ドイツ語圏を中心にした紙媒体資料のコンサーバターの団体IADA(Internationale Arbeitsgemeinschaft der Archiv-, Bibliotheks- und Graphikrestauratoren)の機関誌 PapierRestaurierung(Vol7, 2006, No.1)はカナダ国立文化財研究所(CCI)による粘着テープや熱圧着薄様紙プロジェクト、デジカメを用いた没食子インク同定、アルコール消毒の効果と影響などについて掲載している。
■Down, Jane L. et al., The Tapes and Heat-set Tissues Project. (p.13-17)
2001年からCCIが進めている表題のプロジェクトの現状報告。同定のためのスクリーニング法、そのための試験法を述べる。44種の粘着テープと熱圧着薄様紙の組成とpHの詳細な一覧がある。
■Kecskemeti, Istvan et al., False-colour Infraed(FCIR) Imaging– An inexpensive Method for Identifying iron-gall ink by Standard Digital Camera. (p.18-31)
赤外線カラー合成画像(フォールス・カラー画像)で没食子インクを同定する方法。一般のデジタルカメラを使い、簡単かつ安価に同インクの有無を特定できる。
■Meier, Christina. Shimmepilze auf Papier–Fungizide Wirkung von Isopropanol und Ethanol. (p.24-31)
70%の濃度のイソプロパノールとエタノールアルコール溶液 を用いた殺菌消毒効果の実証報告。スプレー、浸漬、ガス化の三つの方法で各種のカビへの効果を確かめた結果、エタノール浸漬によるものがほぼ完全な効果が見られた。エタノールのガス法はカビの生長をおさえるだけ、スプレー法はカビの担持体を作る可能性があるので避けたい。
■Weiss, Doreen. Ethanol und Chlormetakresol als Fungizide–Auswirkungen auf die Alterungsbestadigkeit von Papier. (p.32-39)
エタノール溶液への浸漬とクロルメタクレゾール(ガス)による殺菌後の紙への影響を報告。光および熱による加速劣化を行い、物理的強度の変化と変色を見たが、処置しないものに比べて、いずれも目だった強度低下や変色には至らなかった。