変更に最大限の読み取りやすさと享受しやすさを取り戻させることであるから、[……]修復家は、職人でも芸術家でもなく常に歴史分野の専門の助けを仰ぎ指導を受けながら、このように複雑な職務をもっとも適切な形で完遂できるように「手わざの知恵」をそなえた教養ある「技術者」でなくてはならない[……]。(G.バジーレ、序文より)


本書は修復の科学技術や技法を説くものではない。芸術作品や文化財の保存・修復が実行される以前、あらかじめ省察を必要とする理念を問題とする。わが国でも高松塚古墳、キトラ古墳の保護・継承をめぐり議論が高まる中、参照すべき必携の書である。
———————————————-


『修復の理論』
チェーザレ・ブランディ/著
小佐野重利/監訳
池上英洋+大竹秀実/訳
本体3000円+税
A5判並製/288ページ/ISBN4-88303-159-4
http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/159.htm


訳者の一人、池上英洋氏による紹介
http://blog.livedoor.jp/ikedesu/archives/cat_740541.html


大竹秀実・二神葉子「欧米における文化財の修復士-イタリアにおける「文
化財修復士」資格を中心に-」(保存科学、第43号、平成15年度)
http://www.tobunken.go.jp/%7Ehozon/pdf/43/04316.pdf

2005年8月29日(月)

映画保存協会、映画フィルムの基礎知識で9月4日に勉強会

映画保存協会(FPS=Film Preservation Society)は9月4日(日)に2005年度第2回FPS勉強会として、川喜多記念映画文化財団の中村暢夫氏を招き、東京・文京区で「映画フィルムの基礎知識」を開催する。現役のフィルム技術者から学べる貴重な機会。参加自由、費用は一般が1,200円。。詳細は以下のブログの8月23日付けに。


http://www.doblog.com/weblog/myblog/12357


なお、FPSのホームページは、「家庭でもできるフィルム保存の手引き」、「8ミリフィルムのインスペクション(状態チェックや補修)」等、役に立つ記事を掲載している。


PFSホームページ
http://www.filmpres.org/index.html

2005年8月29日(月)

全史料協関東部会9月例会、近代の歴史資料対象の文化財保護法の改正で

全史料協関東部会は9月30日(金)に新潟館ネスパス(東京・渋谷区表参道)で、「文化財保護法の改正と歴史資料の保存」をテーマに例会を開催する。講師は冨坂賢氏(独立行政法人国立博物館東京国立博物館)。


平成16年通常国会で文化財保護法の一部を改正する法律が成立し、平成17年4月1日から施行された。主な改正点のひとつが、近代の文化財等を保護するため、建造物以外の有形文化財に関する登録制度の拡充。今年3月まで文化庁美術学芸課文化財調査官だった冨坂賢氏より文化財保護法の改正についてご報告いただき、歴史資料保存活動の取り組みへの影響や課題等について考える。参加は無料。


申込みは以下に


〒241-0815 横浜市旭区中尾1-6-1 神奈川県立公文書館内全史料協関東部会事務局(井上喜行)
TEL:045-364-4461 FAX:045-364-4459

2005年8月25日(木)

コーネル大の調査結果、デジタル記録の保存問題を浮き彫りに

image

 

研究図書館グループ(RLG=Research Library Groupe)のデジタル記録保存のためのニューズレターDigiNews は、2003年から2005年にかけてコーネル大学図書館資料保存課(Cornell University Library Department of
Preservation and Conservation)が行ったデジタル記録保存の現状に関する調査結果を発表した。RLG メンバーの144の図書館等に対して行われたアンケート調査を元にしたもの。1998年に行われた同種の調査との比較も行われており、この間のデジタル記録保存に関する関心の高まりとともに、問題の解決が技術的な課題であるという認識から、より組織的な取り組みこそ基本という認識へと移りつつあることが明らかになった。


Developing Digital Preservation Programs: the Cornell Survey of Institutional Readiness, 2003-2005
http://www.rlg.org/en/page.php?Page_ID=20744#article0

2005年8月24日(水)

エール大学図書館、160万冊のクリーニング外部委託仕様書を公開

米エール大学図書館資料保存課(Yale University Library Preservation Department)はこのほど、同大学スターリング記念図書館の蔵書160万冊のクリーニングを外部の業者に委託するための作業仕様書を公開した。8月25
日までに業者からの申し込みを締め切り、9月中旬に委託先を決定、10月中旬から作業が開始され、12月にプロジェクトの途中評価を経て、2006年11月に完了する。作業には、蔵書そのものを一冊ずつクリーニングすることに加え、棚、ダクトや配管などの付帯設備のクリーニングも含まれる。

 

スターリング記念図書館は綜蔵書数は280万冊で、今回はその44%に相当する蔵書が対象になる。蔵書は5層に別れて収納されており、棚の長さを合わせると概算で18万6千フィートになる。およそ12ヶ月間で完了するためには3万4千冊/週のペースでの作業になる。

 

書籍の具体的なクリーニング法は以下の通り。一棚ごとに行い、この際に並べられた順番が崩れないようにすること。書籍の天地そして前の小口、表紙、背を真空掃除機でクリーニングする。掃除機は1ミクロン以下の塵埃の捕捉能力をもつものかHEPAフィルターを備えたもの。掃除機だけでは除去できない表紙や背の塵埃は、悪い影響を及ぼさないクリーニング・クロス(Dust Bunny等)で拭き取る。


棚は完全に真空掃除機で塵埃を吸い取った後に、上記のクロスで拭き取る。この際は、クロスには悪い影響を及ぼさない吸着剤スプレー(Newtrabrite等)を使う。棚が濡れた状態だったり、薬剤が残留しないようにする。

 


Yale University Library Preservation Department: Request for Proposal For Cleaning Volumes and Stacks of Sterling Memorial Library
http://www.library.yale.edu/preservation/stacks%20clean%20rfp%20final.pdf

 


Yale University Library Preservation Department
http://www.library.yale.edu/preservation/

 


Outline for a drying method (一乾燥法の概要), Yasuhiro Oka, japan

2005年8月24日(水)

福島県歴史資料館、写真による「思い出アーカイブズ」のページを新設

image

 

福島県歴史資料館はこのほど、明治時代から昭和40年代の県内各地の写真資料を使った「思い出アーカイブズ」のページを新設した。第一回目は日本銀行福島支店。大正2年に竣工されたルネサンス調の建築物。


http://www.history-archives.fks.ed.jp/omoide/index.html

2005年8月1日(月)

TCA–ビデオテープの種類判別や劣化アセスメント法などのマニュアルをWebで

image

長期保存のためには左の縦置きが良い


テキサス芸術協会(Texas Commission on the Arts)はサイト内にビデオテープの判別と保存のためのアセスメントの方法をわかりやすく解説したページを掲載した。全体は次の5章に別れる。

1. 1/2″ のオープンリールからデジタル18までの、これまでに製造され・使用されてきた15種類のビデオテープ・フォーマットの判別法。
2. ビデオテープを長期保存する場合に特有の劣化症状とその原因
3. 劣化状態のアセスメントの方法
4. 劣化を食い止めるために所蔵機関ができる方法、外部に委託する場合
5. 保存のための情報源、資材の入手先

Videotape Identification and Assessment Guide
http://www.arts.state.tx.us/video/