
アメリカ保存修復学会(Amrican Institute for Conservation)の写真グループはこのほど写真のコーティングとコンサベーションに的を絞った新しい出版物 Coatings
on Photographs: Materials, Techniques, and Conservation を上梓した。編者はConstance
McCabe。フルカラーの出版物で、19世紀から今日までの写真のコーティングについて、その歴史、物性、コンサベーション状の注意について、42名の専門家が執筆している。特にアンセル・アダムズなどの「生の写真」を対象にしたケーススダディ、非破壊的な試験・分析法の解説が興味深い。価格は70ドル。詳細は下記へ。PDFでのアブストラクトとオーダーフォームが掲載されている。
http://aic.stanford.edu/sg/pmg/coatings.html
平成17年度専門図書館協議会 総会・全国研究集会の第六分科会は「資料保存―多様化する情報媒体に対応するには」をテーマに二つの講演を予定している。
1. 国立国会図書館のデジタルアーカイブ事業について(仮)
講師:未定(国立国会図書館)
2. 媒体変換と保存性
講師:金澤勇二氏(富士写真フイルム(株)参事)
日時:平成17年6月23日(木)~24日(金)
会場:日本科学未来館
詳細は、専門図書館協議会のHPでhttp://www.jsla.or.jp/seminar/zenkoku_program17.html
資料保存関連の業者の団体である情報保存研究会(JHK:金澤勇二会長)は6月3日に第4回JHKオープンセミナー「デジタルアーキビストの養成 -教育現場からの報告-」を開催する。
報告者:岐阜女子大学教授 後藤忠彦氏
日時:平成17年6月3日(金) 18時30分~20時50分
会場:日本教育会館 中会議室 (千代田区一ツ橋2-6-2)
参加費:無料
参加定員:先着120名
申込み締切:平成17年5月27日(金)
詳細は、情報保存研究会のHPに。
http://www.e-jhk.com/

1933年にソビエト連邦から英国博物館に売却されたシナイの写本
旧約・新約がひとつの冊子になった最古の聖書「シナイの写本」(Codex Sinaiticus)をデジタル化するために、この写本の一部をそれぞれもつ世界の4つの機関が協力し、英国図書館を中心にしたプロジェクトを推進することになった。ドイツのライプチヒ大学、サンクトペテルブルグのロシア国立図書館、エジプトの聖キャサリン教会が参加する。4年後の完成を目標に、130万ドルが投入される。この4世紀の聖書は、古く、傷みもあるために、どの機関においても現物へのアクセスを制限しているが、コンサベーション、デジタル化、原文ギリシア語からの翻訳、学者の解説がほどこされて、完全な一冊になったウェッブ版「シナイの写本」聖書は、世界の誰もが繙くことができる至宝になる。デジタル版とともに、より精細なファクシミリ版、CD-ROM
も出版される予定である。
http://www.theartnewspaper.com/news/article.asp?idart=11761 Googleによる粗訳
「シナイの写本」はコンスタンティヌス帝時代のギリシア語聖書で、6世紀にエジプト・シナイ山にある聖キャサリン教会の所蔵になった。これを1844年に発見したのがドイツの学者のティッシェンドルフで、全50枚あったパーチメントの丁のうち43枚を、さらに347枚を「借り」て、それをロシア皇帝の元に運んだ。皇帝はこれを自分への贈り物にするため、当時の金額で9,000ルーブル(2,600ドル)を寄付した。しかし1933年にソ連政府は交換可能通貨の獲得のためこれのの売却を計り、英国の古書店を通じて英国博物館に10万ポンドで売却した。ただ、一部はロシアとドイツに残された。さらに1975年には、聖キャサリン教会で12枚の丁と15の断片が見つかっている。
英国図書館の Codex Sinaiticus
http://www.bl.uk/onlinegallery/themes/asianafricanman/codex.html
英国の文化財の保存と修復のための中核組織になるコンサベーション協会(Institute
of Conservation)の会長(CEO)がこのほど決まった。英国学士院からのAlattair
NcCabe氏で、着任は6月。
このコンサベーション協会は、これまで分野や地域ごとに別組織を作って活動してきた英国内のコンサベーション関連協会・学会が大同団結し一本化するもの。 Care of Collections Forum, Institute of Paper Conservation, Photographic Materials Conservation Group, Scottish Society for Conservation and Restoration, United Kingdom Institute for Conservation が母体機関になり、初の会合を5月3日に予定している。
Institute of Conservation
http://www.instituteofconservation.org.uk Googleによる粗訳
アメリカの地域保存センターのひとつSOLINET (Southeastern Libr /ary Network,
Inc.)は5月と6月にウエッブによる、新聞や雑誌の切り抜き、写真、チラシその他のスクラップブックの保存の遠隔教育を行う。全2時間のコースでSOLONET
に加盟していなくても140ドルで授業を受けられる。詳細は以下に。
http://www.solinet.net/workshops/ws_details.cfm?doc_id=3516&WKSHPID=12CS#
MIP(European Thematic Network Metals in Paper)は来年(2006年)1月23~27日に、英国ニューカースルアポンタイ ( UK )で、これまでの研究成果を発表するコンファレンスを開催することになった。2000年に英国ノーサンブリア大学で開催された没食子インクセミナーに続くもの。研究成果はMIPのウェッブサイトでも発表される。
欧州の主要な研究機関や図書館・文書館・博物館・美術館の関係者がネットワークを組んで進めてきた「紙中の金属」の研究は、鉄や銅に代表される遷移金属元素がもたらすインク焼けや、紙そのものの酸化による劣化促進から資料を救おうという目的を持つ。今回の会議では、次の四つの分野での現在の到達成果が発表される。
1 .紙の劣化の基礎科学:診断・分析技術に焦点を当て、劣化プロセス(内因と外因)、熱安定性評価のための方法論について。。
2. 積極的なコンサベーション(資料そのものへの介入的な処置)化学的側面:旧来法および脱酸性化技術も含む。
3. 同じく積極的なコンサベーションの物理的な側面:ペーパー・スプリット法、紙力強化、リーフキャスティング、クリーニング。
4. 予防的保存処置の問題:保管環境、容器ほか。
会議への参加等の詳細は今後下記のホームページで掲載される。
www.miponline.org Googleによる粗訳
コロンビア大学図書館(CUL)のホームページに、同図書館が2003年10月から2004年7月にかけて行ったアーカイブ資料の大規模な保存調査のために作成された調査方法が掲載されている。同館の調査はまだ目録化されていないものや目録化途中の資料を対象にしたもの。調査時間は延べ1,585時間、コレクション数は569(87,498点の簿冊資料、100,903点の設計図面、158,478点の写真資料ほか、マイクロフォルム、音響レコード、ビデオテープ等々)。メロン財団基金からの支援を受け、アクセス、状態、現物価値等の項目を含む調査を行い、データベースソフトのAccessに入力されデータベース化された。方法の説明(Word形式のファイル)も含め、Accessのファイル形式で以下からダウンロードできる。
CULでは今後、この信頼性の高い調査結果を保存計画、資源配分の優先順位付け、保存目標の設定に活かしてゆくとしている。
Special Collections Materials Survey Instrument
http://www.columbia.edu/cu/lweb/services/preservation/surveyTools.html Googleによる粗訳
音声記録のアメリカ国家遺産(National Recording Registry)として、アメリカ公文書館が保存する6つの記録が登録された。この中には月面着陸したアームストロング船長の第一声(1969)、ウィルソン大統領の終戦放送(1923)、大西洋横断成功直後のリンドバーグの声(1927)、マッカーサーの引退議会演説「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」(1951)などが含まれる。
アメリカ国立公文書館が保有する視聴覚資料は、フィルム26万点、音声資料が22万5千点、ビデオテープが9万点以上。
http://www.archives.gov/media_desk/press_releases/nr05-60.html Googleによる粗訳
紙の博物館(東京・北区王子)は5月17日から7月3日まで「和紙が伝えた文化:和本とその周辺」を開催する。保存性の高い和紙の原料や製法・加工・種類などについて記された絵巻物や和本・錦絵などを中心に展示する。聖武天皇筆と伝えられる経文「大聖武」、紙漉き工程を描いた最初の刊本「紙漉き重宝記」、江戸時代の流通した和紙を記した「紙譜」、ショッピングガイド「江戸買物独案内」など。
紙の博物館のホームページ
http://www.papermuseum.jp/
アメリカの大学・研究図書館協会(ACRL=Association of College and Research
Libr /aries)は展示のための貴重資料の貸し借りのガイドライン(Guidelines for
Borrowing and Lending Special Collections Materials for Exhibition)を発表した
(January 2005)。
貸す・借りる前にどのような了解事項(料金、期間、セキュリティ、所有権等)が必要か、複製に関わる認識と許可、貸借期間中の注意事項(梱包、輸送から受け取り、返却まで)の三章にわたり、明記し、心得ておくべきことを簡潔に述べている。
Guidelines for Borrowing and Lending Special Collections Materials for Exhibition
http://www.ala.org/ala/acrl/acrlstandards/borrowguide.htm

印刷博物館(東京・文京区)は4月23日から7月24日まで「プランタン = モレトゥス博物館展:印刷革命が始まった--グーテンベルグからプランタンへ」を開催する。アントワープ(ベルギー)にある同博物館は16世紀創業当時の印刷所跡、印刷者邸宅を生かした世界有数の印刷出版系博物館。15世紀以降の貴重な書籍、版画類が数多く残されている。今回の日本での展示では、アジア初公開となる作品83点を含む計100点前後の作品を見ることができるという。
印刷博物館の企画展示
http://www.printing-museum.org/jp/exhibition/planning/050423/

小宮山博史氏(佐藤タイポグラフィ研究所)による「タイポグラフィの世界 書体編」の第9回は「アイデアは秀、字形は不可―偏旁・冠脚を組み合わせて一字を作る分合活字」。大日本スクリーン製造株式会社のサイトでの連載である。タイポグラフィに関心のある人にとってだけでなく、明治期以降の活字本のコンサベーションを考えるうえにも役に立つ。氏による連載は2004年9月の第一回「上海から明朝活字体がやってきた」から開始され、月一回掲載というペースで続いている。タイポグラフィ研究の第一人者である筆者自身の用語解説、関連する図版の豊富さ、周到な調査を元にしたわかりやすい立論--等で秀逸。
分合(ぶんごう)活字とは、金属活字を組むときに、「無い字」を作る方法。いわゆる作字と違うのは、作字は、その場で既存の活字の部分を削って組み合わせ、「無い字」を無理やり作るのだが、分合活字は最初から組み合わせることを目的に開発された活字。偏と旁、冠と脚の4種に分けて作ってある。1873年にパリで刷られた経書『大学』に使われたのが最初で、中国に伝わり、明治の日本にもたらされたという。
連載「タイポグラフィの世界 書体編」
http://www.screen.co.jp/ga_product/sento/pro/index.html#sekai
当社はこのほど以下の二つのページを作成し公開した。当社のサイトのトップページの
Only Yesterday's からもたどれる。
日本の資料保存の新しい地平を拓いた、かなやひろたか氏の個人誌『ゆずり葉』全目次 (リニューアルし、新たなリンクも)。
NPO文化財保存支援機構(JCP)のホームページに、2004年8月20日の台風により被災した香川県観音寺市郷土資料館への救済活動が掲載されている。
山本賢子氏(京都造形芸術大学歴史遺産学科4回生)による。塩分除去作業を主として丁寧に解説。
http://www.jcpnpo.org/00_home/00_rpt20050401.htm
なおJCPは4月から新しい事務所での活動を始めた。
特定非営利活動法人 文化財保存支援機構
〒160-0003 東京都新宿区本塩町22番地102号
TEL03-5363-4533
FAX.03-3341-8577
URL: http://www.jcpnpo.org/

加水分解によるパーチメントのゼラチン化
パーチメント(皮紙)劣化のアセスメント法の開発を進めてきたIDAP(Improved
Damege Assessment of Parchment)はその成果を 2005年8月にコペンハーゲンで開催するセミナーとワークショップで発表する。IDAPは欧州のコンサーバターや皮革業者、図書館、文書館、博物館の関係者などが協力し、EU協会からの支援を受けて発足した研究機構。今回の発表で一区切りをつける。成果はセミナー参加者だけでなく、ホームページでも詳しく発表される。
パーチメントは、タンニンなめしの革と異なり、比較的耐久性が良いことは知られているが、近代の製造法の変化による質の低下や、没食子インクによる腐食などの問題をかかえている。このため英仏独などの欧州の八カ国の研究者が協力し、劣化機構のアセスメント法の開発を進めてきた。
詳細はIDAPのサイトで。
http://www.idap-parchment.dk/portal/DesktopDefault.aspx
アメリカの地域保存修復センターの一つCCHA(Conservation Center for Art and
Historic Artifacts) はこのほど防災計画立案時や災害時にどこに問い合わせ、どのような物資をどこから調達するかを一覧できる
Mid-Atlantic Resource Guide for Disaster Preparedness をまとめ PDF(44p.
556KB)にした。次の三章に別れる。
I. NATIONAL AND REGIONAL RESOURCES FOR IN FORMATION
II. SERVICE PROVIDERS FOR EMERGENCY RESPONSE
III. EMERGENCY SUPPLY AND EQUIPMENT VENDORS
下記のページからダウンロードできる。
http://www.ccaha.org/emergency_resource.php
ボストン美術館が提供しているコンサベーション用材料のオンライン百科事典(CAMEO: Conservation and Art Material Encyclopedia Online)は紙媒体記録資料のコンサベーションにおいても利用価値が高い。参考文献や画像も徐々に拡充している。
CAMEOは同美術館のコンサベーション・コレクション管理部門が作成している。アート、建築、考古などの制作とコンサベーションのためのあらゆる材料に関して、その物理的、化学的、視覚的、分析的情報を網羅し、オンラインで提供している。現在使用されている材料ばかりでなく、過去の歴史的な材料も含む。材料名だけでなく商品名でも検索ができる。また、CAS
登録番号(米国化学会のCAS=Chemical Abstracts Service が化学物質を一つ一つ識別するために付けた番号)
や、参考文献も掲載している。
例えば funori を検索すると---
A carbohydrate extract from the seaweed Gloiopeltis furcata. Funori is used as a weak water-soluble adhesive. It is primarily composed of galactose and is similar to agar. The mucilage has a low viscosity and dries to a thin, flexible, matte film. Funori is traditionally used by Japanese scroll mounters as a consolidant for friable media (AIC Book and Paper Catalog).
と説明され、See attached image(s). では布海苔とIRスペクトルが画像で得られる。
CAMEO: Conservation and Art Material Encyclopedia Online
http://www.mfa.org/_cameo/frontend/
英国物理学会印刷・製紙・包装グループ(Printing, Papermaking and Packaging
Group of the Institute of Physics)とロンドン・コミュニケーション・カレッジ(London
College of Communication)は2006年4月24日、25日の両日、第三回「デジタル印刷とデジタル写真のプレザベーションとコンサベーション」に関する国際コンファレンスを開催する。こうした技術による記録物をアーカイブとして長期保存してゆく責務があるアーキビストやコンサーバターと、技術開発に関わる産業分野の研究者の橋渡しをするのも目的のひとつ。デジタル印刷と写真技術の最新情報、テキスタイルや紙やプラスチックなどの媒体への色剤と発展とその安定性、長期保存のための規格とアーカイブ・プロトコールの進展状況を。
詳細は----
Third International Conference on: Preservation and Conservation Issues
Related to Digital Printing and Digital Photography
http://conferences.iop.org/PPP/
国立公文書館の機関誌『アーカイブズ』(第19号、平成17年3月)は(財)元興寺文化財研究所による「国立公文書館書庫環境調査報告書」を掲載している(p.72-83)。温湿度はもちろん、虫カビから大気汚染物質にまで及ぶ広範囲なもので、しかも平成15年度調査を踏まえた対策が施された翌16年度にも、同じ調査を行い、対策の効果を確認するという周到な内容になった。同種の調査は日本ではこれまでに例がないもので、意義ある報告書といえる。
予想以上に資料の劣化の要因なっているとして世界的に注目されているのが、硫黄酸化物や窒素酸化物、オゾン等のガス性の大気汚染物である。調査では「科学系調査」として粉塵とともにこうした汚染物質も対象になった。平成16年度に空気調和機びフィルタ交換、書庫内の整理・清掃の徹底等の各種の対策を施し、9月に測定したのは、15年度の調査で問題とされたホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、酢酸、窒素酸化物(いずれも基準値または推奨値を超えていた)の濃度で、ギ酸と酢酸は減少、ホルムアルデヒドも推奨濃度以下、窒素酸化物の濃度は20ppb代に減少している。
同報告書では「調査のまとめ」として、16年度においては保存環境が改善されていることがわかったが、国立公文書館は高濃度の大気汚染地区にあることから、外気の取り込みについては適切なフィルタを通して窒素酸化物や汚染粒子を館内に入れないことが重要、としている。
なお、表4「調査項目の主な基準値一覧」が掲載されており(p.82)、佐野千絵氏(東京文化財研究所)の論文からの数値、ビル管理法の数値、国際規格(ISO
11799, 2003 Information and documenntation -- Documents storage requirements
for archives and libr /ary materials)からの数値がそれぞれ引用されているが、「浮遊粉塵」の「国際規格」の数値が50mg/m3とあるのは、50μg/m3の間違い。
調査項目としては二酸化硫黄が挙がっているのだが、この結果が出ていないのはなぜだろうか? また、計測の対象にはなっていないが、酸化劣化の原因になっている室内オゾン(国際規格では窒素酸化物と同等の
5~10ppb以下)の数値が欲しかった。
国立公文書館・刊行物のご案内
http://www.archives.go.jp/event/kankou.html
■ISO 11799「図書館・文書館資料の保管条件」については
http://www.hozon.co.jp/cap/archives/030901/storage%20requirement.htm

国際テレビアーカイブ機構(FIAT/IFTA=International Federation of Television
Archives)は消滅しつつある視聴覚記録の保存のための国際的な協力を呼びかけている。Call
from Paris (同機構の本部がパリにある)と名付けらたこの呼びかけによると、20億時間に相当する視聴覚記録が消滅の危機に瀕しており、特に発展途上国での記録の保存が緊急の課題になるとしている。
今回の呼びかけは、このような視聴覚記録のアーカイブの危機を打開するため国際連盟に対して支援を要求する署名を世界中から集めようというもの。すでに各関連機関等から6931の署名を集めているが、今年の9月16日に開催されるニューヨークでのFIAT/IFTA大会までにできる限り多数の署名を集めて国連事務局長に渡すという。
International Appeal for the Preservation of the World Audiovisual Heritage;Call
from Paris
http://www.fiatifta.org/aboutfiat/policy/petition/index.php
国際テレビアーカイブ機構はARD(ドイツ)、BBC(英国)、INA(フランス)およびRAI(イタリア)により、放送と視聴覚記録のアーカイブ、関連するドキュメンテーションの収集などの情報提供と研究促進を目的に、1977年に設立された。現在70か国が加盟。日本は1990年にNHKが加盟した。

国立公文書館は同館が所蔵する歴史公文書等の目録情報の検索(内閣文庫の和書・漢籍約43万冊)とともに、資料原本のデジタル画像を見ることができる情報提供サービスを開始した。いつでも、どこでも、だれもが、館所蔵の重要な歴史公文書等にアクセスできる、という。同アーカイブ・システムでは、現在は日本国憲法制定関係資料を含めた戦後改革の閣議案件など重要な公文書を中心に画像の提供をしている。
また、デジタル・ギャラリーとして、所蔵資料の中から、重要文化財や物理的に閲覧が困難である大判の歴史資料、色彩豊かな巻物やポスターなどについて、地域やカテゴリー、五十音順等から検索し、大判カラー画像に対応したJPEG2000、JPEG形式でそれぞれ閲覧できるようにした。現在、「日本国憲法」の原本のほか、一辺7メートルに及ぶ「天保国絵図」、主要都市の終戦直後における焼失状況を記した「戦況概況図」などを掲載している。
画像の表示に必要なプラグインソフト(JuGeMu PLAYER, DjVu Plug-in, AdobeReader)もホームページから無料でダウンロードできる。
国立公文書館デジタル・アーカイブ
http://www.digital.archives.go.jp/
宍倉佐敏、山本信吉 編著『高野山正智院伝来資料による中世和紙の調査研究』(2004年9月刊、特種製紙株式会社)を紹介する。
この調査研究は高野山正智院と、宍倉佐敏氏(元・特種製紙株式会社)および山本信吉氏(元・奈良国立博物館長)により平成11年から行なわれた。中世和紙の研究は、奈良時代(古代和紙)や江戸時代(近世和紙)のそれに比べ遅れていたが、今回、中世の古典籍・古文書の調査を通じてその実態が明らかになった。
成果を一口に言うと、「和紙が古代の溜め漉き技法から、近世の流し漉き技法に発展する過程の中で、半流し漉きと呼ぶべき技法が存在していたこと。その技法は我が国で典籍・文書の利用が進展するに伴って、それに適応できる和紙を作るため、工夫・開発された技法であり、それは厚紙から薄紙へという和紙の変化の過程を示しています。」(「ご挨拶」から引用)ということになるが、一章の「調査の概要とその成果」を元に、いま少し詳しく紹介したい。目次は以下の通りである。
ご挨拶
図版
一 調査の概要とその成果
二 高野山正智院の歴史と所蔵資料について
三 紙質調査について
四 中世印刷本の料紙について
五 中世書写本の料紙について
六 中世文書の料紙について
七 中世の高野紙について
参考資料
おわりに
高野山正智院伝来資料による中世和紙の調査研究
発行:平成16年9月31日
発行所:特種製紙株式会社 代表取締役 三澤清利
編集者:山本信吉、宍倉佐敏
非売品
入手等の問い合わせ先:(株)TS. スピロン 電話03-3256-7661
■文献史料と実物資料との乖離がもたらしたもの
これまでの日本の和紙の研究は豊穣であるが、その理由は、日本人の和紙への深い愛着とともに、文献史料が数多くあること、実物資料が多く残されていることが挙げられる。しかし、文献史料と実物資料との相互の交流検討が不足しており、和紙の実態、とりわけ中国からの影響の濃い古代と、日本独特の発展を遂げた近世に挟まれた「中世和紙」の研究はほとんど行われなかった。たしかに近世和紙は、加賀前田藩の『百工比照』の和紙の実物資料のように、産地その他との関連が解るものが数多く作られてきたが、このことが逆に、古代和紙も中世和紙も、江戸時代の近世和紙から類推して論じるという弊害をもたらした。しかし実際は、平安・鎌倉・室町の各時代のかけて紙質に改良が加えられ、江戸時代の和紙へとつながってゆくのだから、古代と近世の狭間の中世和紙そのものを理解しなければならない。またそうして初めて、厚紙から薄紙へという変遷の所以を突き止めることができる--。
その意味で、今回の調査研究の対象になった高野山正智院の経蔵は得難い史料群といえる。奈良時代から江戸時代までの典籍・古文書の筆写本も印刷本もあり、用途別の多用な料紙がある。また製作地域も推定できる。以上から和紙の紙質の変遷が判る。さらに、一部だが、文献資料との関係を確認できるものもある。
■調査の方法
調査は次のように行われた。まず、対象資料を印刷本、筆写本、古文書の三種類に分け、さらに時代別(平安、鎌倉、南北朝、室町、江戸前期)に分けた。紙質は日本工業規格「紙の繊維組成試験法」(JIS
P-8120)に基づき、紙の寸法、坪量、厚み、密度、簀跡、地合の良否、添加物の有無、打紙等の加工などについて行ったが、特に流し漉き、溜め漉きなど漉法は注意した。
分析調査は印刷本から始めたが、春日版、西大寺版、高野版などの印刷本が豊富なことと、これらに関する文献史料との関連性が密接であるためである。このことで杉原紙、檀紙、高野厚紙などの中世の厚紙の特質が把握できた。筆写本は本の体裁や内容、筆写の身分などによって使用した紙に紙質が異なることに留意したが、連歌関係典籍は室町から江戸前期にかけてのもので、料紙の薄手の和紙は中世から近世へと移行してゆく紙質の変化を見るのに最適であるため、他と区別して扱った。文書は公文書か私文書か、原本か写本か、発信者の身分によって料紙に差があることを考慮し、時代別、内容、性格別に分類し調査した。
■半流し漉きの発見
こうした調査の結果、中世和紙の特徴は「半流し漉き」というしかないことが明らかになった。これまでの和紙の製法は、溜め漉きか流し漉きのどちらかとされきたが、中世和和紙の紙面を観察すると、両面の繊維の動きが異なるのである。片面は一方向に繊維が流れている。初水(うぶみず)または化粧水と呼ばれる工程があったことになる。近世和紙の流し漉きと同様であるが、しかし、この工程の後に、漉き枠の中に原料液を多量に汲み込み、最後は枠の動きを停止して濾水することが行われたと見ることができる。近世和紙の「捨て水」の工程がないのである。この製法の紙は繊維は切断がない長い繊維で、粘り強く、柔らかく、なによりも中世書写材料に向いた厚みを備えている。
■用途による特徴
この半流し漉き紙を、印刷本、筆写本、古文書と、用途によって見ると次のような特徴がある。
印刷本は木版の鮮明さを出すために打紙加工をして表面の凹凸を修正したものが多い。鎌倉から室町前期頃までは手漉きの途中で枠の動きを停止して厚みを調整したと推測される。ところが室町後期から江戸前期頃までは停止時間が短くなり、繊維の流れが多くなって紙の表面が平らになる製法が取り入られ、打紙から、石などで磨く瑩紙(えいし)加工になってくる。
筆写本は、毛筆で文字を書くので打紙が少ないので表裏の違いも明確である。柔らかく厚みがあり、手触りも良いので豪華な書物が作りやすい。ただし、連歌関係の典籍は、室町後期以降の料紙が多く、連歌師が各地へ持ち運ぶため、軽く薄い料紙が求められ、近世紙に近い流し漉きのがある。
古文書の料紙は打紙は少ない。重要文書や証文などには高級紙が多く半流し漉きによる表裏の繊維の動きが異なる厚紙が多い。
南北朝から室町時代になると、漉簀の材質が萱から竹に変わり竹簀漉きの紙が多くなる。近世手漉きに近づき、薄い紙が主流になりつつある。
以上、第一章を元に、紹介したが、詳細は第二章以下になる。なお、今回の調査では厚み、坪量、密度の基礎的性質を測定し、数値化できた。これにより紙の柔軟度や剛度などが推定でき、原材料の違い、原料の洗浄量、公開の程度、内部添加剤の有無、打紙処理などの製法の違いも見いだせた、と宍倉氏は述べる(p.14)。さらにルーペによる表面観察や、一部は虫損細片での繊維分析もできたことで、「紙の本質」にまで迫れたのでは、としている。とかく「お宝」として、調査分析を許さない中世典籍や写本を、ここまで開示してくれた所有者の英断も敬したい。
以下は余談。著者の宍倉氏はある時に「半流し漉きというコトバが、特に文献史料に依拠して研究してきた研究者の間で受け入れられるようになるまでには、あと10年も20年もかかるかもしれません」と語ったことがある。
文責:木部徹(資料保存器材)

国際図書館連盟・資料保存分科会(IFLA Preservation and Conservation Section)はこのほど、資料保存に関する規格、実践指針、ガイドライン等をテーマ別に編集したカタログ
"FIRST, DO NOT HARM; A Register of Standards, Codes of Practice, Guidelines
Recommedations and Similar Works relating to Presrevation and Conservation
in Libr /aries and Archives" をPDFで刊行した(無料)。90年代から2004年までの図書館と文書館の資料保存に関する世界の規格、実践指針、ガイドラインほか関連文献を集約し、以下の10のテーマ別に分類、主要なものには解題が付いている。PDF中の数多いインターネット・アドレスからは直接、該当ページに飛ぶことができる。
1. Standards in general
2. Dictionaries of terminology: general
3. Preservation & Conservation in general
4. Education & Training
5. Environmental management
6. Security
7. Emergency planning/Disaster preparedness
8. Preventive conservation and storage
9. Preservation treatment/Restoration & repair
10. Reformatting/Creation of surrogates
"FIRST, DO NO HARM" とは、ヒポクラテスの医者の心得 "The
sooner, the better, but first do no harm" から摂ったもので、「まず何よりも
患者に害をなすなかれ」という意。資料保存における現在の考え方「治療よりも予防」と重なる。
FIRST, DO NOT HARM; A Register of Standards, Codes of Practice, Guidelines Recommedations and Similar Works relating to Presrevation and Conservation in Libr /aries and Archives
Compiled by: John McIlwaine
March 2005
PDF 79p (756KB)
http://www.ifla.org/VII/s19/pubs/first-do-no-harm.pdf<


より長持ちする装丁用の革の製法を共同開発するプロジェクトとその結果を英国図書館のサイトの
Towards a Long Lasting Leather が伝えている。
革装丁された本の表紙が時とともに赤茶け、強度を失い、やがて粉状になってゆく現象(レッド・ロット)は、世界中の、特に都市区域の図書館、文書館、博物館、美術館にとっては頭の痛い問題である。大気汚染物質(亜硫酸化物、窒素酸化物など)を革が吸収・蓄積して際立った酸性域になり酸性劣化が進んでしまうことが大きな原因であるが、革の製法そのものも、19世紀の中頃から、それまでの丁寧な作り方ではなくなり、最初から「長持ちしない」革になってしまった。
ガス灯が照明器具として使われるようになった時代からイギリスの図書館等はこの問題の解決のためにさまざな研究を行ってきたが、なかでも1980年代に英国図書館と英国皮革製造業者研究所(BLMRA=br /itish
Leather Manufacturer's Research Association)の共同研究は、「長持ちする装丁用の革」の製造法として期を画すとされた。一般的に装丁用の革は諸物タンニン鞣しが行われるが、この共同研究では酸性大気汚染物質に抵抗力をつけるため、植物タンニン鞣しとともにアルミニウム塩による鞣しをプラスすることが提唱された。この新しい鞣し法による革は、英国内のタンナーにより実用化され、国の規格にもなった(br /itish
Standard NO. 7451/1991)。
しかし、実際に装丁に使ってみるとさまざな問題が生じた。確かに耐久性はこれまでの革を凌駕するのだが、アルミニウム塩を入れたことで、「加工性」が著しく悪くなってしまった。削ぐと革が伸びてくるし、濡れが悪いために型押しや折返し等をしようとすると反発してしまう。箔の載りも良くない---。こうしたことで製本家に毛嫌いされてしまった。
今回、英国図書館が中心になった共同プロジェクトは、The Developmnet of Archival
Quality Leather と名付けられ、長持ちし、加工性も良い装丁用革の開発を目指している。ELKEDE, Design & Technology Centre の I A Loannid 博士がコーディネーターになり、英連邦国、ドイツ、ギリシア、イタリアのタンナー、製本家、図書館、美術館等がパートナーになっている。研究内容は---
1. 現状のアセスメント=現在使われている皮革をサンプリングし、72種類のサンプルに対して物理・化学的物性、官能物性、耐老化性を調べる、既存の人口加速老化試験(STEPやENVIRONMENTが提唱しているもの)の妥当性
2. 手作業で製本やコンサベーションを行う専門家が妥当とする官能性との整合
3. セミ金属塩鞣し法と全く新規の有機鞣し法を使い、基礎・開発・セミ・バルク製造とステップアップする
4. 実際の製本やコンサベーションでの適合性
現在の研究成果は以下の通り。
1. 市販されている皮革のサンプル(72)を試験した結果、大気汚染への耐久性があるものは、アラム・トウド皮、パーチメントとベラム、後加工されていないナイジェリアン・ゴート、アルミニウムで再鞣しされた植物タンニン鞣し革。
2. 既存の老化試験はパーチメント、クロム鞣し皮、アラム・トウド皮の長期耐久性を予測できない
3. 規格化された物理試験を使った、製本用皮革の物性を定義するためのプロトコール(ドラフト)が作られた
4. セミ・バルク規模での生産がタンナーで行われており、共同プロジェクトに参加しているメンバー以外の、外部の関連機関等での評価が進んでいる
Towards a Longer Lasting Leather
http://www.bl.uk/about/collectioncare/cooperationleather.html
セミ・バルク規模でのChieftain Goatskinの生産を行っているタンナーのひとつ
http://www.hewit.com/
■1980年代までの研究については
木部徹「製本用革の劣化とその対策」、ゆずり葉 (37):1986/1, p.690-694
オランダ国立図書館を中心にした製本用皮革の研究は
http://www.kb.nl/cons/leather/index-en.html