公文書等の適切な管理・保存及び利用に関する懇談会が22日開催され、「中間段階における集中管理及び電子媒体による管理・移管・保存に関する報告書」を安部官房長官に提出した。同報告書は公文書等の散逸を防ぎ早めに評価選別を行う「中間書庫システム」の構築及び急速に進展する電子公文書等に対応するための調査研究の開始等について提言。
内閣府懇談会、報告書を安倍官房長官に提出
http://www.archives.go.jp/news/060629.html
2006年6月30日(金)
内閣府懇談会、公文書の中間書庫システムと電子媒体に関する報告書を官房長官に提出公文書等の適切な管理・保存及び利用に関する懇談会が22日開催され、「中間段階における集中管理及び電子媒体による管理・移管・保存に関する報告書」を安部官房長官に提出した。同報告書は公文書等の散逸を防ぎ早めに評価選別を行う「中間書庫システム」の構築及び急速に進展する電子公文書等に対応するための調査研究の開始等について提言。
内閣府懇談会、報告書を安倍官房長官に提出
http://www.archives.go.jp/news/060629.html
2006年6月30日(金)
東北芸工大文化財保存修復研究センター、博物館のリスクアセスメントとIPM(有害生物管理)で7月に講演会東北芸術工科大学文化財保存修復研究センターは、7月,23日(日)に東京サテライトキャンパスで公開講演会「博物館のリスクアセスメントとIPM(有害生物巻管理)」を開催する。同センターは2001年に設立され、地域に遺る文化財の保存修復活動を展開してきた。今回、新研究棟の落成を記念しオーストラリア国立博物館の保存修復部長ヴィノッド・ダニエル氏による公開講演会・シンポジウムを開催する。ダニエル氏は文化財の生物的環境を専門とする保存科学者。日本でも見習うべき博物館の収蔵品の保存管理および薬剤を使用しない害虫・カビ防除法等について講演する。
「オーストラリア国立博物館の現状と博物館のリスクアセスメント」 ・・・オーストラリア国立博物館保存修復部長 V・ダニエル
「博物館のIPM(有害生物防除管理)とは?」 ・・・東北芸術工科大学非常勤講師 杉山真紀子
「オーストラリア国立博物館のIPMと薬剤を使用しない加害生物対処法」(高温法、冷凍法、無酸素法の紹介)・・・V・ダニエル
パネルディスカッション・質疑応答
日 時 7月23日(日)10;00~17:30(9:30開場)
場 所 東北芸術工科大学 東京サテライトキャンパス(http://www.tuad.ac.jp/guide/satellite.html) 〒103-0012 東京都中央区日本橋堀留町1-8-13
連絡先 E-mail: iccp@aga.tuad.ac.jp
TEL:023-627-2204 FAX:023-627-2303
参加費 無料 ただし、参加者氏名・所属を明記して、上記へ申込。(先着50名)
2006年6月26日(月)
吉野敏武『古典籍の装幀と造本』–宮内庁書陵部修補師としての蓄積を一冊に
「装幀,製本の歴史は古く,その方法も形態も移り行く時代の中で変遷してきた。宮内庁書陵部で長年に渡って古典籍の修復と製本,成巻に関わってきた著者が,その技術を広く世に伝えるべく,作業手順や方法を丁寧に解説した一冊。巻子本,折本,粘葉装,大和綴そして線装本袋綴など,日本文化を支えてきた古典籍の装幀,造本術がここに結集!博物館や図書館などで書物の保存・修復に関わる方には特にお薦めです。」(出版社の内容案内から)
まえがき 9
古典籍の装幀の変革 11
中国での装幀形態の誕生
装幀の電波と形態の変革
我が国の料紙
装幀形態と成巻および製本方法 25
巻子本
粘葉装
大和綴
経折装・折本
線装本袋綴
成巻、製本道具類
結び 165
参考文献 167
索引 171
版元:印刷学会出版部
造本体裁:A6判、上製本、糸縢り、176ページ
価格:1,680円(税込み)
吉野敏武『古典籍の装幀と造本』
http://www.japanprinter.co.jp/cgi-bin/bkdatabase/bookdatabase.cgi?key=%204-87085-184-9
2006年6月26日(月)
楮紙の薄さと靱さを活かして、革装幀本の外れた表紙を再接合する方法を解説(弊社関連)
弊社(有限会社資料保存器材)はこのほど「革装幀本を和紙で治す–外れた表紙の再接合」をアップロードしました。洋古書の傷みの中でも特に際だって数が多い背と表紙との接合部(ジョイント部)が切れてしまって表紙が外れたものを、楮和紙の薄さと靱さを活かして再び接合する方法である。一見、ミスマッチに見える方法だが、1980年代後半にブック・コンサーバターのドン・エザリントンや、キャロリン・ホートンらによってに開発、紹介されたこの方法は、欧米では広く普及している。写真と図を豊富に使い詳説した。
永島真帆子「革装幀本を和紙で治す–外れた表紙の再接合」
2006年6月23日(金)
7月のIPC国際会議のプログラム、日本からも「文書の劣化アセスメントの新しい方法」と「乾式肌上げ法」の2件今年7月27~29日に英国エジンバラで開催されるIPC(Institute of Paper Conservation)の第5回国際会議のプログラムが発表されている、全部で30余の発表が行われるが、いわゆるアート・オン・ペーパーの保存修復に関連するテーマと共に、今年は例年以上に図書や文書資料関連の発表が多い。日本からも岡山隆之氏(東京農工大学)の「紙媒体文書資料の劣化の新アセスメント法」と、 岡泰央氏(株式会社岡墨光堂)の「乾式肌上げ法」の二つの発表が予定されている。詳細は以下のページから。
2006年6月21日(水)
PapierRestaurierung最新号、「紙の破れと裂けの11種類のかたちの定義」を掲載ドイツ語圏を中心にした紙媒体資料のコンサーバターの団体IADA(Internationale Arbeitsgemeinschaft der Archiv-, Bibliotheks- und Graphikrestauratoren)の機関誌 PapierRestaurierung(Vol. 7, 2006, No.2)は、「破れ・裂けの形態学」を掲載している。
Bas van Velzen: A Molphology of the Tear, p.13-16.(原文は英語)
さまざまな原因により紙の破れや裂けの形にも違いがでてくるが、これまで厳密に定義されることはなく、コンサベーションの報告書(ドキュメンテーション)の状態報告においても、単に「破れ」とか「裂け」と表記されるのが普通だった。著者は、主にその原因から形を次の11種類に分類し、定義した。
・Simple: 最も単純な形。破れの端の毛羽立ちが一方にだけ生じる。最初にこれが起きて、続いて他の破れに発展して行くことも多い。
・Compound: Simpleの複合した形で毛羽立ちが双方に生じる。
・Pull: 紙が両側から同じ力で引っ張られた時に、紙の最も弱い部分で生じる。曲がった紙を無理に平らにしようとして引き延ばすときなどに。
・Fold: 紙を同じ場所で何度も折ったり広げたりする時に生じる。
・Edge: 束ねた紙の一枚の端が少し飛び出しているときに、こすったり、ぶつけたり、上から押さえたすることで生じる。
・Burst: 堅いものにぶち当たったときのように裂けが四方に生じる。
・Scratch: 引っ掻き傷。傷の一方に紙の「溜まり」ができる。
・Broken Glass: 額に入れられた絵などが、ガラスが割れたことで被る独特の傷。切り傷のような鋭角の端がある。
・Distortion: ある部分が糊で台紙に固定されているような場合に、紙の伸縮により生じる歪みを紙全体が吸収できず、固定部に引っ張られるように不規則に破れる。
・Imcompatibility:薄い本紙の端に厚い補修紙を貼った時などに、厚い紙の収縮によって薄い本紙に生じる。
、・Degradation:極度に劣化した酸性紙やインク焼け部分の紙等に生じる。一回折り曲げた程度でも破断する。
Die Morphologie des Risses: Ein erster Ansatz zu einer allgemeinen Terminologie
2006年6月19日(月)
米文化財保存学会写真資料グループ編『写真のコーティング–その材料、技術、保存修復』が出版
アメリカ文化財保存修復学会(AIC)の写真資料グループ(Photographic Materials Group)はこのほど Coatings on Photographs: Materials, Techniques, and Conservation を編集し、出版した。メロン財団とクレス財団の資金援助を受けてのもの。執筆は写真資料のコンサーバター、資料研究者、保存科学者等の42名。19世紀から今日まであらゆる写真資料に使われてきた表面被覆材料(天然のものから合成品まで)についての歴史、組成、その分析を詳細に。下記に、それぞれの章のアブストラクトが掲載されたPDFがある。購入(AICメンバー 55ドル、他 70ドル)申し込みも下記から。
Coatings on Photographs: Materials, Techniques, and Conservation
http://aic.stanford.edu/sg/pmg/coatings.html
2006年6月16日(金)
東大経済学部図書館・資料室・文書室スタッフが協力した資料保存ワーキング・グループが発足、新サイトも
アジア古籍保全セミナーでの講演
東京大学経済学部図書館、資料室、文書室のスタッフによる資料保存ワーキング・グループがこのほど発足した。近年、劣化が激しくなっている近現代資料を中心に、その保存・公開・修復・補修方法の研究と実践を行っていく。
発足を機に「資料保存へのとりくみ」という新しいサイトもスタートさせた。サイトを通じてスタッフの調査・研究成果や実践例等を公開し、同じような資料劣化の悩みを抱える機関と共有していく。同サイトには現在、今年1月にまとめた資料室の「劣化調査報告書」、昨年12月に開催された東京大学東洋文化研究所主催アジア古籍保全ワークショップでの講演の記録等がPDFで掲載されている。
資料保存へのとりくみ
http://www.lib.e.u-tokyo.ac.jp/shiryo/hozon/top.html
2006年6月15日(木)
IFLA、ソウル大会資料保存分科会「資料保存の提唱と教育」の発表予稿を掲載今年8月24日から韓国・ソウルで開催される国際図書館協会(IFLA)大会での資料保存分科会における各国からの発表予稿がIFLAのホームページに掲載されている。
Preservation and Conservation with Continuing Professional Education and Workplace Learning and the Preservation and Conservation Core Activity
Introduction to the Librarian Training Program on Material Preservation by the National Library of Korea(韓国図書館における資料保存のための訓練プログラム)
KWI-BOK LEE (National Library of Korea, Seoul, Korea)
Promoting preservation awareness in New Zealand: the role of the National Preservation Office, Te Tari Tohu Taonga
JOCELYN CUMING (National Preservation Office (Te Tari Tohu Taonga), National Library of New Zealand, Wellington, New Zealand)
Ink causes a stink: Preservation advocacy in the UK
(インクは腐る–英国における資料保存の提)
DEBORAH NOVOTNY (British Library, London UK)
Training on Digitization : the School for Scanning
MICHELE CLOONAN (Simmons College, Boston (MA), USA)
Lessons Learned from the University of Hawai`i at Manoa Library Flash Flood
LYNN A. DAVIS (Manoa Library, University of Hawaii, Manoa, USA)
Preservation Partners: Engaging Staff in Preservation Efforts
JEANNE DREWES (Michigan State University Libraries, East Lansing, USA)
Texts and memories; excavating meaning, communicating values
(テキストと記憶–意味の発掘、価値の伝達)
EVE GRAVES (London University of the Arts, London, UK)
how did we get here? Present state of Advocacy and Education in Library Preservation in Japan (どのようにして今に至ったか?–日本における図書館資料保存の提唱と教育の現状)
TORU KOIZUMI (Rikkyo University Humanities Library, Tokyo, Japan)
The Place of "Library, Archives and Museum" in the Preservation of Documentary Heritage: A Professional Challenge for Uganda (文書記録遺産の保存における図書館、公文書館、博物館の役割–ウガンダでの専門的な挑戦)
ELISAM MAGARA (Makerere University, Kampala, Uganda)
Preservation and Conservation Training in the French National Library
GUILLAUME NIZIER (Bibliotheque nationale de France, Paris, France)
Planning for the unexpected: developing innovative disaster training exercises for library personnel
(予期せぬ事態への備え–図書館人のための革新的な防災・救済訓練プログラムの開発)
THOMAS H.TEPER (University of Illinois Library, Urbana Champaign, USA)
Conservation Program in Taiwan
FEI WEN TSAI (Taiwan National University of the Arts, Taiwan, China)
Preservation Programs in Russia
TATIANA VELIKOVA (Russian National Library, Saint Petersburg, Russian Federation) World Library and Information Congress: 72nd IFLA General Conference and Council: Preliminary programme
2006年6月15日(木)
わら半紙資料やトレーシング・ペーパー等への微少点接着法による「反らない」裏打ちを紹介 (弊社関連)
弊社(有限会社資料保存器材)はこのほど、経時劣化したわら半紙やトレーシング・ペーパーなどを裏打ちすると生じる「反り」やカールを大幅に大幅に軽減できる方法をまとめ、アップロードしました。増田勝彦氏(昭和女子大)がかねて提唱している微少点接着法を応用したものです。
まず増田氏の方法をそのまま追試験して効果を見た後に、デンプン反応による接着点の確認、加速劣化試験による経時劣化後の状態の観察、水溶性のインクで書かれたものへの適用等を行いました。その結果、強度やしなやかさ、後からの剥がし易さ等で充分な効果を確認しました。また、増田氏のは比較的小さな面積の修補を想定したものでしたが、ここでは近代の公文書のわら半紙資料を見開いたぐらいの面積を前提に、この面に均一に微少点状の糊を付けるためのローラーを試作してみました。
1. 追試験
2. デンプン反応
3. 加速劣化試験
4. 水溶性インク
5. トレーシングペーパ
まとめ
<補足 1> ローラー
<補足 2> 劣化試験
福島希 「わら半紙資料等への微少点接着法による反らない裏打ち」
http://www.hozon.co.jp/staff/chikara/fukushima/fukushima_bisyouten_top.html
2006年6月13日(火)
紙媒体資料のコンサベーションのための7種類のスポット試験の方法を解説
弊社(有限会社資料保存器材)はこのほど、紙媒体資料のコンサベーションの際に、紙の性質を簡便にチェックするのに用いる7種類のスポット・テストの方法をまとめ、サイトにアップロードしました。
スポット(点)テストは、資料に試薬を滴下し、その様子を観察する手法です。試薬が直接、資料に付くために、厳密に言うと「破壊的」な検査になりますが、簡便さと速さが利点であり、状況に応じて有効的に使用できます。
内容(チェックできる項目)は以下の通り。それぞれの原理、使用する試薬、薬液の調合法、使用器具、サンプリング法、MSDS(化学物質等安全データシート)にリンクした扱い方と保管法の提示など、試験前と試験後を示す画像と合わせて、丁寧に解説したつもりです。
1. リグニン
2. ロジン
3. アルミニウム・イオン
4. タンパク質
5. デンプン
6. 酸性度
7. 炭酸カルシウム
小谷尚子 「スポット・テスト– 資料の性質を簡便につかむ」
http://www.hozon.co.jp/staff/chikara/kotani_spot_tests_top.html
2006年6月9日(金)
国会図書館の50年代和図書の劣化調査、ほぼ全部が酸性紙だが「見開きやすさ」ではGood が75% も国立国会図書館はこのほど開催された第28回文化財保存修復学会において「国立国会図書館における和図書の劣化調査–図書館資料の劣化とは」を発表した。
同図書館は1984年に所蔵資料の劣化調査を行ったが、このときは資料本紙の耐折強度、変色、酸性度だった。今回の調査は「動かされる構造物」としての図書が、閲覧やコピーなどの通常の利用に耐えうるものかどうかを見るために「見開き度」という調査項目も加えたのが特徴である。
調査対象は1950年代の和図書、総数12万点。図書館資料の調査のためのランダムサンプリング法により400点を抽出した。この結果は95±5% の確率で全体に敷衍できる。
調査項目は本文紙の物理的強度(端を撓ませる程度での2段階評価)、変色(3段階評価)、酸性度(A-D ストリップ、pH チェックペン)、製本の綴じの材質と綴じの位置、葉の構成、綴じの状態、表紙の接合等と「見開き度」(3段階評価)の41項目。
結果は以下の通り。、チェックペンでは96%、A-Dストリップでは98%が酸性紙だが、耐折強度はFair が半数で、本文の紙としての強度をまだ保持している。見開き性はGoodが75%。これは50年代図書の大半が糸での中綴じ(いわゆる本縢り)で、ノド一杯まで見開くことができる製本構造のためである。利用による破損の危険性は比較的少ないといえる。
「国立国会図書館における和図書の劣化調査–図書館資料の劣化とは」(国立国会図書館:山口佳奈、小林直子、 資料保存器材:小谷尚子ほか)
文化財保存修復学会第28回大会研究発表要旨集、p.84-85(2006)
(要約と文責:木部徹。上記の「動かされる構造物」という言葉は木部の造語で、発表文内にはありません)
2006年6月8日(木)
「本紙には手をつけず、欠損部下敷きに補彩紙処置で展示」等–第28回文化財保存修復学会での発表からこの6月3、4日の両日に開催された第28回文化財保存修復学会の研究発表要旨集から「ほぼ日」に関連する口頭発表とポスター発表からそれぞれひとつ、紹介する。
1. 口頭発表から
「浮世絵の保存修復と展示に関する新しいアプローチ」(Valerie Lee ほか)
東京国立博物館での実践例。欠損部のある浮世絵に裏打ちや補彩をせず、展示の際の台紙(中性紙ボード)に、欠損部の形に合わせた補彩補紙をメチルセルロースで接着し、そのうえに本紙の浮世絵を置いて展示した。原本へのいわゆる修復処置ではない、同館保存修復課のかかげる「最小限の処置」に対応した新しい方法である。
(要旨集、p.72-73)
2. ポスターから
「微少点接着法の実際–ドットスタンプとペーストパッド」(増田勝彦)
補修紙に「面状」にではなく微少な「点状」に接着剤をつけることで、簡易で、後々も剥がしやすい補修が可能になる。すでに内外に紹介されて導入が始まっているが、今回の発表ではインクのスタンプのような携帯道具の作成法と、これによる和本の処置を紹介した。(要旨集 p.106-107)
■微少点接着法の関連ページ
テートギャラリーでの適用
http://startframing.com/educational/hughphibbs/hp_01.php
弊社での実験例
今日の工房(2006年05月09日)
紙媒体記録資料へのポリエチレン・グリコール含浸法の適用 (I) (坂東優美ほか)
http://www.hozon.co.jp/hobo/source/bando01.pdf (PDF 218KB)
非破壊方法による書籍資料の酸性度乾式測定法の検討 (小谷尚子)
http://www.hozon.co.jp/hobo/source/kotani01.pdf (PDF 284KB)
2006年6月6日(火)
文化財保存修復学会誌、増田勝彦氏による「紙文化財修復の近年の発展」を掲載文化財保存修復学会誌(No.50, 2006)は巻頭論文として増田勝彦氏(昭和女子大学教授)による「紙文化財修復の近年の発展」を掲載してる(p.1-10)。以下、英文要約の要訳(文責:木部徹)。
歴史的な記録資料はそれぞれが「単品」ずつ、主として伝統的な手法(表具)によって修復されてきた。しかし、ひとつのコレクション全体というような「群」を対象にした保存処置には、従来にない考え方や方法が必要になる。これに対応するような「マス・コンサベーション」や「予防的なコンサベーション」による処置が、1980年代から日本でも導入され、実施されてきた。
この論文では、日本でのペーパー・コンサベーションの歴史、近年の図書館・公文書館・博物館の状況、そして技術や材料の改良や導入に、個々の工房の関係者がどのように努力してきたかを述べる。
歴史資料のような、「作品」とはいいがたい対象のコンサベーションにおいても、仕事や技術、材料、道具がより洗練されてきた。この分野への新しい参入者には、いわゆる表具のような伝統的な修復技術の修行を経ているわけではないが、主としてマス・コンサベーションや「予防的なコンサベーション」で仕事をしている人たちがいる。
章立ては以下の通り。
はじめに
1. 仕立てる技術から修復技術へ
2. 工房での努力
3. 出版物に見える考え方の変化
4. 国宝修理装こう師連盟としての活動
おわりに
「文化財保存修復学会誌」
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsccp/journal.html
2006年6月5日(月)
国会図書館、インターネットでの初の遠隔研修講座として「資料保存の基本的な考え方」を開講
国立国会図書館はこのほど、インターネットを利用した遠隔教育プログラムの第一段として「資料保存の基本的な考え方」講座を開講した。全国の図書館、文書館などの関連機関に属する人ならば誰でもが居ながらにしてパソコンを通して受講できる。
同講座は、なぜ資料保存が必要なのかから始めて、適切な保管環境や保存対策についての説明に至る。
1.第Ⅰ章「資料保存の基本的な視点」 資料保存の基本的な視点や考え方を学習。 標準学習時間:60分
2.第Ⅱ章「保管環境と保存対策」 資料を劣化させる要因や保管環境を含めた適切な保管・利用方法、資料保存のための対策について、その考え方を学習。標準学習時間:220分
3.第Ⅲ章「保存管理の考え方と方法論」 Ⅰ、Ⅱ章で学んだ資料保存の基本的な考え方や保存対策を、どのようにして体系的・組織的に実行していくのか、その方法論を学ぶ。 標準学習時間:60分
4.最終確認テスト 第Ⅰ章、第Ⅱ章、第Ⅲ章の確認テスト。
受講手続きその他については下記 URLへ
https://tlms-p.ndl.go.jp/library/html/guidance.html
■第III章「保存管理の考え方と方法論」は、これまでの日本の「資料保存」活動において決定的に欠落し、国会図書館すらいまだ手つかずの preservation administration (保存管理)についての包括的かつ周到な内容であり、この章だけでも受講する意義がある。PDFでも提供される「保存ニーズ調査」、「状体調査事例」、「保存計画の立案のためのワークシート」等は、ぜひ活用を薦めたい。 (文責:木部徹)