虫菌害対策
■「ほぼ日刊資料保存」の記事
2008年11月20日(木)
ブログもんじょ箱、9月の国会図書館の保存フォーラム「害虫を入れない・増やさない」の詳細なレポートを掲載
特種紙商事株式会社のブログもんじょ箱は17日付で「国会図書館におけるトラップモニタリング調査報告」を掲載している。9月11日に行われた第19回保存フォーラム「害虫を入れない・増やさない-図書館における有害生物管理-」における東京文化財研究所生物科学研究室長の木川りか氏と国会図書館収集書誌部資料保存課の宇野理恵子氏が講演と事例報告を再構成し、レポートとしてまとめたもの。木川氏の害虫入門、内外でのIPMの事例、モニタリング法の解説から、宇野氏の国会図書館での事例を詳細/的確にまとめた好レポートになっている。PDF(88KB)としてダウンロードできる。
2007年11月29日(木)
フロリダ大学図書館資料保存課、蔵書へのゴキブリの被害を動画で見せる Bugs vs. Booksを
に

フロリダ大学スマサーズ図書館資料保存課(University of Florida Smathers Library Preservation Dept.)は同大学デジタル図書館センター(University of Florida’s Digital Library Center)及び同大学虫害研究科(University of Florida Entomology & Nematology Dept.),と協力し、ゴキブリ(American Cockroach)が本の表紙を蝕んでいる様子を3分30秒の動画にまとめて You Tube(動画共有サービスサイト) にアップした。
2007年7月26日(木)
東京文化財研究所編『文化財害虫カード』が発売、主要な害虫33点を画像と共に解説

東京文化財研究所編『文化財害虫カード』が発売された。同研究所が2004年に開催し好評だった“IPMワークショップ2004”において、CCI(Canadian Conservation Institute)のTom Strang氏と文化財研究所の木川りか氏が考案した教材(虫名刺)を元にしたもの。先に発売している「文化財害虫事典」に準拠した主要害虫33点のカードは、切り取って保管できるほか、裏にはメモ欄が設けてある。博物館だけでなく図書館やアーカイブでも現場で活用できる。定価600円で、(株)クバプロ(電話:03-3238-1689)から発売。
2006年3月15日(水)
独語『紙のカビ被害:修復家のためのマニュアル』が上梓
ドイツのコンサーバターと保存科学者が協力して執筆した、紙媒体のカビの被害とコンサベーションの本が出版された。
Christina Meier und Karin Petersen : Schimmelpilze auf Papier. Ein Handbuch für Restauratoren; biologische Grundlagen, Erkennung, Behandlung und Prävention. Tönning: Der andere Verlag. 2006.
ISBN: 3-89959-431-2
http://www.buparestaurierung.de/documents/meier_umschlag_version1.pdf
2006年12月6日(水)
東京文化財研究所「文化財のカビ被害防止チャート」、予防を主軸に、発生時の処置も明解に説明
独立行政法人文化財研究所・東京文化財研究所は「文化財のカビ被害防止チャート」を作成、パワーポイント用ファイル(22.3MB)として公開している。同研究所保存科学部の頁からダウンロードできる。
このチャートは、カビが出たらどうするのかではなく、カビを出さないようにするためには日頃からなにをするべきか、というコンセプトに沿って作られたもの。副題に「カビに強い環境に、IPMの考え方に沿って」とし、「カビの被害は環境改善なしには制御できない」とある。
同チャートでは「カビとは」にはじまり、被害歴の調査と施設の点検、収納前の資料の清掃と隔離、発見と処置、最後に管理体制の見直しという組み立てで、図や写真も使い、分かりやすく解説している。
ダウンロードは以下の頁から。
2006年11月2日(木)
臭化メチル残留で紙の酸性化や変色が進行 -- 『保存修復学会誌』(Vol 51, 2006)の東京文化財研の論文
『文化財保存修復学会誌』(vol. 51, 2006)は、「臭化メチル製剤の残留による紙への影響」を掲載している(p.69-78)。著者は間渕創氏(文化財研究所東京文化財研究所)と佐野千絵氏(同)。
臭化メチル(メチルブロマイド)製剤は各種文化財や図書や文書の殺虫薫蒸剤として広く使われてきたが、モントリオール議定書(1997年)にもとづく2005年の全廃後には、新たに使用されることはなくなっている。しかし、これまでに行われた薫蒸処置により、図書や文書に残留していると思われる臭化メチル製剤が、どのような影響を及ぼすのか、特に図書等への長期的な影響について、明らかになっていなかった。
今回の両氏による研究は「長期間の残留薬剤と紙の種類や将来的な劣化状態の関係について焦点をあて、繰り返し薫蒸、冊子形態での薫蒸、密閉系での加速劣化処理を行うことで、現在保管・収蔵されている薫蒸履歴を持つ紙試料 [原文ママ] を想定して」(p.70) 、残留した臭化メチル製剤の紙への影響を調べたもの。2回の薫蒸処置の対象になった供試紙は、ろ紙、石州和紙の楮・三椏・雁皮の4種類。これを TAPPI T 573 の熱劣化試験(密閉ガラス瓶に試料を入れて100℃で5日間加速劣化)にかけ、残留臭素、pH、色を測定した。
同論文の「5. まとめ」(p.77)によると、「臭化メチル製剤による薫蒸処理によって臭素が紙試料、特に非セルロース質を多く含む紙に多く残留し、繰り返し薫蒸により臭素が蓄積されること、冊子状の紙試料の深さ方向において、臭素残留量が増加すること、臭化メチルが残留した状態で加速劣化させることにより、紙の酸性化や変色が進行することが明らかになった」、とし、「博物館・美術館・文書館において収蔵され、臭化メチル製剤による繰り返し薫蒸の履歴を持つ紙資料においても、将来の劣化に伴って紙の酸性化やそれに伴う機械的強度、変色などの資質低下が想定以上に促進される可能性があると考えられる」という。
なお上記の「非セルロース質を多く含む紙」とは、試料となったうちの3種の和紙のヘミセルロースの割合の比較からで、「楮と比較して三椏と雁皮で比較的高い値を示し」(p.77)ているという。また、同じく上記の「冊子状の紙試料の深さ方向」とは、150ページの冊子状の試料の「上面から10枚おきに測定した結果、表面から深くなるにつれて臭素残留量が増加する傾向にあった」(p.74)ことをいう。
※臭化メチルによる図書や文書の薫蒸処置は長い歴史をもち、これまで膨大な量の本や文書に対して、繰り返し、行われてきた。そして、図書館員や文書館員からは、「こんなに繰り返し薫蒸をして資料は大丈夫なのだろうか?」、「いますぐでなくても、後々、なにか悪い影響は出てこないのだろうか?」、「毒劇法で指定されている臭化メチルの残留物がもし資料内にあるとしたら、資料そのものへの影響もさることながら、資料の閲覧時に、あるいは書庫内で、人体に悪い影響はないのか?」--等々の懸念もまた、繰り返し、表明されてきたハズである。にもかかわらず、以上のような「研究」がなぜ、今にならないと行われないのか、過去に行われなかったのか---。どなたか理由を教えてください。
(文責:木部徹)
2006年8月11日(金)
東京文化財研究所、2005年実施の文化財生物被害防除手法のアンケート結果を発表
独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所(以下、東文研)はこのほど2005年に実施した文化財整備津被害防除手法アンケートの結果を「文化財の生物被害防止手法には何が選択されたのか」として TOBUNKEN NEWS (2006, No.25)に発表した。
これまで生物被害処置に用いられてきた臭化メチルが2005年初めに全廃された。これに伴い、博物館などでどのような代替手法が採用されているかのアンケート結果を、東文研が主催した研修会「博物館美術館等保存担当学芸員研修」と「文化財保護行政担当者のためのIPM入門」の参加者がいる「既研修館」と、研修歴のない「未研修館」に分けて解析した。その結果、どちらのグループでも半数以上の館が「念のため」に大規模薫蒸を行っている実態がわかった。しかし今後の生物被害処置法としては、化学薬剤のみに頼らない低酸素濃度処理・二酸化炭素処理・低温処理・高温処理を検討している割合が、既研修館では26%であるのに対して未研修館では9%に留まっていることもわかった。
TOBUNKEN NEWS (2006, No.25)
http://www.tobunken.go.jp/~joho/japanese/publication/news.html
2005年4月7日(木)
国立公文書館、環境調査結果を発表-- 温湿度、虫カビ、大気汚染物など周到に
国立公文書館の機関誌『アーカイブズ』(第19号、平成17年3月)は(財)元興寺文化財研究所による「国立公文書館書庫環境調査報告書」を掲載している(p.72-83)。温湿度はもちろん、虫カビから大気汚染物質にまで及ぶ広範囲なもので、しかも平成15年度調査を踏まえた対策が施された翌16年度にも、同じ調査を行い、対策の効果を確認するという周到な内容になった。同種の調査は日本ではこれまでに例がないもので、意義ある報告書といえる。
予想以上に資料の劣化の要因なっているとして世界的に注目されているのが、硫黄酸化物や窒素酸化物、オゾン等のガス性の大気汚染物である。調査では「科学系調査」として粉塵とともにこうした汚染物質も対象になった。平成16年度に空気調和機びフィルタ交換、書庫内の整理・清掃の徹底等の各種の対策を施し、9月に測定したのは、15年度の調査で問題とされたホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、酢酸、窒素酸化物(いずれも基準値または推奨値を超えていた)の濃度で、ギ酸と酢酸は減少、ホルムアルデヒドも推奨濃度以下、窒素酸化物の濃度は20ppb代に減少している。
同報告書では「調査のまとめ」として、16年度においては保存環境が改善されていることがわかったが、国立公文書館は高濃度の大気汚染地区にあることから、外気の取り込みについては適切なフィルタを通して窒素酸化物や汚染粒子を館内に入れないことが重要、としている。
なお、表4「調査項目の主な基準値一覧」が掲載されており(p.82)、佐野千絵氏(東京文化財研究所)の論文からの数値、ビル管理法の数値、国際規格(ISO 11799, 2003 Information and documenntation -- Documents storage requirements for archives and libr /ary materials)からの数値がそれぞれ引用されているが、「浮遊粉塵」の「国際規格」の数値が50mg/m3とあるのは、50μg/m3の間違い。
調査項目としては二酸化硫黄が挙がっているのだが、この結果が出ていないのはなぜだろうか? また、計測の対象にはなっていないが、酸化劣化の原因になっている室内オゾン(国際規格では窒素酸化物と同等の 5~10ppb以下)の数値が欲しかった。
国立公文書館・刊行物のご案内
http://www.archives.go.jp/event/kankou.html
■ISO 11799「図書館・文書館資料の保管条件」については
http://www.hozon.co.jp/report/kibe/kibe-no010-iso_strage_requirement.html
d

カテゴリーのトップへ
ページトップへ