現物資料の代替化(マイクロ化、デジタル化など)
■「ほぼ日刊資料保存」の記事
2008年10月28日(水)
世界の図書館で使われている4種の自動スキャニング・ロボットの仕様やコストを比較

今年6月にドイツのミュンヘンのMunich Digitization Centre と Institute of Book and Manuscript Conservation of the Bavarian State Libraryの主催で開催された書籍のデジタル化ための自動スキャナーの参加記を、米サザンプトン大学図書館の Jullian Ball が書いている。この催しは現在、欧米で使われている4つの自動スキャン・ロボット(Qidenus, Kirtas, Treventus、4DigitalBooks)の実演とメーカーによる講演で構成された。参加記では、それぞれのロボットの仕様や価格、スキャンニングの費用などがまとまっている。そして、「現時点では、対象資料やその扱い、さらに出力に関する全ての要求に応えられるようなロボットはない」と結論している。
Retrospective: The Scan-Robot-Days
2008年10月20日(月)
英国図書館の新三ヶ年戦略、低酸素書庫へ移管やコンサベーションの拡充、マイクロに替わる長期保存デジタル化など

Boston Spa の低酸素書庫
英国図書館は15日、2008年から2011年までの新しい三ヶ年戦略を発表した。優先的な戦略課題として7つが挙げられているが、このうち Integrate storage and preservation of physical collections(物理的なコレクションの保管と保存の統合)では、数百万冊規模のコレクションを低酸素環境で保管できるBoston Spa の保管庫の新設により、長期保存に適した環境下でのコレクションの保存能力が従来の44%から66%にまで向上し、2010年までには現在6ヶ所にある保管庫を2つに統合できること、これも新しく設置されたセンター・フォ・コンサベーションにより、ブック・コンサベーションと音響アーカイビングのための体制を一層拡充してゆくこと、マイクロフィルムに替わる長期保存のためのデジタル複製の研究を進める、などが盛り込まれている。
英国図書館、2008年から2011年にかけての戦略を発表 (国立国会図書館 Current Awareness Portal)
The British Library's Strategy 2008 - 2011
2008年9月29日(月)
IPIの専門家ビゴルダン氏へのインタビュー「マイクロフィルム等の写真コレクションの状態調査はどうあるべきか」
米 Image Permanence Institute(IPI)のサイトは、IPI研究者のジャン-ルイ・ビゴルダン(Jean-Louis Bigourdan)へのインタビュー「写真コレクションの調査について」を掲載してる。インタビュアーは同研究所の研修生で、質問項目は「どこからスタートするのか、期間は、調査からどのような情報を得たいか、提言する対策は、実際に関わった調査の事例は、劣化の症状と原因は、調査結果の報告への活かし方は、コレクションを持つ機関はどのように調査報告を使うべきか」。
JEAN-LOUIS BIGOURDAN ON PHOTO COLLECTION SURVEYS
※ Jean-Louis Bigourdan の著作は以下のページに。 Vinegar Syndrome: An Action Plan などいくつかはPDFファイルでダウンロードできる。
2008年9月10日(水)
米Millenniata, Inc、データを1,000年劣化させずに保存できる光ディスク The Millennial Discを開発

デジタル化コンサルタントの Jill Hurst-Wahl のブログ Digitization 101 は 9月8日付けの記事として The Millennial Disc: A disc that lasts forever? を掲載している。それによると、ユタ州にある Millenniata, Inc は、記録したデータを1,000年そのままで保存できる光ディスク The Millennial Disc を開発した。技術の詳細は明らかではないものの、現在のCDやDVDを凌駕する光学的なコントラストを可能にしたレーザー書き込み技術とディスク構造により、経時劣化のない記録を保持できるとしている。書き込みは同社の機器を使う必要があるが、読み出しは一般のCDやDVD機器で可能。Jill Hurst-Wahl は、「この会社がこのディスクを量産しているとは報じておらず、他の機関での実証試験が待たれる」としている。
2008年9月9日(火)
Googleが新聞のデジタル化プロジェクトを発表、各新聞社と連携して遡及デジタル化し検索も可能に

Google は新聞のデジタル化プロジェクトを始めると発表した。「新聞の発行元と連携して、数百万ページの過去の新聞へのアクセスと検索を可能にする」としている。Google の公式ブログでは、「Americans walk on moon」で検索すると、1969年の人類初の月面着陸を伝える Pittsburgh Post-Gazette紙.の一面がでてくるとともに、そのオリジナル・ページにもアクセスできる例が紹介されている。
Bringing history online, one newspaper at a time
2008年5月16日(金)
デジタル・データの長期保存のためのコストは徐々に減じて行く---英JISCのサイトにレポート

英JISC(Joint Information Systems Committee )のサイトはNeil Beagrie他によるレポート Keeping Research Data Safe: a cost model and guidance for UK Universities を掲載している。大学等の高等教育機関が教育や研究のために、今後デジタル・データを長期保存しようとする場合、その維持のためのコストはどのぐらいかかるのかを予測し、安全に維持するための10の提言をしているが、このうちコスト(特に人件費)は初期は跳ね上がるが、長期的には蓄積したデータや使い勝手の向上、利用率のアップなどによるスケール・メリットが出てきて、徐々に減じて行くと結論している。
Keeping research data safe
2008年4月18日(金)
カリフォルニア大学図書館がGoogleとMicrosoftとIA とのデジタル化契約書を公開、スキャン時の傷みの保証も明記

<左>http://jp.youtube.com/watch?v=u8vKFz09ric
<右>http://jp.youtube.com/watch?v=BfVyfRARuts
国立国会図書館の情報ポータル Current Awareness Portal は「カリフォルニア大学図書館、3つの蔵書大規模デジタル化プロジェクトと交わした契約書を公開」と報じている(4月17日付け).。Google、Microsoft、Internet Archive(IA)の三社と交わした契約書のオリジナル・ペーパーをスキャニングしたもの。画像でのPDFファイルで提供している。カリフォルニア大学図書館のデジタル・プロジェクトは、Google一社とだけでも6年間で250万冊の規模。
いずれの契約書も、デジタル化のためのスキャニング作業他による原資料への傷みが生じた場合の三社の保証について触れいる(Google:2章4節、Microsoft:4章1節、IA: 添付A 3-b)。三社共にスキャニング時に資料に物理的な負担がかからないような「非破壊的なスキャニング技術」を使うとしているが(FAQ-6) 、もし傷みが発生した場合には「同じ現物による代替もしくは、代替または補修の費用を負担」するとしている。費用はGoogleは「Project PLanに定めた最大額まで」、Microsoftは「最大210ドル」、IAは「最大100ドル」。
Current Awareness Portal :カリフォルニア大学図書館、3つの蔵書大規模デジタル化プロジェクトと交わした契約書を公開
UC Libraries Mass Digitization Projects
【動画】ドイツBavarian State 図書館のbook scanning robot
【動画】米University of Pittsburgh 図書館のbook scanning
2008年03月25日(火)
オランダ国立図書館「マス・デジタル化プロジェクトでのマスター画像をPDFで保存」提言のレポート
オランダ国立図書館(Koninklijke Bibliotheek)はこのほど、マス・デジタル化によるマスター画像のファイル形式として、現在の非圧縮型TIFFに替わりPDFを採用する可能性を探ったレポートPDF Guidelines: Recommendations for the creation of PDF files for long-term preservation and access を公開した。TIFFは画像の質としては問題ないが、長期保存にはあまりにもファイル容量が大きいため、としている。以下のページから報告書全文がダウンロードできる。
http://www.kb.nl/hrd/dd/dd_links_en_publicaties/links_en_publicaties_intro.html
2007年9月26日(水)
欧州全域のアーカイブに対して「デジタル記録の長期保存」に関するアンケート調査をウェッブ上で開始

チェコ共和国国立図書館はこのほど、欧州全域にまたがるデジタル記録保存のための協力組織DPE(Digital Preservation Europe)からの委託によるアンケート調査 'Survey on long-term preservation' を、欧州のアーカイブを対象に開始した。同種の調査は今年初めには全欧州の国立図書館を対象に行われている。10月20日が〆切。質問項目は全部で7つで、デジタル記録の保存は戦略的な優先性を持つか、信頼できるレポジトリを持っているか--等。
Digital PreservationEurope Survey on long-term preservation issues in European institutions
2007年8月17日(金)
英国ナショナル・プリザベーション・オフィス、10月に資料保存コンファレンス「蔵書の第二の人生」を開催
英国ナショナル・プリザベーション・オフィス(NPO)は10月29日に資料保存コンファレンス「蔵書の第二の人生」(Second life for collections)を開催する。オリジナルの蔵書の「代理物」はこれまではもっぱらアナログ的なコピー物(紙媒体やフォルム)だったが、最近のデジタル技術の発展により劇的な変化を見せている。今回のコンファレンスは、オランダ、英国での国家プロジェクト、オックスフォード大学図書館のGoogleとの提携、マイクロフィルムの将来、三つの事例など、紙媒体の蔵書の「第二の人生」についての様々な発表が行われる。
2007年8月17日(金)
4月に開催された米国立公文書館の資料保存コンファレンス「歴史資料のデジタル保存」での発表がPDFで
アメリカ国立公文書館が今年4月に開催した資料保存コンファレンス「モノとして存在しない資料を管理する--歴史資料のデジタル代替物の創製・保管・利用」(Managing the Intangible: Creating, Storing and Retrieving Digital Surrogates of Historical Materials)での発表がPDFで同公文書館のサイトに掲載された。
同公文書館は2003年に開催した資料保存コンファレンスで、「アナログ資料 vsデジタル化した資料」として、後者が保存メディアとして適当かを検討したが、近年国内でも国際的にもデジタル代替物を使用保存のための有力なオプションとして認知するようになり、歴史資料に対しても広範な採用が行われるようになってきた。今回のコンファレンスでは、デジタル化が適正とされるときのリフォーマットと検索、メディアを跨いでのアナログからデジタルへの変換、アナログと同等の効果と経済性を持つデジタル化のためのツール・仕事の流れ・スキル、保管メディアの選択、インフラコスト--等々で報告と討議が行われた。
Managing the Intangible: Creating, Storing and Retrieving Digital Surrogates of Historical Materials
2007年3月5日(月)
安江明夫論文「ビネガー・シンドローム問題再考 -- マイクロフィルムの保存のために 」
日本図書館協会発行の雑誌『現代の図書館』(vol.44, No.4, 2006/12)は安江明夫「ビネガー・シンドローム問題再考 --- マイクロフィルムの保存のために」を掲載してる(p.240-251)。
この記事だけのPDFは >>
同論文の構成は次の通り。
はじめに
1. 問題の発見
2. 問題解決への取り組み
2.1 TACフィルムの劣化研究
2.2 PETへの移行
3. 図書館、文書館の対応
3.1 世界の動向
3.2 日本の動向
4. 残された課題 -- 今後に向けて
以下は同論文の要約。
----------------------------------------------------------------------
はじめに
図書館・文書館の代替保存策としてのマイクロ・フィルムはメディアが長期保存に耐えるという理由で採用されてきたが、最も一般的に使われてきたTAC(トリアセテートセルロース)フィルムが自生する酢酸によって劣化してしまうことが明らかになり、保存性に優れたPET(ポリエステル)フィルムへと移行が進んできた。「ビネガー・シンドローム」と呼ばれるこの現象による問題は、しかし、解決済みではない。移行以前のTACフィルムは全国の図書館・文書館に膨大にあり、確実に劣化が進行している。その日本での採用時期から推して、問題がより顕著になるのはこれからである。「ビネガー・シンドロームを過去の問題としないこと、そしてTACフィルムなどのマイクロフィルム資料群を我々が責任をもって保存していく」ために、問題の歴史的経緯と今対応策を整理した。
1. 問題の発見
マイクロフィルムの資料保存分野での採用は1930年代のアメリカで始まり、日本では戦後になって国会図書館や国立大学図書館で採用され、素材の安定性が良いとされたTACフィルムが使われてきた。しかし、マイクロフィルムの保存性は使用素材、現像処理、保存方法の三つが全て整ってのことである。80年代になって米国で行われた調査ではすでにビネガー・シンドロームによる劣化が指摘されている。分解反応は極めて遅いにも関わらず、この時に出てくるわずかな酢酸が閉じ込められ、反応の触媒になって加水分解を促進させる濃度になる。すると更に酢酸が生じて反応が加速されるという連鎖反応になる。長年使われてきたTACに、1980年代になって一斉に問題が出てきたのは、連鎖反応が保存中のある時期から発生するため事前に予測できなかったこと、保存されてきた30年間では急速な劣化に至らなかったこと、TACは発火性のあるニトロセルロース・フィルムの問題を克服したものとして広く認識されたことが理由である。TACフィルムの劣化は早くから映画フィルムとしては問題視されてきたのだが、マイクロフィルムの保存性として問題になるのは80年代も末になってからだった。
2. 問題解決への取組み
米英仏の専門家による研究により酢酸を自触媒とした加水分解と加速が、またフィルム劣化の尺度はpHではなく遊離酸度が適切であること、当初は緩慢だが、遊離酸度が0.5を越えるとビネガー・シンドロームが発症し劣化が急速に進行していくことが解った。さらに保管環境(主として温度と相対湿度)が劣化のスピードに大きく関与することも明らかになった。
TACフィルムに対するこうした研究実績を背景に、図書館や文書館では、80年代末から90年には、より優れた長期保存性を持つPET(ポリエチレン・テレフタレート)フィルムへの移行が行われるようになった。しかし日本は世界の趨勢に遅れ、PETへの移行は93年前後になる。
規格への反映をISO規格で見ると、1986年版、1992年版、さらに1996年版へと改訂され保管条件については詳細になったが、内容は大きな変化はなかった。ようやく2000年版で「長期保存性」とは500年保存のことが明確にされ、TACとPETを区別しての保管条件も提示された。それによると、TACの500年保存を前提とした保管条件は温度2~7℃、相対湿度は20~30%(それぞれ温度と相対湿度の設定で異なる)、PETは21℃以下、20~50%とされた。ちなみにISOの2000年版に対応する国内規格はまだ策定されておらず、業者団体からの出版物に保管条件が紹介されているのみである。
3. 図書館・文書館の対応
保管条件によっては30~40年で利用不可能になるというこの問題に対して図書館・文書館はどのように対応したか。90年代央からのIFLA(国際図書館連盟)、ICA(国際文書館会議)等のマイクロフィルムの保存に関する出版物(例:IFLA『予防的保存対策の原則』 第5章 写真およびフィルム媒体)を見てもビネガー・シンドロームの重要性、緊急性の認識は薄かった。
ここにきて新しい取組みがでてきた。オーストラリアでは国立図書館が中心になった全国調査やアセテートセルロース・フィルム情報のためのネットワーク(ANICA)の立ち上げなど、全国規模での取組を始めている。英国図書館は2002年から連続した国際フォーラム(CAMF)を開催してきた。とはいえ、この問題が技術的な課題で一般に理解しにくいこと、マイクロは二次資料扱いで保存の重要性の認識が低いこと、そして英米諸国では劣化がそれほど進んでいないために危機意識が薄いことが見て取れる。
しかし、マイクロでしかアクセスを保証できない場合は少なくないし、これまで投じられてきた資金も考慮しなければならない。さらに熱帯・亜熱帯地域では劣化はさらに酷く、米英での認識とは異なることも考えなければならない。
日本では国会図書館が1990年に専門調査委員会を設け、その結果を踏まえて「フィルムを密封しない、巻き返す」等の対処的な方策と合わせ、1992年にはネガフィルム専用保管庫を設置している。こうした動きに合わせるように図書館・文書館界では議論が巻き上がり、新聞にも採り上げられることになって、ネガフィルムの保管整備や検査・クリーニングなど一部には具体的な成果も上がったのだが、しかし十全な対応というには至らなかったのが現実ある。
4. 残された課題--今後に向けて
図書館等のマイクロフィルムは図書・雑誌のようには問題が見えにくい。"out of sight, out of mind"になりがちだが、これを "keep in mind"に切り替えるにはどうしたらよいのか。まず、保存状態を把握することであり、そのための調査を実施することである。フィルム資料の劣化を測定するための簡易なツール A-D (Acid-Detective) ストリップがあり、変色のレベルに応じた対応策が示されている。これらと合わせてフィルムの巻き返しによる酸の放散、キャビネットへのガス吸着剤の導入、劣化フィルムの別置等の対策も講じる。
こうした対策が幅広く行われるように日図協や全史料協は働きかける必要があるし、図書館等だけではなく、マイクロフィルムを持つ自治体や企業、諸機関への啓蒙も社会的な役割ではないか。
おわりに
蔵書の酸性紙問題は「スロー・ファイア」(緩慢な火災)と称されたが、同じ火災にマイクロ・フィルムが見舞われている。しかも、フィルムの制作主体は図書館・文書館である。劣化の原因、点検方法、対処についてすでに知見と経験がある現在、具体的な取組みが十全でないのは、文化資産、情報資源の保管者としての我々の怠慢であろう。「早期発見、早期対処」に取り組んでいかねばならない。
(要約の文責:木部徹)
東京大学経済学部における資料保存対策事業の成果とその意義(マイクロフィルム状態調査を含む)
■A-D ストリップ(A-D Strips)について
フィルム資料の酸性劣化を測るための紙片。BCG(ブロモクレゾールグリーン)という薬品が含浸させてある(写真の右上)。写真資料の保存の研究機関として世界的に知られる米Image Permanence Institute(IPI)が開発した。密閉性の高いアルミ袋に詰めて販売されている。価格は、アルミ袋ひとつにストリップ(1 1/2" x 3/8") 250枚入りで、45ドル(1~4袋購入の場合)~27ドル(10袋以上の場合)。

フィルムが入った容器、あるいはフィルム資料を密閉できる袋等にストリップを入れて一定時間おくと、フィルムから発する酸性ガス(主として酢酸)に反応して変色する。

附属の鉛筆(写真参照)のカラーチャートの「変色なし(青)から黄色」までの5段階が次のフィルムの状態とそれへの対処を示す。
(日本語訳は安江論文から)
経時による酸性度アップと変色レベルとの関係は以下の通り。劣化が劇的に早まる「自触媒反応の作用点」に注意。


(当社での事例:変色したA-D ストリップを一覧した)
入手法とともに、詳しい使い方が以下のIPIのページに掲載されている。
A-D Strips
http://www.imagepermanenceinstitute.org/shtml_sub/cat_adstrips.shtml
2007年3月1日(木)
『資料保存の3つのD --災害、展示、デジタル化』国際シンポジウムの予稿集がPDFで
昨年3月にフランス国立図書館と国際図書館連盟(IFLA)の共催により開かれた国際シンポジウム International Symposium the 3-D's of preservation disasters, displays, digitization の予稿集が、International Preservation Issues No.7 としてIFLA-PAC(資料保存分科会)のサイトに掲載された。主な内容は以下の通り。
OPENING SPEECH: FORTY YEARS OUTSIDE LOOKING IN: PANACEAS, PRINCIPLES AND PRAGMATISM
(資料保存の40年を外から見ると--方策、原則、プラグマチズム) by JOHN MCILWAINE
KEYNOTE ADDRESS: THE FUTURE OF PRESERVATION
(資料保存の未来) by DEANNA B. MARCUM
第一セッション:災害 (座長:PAC ディレクタ Marie-Therese Varlamoff)
THE NEVER-ENDING CHALLENGE: DISASTERS AND PRESERVATION IN CHILE
(終わりなき挑戦--チリの図書館災害と資料保存) by XIMENA CRUZAT A.
FORESEEING AND DEALING WITH THE UNFORESEEN - LIBRARY DISASTERS IN PERSPECTIVE
(予測できない事態の予測と対処 -- 図書館災害へのある視点) by PER CULLHED
FROM DISASTER PLAN TO ACTION PLAN
(防災・救助計画から実行計画へ) by SARAH-JANE JENNER
LE PLAN D’URGENCE DE LA BIBLIOTHEQUE NATIONALE DE FRANCE
(フランス国立図書館の防災・救助計画)by JOSIANE LAURENT
TOWARDS A NATIONAL DISASTER RESPONSE PROTOCOL
(国レベルのプロトコールへの提言) by RANDY SILVERMAN
第二セッション:展示 (座長:スミソニアン機構図書館 Nancy E. Gwinn)
LES CONDITIONS DE CONSERVATION DES DOCUMENTS GRAPHIQUES ET PHOTOGRAPHIQUES LORS DES EXPOSITIONS
(資料保存からみた記録資料や写真資料の展示の状態) by JOCELYNE
DESCHAUXEXPOSITIONS ET CONSERVATION : DE LA NORME À LA REALITE
(展示と資料保存--原則と現実) by ANNE-HELENE RIGOGNE ET BRIGITTE LECLERC
DISPLAYS: THE ROLE OF PRESERVATION IN EXHIBITIONS ATTHE LIBRARY OF CONGRESS
(アメリカ議会図書館での展示における資料保存の役割) by DIANNE VAN DER REYDEN
第三セッション:デジタル化(座長:英国図書館 Helen Shenton)
NETWORKING FOR DIGITAL PRESERVATION: CURRENT PRACTICE IN NATIONAL LIBRARIES
(デジタル保存のためのネットワーク--15の国立図書館での実践の現状) by INGEBORG VERHEUL
CONSERVATION ET ACCES AUX RESSOURCES NUMERIQUES ALA BIBLIOTHEQUE NATIONALE DE FRANCE
(フランス国立図書館におけるデジタル資源の保存とアクセス) by CATHERINE LUPOVICI
MAKING (PRESERVATION) PLANS TOGETHER - PLANNING STRATEGIES FOR DIGITAL PRESERVATION IN THE NETHERLANDS AND EUROPE
(資料保存計画の共有 --オランダおよびEUでのデジタル保存のための戦略を練る) by HILDE VAN WIJNGAARDEN
NATIONAL DIGITAL INFORMATION INFRASTRUCTURE AND PRESERVATION PROGRAM:WHAT WE HAVE ACHIEVED SO FAR AND WHERE WE ARE HEADED?
(デジタル情報のインフラ整備と保存計画 -- なにが達成され、どこに向かうのか?) by LAURA CAMPBELL
2007年2月7日(水)
米ナショナル・パーク・サービス(国立公園局)による写真資料の冷蔵保存とデジタル化

米ナショナル・パーク・サービス(国立公園管理局)のHarpers Ferry Centerのサイトではパーク・ミュージアムが進めている写真資料の冷蔵保存(Cold Strage Project)と、デジタル画像(Digital Imaging Project)の二つのプロジェクトを紹介している。
このうち写真資料の冷蔵保存プロジェクトは主としてセルロース・アセテート・フィルムをベースとした資料と、カラー・フィルムベースの資料の現物保存に焦点を当てたもの。今後、他の機関が追随できるようなモデルケースを提示するという。
米国内にある各国立公園は、景観や動植物を写したフィルムを保存したいときは、基金から援助を受けて冷蔵保存施設ユニットを購入する。この際には管理局のスタッフがパッケージングの方法やユニットに納められた資料のモニタリングの方法を教示するという。このサイトにはプロジェクトの全容を知らせるプレゼンテーションのファイルがパワーポイント形式とPDF形式とで掲載されており(内容は同じ)、なぜこのプロジェクトが必要なのか、冷蔵保存とはどういうものか、その効果、フィルムの劣化とはなにか、目視やA-Dストリップによる劣化の判別法、冷蔵保存方法の実際--等々を解りやすく解説している。
Park Museum Management Program
2006年11月22日(水)
アメリカの資料保存の推進のために--10月のCLIR資料保存会議での立場の異なる専門家による提言
米国の図書館情報資源振興財団(Council on Library and Information Resources:CLIR)はこのほど、10月に開催した資料保存関連の専門家による会議での提言をまとめ、発表した。
アナログ資料だけでなくデジタル資料も将来に向けて保存してゆかねばならない今日、それぞれの機関や推進母体での資料保存活動にギャップが生まれ、国全体としての方向性が見えにくくなっている。アメリカ国内の主要な研究図書館、図書館・文書館関連協会や財団、国立機関などから18名の専門家を招聘したこの会議では、財団であるCLIRがアメリカの資料保存を支援し推進するために、どのような方向付けをすればよいかを専門家に諮問したことに対して、次のようないくつかの提言が行われた。
1. 国内の各機関の連携を高めると共に海外類似機関とも協力した、資料保存の
国家戦略の構築
2. アナログ資料(視聴覚資料その他を含む)、デジタル資料を問わず、あらゆるフォ
ーマットの資料の保存
3. 図書館と同様に、文書館、歴史資料機関、博物館がもつ記録物も対象にする
4. 印刷・デジタル保管・ビジネスモデル、ツール、資料保存サービス等の構成要
素からなるコア資料保存インフラの整備
5. 危機に瀕している資料に対しての注意の喚起と、その資料の保持者による優先
順位付けの必要性のコンセンサス形成
6. 資料保存教育での新しい取り組み
7. 資料保存のための新しい基金の必要性
Preservation Experts, Leaders Inform CLIR’s Agenda
2006年11月7日(火)
欧州研究図書館連盟(LIBER)が来年5月に「モノとしての書物の価値、デジタル遺産の価値」国際会議
情報と人間の思索を運ぶ物理的な媒体である印刷物の役割はデジタル技術の追撃に会い、その未来が疑問視されている。一方、デジタル的な文化遺産の未来も、盛んな論議の的だ。あらゆる分野から提出されている以上のような課題に応えるため、欧州研究図書館連盟(LIBER, 欧州の350図書館が加盟)は2007年5月24-25日に、ストックホルムのスウェーデン国立図書館において LIBER Think Tank on the future value of the book as artefact and the future value of digital documentary heritage と名付けた国際会議を開催する。図書館や文書館等からだけでなく、行政や学術研究分野からもパネリストが予定されている。予定されている主な論点は以下の通り。
価値と信頼性というコンセプトは伝統的に物理的なモノとそのコレクションの上に築かれているものだったが、デジタルの発展によりモノとしての価値は減少するのか、それとも増大するのか? ヴァーチャルな情報の媒体の価値と信頼性はどこにあるのか? 目も眩むような量の、最初からデジタル記録として生まれてくる「ボーン・デジタル記録」や「古い」記録物をデジタルに代替したものははたして新しいデジタル文化記録遺産になるのだろうか?
プログラムは以下のページに発表される。
The Ligue des Bibliothèques Européennes de Recherche (LIBER)
2006年10月19日(木)
書き込み型CD・DVDの保存メディアとしての安定性とリスクは?--ユネスコの「世界の記憶」計画の報告書
ユネスコの技術小委員会(UNESCO Sub-Committee on Technology)はこのほど、書き込み型のCDやDVDが、長期保存コレクション向けの保存メディアとしてどのようなリスクを持つか、それを使う場合にどのような戦略が必要か、これらに替わるメディアはどのようなものが考えられるか--をまとめた報告書(Risks Associated with the Use of Recordable CDs and DVDs as Reliable Storage Media in Archival Collections - Strategies and Alternatives)を刊行した。著者はオーストラリア国立図書館の Kevin Bradley。PDF形式(25KB, 29pp.)で全文がダウンロードできる。主な目次は以下の通り。
--------------------------------------------------
保存フォーマットとしての書き込み型CDとDVD
コンピュータ、ソフトウェア、書き込み装置
書き込み法の概要
エラー、期待寿命、試験と分析
現存の記録されたディスクでの試験
試験装置
保管
書き込み型CD/DVD上の信頼できるデータの記録
互換性
クリーニング、キャリアの修復
他の選択肢:デジタル・データ保存への専門的なアプローチ
コストと規模
結論
----------------------------------------------------
上記の「結論」として書き込み型のCDやDVDは低廉で、手軽にデジタル記録が可能なことから良く使われているが、元々が長期保存のためのメディアとして作られたものではないので、そうした用途での使用にはリスクが高い。そこで「書き込み型のCDやDVDをデジタル資料のための長期保存メディアとして用いて、信頼性の高い、後々も読み出し可能なデータを込めるという場合には、ディスクそのものも、書き込み・読み出し装置等も、良質のものを選ぶ必要がある」という。また、「ハードディスク装置や、コンピュータ・バックアップ・テープがここにきて画期的に安価になり、小規模な機関であっても、また公的な財政的支援を受けている機関でもしばしば、専門的なデジタル保存技術としての有力な選択肢になっている」としている。
Risks Associated with the Use of Recordable CDs and DVDs as Reliable Storage Media in Archival Collections - Strategies and Alternatives, Memory of the World Programme, Sub-Committee on Technology - By Kevin Bradley, National Library of Australia, Canberra.
http://portal.unesco.org/ci/en/ev.php-URL_ID=22734&URL_DO=
DO_PRINTPAGE&URL_SECTION=201.html
※上記の情報は下記の、国会図書館が提供する「カレントアウェアネス-E」(2006/10/18)に教えてもらいました。
2006年5月10日(水)
LIBER、セルロース・アセテート・マイクロフィルムの保存のための国際会議の記録を出版
世界中の図書館や文書館が所有し、内部から発生する酢酸による劣化(ビネガー・シンドローム)が進行しているセルロース・アセテート・ベースのマイクロフィルムを今後どのように保存し利用するのか---英国図書館とアメリカ議会図書館が先導し2005年5月に開催された国際会議の記録がこのほどLIBER(LIGUE DES BIBLIOTHEQUES EUROPEENNES DE RECHERCHE)の季刊誌 LIBER QUARTERLY Volume 15(2005) No.2 として出版された。LIBER のサイトからもダウンロード(有料)できる。内容は以下の通り。
Editorial Helen Shenton
Forum, Round Table and Vinegar: Managing the Cellulose Acetate Microfilm Challenge Clive Field
Addressing Cellulose Acetate Microfilm from a British Library perspective Helen Shenton
New Frames for Old Masters. An overview of the British Library's Acetate Transfer programme Sandy Ryan
History of Microfilms in Helsinki University Library / National Library of Finland Maria Sorjonnen
Bibliographic and Intellectual Control: why it matters Cate Newton
Acetate in Oz: Some Strategic Moves Colin Webb
LIBRE
http://www.kb.dk/liber/
2006年4月24日(月)
デジタル資料のなにを、どのように残すべきか--評価選別のための決定をインタラクティブに

英国の主要機関を中心としたのデジタル資料保存のための連合組織 Digital Preservation Coalition(DPC)はこのほど、各機関がデジタル資料を保存し長期に活用することを前提に評価選別を行うための Decision Tree for Selection of Digital Materials for Long-term Retentionを公開した。コストや著作権、技術などに関する質問に対して"Yes" "No"で応えて行きフローチャートを追って行くことで自分の機関の収集方針に見合った効果的なうデジタル資料の評価と選別が可能になる。このDecision Tree(決定樹)はサイトのページ上でインタラクティブに利用できるほか、全体のフローを一望できるPDF(47KB) でも提供されている。
Decision Tree for Selection of Digital Materials for Long-term Retention
http://www.dpconline.org/graphics/handbook/dec-tree.html
2006年3月29日(水)
米議会図書館とCLIR、『アナログ・ディスクやテープのデジタル保存時のキャプチャリング』報告書

アメリカ議会図書館(LC)と米国・図書館情報資源振興財団(CLIR)はこのほど共同でアナログ・ディスクやアナログ・テープからの音をデジタルで保存するためのキャプチャリングに関する規格の現状や最良の実行方法についての報告書 Capturing Analog Sound for Digital Preservation: Report of a Roundtable Discussion of Best Practices for Transferring Analog Discs and Tapes を出版した。この報告書は2004年にアメリカ議会図書館で開催された音響の専門家による円卓会議での発表をもとにしたもの。紙媒体での有料頒布とともに、PDFでもダウンロードできる。
Capturing Analog Sound for Digital Preservation: Report of a Roundtable Discussion of Best Practices for Transferring Analog Discs and Tapes
March, 2006. 37 pp. $20
ISBN 1-932326-25-1
ISBN 978-1-932326-25-3
http://www.clir.org/pubs/abstract/pub137abst.html<
2005年11月21日(月)
国会図書館、資料デジタル化の手引きをPDFで
国立国会図書館はこのほど、「国立国会図書館資料デジタル化の手引き」をPDFにして公開した。同手引きは、は、国立国会図書館の所蔵資料を画像としてデジタル化する場合において、仕様の共通化や技術の共有化を図り、これによって標準化によるデータ品質の確保及びデジタル化作業の効率化に資することを目的として、今年3月に作成された。主な目次は以下の通り。
1 デジタル化の対象資料及びデジタル化の手順
2 デジタル化の技術
3 画像データの品質
4 画像データの管理
5 著作権処理
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/digitalguide.html
2005年11月9日(水)
国立公文書館、ICAの『電子記録:アーキビストのためのワークブック』日本語版を公開

国立公文書館はこのほど、国際公文書会議(ICA)が発表した『電子記録:アーキビストのためのワークブック』(Electronic Records: A Workbook for Archivists)の日本語版を公開した。この報告書はICAの電子環境における現用記録委員会がまとめ、昨年(2004年)に ICA Studiee 16 として英語版が公開されている。主な目次は以下の通り。
序文 5
第1章:序論 7
第2章:基本概念と定義 11
第3章:アーキビストによる啓発戦略 15
第4章:記録管理(recordkeeping)要件を満たす 30
第5章:長期保存 42
第6章:アクセス 58
以下の国立公文書館のサイトからPDFでダウンロードできる。
http://www.archives.go.jp/hourei/ICASTUDY16_ELECTRONIC_RECORDS_JPN.pdf
(PDF 621KB)
DRAFT - Electronic Records: A Workbook for Archivists
Ihttp://www.ica.org/biblio.php?pdocid=163 (PDF 339KB)
2005年10月17日(月)
米保存修復協会誌--「紙焼き写真の蛍光増白剤」、「SPMEによる文書被覆フィルムの分析」など
アメリカ文化財保存修復協会(American Institute for Conservation)の機関誌 Journal of the American Institute for Conservation の最新号(Spring 2005, Vo.44, No.1)は、紙焼きのモノクロ写真に使われてきた蛍光増白剤の歴史的な分析と、1930年代から文書のラミネーション(接着被覆)に使われてきたアセテート・フィルムの分析についての論文を掲載している。
■ Paul Messier and V. Baas et. al. Optical brightening agents in photographic paper, (p.1-12)
1869~2004年までの1,804の紙媒体ゼラチン・銀塩写真を対象にした。メーカーは40社。1896~1949年までの写真には蛍光増白剤は使われていない。サンプルのなかで蛍光増白剤が使われた最初期のは1950~1954年のもの。1995~1964年の間に急速に採用例が増加しており、この間の後半には70%に達している。1965~1979年は39%にまで減少したが、1980年以降は再び増加し81%に達している。最初期から現在までのモノクロ紙焼き写真が蛍光増白剤を使っている割合が予想以上に高いことになる。一部の増白剤は独特の劣化傾向を示し、また水処理に弱いことも確認しており、資料として展示する場合などの注意ばかりでなく、介入的な修復処置を講じる場合にも、従来とは異なった注意が必要になる。著者の Paul Messier は Paul Messier L.L.C. 社のコンサーバター、Valerie Baas はデトロイト芸術協会コンサベーション・サービス・ラボのコンサーバター。
■ Ormsby, M. Analysis of laminated documets using solid-phase microextraction.
(p.13-26)
アメリカ国立公文書館は劣化した文書にセルロース・ジアセテート(CA)フィルムを加熱被覆して保存する処置を1930年代から1980年代まで大規模に行ってきた。この間、フィルム単体でもさまざまな種類が使われ、またラミネーションの際に一緒に強化用の薄様紙を挟んだり、脱酸性化処置を行った後に被覆するという方法が採用されてきたが、将来に渡ってこの多様な被覆処置が文書そのものにどのような影響を及ぼすのかは不明だった。著者は、フィルムに含まれる(20~30%)可塑剤に注目し、この分析を行った。可塑剤(plasticizer)は一般的にフィルムそのものよりも劣化が早く進み、不安定な種類のもある。分析は固相マイクロ抽出法とガス・クロマトグラフ質量分析法を組み合わせて(SPEM-GC-MS)行った。方法がシンプルで、非破壊的かつ精密に計測できる。使われた可塑剤は容易に同定でき、劣化生成物である無水フタル酸とフェノールも検出できた。著者はアメリカ国立公文書館所属の保存科学者。
American Institute for Conservation
http://aic.stanford.edu/
Journal of the American Institute for Conservation(JAIC)は, 1977 年(Vol.16)から 2000年(Vol. 39),までの掲載論文の大半が電子化されている。
http://aic.stanford.edu/jaic/
2005年9月15日(木)
雑誌 LIBER--セルロース・アセテート・マイクロフィルム国際会議の記録を掲載

酢酸により完全に崩壊したマイクロ・フィルム
今年5月に英国図書館が主催し開催されたセルロースアセテート・マイクロフィルムの保存と活用を考える国際フォーラム CAMF (Cellulose Acetate Microfilm Forum) の記録が、共催者の LIBER, (Journal of European Rewsearch Library)の最新号(vol.15, 2005, no.2)に掲載されている。
図書館や文書館に所蔵されているセルロース・アセテート(酢酸繊維素)を基材にした膨大なマイクロフィルム・コレクションは、フィルムが分解してできる酢酸による劣化、いわゆるビネガー・シンドロームにより自壊の危機に晒されているが、その救出と保存、そして将来に向けたアクセスを保証するにはどうすればよいのか--2日間にわたって英国図書館で行われた国際フォーラムでは、この課題をめぐって、アメリカ、スカンジナビア諸国、ニュージーランド、オーストラリアからエキスパートが集った。記録の内容は次の通り。
Forum, Round Table and Vinegar: Managing the Cellulose Acetate Microfilm
Challenge, Clive Field
Addressing Cellulose Acetate Microfilm from a British Library perspective,
Helen Shenton
New Frames for Old Masters. An overview of the British Library's Acetate
Transfer programme, Sandy Ryan
History of Microfilms in Helsinki University Library / National Library of
Finland, Maria Sorjonnen
Bibliographic and Intellectual Control: why it matters, Cate Newton Acetate in Oz: Some Strategic Moves, Colin Webb
LIBER, (Journal of European Rewsearch Library), vol.15, 2005, no.2
http://liber.library.uu.nl/publish/issues/2005-2/issue_content.html
※関連Web:国立国会図書館 『マイクロフィルム保存のための基礎知識』
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/data/pdf/microfilm2005.pdf
2005年8月1日(月)
TCA--ビデオテープの種類判別や劣化アセスメント法などのマニュアルをWebで
長期保存のためには右の平置きが良い
テキサス芸術協会(Texas Commission on the Arts)はサイト内にビデオテープの判別と保存のためのアセスメントの方法をわかりやすく解説したページを掲載した。全体は次の5章に別れる。
1. 1/2" のオープンリールからデジタル18までの、これまでに製造され・使用されてきた15種類のビデオテープ・フォーマットの判別法。
2. ビデオテープを長期保存する場合に特有の劣化症状とその原因
3. 劣化状態のアセスメントの方法
4. 劣化を食い止めるために所蔵機関ができる方法、外部に委託する場合
5. 保存のための情報源、資材の入手先
Videotape Identification and Assessment Guide
http://www.arts.state.tx.us/video/
2005年7月12日(火)
世界の新聞の保存--基調はマイクロを元にデジタル化、OCRによるテキスト化
IFLA(国際図書館連盟)のInternational Preservation News(No.35, May 2005)は、今年2月にオーストラリア国立図書館で開催された新聞の保存と活用のための国際会議 International Newspaper Conference: Asia and the Pacific での発表のハイライトをまとめ報じている(p.32)。基調は「マイクロ化し、それを元にデジタル化」そしてOCRにより電子テキスト化して内容の検索を可能にすること。
・British Newspaper 1800-1900 Project (Edmund King、英国図書館) 2004年に発足、2006年まで。UKの新聞 200万頁のデジタル化。ポイントは、どのタイトルを選ぶか、スキャニングのためのマイクロフィルムの採用、OCRでのテキスト化により内容の検索を可能に、デジタルファイルをWebに--等。費用は300万ポンド。
・Noridic Newspaper Library Project TIDEN (Majlis BremerLaarmanen、フィンランド国立図書館保存と代替センター) OCRによるテキスト化が必須で、このためのソフトを開発。2005年末までには100万頁がデジタル化とOCR化を終え、1890年までのあらゆる国内新聞のオンラインでの閲覧が可能になる。デジタル化の前にマイクロフィルム化するのが、費用からしてもベスト。
・Argus Index Online (Judith Peace and Geraldine Suster、オーストラリア国立図書館) オーストラリアの歴史的な新聞 Argus のインデックス化。メルボルンで1846年から1957年に発行されたこの新聞の1869年までの全ての見出しがオンラインで検索できる。引き続いて1909-1949年までの作業が進行中。作業はマイクロフィルム化→インデックス化→編集→評価。
・National Digital Newspaper Program (Georgia Highley、アメリカ議会図書館新聞課) 目録化とマイクロフィルム化により全てのアメリカの新聞の保存を進めてきたアメリカ新聞プログラム(USNP)を引き継ぐ新プロジェクトで、USNPの資産を元にWebでのアクセスを可能にする。デジタル化を終えたマイクロフィルムは議会図書館が保存する。
・NPLAN: National Plan for Australian Newspapers (Colin Webb、オーストラリア国立図書館保存部門) 1992年に発足した同計画はオーストラリア全州の州立図書館との共同プロジェクト。オーストラリア全土の新聞へのアクセスを保証する。790万豪ドルをすでに使い、さらに2千100万豪ドルが必要。全計画の第三期に入っており、10%のマイクロフィルム化が終了している。複写規準、すでにアセテートフィルムで撮ったマイクロの保存性、マスターの保存と書誌コントロール--が課題。オーストラリア国立図書館はデジタル化されたものの維持のためのインフラを持ち、デジタル化を保存の一手段と見ている。
IFLA International Preservation News, No.35, May 2005
http://www.ifla.org/VI/4/news/ipnn35.pdf (PDF 937KB)
2005年7月4日(月)
英国図書館--「2020年までにデジタル図書館へ転換」

英国図書館(British Library)のLynne Brindley 館長は6月29日、このほどまとまった2008年までの中期経営戦略の発表の席上、2020年までに同館の蔵書を印刷物からデジタル出版物へ転換してゆくことを明らかにした。Brindley 館長は「10年後には放送は全てデジタルへと完全に切り替わることを国民の誰もが知っているが、同様のことが出版分野でも進行していることを知る人は少ない。だが、2020年までには研究論文の40%が最初からデジタルで提供され、紙とデジタルとの併用は50%、紙だけというのは10%になるだ
ろう」という。
「地殻変動のようなこうした状況の中で、我々英国図書館そしてパートナーである出版界や情報産業界は、ビジネスから芸術まで、また科学から教育・文化まで、およそあらゆる分野において、英国の競争力が維持されるようになるための2020年ビジョンを求められている。我々は我々の先達が過去250年にわたってモノとしての国の蔵書を集め、整理し、保存し、アクセスを保証してきたと同様に、デジタル資料についても対処しなければならない」。「デジタル資料は、モノの上に情報が載っている本などの資料以上に壊れやすいので、これを未来の世代に引き継ぐために、国内でもっとも優れた専門家達の助けを借りることになるだろう」----。
British Library predicts ‘switch to digital by 2020’
http://www.bl.uk/news/2005/pressrelease20050629.htm
「図書館を再定義する」と銘打った2008年までの中期経営戦略は以下に。
Redefining the Library: The British Library's strategy 2005 - 2008
http://www.bl.uk/about/strategy.html
2005年6月10日(金)
自動ページ捲りスキャニングからOCRによるデジタル化までの一貫システム

6月24日からシカゴで開催されるアメリカ図書館協会年次大会・資料保存管理分科会のテーマは「資料保存を自動化する」(Automating Preservation)。ロボットを使って自動的にページ捲りをする自動スキャニング機と、スキャニングした画像からのOCRによるテキスト化までを一貫して行っているノースウェスターン大学とスタンフォード大学の事例が発表される。
このうちノースウェスターン大学のは米キルタス社の自動ページ捲りスキャン・ブック・スキャナー(Kirtas robotic page-turning book scanner)によるもの(上記画像)。一時間1,200ページを、人間が捲るよりも「優しく」捲り、スキャニングするという。
Kirtas 社のホームページは以下に。
http://www.kirtas-tech.com/index.asp
Northwestern 大学の事例は以下に。
http://www.kirtas-tech.com/uploads/other/
NorthwesternRelease10_29_041.pdf
なお、このシステムはこの7月に東京ビッグサイトで開催されるデジタルパブリッシング・フェア2005でも、プロダクトテクノロジー社(名古屋)から出品される。
http://www.pro-tech.co.jp/kirtas/index.htm
一方、スタンフォード大学のシステムは同館が推進しているデジタル図書館計画 (Digital Library Program)の一貫で、デジタイジング・ライン(DL)と呼ばれている。一時間に1,160ページを自動的に捲り 12S デジタルカメラで取り込み、600DPIの白黒、グレイスケール、カラーTIFF画像を作る。また最終的な出力としてPDF画像とテキスト形式にし、検索可能な形にして、同大学の教育と研究に活かすというもの。事前調査から最終出力までの全行程が詳細に同大学のサイトに掲載されている。
Robotic Book Scanning at Stanford University
http://www-sul.stanford.edu/depts/dlp/bookscanning/
■「ほぼ」2005年5月2日(月) Googleと米大学による電子図書館構想
http://www.hozon.co.jp/hobo/archives/200505/hobo_0505.htm
2005年4月25日(月)
最古の聖書『シナイ写本』のデジタル化で4機関が国際協力

1933年にソビエト連邦から英国博物館に売却されたシナイの写本
旧約・新約がひとつの冊子になった最古の聖書「シナイの写本」(Codex Sinaiticus)をデジタル化するために、この写本の一部をそれぞれもつ世界の4つの機関が協力し、英国図書館を中心にしたプロジェクトを推進することになった。ドイツのライプチヒ大学、サンクトペテルブルグのロシア国立図書館、エジプトの聖キャサリン教会が参加する。4年後の完成を目標に、130万ドルが投入される。この4世紀の聖書は、古く、傷みもあるために、どの機関においても現物へのアクセスを制限しているが、コンサベーション、デジタル化、原文ギリシア語からの翻訳、学者の解説がほどこされて、完全な一冊になったウェッブ版「シナイの写本」聖書は、世界の誰もが繙くことができる至宝になる。デジタル版とともに、より精細なファクシミリ版、CD-ROM も出版される予定である。
http://www.theartnewspaper.com/news/article.asp?idart=11761 Googleによる粗訳
「シナイの写本」はコンスタンティヌス帝時代のギリシア語聖書で、6世紀にエジプト・シナイ山にある聖キャサリン教会の所蔵になった。これを1844年に発見したのがドイツの学者のティッシェンドルフで、全50枚あったパーチメントの丁のうち43枚を、さらに347枚を「借り」て、それをロシア皇帝の元に運んだ。皇帝はこれを自分への贈り物にするため、当時の金額で9,000ルーブル(2,600ドル)を寄付した。しかし1933年にソ連政府は交換可能通貨の獲得のためこれのの売却を計り、英国の古書店を通じて英国博物館に10万ポンドで売却した。ただ、一部はロシアとドイツに残された。さらに1975年には、聖キャサリン教会で12枚の丁と15の断片が見つかっている。
英国図書館の Codex Sinaiticus
http://www.bl.uk/onlinegallery/themes/asianafricanman/codex.html
2005年4月8日(金)
デジタル・プリント、デジタル写真のコンサベーションで第3回国際会議--来春4月にロンドンで
英国物理学会印刷・製紙・包装グループ(Printing, Papermaking and Packaging Group of the Institute of Physics)とロンドン・コミュニケーション・カレッジ(London College of Communication)は2006年4月24日、25日の両日、第三回「デジタル印刷とデジタル写真のプレザベーションとコンサベーション」に関する国際コンファレンスを開催する。こうした技術による記録物をアーカイブとして長期保存してゆく責務があるアーキビストやコンサーバターと、技術開発に関わる産業分野の研究者の橋渡しをするのも目的のひとつ。デジタル印刷と写真技術の最新情報、テキスタイルや紙やプラスチックなどの媒体への色剤と発展とその安定性、長期保存のための規格とアーカイブ・プロトコールの進展状況を。
詳細は----
Third International Conference on: Preservation and Conservation Issues Related to Digital Printing and Digital Photography
http://conferences.iop.org/PPP/

カテゴリーのトップへ
ページトップへ