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本紙掲載記事をカテゴリー別に整理してあります。また、関連する文献への本文もしくは/またアブストラクトへのリンクも載せました。


イメージ材料(インク、墨、染・顔料ほか)


※インク焼け(ink corrsion)、没食子インク(iron gall ink)は→ 抗酸化/抗変色(インク焼け処置含む)

 

■「ほぼ日刊資料保存」の記事

2005年10月14日(金)
先史時代から現在までの顔料の分析情報と顕微鏡写真を2冊の書籍とCDに

科学者とコンサーバターが協力し、紀元前から現在までの絵画に使われている顔料に関する分析情報と、その顕微鏡写真を一覧した ThePigment Compendium がElsevier 社(オランダ)から出版された。オックスフォード大学の N. Eastaugh 博士と、絵画のコンサーバターの V.Walsh らが執筆・編集したもの。The Pigment Compendium (色材大綱)は、2冊の書籍と、インタラクティブCD-ROM から構成される。

このうち A Dictionary of Historic Pigments は、世界中の、先史時だから今日までの顔料に関する情報をカバーした辞典。現在では入手困難な、膨大な、使用当時のドキュメント・リソースがあり、それぞれの顔料を歴史的な流れの中で押さえることができる。(£125)

もう一冊の Optical Microscopy of Historical Pigments は特にコンサーバターやコンサベーション科学者には大いに役に立つと思われる。鮮明なフルカラーの顕微鏡写真は、これまで難しかった同定や分析を可能にする。(£125)

この2冊と別に Pigment Compendium intractive CD-ROM が出版されて
いる。上記の書籍の内容に、データベース機能を付けたもので、検索が
容易。(£250)

詳しい案内と入手先は以下の Pigmentum Project のページに。
http://www.pigmentum.org/publications/compendium/
なお、同サイトはオンラインでの顔料データベースLazurite も運営している。
http://lazurite.co.uk/

 

2006年7月12日(水)
e-PS の最新論文:「熱分解ガスクロマトグラフ質量分析法による歴史的なインクの成分の同定」

文化財保存科学の研究成果をウェブで発表する e-PS (e-PreservationScience)の最新号は、イタリアの二人の研究者による「Py-GC/MS(熱分解ガスクロマトグラフ質量分析法)による歴史的なインクの成分の同定」を掲載している。

Yeghis Keheyan, L Giulianelli :Identification of historical ink ingredients using pyrolysis-GC-MS. A model study, e-PS, vol.3, 2006, 6-10

歴史的なインクは、さまざまなレシピによって作られ、その成分も多様である。この論文は、共通して使われてきた没食子酸、ビトリオール油、チャコールの成分の他に、インクに独自の性質、たとえば輝きとかくすみとかを与えるために付加された物質を、同定しようというもの。これら付加成分は、ザクロ、サフラン、マスタード等の種や、実の皮から作られている。

分析手法はPy-GC/MS(熱分解ガスクロマトグラフ質量分析法)といわれるもので、ガGC(ガスクロマトグラフ)の気化部で気化した成分 を分離カラムにより分離し、質量分析計で検出することにより成分の定性、定量を行うというもの。分析の結果、それぞれの成分の分析が可能であることが分かった。

http://www.morana-rtd.com/e-preservationscience/TOC.html


■関連:PY-GC/MS による鳥羽離宮遺跡の出土品分析
http://www.jeol.co.jp/technical/ai/ms/ms184-02/ms184_02.htm


2006年9月27日(水)
Restaurator(2006, No.1)、「アルカリ性間紙でのジアゾコピーの変色」、「漉き填めの表面処置の比較」等

紙媒体記録資料のコンサベーションのための雑誌 Restaurator (Vol.27, 2006, No.1)は以下の論文を掲載している。

Marta Vilela, Luisa M. Ferreira & Joao Vieira: Discolouration of architectural photoreproductions: causes and prevention.(p.1-8)

設計図面などに多用されているジアゾコピーの保存上の問題は変色(赤みがかったピンク色~オレンジ色)である。間紙をいれても、これへの色移りや、間紙を貫通して別の紙への色移りが生じる。原因はジアゾコピーを作る際の結合剤である。間紙をアルカリ性にするとさらに変色が促進するのでアルカリ性紙は避けるべきだ。

Lorena Botti et al.: The effect of sodium and calcium ions in the deacidification of paper: a chemophysical study using thermal analysis.(p.9-23)

水酸化カルシウム等とともに水性脱酸性化剤として多用されてきたボラックス(Borax:ホウ酸ナトリウム)だが、これまではナトリウムの存在が処置後の紙の重合度の低下や黄ばみの原因とされてきた。しかし、今回の熱分析法で、ホウ酸カルシウムでも同じ結果がでた。ナトリウムではなくホウ素がその主因だった。

B. Havlinova et al.: Studying the ageing of Arylmethane dyes by UV-VIS Spectroscopy. (p.24-34).

メチル・バイオレット等に代表されるアリルメタン染料6種類のUV-VIS分光分析による劣化メカニズムの解明。

Martina Cedzova: Patents for paper deacidification. (p.35-45)

1930年代から今日までの脱酸性化技術関連特許(特許としては出されていないが重要なものの一部含む)の一覧。

Meta Cernic Letnar, Stanka Grkman & Jedert Vodopivec: The effect of surface coating on the stability of leafcast paper. (p.46-65)

リーフ・キャスティング(漉き填め)処置の際に用られる各種のコーティング剤(デンプンやセルロースエーテル類)15種類の比較試験。化学的、物理的、機械的、光学的な特性と、実際の作業の適用しやすさなども見た。小麦粉デンプン糊と低重合度のメチルセルロースで極めて良い結果が得られた。


(要訳文責:木部徹)

Restaurator(2006, No.1)

 

 

■主要文献へのリンク

 


 

 

 

 

 

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