アメリカ図書館製本協会(Library Binding Institute)はこのほど、2000年に国の規格として定められた図書館製本の規格(ANSI/NISO/LBI Z39.78-2000 Library Binding)の一般向けの解説書 Guide to the Library Binding Institute Standard for Library Binding を作成し、PDFで公開した。同規格は1990年に最初の版が定められたが、製本に従事する専門家向けで、必ずしも判りやすいものではなく、図書館製本を依頼する側の館員向けの解説が必要とされた。Guiide はこうしたニーズに応えるべく同年に刊行されている。今回の新しい Guide は、規格そのものの2000年の改訂に則し、技術や素材の進歩も踏まえての改訂版になっている。前の版と同じく、図書館界からは Jan Merrill-Oldham(ハーバード大学図書館)、図書館製本業界からは Paul A. Parisi(元同協会会長)が参画、編集・執筆を担当した。また、豊富な解説図も前回同様、Gary Frost が担当した。
図書館製本の目標は次の4点になる。
・丈夫で経済的な製本
・テキスト・ブロック(本体)の物理的な状態を可能な限り変えない
・製本そのものが、可能な限り資料を傷めないものであること
・再製本されたものは楽に180度に見開き、利用の際に開いた状態を保つこと
この目標を達成する製本の方法には以下の選択肢がある。
・本体の綴じがしっかりしており、表紙だけを替える(Recasing)
・本体を綴じ直し、表紙も替える(Resewing and recasing)
・ダブル・ファン接着剤製本(double-fan adhesivebinding、下図参照)
・からげ綴じ(Oversewing)
・平綴じ(Side sewing)

以上の選択肢は、元の製本の形態や傷み具合等により選択され、どのように選択すれば良いかの三つのフローチャートが、「そもそも製本は必要か」(下図)、「単行本の場合」、「逐次刊行物の場合」として示されている(p.38-40)
また、いわゆる一般図書ではなく、歴史的な価値がある、あるいは将来そのような資料として扱われる可能性があるものには次の原則が当てはめられる。
・小口の傷みが激しい、もしくは小口がアン・カットではない限りは、テキスト・ブロック(本体)の小口は断裁しない。
・本紙が破れていたりする場合には紙基材の粘着テープ(粘着剤はアクリル系)を使う。ただし、このテープは、可逆性があるものも、剥がすためには有機溶剤が必要になる。もし将来その本が貴重書に組み込まれる可能性があるならば、その修理と製本はコンサーバターに任せる。その本が美術的な価値を持つならば、修補は和紙と糊で行うのが良く、図書館製本をするべきではない。
規格および解説は以下から無料でダウンロードできる。
※図書館製本がそのまま修理製本であると思われている日本の図書館では、貴重書として認知されている本の小口が、それも天・地・前小口だけでなく、背さえも断裁され、無線綴じやからげ綴じが行われているし、紙が極度に劣化しているものも同様の「修理」が行われ、ハードコピーやスキャニングのために180度開くと壊れるのが現状である。