ほぼ日刊資料保存

必也正名乎

図書館やアーカイブ等の資料保存に関する世界のニュースを伝える、ほぼ日刊のページです。 土日・祝日は休刊します。 リンクも引用も自由です。

2008 年 6 月 のアーカイブ

2008年6月27日(金)

中国国家図書館の資料保存技術の研究、「大量脱酸性化、空気清浄化書庫、コンピュータ制御のリーフキャスター」

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改良されたリーフキャスター

 

昨年スタートした中国の文化面での国家プロジェクト「全国古典籍保護プロジェクト」の一環として、このほど開設された古典籍保護のためのポータル・サイト 中国古籍保護网(英語名:CHINA ANCIENT BOOKS PAC ONLINE)の技術研究のページは、中国国家図書館における資料保存技術の研究報告を掲載している。

 

Ⅰ、國際熱點——書籍紙張的脱酸技術
国際的にも関心が高い酸による書籍の劣化は中国の古典籍の保存においても同様である。1960年代に行われた古典籍を対象にしたpHチェックと同じ試験を近年行ったところ、平均して1.7もpH値が低下していた。紙中からの酸の生成とともに大気からの酸の影響による。後者については保管環境基準を定め、これに即した大気清浄設備を持つ書庫が劣化予防策として最良である。現在、ナノ光触媒を組み込んだ大気浄化システムの開発に取り組んでいる。また紙中に生成・蓄積された酸に対しては、これまでも手作業での水性脱酸性化処置(アルカリ水による洗浄、バロウ・二槽式脱酸法)は行ってきたが、効率が良い非水性の大量脱酸性化処置が不可欠である。炭酸メチル・マグネシウ+メタノール+フロンとの組み合わせでの研究を行っている。

 

Ⅱ.自主創新
独自の技術成果としては改良型のリーフキャスターがある。1997年に第一号機を開発・実用化したが、今回、コンピュータ制御を組み合わせた精度の高いキャスターを開発した。特許を取得している。

 


※古典籍のpHチェックについては2005年12月19日付け『ほぼ日』の以下のニュースを。
北京国立図書館の善本古籍の酸性劣化調査報告、「60年代調査と比べ酸性度は10倍に」

 

※この国家プロジェクトとポータルサイトについては、国立国会図書館カレント・アウェアネスの下記の記事を。
『国家貴重古典籍目録』と古典籍保護ポータルが公開に(中国)

2008年6月26日(木)

文化財保存支援機構(JCP)が保存修復専門家の養成ための120時間の実践講座開催、第一年目の受講生を募集

特定非営利活動法人(NPO)文化財保存支援機構は東京国立博物館と共催で「文化財保存修復専門家養成実践セミナー」を開催する。文化財の保存修復に求められる適正な材料の選定、仕様の設計、価格の設定などの、現場に即した実践力を養うことで、国内外で活躍できる専門家を育てるという。講座の監修は神庭信幸(東京国立博物館)、増田勝彦(昭和女子大学)、三輪嘉六(九州国立博物館)ほか。受講時間数は120時間でこれを2ヶ年で振り分ける。第一年目は8月3日から14日の間の10日間。定員は20名、参加費用はJCP会員が60,000円、非会員が80,000円ほか。募集〆切は7月25日。詳細は下記ページで。

 

2008年6月25日(水)

23日の公文書管理有識者会議「中間報告原案」、公文書館の権限強化で2案、見劣りする施設や職員数も拡充へ

公文書管理の在り方等に関する有識者会議(座長・尾崎護元大蔵次官)は23日、中間報告の原案をまとめ、配付資料としてホームページに掲載した。原案では現在の独立行政法人・国立公文書館の権限を強化するために、①)国の組織に戻したうえで内閣府に一元化、②より強い決定権を持つ「特別法人」化の2案を軸に調整するとしている。また文書管理の専門家の養成や、諸外国に比べて見劣りする施設や職員数の拡充も必要としている。なお、原案の「4. 公文書管理のあるべき姿(ゴールドモデル)に向けて/ (1) 作成・整理・保存/ オ 保存場所/ (ア)主な問題点」(p.9)のひとつとして「● 特に、延長により実態上は永久保存同様になっているなど、長期間保存されている文書につて、紙の劣化や破損等のおそれがある。」が指摘されている。10月の最終報告に向けて引き続き議論される。

 

2008年6月24日(火)

日図協資料保存委員会セミナー、8月1日に「マイクロフィルムの保存対策–東大東文研の調査から対策へ」で開催

日本図書館協会資料保存委員会保存管理チームは第9回セミナーとして「調査から計画へ⑥ マイクロフィルムの保存対策–まずはサンプル調査から」を8月1日(金)に日本図書館協会会館で開催する。講師は田崎淳子氏(東京大学東洋文化研究所)。2007年度から取り組んできたTAC(アセテート)フィルムの劣化対策について。図書館職員による簡便なサンプル調査、対策の検討、悉皆二次調査、複製化へと進んできたこれまでの経過と今後の展望を報告する。参加は自由。

 

2008年6月24日(火)

コロンビア大学図書館が視聴覚コレクションの状態調査と評価のためのツールを公開、DBソフト「アクセス」の機能活用

コロンビア大学図書館はこのほど、レコードやカセットテープ、ビデオテープなどに収められたオーディオや動画などの資料の状態を調査するためのツール Survey Instrument for Audio and Moving Image Collections を公開した。同図書館の資料保存とメディア代替部門がメロン財団基金からの支援を得て2005年から開発に取り組んでいたもの。視聴覚資料の物理的な状態と内容の評価が、リレーショナル・データベース「アクセス」(マイクロソフト社のソフトウェア)のデータ・シート上にデータを入力して行くことで導き出される。視聴覚資料のコレクションを持っていても、特に専門家がいない図書館やアーカイブズのために開発されたという。解説書と共に無料でダウンロードし試用できる。

 

2008年6月20日(金)

アーカイブズ学会のHPが上川・公文書管理担当大臣宛の要望書を掲載、アーキビスト養成や資格制度などで

日本アーカイブズ学会のホームページはこのほど、同学会が5月30日に上川陽子公文書管理担当大臣宛に提出した要望書「アーカイブズ制度の拡充に向けて(要望)」を掲載した。以下の4点について検討を求めている。


1.アーカイブズ法制の整備並びにアーカイブズ政策の構築について
2.公文書館法の附則第2項の撤廃について
3.アーキビスト養成と資格認定制度について
4.アーカイブズ学研究の振興について


HPには全文が掲載されている。


なお「2.公文書館法の附則第2項の撤廃について」の附則第2項とは「専門職員についての特例) 2 当分の間、地方公共団体が設置する公文書館には、第四条第二項の専門職員を置かないことができる。」というもの。公文書館法の全文はこちらに。

 

2008年6月20日(金)

福島県歴史資料館のHPが岩手・宮城内陸地震による県内の文化遺産への被害状況をいち早く

ふくしま文化遺産保存ネットワーク事務局の福島県歴史資料館は、14日に発生した岩手・宮城内陸地震による県内の文化遺産への被害状況の確認についていち早く報じている。16日時点では各教育委員会等への被害報告はないとしながらも、まだ情報が不足しているとし、引き続きメールによる情報提供を呼びかけている。

 

2008年6月18日(水)

米議会図書館(LC)、資料保存研究部門の拡充にともない4名の保存科学者を新たに採用

アメリカ議会図書館(Library Of Congress)はかねて進めている資料保存のための試験・研究部門の拡充の一環として、このほど4名の保存科学者を新たに採用した。同図書館は今年末の完成を目標に物理・化学物性のラボと光学物性のラボを建設中で、書籍や文書などの伝統的な資料の保存と共に、テープやディスクに収められたアナログ・デジタル資料の保存のための研究開発に力を注ぐ方針である。4名の科学者はいずれも高分子や繊維科学等での博士号を持つ。

 

2008年6月18日(水)

慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(MKI)、Google機能を使った新しい検索システムを公開

慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構は16日、同大学内の全ネットワーク上の学術コンテンツを横断的に検索し、さらに検索結果の多次元分析が可能な新しい検索をサービス KICS(Keio Information Concierge Service) を公開したと発表した。Googleの検索機能を利用したシステムで三井情報株式会社との共同開発による。應義塾大学出版会のWeb サイト、大学内の学術情報リポジトリとの書籍統合検索、Google ブック検索内の書籍と慶應関連書籍を同時に検索できる。また、ユーザーがニーズに合わせて検索結果コンテンツを再配置し、検索結果コンテンツを年表上に表示したり、発信元別に分類しグラフ表示することで分析を行ったりすることもできる。

 

2008年6月17日(火)

中世とルネサンス期の英語を解読するためのオン・ラインでのチュートリアル–英リーズ大学図書館が一般公開

080617 

英国のリーズ大学(ウェスト・ヨークシャー州リーズ市にある国立大学)図書館はこのほど、オン・ラインで中世およびルネサンス期の英語の解読が学べるチュートリアル・サイトを一般公開した。同図書館特別資料室が所蔵する手稿のデジタル・アーカイブを駆使したもの。

 

2008年6月13日(金)

11日の有識者会議は中間報告に向けた第2次案等が議題に、担当機関の政府一元化か「特別の法人」かは継続検討

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内閣官房・公文書館の在り方等に関する有識者会議のホームページは6月11日に開催された同会議の議事次第、配付資料と議事概要を掲載している。配付資料には制度化に向けた中間報告の第2次案が掲載されている。公文書管理の理念と制度設計にあたっての基本的な考え方を掲げるとともに、公文書の作成・整理・保存や移管さらには廃棄までの現状の問題点を挙げ、本来あるべき理想的な姿(ゴールド・モデル)をそれぞれに提示している。また配付資料では各省庁における文書管理の現状をまとめた調査結果(行政文書の総ファイル数は1,500万など)、米国立公文書館の組織図および諸外国公文書館との比較が掲載されている。 6月23日に中間報告案を審議し、7月までに公表、8~10月に各省ヒアリングを経て最終報告をまとめる。

 

2008年6月13日(金)

8月のカナダでのIFLA資料保存分科会サテライト会議のプログラム

8月6~8日にオタワ(カナダ)で開催される国際図書館連盟(IFLA)資料保存分科会サテライト・ミーティングのプログラムが発表された。全体のテーマは「21世紀の文化財としての保存:現在の展望と新しい方向」(Preserving Cultural Heritage into the 21st Century: Current perspectives and new directions)。国レベルでの資料保存モデル、資料保存のための調査研究、危機管理、保存とアクセスの4つのセクションで各国からの発表が行われる。このうち第2セッションの資料保存のための調査研究ではカナダ文化財研究所、米議会図書館での現状やスロヴェニア国立・大学図書館の脱酸性化と保管、英国図書館の低酸素保管、フランス国立図書館などの非紙媒体資料の保存が予定されている。

 

2008年6月12日(木)

アメリカ議会図書館、「災害にどのように備え、起きたらどのように対処するか」のポータル・サイトを設置

アメリカ議会図書館(LC)はこのほど、同図書館の資料保存関連ウェッブ・サイト に図書館・アーカイブズを襲うさまざまな災害にどのように備え、災害が起こった場合にどのように対処するのかがわかるポータル・サイトを設置した。保険/危機管理、カトリーナ台風の教訓、火災への備えと対処、地震対策のテーマ別に、関連する出版物やウェッブ・ページへのリンクが行われており、文字通りのポータル(入り口)になっている。

 

2008年6月12日(木)

文化財虫害研究所、7月に虫菌害・保存対策研修会を開催

文化財虫害研究所は7月17、18日の両日、自治労会館(東京・千代田区)で第30回文化財の虫菌害・保存対策研修会を開催する。受講料は28,000円。詳細は下記ページで。

 

2008年6月11日(水)

文化財保存修復学会誌:安江明夫「現代に生きる図書修復の思想–IFLA原則(1979)を巡る考察」

文化財保存修復学会の機関誌『文化財保存修復学会誌』(Vol.53, 2008)は安江明夫「現代に生きる図書修復の思想–IFLA原則(1979)を巡る考察」を掲載している(p.54-66)。構成は以下の通り。


1. 「原則」の策定
1.1  IFLA保存分科会
1.2  1970年代の修復理論
2. 「原則」の修復思想
2.1 「原則」の構成
2.2  「原則」の修復思想
3. 「原則」の普及と評価
3.1 図書館界の動向
3.2 アーカイブズ、文化財機関での反響
3.3 日本における「原則」の受容
4. 「原則」の現代的意義
4.1 貴重書修復のマグナ・カルタ
4.2 「原則」活用の留意点
1) 「原則適用の対象
2) 幾つかの表現
3) 修復の材料と技術
4) ドキュメンテーション
  5) コレクションの保存
6)プリザベーションの視点
4.3 キュレーターの役割


※ IIFLA(国際図書館連盟)保存分科会が1979年に発表した『図書館におけるコンサベーションと修復の原則』は1986年にその「改訂版」が出され、さらに1998年には新訂版として『図書館資料の予防的保存の原則』(邦題)が公表されている。歴史的にはこの30年の間に3回の「改訂」が行われたことになるが、プリザベーション、すなわち資料保存をマネジメントの視点からとらえること(86年改訂版)、「治す」よりも「防ぐ」を優先させること(98年新訂版)という重要な内容が明示された一方で、79年「原則」に示された図書修復に関する内容は、深く掘り下げられることはもちろん、盛り込まれることもなかった。しかし、そこに示された思想は現在においても重要な意義を持つ。とりわけ、貴重書を修復する技術者はいうまでもなく、それをあずかる図書館員にとっての79年原則は「マグナ・カルタ」といっても過言ではない(p.63)。本稿は79年原則の成立の背景と経緯から説きおこし、原則の修復思想と評価を述べ、終わりにその現代的な意義を考察したものである。成立における70年代のアーカイブズや文化財分野での修復思想との関わりと、80年代半ばからの日本での受容と普及を、歴史的に跡づけた意義は大きいが、それにも増して、79年原則を「不磨の大典」として鵜呑みにするのではなく、「4.2 「原則」活用の留意点」に示すような、「活用」を前提にした掘り下げが行われていることを特筆しておきたい。ここで提示されている「留意点」は、処置を預かる私たちにとっても極めて理に適ったものである(例:いわゆる可逆的な処置のより具体的な補足、処置記録のドキュメンテーションの適用対象と範囲–など)。とはいえ解答が与えられているわけではない。解答は私たちがこれから自分たちで導きだしてゆくしかないのだが、しかし保存修復家(コンサーバター)だけでできることではないし、やるべきではないと著者は述べているのだと思う。「修復を予防的方策と治療的方策を含むコンサベーションの概念において位置づけること、さらにはプリザベーションに位置づけること」(p.65)というのが本稿の主張だとすれば、位置づけをまず行うべきは図書館員、とりわけ貴重書や専門資料を扱うキュレーターであろう。なぜならば、コンサーバターは「資料の内容の価値、モノとしての価値、利用のニーズを知」らず、それを「知りうるのはキュレーターである」から(p.65)。「修復する、修復しないを含め、その判断を担うのはキュレーターである。保存修復家の職務は自ずと異なる。その点の理解がなければ貴重書修復のスタート台に立つことはできない。キュレーターの修復理論が問われるのだが、同時にこのような役割と責務を持つキュレーターを図書館の体制にしっかりと位置づけることが、特に日本においては、重要な施策である」(p.65)。いま、プリザベーションが必須の所以でもある。

 

【文責:木部徹】

 

2008年6月11日(水)

国立国会図書館が7月15日にインターネットアーカイブで講演と対談、カナダと日本の国立図書館長で

国立国会図書館は日本のインターネットアーカイブの制度化に向けて、7月15日(火)14:00から、イアン・ウィルソン カナダ国立図書館公文書館長による講演と、長尾真国立国会図書館長との対談を東京本館で行う。下記のページから参加申し込みができる。

 

2008年6月10日(火)

鳥取県公文書館、企画展「公文書館の仕事と資料の修復」を12日から開催

鳥取県公文書館は6月12日から7月31日まで企画展「アーカイブズの世界–公文書館の仕事と資料の修復」を開催する。公文書館の業務をわかりやすく紹介するとともに、修復を終えた公文書・写真・図面などを初公開する。

 

2008年6月6日(金)

国際構築環境学会と英国図書館など、「カビとホコリ」をテーマに学際・業際的コンファレンスを11月に開催

「図書館・アーカイブズ・博物館のカビとホコリ:コンサベーションと健康と法との関わり」というコンファレンスが今年11月に英国図書館で開催される。International Society for the Built Environment (ISBE)、英国図書館、スコットランド国立図書館、ナショナル・プリザベーション・オフィス、Environmental Building Solutions Ltd 、Archive Conservation Environmental Solutionsと、カビとホコリに関連する学会や業界、機関が一堂に会しての共催になる。

 

2008年6月6日(金)

我が家のお宝アーカイブを保存するには–相談イベントを英国図書館コンサベーション・センターが7日に

コンサベーション・センターが7日に

英国図書館のCenter for Conservation は7日に Caring for your family archive というイベントを開催する。民間の家庭が持つ写真や文書等の、その家族にとってのかけがえのない記録資料を末永く残してゆくための相談を受け付ける。有料で、相談時間当たりのチケット制。

 

2008年6月5日(木)

7月のDurability of Paper and Writing 国際シンポジウム:インク焼け、脱酸性化、非・微破壊分析、紙力強化などで

7月7、8日の両日、スロヴェニアのリュビリアナで開催される第2回 Durability of Paper and Writing 国際シンポジウムのプログラムが発表された。インク焼けのための新しい抗酸化処置法、脱酸性化の影響、赤外線を使った劣化分析法、劣化時の揮発性有機酸(VOC)と劣化機構、自然劣化と人工劣化の比較などの口頭発表の他に、EUの協同研究プロジェクトとして進められてきた PaperTreat と SurveNIR の成果発表とワークショップが行われる。

 

2008年6月4日(水)

国際図書館連盟(IFLA)が中国四川省地震による図書館被害救援のための基金を開設、募金を呼びかけ

IFLA(国際図書館連盟)はこのほど、中国四川省を襲った地震により被災した同地区の図書館を救援するための基金を開設し、再建のために広く募金を呼びかけることになった。Peter Johan Lor 事務局長名での中国図書館界への公開書簡と応募要項が連盟のサイトに掲載されている。