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本紙掲載記事をカテゴリー別に整理してあります。また、関連する文献への本文もしくは/またアブストラクトへのリンクも載せました。


処置前試験/チェック


■「ほぼ日刊資料保存」の記事

2007年11月26日(月)
カナダ文化財研究所、『コンサベーションのためのpH計測のガイドライン』を上梓

カナダ文化財研究所(CCI)はこのほど、同研究所が刊行しているテクニカル・ブレティンのひとつとして、Guidelines for pH Measurement in Conservation を上梓した。コンサベーションの分野では、対象が紙媒体に限らず、適切な処置を行うために、酸性度、アルカリ度の指標としてのpH(水素イオン指数)の計測が日常的に行われるが、対象物や計測の機器類、あるいは方法の違いによって誤差や再現性に狂いが生じることが多い。この小冊子は信頼性が高く再現性のある正しい計測の方法を解説したもの。著者は同研究所のSeason Tse。

TB #28 Guidelines for pH Measurement in Conservation
$15.00
paperback, 23 pp, 2007
ISBN: 978-0-660-19766-1

下記ページから入手できる。
http://www.cci-icc.gc.ca/bookstore/viewCategory-e.cfm?id=18&thispubid=514

 

2006年6月13日(火) (弊社関連)
紙媒体資料のコンサベーションのための7種類のスポット試験の方法を解説

 

弊社(有限会社資料保存器材)はこのほど、紙媒体資料のコンサベーションの際に、紙の性質を簡便にチェックするのに用いる7種類のスポット・テストの方法をまとめ、サイトにアップロードしました。

スポット(点)テストは、資料に試薬を滴下し、その様子を観察する手法です。試薬が直接、資料に付くために、厳密に言うと「破壊的」な検査になりますが、簡便さと速さが利点であり、状況に応じて有効的に使用できます。

内容(チェックできる項目)は以下の通り。それぞれの原理、使用する試薬、薬液の調合法、使用器具、サンプリング法、MSDS(化学物質等安全データシート)にリンクした扱い方と保管法の提示など、試験前と試験後を示す画像と合わせて、丁寧に解説したつもりです。

1. リグニン
2. ロジン 
3. アルミニウム・イオン
4. タンパク質
5. デンプン
6. 酸性度
7. 炭酸カルシウム

小谷尚子 「スポット・テスト-- 資料の性質を簡便につかむ」 
http://www.hozon.co.jp/report/kotani/kotani-no001-spottest.html


2006年1月17日(火)
Restaurator最新号- 500年経時の紙の化学的劣化、pHの新計測法、インク焼けの水性処置など

図書館・文書館資料の保存修復のための季刊誌 Restaurator; International Journal for the Preservation of Library and Archival Materials の最新号(Vol. 26, No.2, 2005)は、この9月にハーグ(オランダ)で開催された国際博物館会議保存修復分科会(ICOM-CC)の第14会国際会議の発表から、資料保存関連の6つの論文を掲載している。ちなみにこの6論文は同会議の予稿集には含まれていない。

■David Erhardt et al.  Chemical Degradation of Cellulose in Paper over 500 Years.(p.151-158)
500年の時を経て紙の中に生成された糖類(グルコースやキシロース)の多寡を見ることで紙の劣化の指針にする。14-17世紀の紙と、18-20世紀の紙とを比べた場合、後者の紙の方の単糖類のレベルが高いことが分かった。酸加水分解の速度に倣う。

■Matija Strlic et al, A new electrode for micro-determination of paper pH.  (p.159-171)
pHは紙の寿命を測る重要な指針の一つであるが、ポリアニリン・コートしたガラス電極と銀/塩化銀・塩化カリウム化により、従来法よりもさらに精度の高い計測が可能になった。この方法では3つの方法(直径1mm以下のサンプルを直接測る、サンプルを水に浸し水を測る、サンプル表面から5-10g採取して微破壊で測る)が選択できる。従来法の破壊的な冷水抽出法と同様の結果が得られた。

■John Havermans et al, NIR as a tool for the identification of paper and inks in conservation research. (p.172-180)
近赤外線分光法(NIR)による紙の種別の判定と、没食子インクの構成および劣化挙動の識別。NIRにより基準になる紙とインクをが得られ、未知の紙とインクや、劣化挙動の域別が可能になった。比較的簡単で、信頼性と再現性の高い方法としてコンサベーションの現場で活用できる。

■Jana Kolar et al , Stabilisation of paper containing iron gall ink with current aqueous processes. (p.181-189)
現在行われているインク焼け水性処置は、キレート性を持つ化合物による抗酸化か、もしくは腐食性の遷移金属を紙中から洗い流すことで紙を安定化している。この効果はしかし、複合的なものなので、そのメカニズムのより深い理解は、より安定した処置に結びつく。効果的な処置の鍵がpHである。pH5.0のフィチン酸カルシウム水溶液ので処置した紙は、pH6.2で処置したものよりも2,3倍速く劣化した。これは高いpHでの鉄キレートの溶解性が高く、この結果紙の中の鉄分がより良く除かれるためだ。促進劣化試験では、同じような効果を持つと期待されたDTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)は、炭酸水素カルシウム水溶液で脱酸しただけのものと比べて、わずかに安定化が向上したに過ぎなかった。

■Birgit Vinther Hansen,  Improving ageing properties of paper with iron gall ink through interleaving with papers impregnated with alkaline buffer and antioxidant. (p.190-202)
水処置を前提とした現在のインク焼け処置法は、水に流れるような色材を使ったものには使えない。そこで抗酸化力を持つ臭化ナトリウム(NaBr)と炭酸カルシウムを含ませた間紙を挟むことで、どのぐらいの抑制効果が得られるかを見た。加速劣化の後、引張り強度、pH、変色度を測ったが、この二つを含浸させた間紙は、没食子インクで書かれたサンプル紙でも、なにも書いていないサンプル紙でも劣化が抑制された。ただし後者のサンプルについては、引張り強度があるていど損なわれた。高い湿度の下での短期の処置においても、長期の保管のために半永久的に間紙をしても効果があることが分かった。

Restaurator;International Journal for the Preservation of Library and Archival Material
http://www.saur.de/index.cfm?content=kurzanzeige.cfm?show=0000006512&menu=catalog1

The 14th Triennial Meeting of International Council of Museums – Conservation Committee, The Hague
http://www.icom-cc2005.org/intro/schoonhoven/?set_lang=en

文責:木部徹(資料保存器材)

 

 

■主要文献へのリンク

Sistachm M,C.  2004  Microscopic spot tests applied to the study of fibres from paper in manuscripts.Proceedings of the ICOM-CC graphic documents meeting, March 11-12, 2004, Ljubljana, Slovenia, 38-39
http://www.infosrvr.nuk.uni-lj.si/jana/ICOMd/13Sistach.pdf

Reissland,Birgit. 2002 Iron-gall ink corrosion-progress in visible degradation. Contributions to Conservation, p.113-118
http://www.bcin.ca/Interface/openbcin.cgi?submit=submit&Chinkey=198291

Reissland, Birgit.  2000  Visible Progress of Paper Degradation Caused by Iron Gall Inks. Postprints of The Iron Gall Ink Meeting 67-72 (2000).
http://www.bcin.ca/Interface/openbcin.cgi?submit=submit&Chinkey=198873

Barrow Research Laboratory  1969  Spot Testing for Unstable Modern Book and Record Papers.           Permanence/Durability of the Book-VI: W.J. Barrow Research Laboratory, Inc., 1969.  Publication Number Six.           
http://www.bcin.ca/Interface/openbcin.cgi?submit=submit&Chinkey=59919

 

 

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