ほぼ日刊資料保存

必也正名乎

図書館やアーカイブ等の資料保存に関する世界のニュースを伝える、ほぼ日刊のページです。 土日・祝日は休刊します。 リンクも引用も自由です。

2005 年 10 月 のアーカイブ

2005年10月31日(月)

IFLAソウル大会での資料保存は三組織が共同で「図書館員のための資料保存の提唱と教育」

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来年(1996年)8月20~24日にソウルで開催される国際図書館連盟(IFLA)ソウル大会(World Library and Information Congress: 72nd IFLA General Conference and Council)での資料保存関連の発表は「資料保存
の提唱と教育」(Preservation Adovocacy nad Education)をテーマとして、資料保存に関連するIFLAの三つの委員会や部会(IFLAContinuing Professional Development and Workplace Larning, Preservation and Conservaiton Sections, Preservation and Conservation Core Activity)が共同で主催することになった。IFLAではこの発表のためのペーパーを募集する。


図書館員が直面するさまざまな課題の中で、「資料保存」の優先順位は必ずしも高くはなく、そのための教育も充分に行われてきたとは言い難い。しかし、幾何級数的に増大しているアナログおよびデジタル資料の安定した保存と提供を、これまで以上に多様化する利用者のために、維持して行くことが大きな課題になっている。さらに、保存原則の維持や災害への備えを、専門家との協力の下に行わなければならない。このために図書館員は、資料保存への考え方の転換、動向、優先順位資金、技術等の問題を強調する必要がある。図書館員自身が不断のマイグレートとリフォーマットを要求されているといえる。図書館員を対象にした資料保存の提唱とそのための教育–出版、展示、ワークショップ、遠隔教育、資格教育の中でのプログラム、専門家会議、等々–が必須とされる所以で
ある。


ソウル大会では上記の三つの組織が協力し、ジョイント・プログラムとして開催する計画であり、発表のペーパーを募集する。テーマに関連する事例または実践的な提言を盛り込んだペーパーを期待している。


詳細は–


http://www.ifla.org/IV/ifla72/call-2006-cpdwl-e.htm

2005年10月28日(金)

上海図書館の文献保護研究室による古典籍と貴重文献へのコンサベーション

国際図書館連盟・資料保存委員会(IFLA-PAC)が発行する InternationalPreservation News の最新号(No.36, September 2005)は上海図書館文献保護研究室(Preservation and Conservation Institute of the Shanghai
Library) による同図書館の資料保存事業のうち、特に古典籍および貴重な文献に対する保存手当てについて掲載している(p.29-31)。著者は同室副室長。


Zhizhen Tong: Conservation and Preservation in Shanghai Library.


中国における古典籍・文書の修復処置は、対象物の歴史と同様、古くにさかのぼり、現在にまで続いている。書籍、手稿、絵画、手紙、拓本、地図類は、さまざまな形態に表具や製本が行われており、これらへの修復処置は高い技術を要求されるが、上海図書館の古典籍・文書に対する本格的な保護(Conservation and Preservation)処置は、この50年ほどの間にめざましく進展したといえる。


上海図書館の開設は1952年で、1958年にはすでに古典籍・文書への保護処置の必要性が叫ばれた。全国から集められた、優れた技能を持つスタッフ–拓本の製作と裏打ちの専門家、絵画や手稿・書籍のマウンティングの専門家など–が、現在の保護サービス事業の基礎になっている。

 

こうした人たちが次の人材を育て、新しい知見が加わり、次の世代へと受け継がれた。1964年には二人の若い人材を北京の国立図書館に2年間、研修のために派遣、1980年からは特に、伝統的な古典籍・文書の保護のための技術の確立に力を入れるように教育プログラムが組まれた。ここで育った人たちがいまの保護研究室の中核になっている。


1995年に保護研究室(Preservation and Conservation Institute)が設置され、古典籍・文書へのさまざまな処置が加速されることになった。上海図書館はこうした範ちゅうに入る資料を約200万点保有しているが、うち20~30%が補修もしくは修復処置を必要としている。一例を挙げれば、約1万点に上る家系図である。そのうち近代のものでは李鴻章、左宗棠、魯迅、蒋介石などの、中国の近代史のキー・パーソンの系図も含まれるのだが、虫やカビの害に加え、質の良くない近代の紙を使っていて、傷みがひどく、処置を必要としていた。しかし、特別な予算措置が執られ、助手が配置されたおかげで、4万点の家系図と数千点の古典籍・文書への手当てが施された。

上海図書館の資料保存事業は自館のrための仕事だけでなく、周辺地域の図書館などのニーズにも応えている。例を挙げると江蘇省の泰昌州図書館、貴重書図書館として名高い天一書楼、華東師範大学図書館などから補修や修復の相談、あるいは委託処置の依頼を受けている。こうした資料を手当てしていると、極めて貴重な資料を発見することがある。明朝のある書籍を補修していたら、「水滸伝」の極めて古い時代の印刷された葉が見つかった。これはおそらく世界で唯一のものだろう。

国レベルでの要請に応えるため上海図書館は1970年代から古典籍・文書のコンサーバター養成の教育コースを設けて育成している。こうして育った人材がそれぞれの機関に戻り、中核になって仕事をしている。

 

上海図書館は1996年に新しい建物が完成したのを機に、われわれが行っている仕事を公開する事業も始めた。具体的には Ancient Book Restoration Showroom、Artistic Handicraft Display Roomの二つの展示室である。海外からの図書館人等を招き、我々の成果を見てもらう。海外の機関との交流も盛んになってきた。香港やニューヨークの図書館での我々の技術の紹介、マカオや台湾の図書館との技術交流講習などを行っている。


International Preservation News (No.36, September 2005)
www.ifla.org/VI/4/news/ipnn36.pdf


上海図書館、図書の修復及び保存業務 (日本語でのサイト)
http://www.library.sh.cn/japanese/guide/fw10.htm

2005年10月27日(木)

純化したフノリによる不安定な絵画表面色材の定着効果を実証、カビなど生物学的劣化への効果も

IIC(International Institute for Conservation of Historic and Artistic Works国際文化財保存修復学会)の季刊誌 Studies in Conservation の最新号(Volume 50 No.3)は、フノリ(布海苔)を精製した新しい定着剤 JunFunori
(商標)による、ガッシュなどの色材の定着が良くない絵画表面の定着効果についての論文を掲載している。


Thomas Geiger and Françoise Michel: Studies on the Polysaccharide JunFunori Used to Consolidate Matt Paint.


布海苔から抽出したポリサッカライド系糊料は古くから色材の定着剤として使われてきたが、その効果や影響が深く研究されることはなかった。スイスの研究者である著者らは、布海苔を従来にない純度で精製する技術を開発し、JunFunori として商品化するとともに、これのコンサベーション分野での応用開発を行ってきた。


上記論文は、これまでも定着剤としてコンサベーションで使われてきたゼラチン、スタージオン・グルー(チョウザメ膠)、セルロース・エーテル類のHPCとMCとの効果の比較を実験したもの。セルロース・エーテルよりも外観の変化が少なく定着でき、紫外線照射と、相対湿度が変化する環境下での加速老化試験後のフーリエ変換赤外線分析((FTIR) の結果では、優れた安定性を保持する定着効果が認められ、また生物学的な劣化に対しても効果があった、としている。


Studies in Conservation Volume 50 No.3
http://www.earthscan.co.uk/news/article/mps/uan/504/v/6/sp/


EMPA-JunFunori
http://www.empa.ch/plugin/template/empa/903/20414/—/l=1/
changeLang=true/lartid=20414/orga=/type=/theme=/
bestellbar=/new_abt=


※他の評価としては—
Michaela Ritter& Olivier Masson:Konsolidierung mit Junfunori®
Praktische Anwendung an drei Objekten mit unterschiedlichen
Farbschichtproblemen.
http://www.uni-muenster.de/Forum-Bestandserhaltung/kons-restaurierung/abstract_pres_05_07.shtml

2005年10月27日(木)

東大東洋文化研究所、アジア古籍保全の講演会とワークショップを12月16日に開催

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東京大学東洋文化研究所は12月16日(金)に「アジア古籍保全–講演会とワークショップ」を開催する。傷みやすい資料をどう守るか、劣化してしまった資料にどのような手当てをするか、資料を損なわずに利用する方法はないか–いろいろな分野の専門家と一緒に考える。

 

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定 員: Aコース60名 Bコース各20名
参加申し込みは E-mail でできる。
詳細は–

 

アジア古籍保全 講演会・ワークショップ
http://institute.ioc.u-tokyo.ac.jp/~library/news/asia_lecws.html

2005年10月26日(水)

12月7日にIFLA-PACの地域センター長会議を日本で開催、新アジアセンター設置などが課題

国際図書館連盟(IFLA)のコア・プログラムの一つである Preservation and Conservation(PAC)にもとづき世界各地域に設置されているIFLAPACセンター長が一堂に会した会議が、今年12月7日に国立国会図書館で開催される。昨年アジア地域のセンターに指名された中国国立図書館(北京)に次ぐ新しいセンターを東南アジアもしくは南アジアに一カ所、あるいは二カ所設置することが期待されているが、それよりも以前に、すでに設置されているセンターがそれぞれの責務を果たしているか、相互協力を密にしているのかが議題になる。また、デジタル化の波にさらされているのはアジア地区も例外ではなく、この保存に向けての活動についても話し合われる。

2005年10月25日(火)

フィンランド、フランス、イタリア、スペイン、英国での「予防的保存手当て」報告書

イタリアやスペイン、フランスなど欧州五カ国の12の図書館や文書館、コンサーバターなどで組織する ConBeLib は、各国の資料保存機関での資料保存のための予防的な手当ての現状を調査した報告書 Report on Preventive Conservation of Documents in Finland, France, Italy, Spain and the United Kingdom をPDF で出版した。

ConBelib はイタリアの書籍病理学研究所、フランスの国立図書館情報科学大学などの12機関が協力して、紙媒体資料とともにデジタル資料への「予防的な手当て」(preventive conservation)を考え、実践してゆくことを目的にしたユニークな組織。この報告書ではパートナーがそれぞれ機関での手当ての現状と問題点、今後の課題についてまとめている。


Report on Preventive Conservation of Documents in Finland, France, Italy,Spain and theUnited Kingdom
Edited by Assunta di Febo, Mark Livesey and Paola F. Munafò
Translations from the Italian by Mark Livesey
http://www.conbelib.org/gestion_texte_produit.php

2005年10月24日(月)

ISO(国際標準化機構)が、様々なタイプの画像資料が混在する場合の保管条件を規格化へ

ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)の写真資料に関する技術委員(TC 42) は先月末に開催した会議において、紙焼き写真や、各種の異なった材料を基材にしたフィルム、インクジェット印刷物、磁気テープなどを、別々にではなく、一緒に保管し保存してゆく場合の温度・湿度条件を示す規格を現在のドラフト(ISO/DIS 18934)から正式なISO規格として定める方向で意見の一致を見た。若干の語句の訂
正を経て、Imaging materials – Multiplemedia archives –Storage environment として今年中に発行される見通しである。


ISOはこれまで、様々なタイプの画像資料ごとの、保管のための温度と相対湿度を定めているが、現実にはこうした資料が混在して保管されているのが普通であり、実状を反映していないという声が図書館や文書館から寄せられていた。ISOではこうした声を反映させ、ISO/DIS 18934 を発表している。


この規格の特徴は、それぞれのタイプに最適の温度・湿度条件はあるとしながらも、現実的な保管条件を勘案し、保管状況(Storage Condition)を、Room, Cool, Cold, Subzero に区分し、ガラス乾板、ニトリル・フィルム、アセテート・フィルム(モノクロ・カラー)、ポリエステル・フィルム(同)、紙焼き写真(同)、電子写真・インクジェット等の印刷物、磁気テープ(アセテート、ポリエステル)、CD/DVD について、No, NR(Not Recommended)、Fair, Good, Very Good の5つの適正レベルを設けたもの。


実際の現場での使い方は、保管場所が Storage Codition のどれかを見て、現在所有しているそれぞれのメディアが5段階のどれに該当するかを測り、最も問題のあるモノを優先的に別の保管条件の中に移す–ということになろう。

 


一部を紹介すると–

 

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ISO/DIS 18934 Imaging materials — Multiplemedia archives — Storageenvironment は以下から入手できる。PDF(174KB) で64CHF (スイスフラン)


http://www.iso.org/iso/en/CatalogueDetailPage.CatalogueDetail?CSNUMBER=31960&scopelist=PROGRAMME

 

(文責:資料保存器材 木部徹)

2005年10月24日(月)

包材中のアルカリ移行による資料への影響–シアノタイプ(青写真)での実証

ドイツの資料保存のコンサーバター養成機関 Staatlichen Akademie der Bildenden Künste Stuttgart, Studiengang Restaurierung und Konservierung von Graphik, Archiv- und Bibliotheksgut はこのほど、Roland Damm の研究論文 Übertragung von Alkalinität durch Kontakt mit Calciumcarbonat gefüllten Hüllpapieren(炭酸カルシウム含有包材の接触によるアルカリ移行)を出版した。


いわゆる長期保存に適した中性紙は、 ISO や ANSI、ドイツでは DIN などの国際規格や国の規格で定められた「炭酸カルシウム換算で2%以上のアルカリ塩」が含有されており、包材にもこの規格に即した紙が使われてきたが、写真資料の一部や、色材が載った対象資料によっては、このアルカリ分の長期接触による影響が懸念されていた。著者の Damm は青写真(シアノタイプ、サイアノタイプとも)への長期接触により、水分が介在してこのアルカリ移行が生じ、変色が生じることを実証的に確認した。また、相対湿度の変化(Damm の実験では 45~65%を繰り返す)がこの変色を加速させたとしている。「シアノタイプで実証された相対湿度の変化による炭酸カルシウムの移行の影響は、しかしながら、非常にわずかなモノであり、著しい湿度変化下をシュミレーションしたものといえる」と結論している。


Roland Damm, Übertragung von Alkalinität durch Kontaktmit Calciumcarbonat gefüllten Hüllpapieren.
.Schriftenreihe in Zusammenarbeit mit der Staatlichen Akademie der Bildenden Künste Stuttgart, Studiengang Restaurierung und Konservierung von Graphik, Archiv- und Bibliotheksgut und Preservation Akademy Leipzig GmbH, Band 1.Berlin

Berliner Wissenschafts-Verlag 2005
ISBN: 3-8305-0919-7


http://www.sabk.de/archiv/buecher.htm


Staatlichen Akademie der Bildenden Künste Stuttgart, Studiengang
Restaurierung und Konservierung von Graphik, Archiv- und Bibliotheksgut
http://www.sabk.de/

 


※関連Web
■稲葉政満・高木彰子・山口佳奈・桐野文良ほか:挿入法による紙劣化
試験–色変化に及ぼす圧力及び湿度の影響

http://www.hozon.co.jp/hobo/archives/3353

2005年10月24日(月)

文化財保存支援機構(JCP)、観音寺市郷土資料館での被災資料救援活動を紹介

特定非営利活動法人文化財保存支援機構(Japan Conservation Project)は同サイトのページに、香川県観音寺市郷土資料館での被災資料救援活動の報告を載せている。今年9月19, 20日の両日に行われた。2日間で368枚の洗浄と乾燥処理を行ったという。


http://www.jcpnpo.org/08_lib/20051020-02.html

2005年10月21日(金)

東京国立博物館、保存と修理の展示会を11月末まで開催

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保存 と修理展示会のリーフレットから


東京国立博物館は10月18日から11月27日前で、本館特別2室・4室において、同館のコレクションに対して行われた保存と修理の手当ての特集陳列を開催している。今年で6回目を迎える展示は、今回は22作品。高橋由一筆「上杉鷹山像」、栗本丹洲・高橋由一等筆「博物館魚譜」、二世五姓田芳柳筆「裸婦」、法眼円伊筆「一遍上人絵伝 第七」(国宝)、「住吉物語絵巻」(重文)などを見ることができる。また、同展示のために作成されたリーフレットには、アイヌの胴着「チウカウカプ」をとりあげ修理方針や修理の様子を、修理の現場からとして、絵画(「一遍上人絵巻」、「十六羅漢像」)の裏側にある彩色「裏彩色」を、また、「裸婦」に対して行われたクリーニング(粉末状の粉消し+カビの結晶化した部分のメスによる除去)をそれぞれ紹介している。
ほぼ日刊資料保存 2005年10月のアーカイブ9/20 ページ

 

 

特集陳列 東京国立博物館コレクションの保存と修理
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=B01&processId=01&event_id=2210

2005年10月20日(木)

月刊IM – 国立公文書館のデジタル・アーカイブのインターネット提供について

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http://www.digital.archives.go.jp/

 

社団法人・日本画像情報マネジメント協会(JIIMA)の機関誌「月刊IM」の最新号(vol.44、第11号、2005年11月号)はケース・スタディとして国立公文書館のデジタル・アーカイブのインターネット提供について掲載している。

■飯島博史(国立公文書館業務課情報システム係長)、国立公文書館の
「デジタル・アーカイブ」インターネット提供について, p.10-15


国立公文書館が構築・運営しているデジタル・アーカイブの概要とデジタル画像の特徴の紹介。同館のデジタル・アーカイブは、資料画像の閲覧機能を持つ目録情報の検索サービス「デジタル・アーカイブ・システム」と、重要文化財や大判資料をカラー画像で閲覧できる「デジタル・ギャラリー」で構成されている。前者は、現在のところ、画像数は182万。キーワード検索のほかに移管元省庁別や資料群別の階層検索、タイトルやレファレンス・コード等の検索項目ベルに多様な検索ができるキーワード詳細検索が可能。さらにユニークなのが横断検索で、これは付属機関のアジア歴史センターと、岡山県立記録資料館との間で検索できる。デジタル画像には、高精細画像(JPEG2000)、汎用的なJPEG、資料の1件全体をダウンロードできるPDF と3形式を採用しているのも特徴である。なお、同館では、公文書等のデジタル画像は、16ミリマイクロフィルムから作成している。マイクロ化は利用者の利便性の向上とともに原本の保護をはかるため、という。重要文化財や大判資料は4×5インチのカラーポジフィルムで撮影保管、ここからデジタル化して提供しているが、GBクラスの大きなファイルであっても、JPEG2000の採用により、分割表示ではなく、閲覧者が画像表示の移動や拡大・縮小を行うと、その都度必要なデータだけをサーバーから持ってくるという仕組みになっている。


日本画像情報マネジメント協会(JIIMA)
http://www.jiima.or.jp

2005年10月18日(火)

M. Foot の新刊 『製本家の仕事:その役割と方法』- 16~18世紀の英独仏蘭での歴史

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製本史家 Mirjam Foot の Bookbinding atWork; their Roles andMethodsが Oak Knoll 社と英国図書館から 2006年1月に出版される。これまでの「製本史」の研究は、わずかな例外をのぞいて、ほとんどが表紙のデザインの変遷に関したものであるが、この書は、16世紀から18世紀までのフランス、ドイツ、オランダ、イギリスの文献および実際に製本されたモノを調査し、製本構造と、それを成り立たせる方法にまで踏み込んで歴史的に論じたもの。


著者の Dr. Mirjam Foot は、British Library の Collections and
Preservation 長を歴任、現在はロンドン大学の図書館・アーカイブ学部教授。


Bookbinding atWork; their Roles andMethods
hardcover, 7×10 inches, 162 pages
ISBN 1564561688
$ 59.95


Oak Knoll Press の該当ページで予約できる
http://www.oakknoll.com/detail.php?d_booknr=87274&d_currency=

2005年10月17日(月)

国立国会図書館、スマトラ沖地震・津波の被災と復興セミナーを12月に開催

国立国会図書館では、スマトラ沖地震・津波の被災と復興をテーマにセミナーを開催する。


日時:2005年年12月6日 午後1時から5時まで(午後0時30分受付開始)
会場:国立国会図書館東京本館 新館講堂


プログラム 基調講演「IFLA/PACの防災プログラムについて」
マリー=テレーズ・バーラモフ(IFLA/PAC国際センター長、フランス国立図書館)


報告「インドネシアにおける被災状況及び復興支援ニーズ」
ダディ P. ラフマナンタ(インドネシア国立図書館長)


報告「スリランカにおける被災状況及び復興支援ニーズ」
ウパリ・アマラシリ(スリランカ国立図書館長)


報告「アチェにおける被災文書の修復活動」
坂本勇(有限会社東京修復保存センター代表)


報告「IFLA/PACアジア地域センターの最近の活動について」
那須雅熙(IFLA/PACアジア地域センター長、国立国会図書館収集部司書監)


申込方法:E-mail またはFAXで、(1)氏名(ふりがな)、(2)所属、(3)住所、(4)TEL番号、(5)FAX番号、(6)E-mail アドレス及び「公開セミナー参加希望」とご記入のうえ、11月18日(金)までに、下記あてに。参加費は無料。
国立国会図書館収集部資料保存課
申込専用E-mail tsunami@ndl.go.jp FAX 03-3592-0783

2005年10月17日(月)

国際博物館会議(ICOM)が災害救援サイトを立ち 上げ、機関誌ではリスク・マネジメントの特集

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国際博物館会議(ICOM)はこのほど災害救援サイト Disaster Relief forMuseums を立ち上げた。被災状況を知らせる報告書の雛形、防災・救済のための参考文献やリンク集などのページとともに、昨年12月のiインドネシア・スマトラ島沖津波と津波や、今年8月のアメリカのハリケーンによる被災状況と救済の現状を伝えるページもある。


Disaster Relief for Museums
http://icom.museum/disaster_relief/


また、ICOMNews (No.2, 2005)は RiskManagement の特集で、近年の博物館・美術館の被災状況と救済を伝える報告とともに、被災そのものの記録を残す博物館 Disaster Museum (例:ハワイの Pacific Tsunami Museumなど)の紹介と設置の勧めを載せている。


http://icom.museum/risk_emergency.html

2005年10月17日(月)

米保存修復協会誌–「紙焼き写真の蛍光増白剤」、「SPMEによる文書被覆フィルムの分析」など

アメリカ文化財保存修復協会(American Institute for Conservation)の機関誌 Journal of the American Institute forConservation の最新号(Spring2005, Vo.44, No.1)は、紙焼きのモノクロ写真に使われてきた蛍光増白剤の歴史的な分析と、1930年代から文書のラミネーション(接着被覆)に使われてきたアセテート・フィルムの分析についての論文を掲載している。

 


■ PaulMessier and V. Baas et. al. Optical brightening agents in
photographic paper, (p.1-12)

 

1869~2004年までの1,804の紙媒体ゼラチン・銀塩写真を対象にした。メーカーは40社。1896~1949年までの写真には蛍光増白剤は使われていない。サンプルのなかで蛍光増白が使われた最初期のは1950~1954年のもの。1995~1964年の間に急速に採用例が増加しており、この間の後半には70%に達している。1965~1979年は39%にまで減少したが、1980年以降は再び増加し81%に達している。最初期から現在までのモノクロ紙焼き写真が蛍光増白剤を使っている割合が予想以上に高いことになる。一部の増白剤は独特の劣化傾向を示し、また水処理に弱いことも確認しており、資料として展示する場合などの注意ばかりでなく、介入的な修復処置を講じる場合にも、従来とは異なった注意が必要になる。著者の Paul Messier は Paul Messier L.L.C. 社のコンサーバター、Valerie Baas はデトロイト芸術協会コンサベーション・サービス・ラボのコンサーバター。

 


■ Ormsby, M. Analysis of laminated documets using solid-phase
microextraction. (p.13-26)


アメリカ国立公文書館は劣化した文書にセルロース・ジアセテート(CA)フィルムを加熱被覆して保存する処置を1930年代から1980年代まで大規模に行ってきた。この間、フィルム単体でもさまざまな種類が使われ、またラミネーションの際に一緒に強化用の薄様紙を挟んだり、脱酸性化処置を行った後に被覆するという方法が採用されてきたが、将来に渡ってこの多様な被覆処置が文書そのものにどのような影響を及ぼすのかは不明だった。著者は、フィルムに含まれる(20~30%)可塑剤に注目し、この分析を行った。可塑剤(plasticizer)は一般的にフィルムそのものよりも劣化が早く進み、不安定な種類のもある。分析は固相マイクロ抽出法とガス・クロマトグラフ質量分析法を組み合わせて(SPEM-GC-MS)行った。方法がシンプルで、非破壊的かつ精密に計測できる。使われた可塑剤は容易に同定でき、劣化生成物である無水フタル酸とフェノールも検出できた。著者はアメリカ国立公文書館所属の保存科学者。

 


American Institute for Conservation
http://aic.stanford.edu/


Journal of the American Institute forConservation(JAIC)は, 1977 年(Vol.
16)から 2000年(Vol. 39),までの掲載論文の大半が電子化されている。
http://aic.stanford.edu/jaic/

2005年10月14日(金)

先史時代から現在までの顔料の分析情報と顕微鏡 写真を2冊の書籍とCDに

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科学者とコンサーバターが協力し、紀元前から現在までの絵画に使われている顔料に関する分析情報と、その顕微鏡写真を一覧した The Pigment Compendium がElsevier 社(オランダ)から出版された。オックスフォード大学の N. Eastaugh 博士と、絵画のコンサーバターの V.Walsh らが執筆・編集したもの。The Pigment Compendium (色材大綱)は、2冊の書籍と、インタラクティブCD-ROM から構成される。

 

このうち ADictionary of Historic Pigments は、世界中の、先史時だから今日までの顔料に関する情報をカバーした辞典。現在では入手困難な、膨大な、使用当時のドキュメント・リソースがあり、それぞれの顔料を歴史的な流れの中で押さえることができる。(£125)

 

もう一冊の Optical Microscopy of Historical Pigments は特にコンサーバターやコンサベーション科学者には大いに役に立つと思われる。鮮明なフルカラーの顕微鏡写真は、これまで難しかった同定や分析を可能にす
る。(£125)


この2冊と別に Pigment Compendium intractive CD-ROM が出版されている。上記の書籍の内容に、データベース機能を付けたもので、検索が容易。(£250)


詳しい案内と入手先は以下の Pigmentum Project のページに。
http://www.pigmentum.org/publications/compendium/

 


なお、同サイトはオンラインでの顔料データベースLazurite も運営してい
る。
http://www.pigmentum.org/lazurite/

2005年10月14日(金)

情報保存研究会のQ&A で「磁気テープ」、「CD, DVD」の保存法を解説

情報保存研究会(JHK)のホームページは「保存と活用のヒント」として、さまざまなメディアや保存方法についての解説を、Q&Aの形で掲載しているが、このほど、磁気テープ、CD、DVDの項目を新たに加えた。それぞれの種類、構造、寿命と保存方法について、メーカーでもある富士写真フィルムが概説しており、参考になる。


情報保存に関する Q&A
http://www.e-jhk.com/hint/Q&A.html#14

2005年10月13日(木)

映画保存協会、東南アジア太平洋地域視聴覚アーカイブ連合(SEAPAVAA)に加盟申請

映画保存協会(Film Preservation Society)は、東南アジアの映像アーカイブの協力機関である東南アジア太平洋地域視聴覚アーカイブ連合(SEAPAVAA)の一員になるため、賛助会員としての加盟申請を行った。

同機関は1996年に発足し、オーストラリア、インドネシア、フィリピン、ベトナムなどの30余の団体のほか、主旨に賛同する個人の参加も認めている。高温多湿という、フィルムの保存には課題の多い地域であるが、これまで国際的な協力が得られることはなかった。日本のFPSは、いわゆる「公的」な組織ではないが、会員の枠組みの一つである賛助会員の一員として、「アジアと連帯」するとしている。なお、日本の「公的」な機関は、この連合には加盟していないようだ。FPSのホームページにはフィルム・アーキビストのブリギッタ・バウロヴィッツの「ボランティア・プロジェクト–タイ国立フィルム・アーカイヴにて、2005年5~6月」が掲載されており、タイでのフィルム・アーキビストの養成についての周到な内容になっている。

 

FPSはアジアの連帯に加わります!
http://www.filmpres.org/


SEAPAVAA のホームページ
http://www.geocities.com/seapavaa/#ABOUT

2005年10月11日(火)

情報保存研究会(JHK)、東博の例など「文化遺産デジタルコンテンツ利活用」で11月にセミナー

情報保存研究会(JHK)は11月25日に、オープンセミナー「文化遺産デジタルコンテンツ利活用の可能性と課題」(田良島哲氏:東京国立博物館情報管理室長)を開催する。


インターネットの普及と利用環境の大幅な改善によって、社会的に注目されるデジタルコンテンツの分野として文化遺産の情報の利用・流通を促進させることが話題となっている。しかし、情報を保有している博物館・美術館や文化財所有者・管理者と、利用を求める政府や企業の間では、意識や技術的環境の差が大きく、今後の展開のためには解決が必要な課題が多い。本報告では、博物館の立場から近年の動向を概観し、当事者が共通してプラスの成果を見出すにはどのようにすればよいか、問題提起を行う。


参加費は無料。詳細はJHKホームページに
http://www.e-jhk.com/event_and_archives/seminar_annai.html

2005年10月11日(火)

弊社PR:新しい『アーカイバル容器カタログ』–中性布帙、撥水性・防汚性+調湿性容器なども

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弊社はこのほど2005-2006年版『アーカイバル容器カタログ』を出しました。この数年かけ開発してきた新しい技術と構造を盛り込んだ新製品も掲載しています。また、使用材料からの酸や過酸化物の試験も重ね、従来以上に安定した品質の保存容器を提供できるようになりました。全8ページをPDFでダウンロードできます。


http://www.hozon.co.jp/catalog_pdf_downroad.htm


もちろん印刷物としての入手もできます。ご請求ください。

こちらへ >> mail@hozon.co.jp

2005年10月6日(木)

Google vs. EU図書館–10月に関係者集め「蔵書のデジタル化と配布」めぐりシンポジウム

「Google and beyond –誰が我々の本をデジタル化するのか?」–検索エンジンの雄、Google が米英の図書館と協力し進めつつある、膨大な蔵書のデジタル化とネット上での検索と配布という巨大プロジェクトに対し、それは米英を中心としたアングロサクソン文化帝国主義であると真っ向から反旗を翻し、独自の協力体制による同種のプロジェクトを始めようとしているフランスやドイツ等のEU加盟国図書館が、当のGoogleと米英図書館を相手に、出版人も交え、この問題を巡ってシンポジウムを開催する。国際図書館連盟(IFLA)と国際出版社連盟(IPA)の共催によるもので、10月21日に、ドイツのフランクフルトで開催される国際ブックフェアにおいて両者の代表的な論客が集う。予定されているプログラムは以下の通り。


Google and beyond:Who will digitise our books?


The European Ambition on Library Digitisation (ヨーロッパ人は図書館蔵書のデジタル化のあり方をどう考えるか), Jean-Noël Jeanneney,
Président
BibliothèqueNationale de France, France

Google Print: Benefits for Libraries, Publishers and Consumers (Google が提供する Google Print サービスは、図書館、出版社そして消費者にどのような益をもたらすか), Jim Gerber, Content Partnerships Director, Google
USA


The Library Perspective from a Google Librarian("Google 図書館人" から視た図書館のこれから), Frances Boyle, Electronic ResourcesManager, Bodleian Library Oxford, United Kingdom The Project of the Arbeitskreis Volltextsuche(ドイツの書籍全文検索プロジェクト), Matthias Ulmer, Publisher, Verlag Eugen Ulmer, Germany
HowGood Are Search Engines? Deep Structuring vs. Flat Searching (サーとエンジンはどのていど良いものなのか?–深遠なる構築 vs. 平板な検索), Professor Peter Ingwersen, Professor, Department of Information
Studies, Copenhagen, Denmark


http://www.ifla.org/V/ifla-ipa/symposium-oct2005.htm

 

※「ほぼ」内 関連web 2005年5月2日(月)付け、EU図書館–アメリカ中心のGoogle電子図書館に強く反発、独自構想を発表

http://www.hozon.co.jp/hobo/archives/3342

 

 

※その他邦文web : INTERNETWatch から
米Google、大図書館の蔵書のほとんどを検索可能にするプロジェクト
(2004/12/15)


国際的出版業界団体、図書館をデジタル化するGoogleの手法に抗議
(2005/07/12)


EU版デジタル図書館の計画全容が明らかに (2005/10/03)