
英国NPO(National Presrvation Office)は10月10日に欧米の専門家を招聘し、英国図書館で「資料保存のための科学を理解する」と題した年次コンファレンスを開催する。コンファレンスは午前の「研究」と午後の「プロジェクトと実践」の二部構成。
前者では May Cassar(英国 Center for Sustainable Heritage)の「科学と資料保存」、Jana Kolar(スロベニア国立大学図書館文化財研究所)の「書写文化財の保存のための科学:SurveNIR
and PaperTreat プロジェクト」、Nels Olson(米議会図書館保存試験研究所)の「アメリカの資料保存科学」、Barry Knight(英国図書館保存修復部)とNancy
Bell(英国立公文書館保存修復部)の「英国の資料保存科学」が予定されている。
また午後の「プロジェクトと実践」では、Kostas Ntanos(英国立公文書館保存修復部)の「材料試験」、Helen Lloyd(英国ナショナル・トラスト)の「塵にするのか、しないのか? --ハウスキーピングのための研究」、Vicki Humphrey(英国図書館保存修復部)の「保存修復における実践はどのように様変わりしているか」、Nancy Belll(英国立公文書)の「まとめ」。
Understanding the science of preservation
http://www.bl.uk/services/npo/conf06.html

ゲッティ保存修復研究所(GCI = Gettty Conservation Institute)はこのほど、博物館環境におけるガス状汚染物質のモニタリング法を述べた
Monitoring for Gaseous Pollutants in Museum Environments を出版した。
博物館に収蔵されている文化財は、自動車排気ガス等の外からの汚染物質、建築物や展示ケース・棚等の備品、さらには文化財そのものからの分解ガス等の脅威にさらされている。本書はゲッティ博物館でのモニタリング・プロジェクトとケース・スタディでの研究成果をまとめたもので、特に「受動的なサンプリング法」(passive
sampling )に焦点を絞って、これによる各種の大気汚染物質のモニタリング法を詳説している。著者のCecily M. Grzywacz は同研究所の保存科学者。
160 pages, 812 × 11 inches
17 color and 19 b/w illustrations, 13 tables
$65.00
Monitoring for Gaseous Pollutants in Museum Environments
http://www.getty.edu/conservation/publications/newsletters/21_2/gcinews11.html
表記のニュースが Tecnobahn という技術ニュース専門サイトに載っている。1969年7月に人類初の有人月着陸に成功したアポロ11号の記録は、アポロが撮影したビデオカメラのビデオ画像アナログ波をオーストラリアの中継基地で受けて、さらにヒューストン宇宙管制基地まで別の中継基地を通って送信されたという。この際に各基地では「テレメトリデータ」という形式でオープンリールの磁気テープに記録されたが、行方不明になっている「原本」とはこの磁気テープのこと。
NASAは今回の「行方不明」について、複製がいくつもあると説明しているが、これはテレメトリデータにトリミングやコントラストなどを加えた「劣化データ」であり、「原本」の磁気テープには、複製によって公開されている記録以外のものも含まれているとしている。
「原本」は1970年にアメリカ国立公文書館に移管されており、Technobahn のページにはこの際の移管文書が掲載されているが、70年代の後半に再びNASAに戻され、以降、所在が不明になっているという。テレメトリデータを記録できるデータは、当時は高価だったために、他の使用目的のために上書きされた可能性も指摘されている。NASAでは原本テープの所在確認につながる情報を求めている。
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200608202252
文化財保存修復学会は来年の第29会大会を、6月16日(土)、17日(日)の両日、静岡県市民文化会館で開催する予定である。

和光大学附属梅根記念図書館は9月4日(月)に同大学でシンポジウム「本を捨てるな--共同保存図書館という可能性」を開催する。以下は同シンポジウムの案内のママ。
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いま日本の図書館は「保存」という大問題に直面しています。 とりわけ地域の公共図書館のばあい、図書館予算の大幅な削減によって、あらたな 本を収納するにはそれと同量の本を廃棄しなければならない、という悲惨な状態をし いられています。
こうした「玉突き」状況を余儀なくされている点では、大学図書館も特に特権的な場所にいるわけではありません。
この隘路を突破するにはどうすればいいのか? 複数の図書館が力をあわせて廃棄本を保存する「共同保存図書館」とか、地域の公 共図書館と大学図書館との相互利用システムの構築とか、さまざまな試みが生まれて います。
その当事者諸氏が一同に会して、図書館にとって「保存」とは何か、という古い問 いに新しいしかたで答えてみよう。それが今回のシンポジウムの目的です。ふるって ご参加ください。
「発言者」は堀渡(国分寺市立図書館)、佐賀原正江(神奈川県立川崎図書館デポジットライブラリー)、矢崎省三(東京農工大学図書館)、平山恵三(NPO共同保存図書館・多摩)
の各氏。
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詳細は下記ページで
http://www.wako.ac.jp/library/information/news/index.html#lecture
文化庁は文化財の修理や、保存・伝承、展示、そして調査・研究に対する助成や助成団体の一覧をまとめサイトに発表している。修理関係は4件、保存・伝承関係では14件、展示関係は6件、調査・研究では11件となっている。
文化財に関する助成・助成団体
http://www.bunka.go.jp/new_fr1.html
※上記ニュースは国会図書館が提供しているCurrent Awareness Portal の下記ページで教えてもらいました。
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=2108
アメリカ国立公文書館はこの3月に開催した第20会保存修復コンファレンス「差異を越えて:効果的な保存環境の定義と達成」での発表者による報告をパワーポイント(一部にPDF)で掲載した。同コンファレンスでは、建築コストやエネルギー・コストの増加する一方、予算は縮小傾向にあるなかで、欧米でのこれまでの環境制御と基準の歴史、保存のための必要条件の定義、環境制御のための機械的システムの理解、環境データの把握の仕方、歴史的な建築物をアーカイブとして使うときの環境制御、省エネルギーと保管環境との関係、地下・高地・遠隔地での保存--等のテーマが4つのセッションで話し合われた。
20th Annual Preservation Conference
Beyond the Numbers: Specifying and Achieving an Efficient Preservation Environment
http://www.archives.gov/preservation/conferences/2006/presentations.html<
独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所(以下、東文研)はこのほど2005年に実施した文化財整備津被害防除手法アンケートの結果を「文化財の生物被害防止手法には何が選択されたのか」として
TOBUNKEN NEWS (2006, No.25)に発表した。
これまで生物被害処置に用いられてきた臭化メチルが2005年初めに全廃された。これに伴い、博物館などでどのような代替手法が採用されているかのアンケート結果を、東文研が主催した研修会「博物館美術館等保存担当学芸員研修」と「文化財保護行政担当者のためのIPM入門」の参加者がいる「既研修館」と、研修歴のない「未研修館」に分けて解析した。その結果、どちらのグループでも半数以上の館が「念のため」に大規模薫蒸を行っている実態がわかった。しかし今後の生物被害処置法としては、化学薬剤のみに頼らない低酸素濃度処理・二酸化炭素処理・低温処理・高温処理を検討している割合が、既研修館では26%であるのに対して未研修館では9%に留まっていることもわかった。
TOBUNKEN NEWS (2006, No.25)
http://www.tobunken.go.jp/~joho/japanese/publication/news.html
英国に本拠をおく Insutitute of Paper Conservation(IPC) の国際会議が7月26~29日にスコットランドのエジンバラで開催された。今回の会議はIPC主催としては最後になり、IPCを含む英国のあらゆる分野のコンサーバターの連合組織 ICON(Institute of Conservation)の Book &Paper Groupe による初の国際会議になる。世界各国から400名を越えるコンサーバターや保存科学者等が集い、盛況だった。
基調講演を行った Helen Shenton (英国図書館蔵書ケア部長)は、今後は紙媒体に限らず、電子的な蔵書への配慮を強調した。また、紙を対象にした犯罪科学を専門にしてきた
Peter Bowerの発表のように、犯罪科学者と美術史家との学際的・業際的な取り組みによる成果も注目された。発表者の3分の1が海外(英国以外)からのものだった。治療的なコンサーバターの資格と別に、予防的な手当てを行うコンサーバター(preventive
conservator)の資格についても論議された。
この会議での発表をまとめた postprint は来年(2007年)に刊行される。
Forensics, Fibres, Fascicles, and Folding Screens
http://www.icon.org.uk/index.php?option=com_content&task=view&id=279&Itemid=15
IPC Fifth International Conference
http://www.icon.org.uk/index.php?option=com_content&task=view&id=101&Itemid=16
日本写真学会画像保存研究会は第23回画像保存セミナーを11月2日(木)に東京都写真美術館ホール(目黒区三田)で開催する。米国イーストマン・ハウス国際写真博物館から講師を招聘しての「写真の保存修復における歴史的写真技法の研究と実践」ほか、東京大学史料編纂所、国立歴史民俗博物館等でのケーススタディ、福井県での豪雨による写真原板の救済、国立国会図書館での電子出版物の長期保存の取り組み等が報告される。
詳細は以下に(PDF 430KB)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsccp/index-j.html
国立公文書館の機関誌『アーカイブズ』最新号(第.24号、2006/7)は尾立和則氏(絵画・文書修復家)による「資料所蔵施設における防災と救済計画」を掲載している(p.57-63)。以下は各章の要約。章タイトルは原文ママ。
はじめに
阪神・淡路大震災(1995年)を契機として資料所蔵施設における防災意識が高まり、これに応えて施設の機材販売業者は展示ケースの改良や内装材の改良を行い、施設側も防災対策の見直しを行った。それも震度7クラスの大きな災害への対処というだけでなく、現実的な策として、既存の設備でどのように対応するのかという情報の交換が行われるようになったことは注目して良い。
1.
防災計画
防災担当部署を設置し、建物の構造と設備への理解から始め、被害を最小限に抑えるための必要なことを明文化し、改善可能なことから順次実施する。
1.1.
防災計画は誰が作る
防災計画の作成は、自館の条件と同等の他機関でのそれを参考にし、保存担当部門と他の各部門とが共同して行う。防災意識を館全体のものにするためにも共同作業は必要であり、逆に失敗例として多いのが保存担当者任せにする場合である。建物本体や周囲への環境問題は法規則に準じて対策を講じる。備品の確認は職員自身で行うことが必要だ。
の
1.2.
緊急連絡網
災害発生時の、職場内と外との緊急連絡網を整備し、いつでも目に触れるようにしておく。
2.
救済計画(館蔵品への対応)
あらゆる被害に対してひとつの救済計画というのではなく、被害の規模によって、①被害時に館内にいた職員だけで対応、②出勤していない職員も動員しての対応、③外部の専門家(消防署、空調、冷暖房、コンピュータなどの建物や一般設備関連、防火設備関連、収蔵庫や書庫等の収蔵設備関連等々の各分野での専門家を指す)の応援による対応--というように複数用意し、それぞれに細かな作業マニュアルを作る。この際も他館のものを参考にすると共に専門家に助言をもらう。
2.1.
救済計画の目標
業務全体の復旧の進行に合わせた、救済の期間や程度を設定する。救済活動は応急手当というべきものだが、この活動によって被害の実態が明らかになり、復旧予算全体が把握できるようになる。活動の写真や映像の記録を残すと、復旧予算だけでなく、各種保険への基礎資料になる。また、緊急に行う保全処置ではあるが、処置のままの状態で何年も経過することもあるので、これを考慮した救済時の方法や資材を選択する。修復作業は可能な限り専門家の立ち会いや助言を求める。修復の優先順位の判断は館が行うが、処置難易度の判定は修復家に頼るしかない。
2.2.
館内の指揮系統を明確化
計画遂行のためのマニュアル完備と共に重要なのが指揮系統の明確化である。救済計画は防災担当部署が管理し、各部署との円滑な連携を図る。もうひとつ重要なことは広域災害時の対応である。自館が被災していない場合でも、周辺が被害を受け、その影響が自館に及ぶことがある。また、救援活動を求められる場合もあり、こうしたことを救済計画に盛り込むかどうかも協議する。さらに広域災害時には緊急の支援組織が立ち上がる場合があるが、主体が行政か任意団体かで支援内容が異なってくるので、組織に加わると依頼する場合とに応じた意思統一を図っておく。
まとめにかえて(防災計画とは大災害用なのか)
資料収蔵機関における災害とは震災だけではなく、豪雨による水害、火災や施設損壊による資料の損傷、台風等の被害も含む。また開館時の閲覧者への安全対策、停電や不法侵入者、落書き、害虫の発生からテロ対策なども含む。これらへの緊急連絡から応急処置までの流れを明確にしておく。
【要約文責:木部徹】
国立公文書館『アーカイブズ』第24号は同館から入手できる。また、12号から 再近号(No.23)までの全文が、以下のページにPDFで公開されている。
国立公文書館刊行物のご紹介
http://www.archives.go.jp/event/kankou.html

オンラインで世界中の文化遺産のデジタル画像へとアクセスできる Global Memory Net が発足した。記録遺産については、ユネスコが進めてきた世界の記憶(Memory
of the World)プログラムの登録済み遺産(57ヶ国の120アイテム、日本は無し)も全て組み込まれた。テキストや静止画像だけでなく、動画やオーディオ記録も駆使した総合的なサイトになる。
Global Memory Net は米国シモンズ大学図書館情報学部の陳清池(Ching-chih Chen)教授が提唱し、2000年から米国科学基金の援助で開発が進められてきた。
Global Memory Net
http://www.memorynet.org/
陳清池(Ching-chih Chen)
http://www.simmons.edu/gslis/about/faculty/chen.shtml

日本でも2003年に刊行された国際図書館連盟(IFLA)の IFLA Principles for the Care and Handling
of Library Material (『図書館資料の予防的保存対策の原則』)と、IFLA Disaster Preparedness and
Planning: A Brief Manual (『図書館災害の予防と計画』)が中国語に翻訳された。このうち『原則』はすでに英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、日本語、アルバニア語、アラビア語、クロアチア語、ギリシア語、ポーランド語、ポルトガル語、スロベニア語での翻訳が終わり、刊行されている。さらに現在、マレー語、ルーマニア語、トルコ語への翻訳が進行中である。
IFLAは過去に3回、「原則」を発表しているが、今回のは邦題の「予防的保存対策」が示すように、現場で導入しやすく、また効果が高い「予防策」に重点が置かれており、世界のどこの地域でも使える原則として広く受け入れられた。また、紙媒体とともに
、PDF化したものを無料でダウンロードできることも評価された。
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http://www.ifla.org/VI/4/news/pchlm-zh.pdf
![]()
http://www.ifla.org/VI/4/news/ipi6-zh.pdf
『原則』の日本語訳は国立国会図書館のサイトからダウンロードできる。
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/data_preserve_01.html
■内容の解説は以下に。
http://www.hozon.co.jp/cap/archives/030701/IFLA.htm