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almost daily news of preservation and conservation

図書館やアーカイブ等の資料保存に関する世界のニュースを伝える、ほぼ日刊のページです。 土日・祝日は休刊します。 リンクも引用も自由です。

2007年3月のアーカイブ

2007年3月29日(木)

NPO法人映画保存協会、東京・千駄木の新事務所に移転で4月15日から業務開始

NPO法人映画保存協会はこのほど文京区千駄木(東京)に事務所を移転することになった。新事務所は築100年の蔵で、ホーム・ムービー上映等の各種イベント会場としても活用する。業務開始日は4月15日(日)、営業日は当面は毎週日曜日11時~17時半。

NPO法人映画保存協会の新事務所
〒113-0022
東京都文京区千駄木5-17-3
電話/FAX 03-3823-7633

2007年3月28日(水)

記録資料の世界遺産に与えられる今年のユネスコ『直指賞』にマレーシア国立図書館など3機関が

現存世界最古の金属活字本『直指心体要節』(1377年に高麗で印刷、フランス国立図書館蔵)にちなんでユネスコが設けた『直指賞』(UNESCO/Jikji Memory of the World Prize)の今年度の受賞者が決まった。23のノミネートのなかから次の3機関に与えられる。

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オーストラリア学士院の音声・画像アーカイブ(Phonogrammarchiv of the Austrian Academy of Sciences):世界最古の音声アーカイブで、音と画像資料の保存の発展への貢献に対して。

フランス国立音声・画像アーカイブ(French Institut National de l'Audiovisuel ):国際的に貴重な音声・画像資料の現物の保存とデジタル化に対して。

国立マレーシア図書館(National Library of Malaysia):貴重な資料の保存と利用に対して。
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Three nominations pre-selected for UNESCO/Jikji Memory of the World Prize

2007年3月26日(月)

日本アーカイブズ学会、4月21、22日に年度大会、映画、写真、古文書等のアーカイブの現状と問題で

日本アーカイブズ学会は4月21、22日の両日、学習院大学(東京・目白)で2007年度大会を開催する。非会員も参加できる。大会は21日(土)の総会の後に大会講演会として樺山紘一・印刷博物館館長が「博物館と文書館の間」を、22日(日)は自由論題研究発表会として、舞台衣装、映画関連企業資料、建築・建材史料、写真、行政文書、古文書等々にについての発表が行われる。詳細は以下のページから。

日本アーカイブズ学会

2007年3月20日(火)

メロン財団基金が図書館資源情報財団(CLIR)の5つのテーマに200万ドルを助成、資料保存にも

図書館資源情報財団(CLIR: Council on Library and Information Resources) はこのほど米メロン財団基金から219万ドルの助成を受け、5つのテーマに重点的に投入することになった。Cyberinfrastructure、The Next Scholar、The Emerging Library 、Leadership、New Models そして Preservation(資料保存)で、資料保存の内容は複雑化する技術、政策、経済環境におけるあらゆる媒体の継続的な保存になる。

Mellon Foundation Awards CLIR $2.19 Million Operating Grant

2007年3月19日(月)

映画保存の専門家が一堂に会する国際フィルム・アーカイブ連盟の東京会議が4月7日から

世界の映画保存機関や専門家が一堂に会する「第63回国際フィルム・アーカイブ連盟(FIAF)東京会議2007」が、東京国立近代美術館フィルムセンターをホストとして、4月7日(土)から12日(木)まで開催される。FIAF会議としては初めて日本で開催されるもので、映画保存の観点から、映画史や映画技術史を再考するとともに、著作権とフェア・ユースの問題、デジタル技術と映画保存の関係など多岐にわたるテーマを、映像を交えた発表を通じて議論する。現在、参加者を募集中。〆切は3月27日。詳細は以下のページで。

第63回 国際フィルム・アーカイブ連盟東京会議2007

米図書館協会のPARSがデジタル資料保存のためのメーリング・リストDIGIPRESを設置、参加を呼びかけ

アメリカ図書館協会(ALA)図書館蔵書・技術サービス委員会(ALCTS: Association for Library Collections and Technical Servicesno)の代替・保存分科会(PARS: Pre-servation and Reformatting Section)はこのほデジタル資料保存に関する意見交換の場としての新しいメーリング・リスト DIGIPRESを発足させた。アメリカ国内だけでなく、この問題に関心のある世界の図書館員・アーキビスト・学芸員にリストへの参加を呼びかけている。日々の疑問や質問に対して、誰かがリストに載せると、他の人が答や示唆を与えてくれたり、デジタル保存に関する新しい出版物や会議等の情報を掲載する。参加希望者は以下のページで。

http://lists.ala.org/wws/info/digipres

2007年3月15日(木)

米IMLS、美術館・図書館・文書館のコンサベーションのための書籍やDVD等を収集し「本棚」として配布

米 Institute of Museum and Library Services (IMLS)は、小・中規模の美術館や図書館、博物館での保存修復(コンサベーション)業務を支援するために、コンサベーションに関連する書籍、文献、DVD、オンラインでの情報元を集めた Conservation Bookshelf を作り、配布することになった。現在、この「本棚」の設置を希望する機関を募集している。

IMLSは全米の122,000の図書館、17,500の美術館・博物館で組織する機関で、Connecting to ollections initiative として、さまざまな業務に対しての協力支援を行っている。今回の Conservation Bookshelf もその一環。さまざまなタイプの所蔵資料に対する保存手当てや、そのための計画、防災等に関する情報を収集し、こうした業務への支援が必要な小・中規模の機関に「貸し出す」。

IMLS Requests Proposals to Purchase, Promote, and Distribute a Conservation Bookshelf

2007年3月13日(火)

昨年11月開催の第7回「博物館・アーカイブの屋内環境(IAQ)会議」の報告スライドがPDFで、日本からも2件

昨年11月15-17日にドイツのブラウンシュヴァイクで開催された第7回 Indoor Air Quality (IAQ)の国際会議での発表のスライドがPDF形式でIAQのサイトに掲載された。博物館・アーカイブの資料やヒトに与える屋内環境汚染物についての研究の現状が報告されている。各国内や国際的な規制を踏まえた屋内大気汚染との関連や資料の劣化メカニズム、アセスメントの方法などが採り上げられた。日本からも二つの発表が行われた。niho

Plenary sessions

P. Brimblecombe, University of East Anglia (UK): Composition and chemistry of museum air (in pdf, 964 kb)

Y. Sekine, Tokai University (Japan): Indoor air standards in Japan for healthy living environment (in pdf, 704 kb)

Simon F. Watts, Oxford Brookes University (UK): Indoor air standards for cultural heritage? (in pdf, 154 kb)


Session on Chemical Analysis

P. Mottner, Fraunhofer Institute for Silicate Research (Germany): Early warning dosimeters for monitoring indoor museum climate: Environmental impact sensors and LightCheck TM (in pdf, 7.5 Mb)

M. Ryhl-Svendsen, School of Conservation (Denmark): An elastomer dosimeter for monitoring ozone exposures in museum storage rooms(in pdf, 808 kb)

E. Dahlin et al, Norwegian Institute for Air Research (Norway): An early warning dosimeter for organic museum objects (in pdf, 493 kb)

M. Butsugan et al, Hitachi Chemical Co. Ltd. (Japan): Measurement of volatile organic compounds in indoor air of museum by serially connected passive samplers (in pdf, 327 kb)

V. Costa et al., IRRAP (France): Evaluation of the environmental impact on metal artefacts using electrochemistry and grazing incidence XRD (in pdf, 832 kb)

T. Prosek et al., Institut de la Corrosion (France): Automated corrosion sensors for on-line real time monitoring of indoor atmospheres (in pdf, 7.6 Mb)

M. Ormsby, National Archives (USA): Pollutant monitoring in archival storage areas using a modified SPME fiber (in pdf, 2.3 Mb)

H. Abdul Aziz et al., TNO Built Environment and Geosciences (The Netherlands): The development of a diagnostic tool in order to contain the Vinegar Syndrome by effective collection management (in pdf, 290 kb)


Session on Dust and Particles

W. Wei et al., Netherlands Institute for Cultural Heritage (The Netherlands): Experience with dust measurements in three Dutch museums (in pdf, 832 kb)

J. Holmberg et al., Royal Institute of Technology (Sweden): Airborne particles in a large portrait collection (in pdf, 2.21 Mb)

K. Hallett et al., Historic Royal Palaces, (UK): Visitor responses to conservation of historic interiors (in pdf, 795 kb)

M. Ryhl-Svendsen et al., School of Conservation, (Denmark): Indoor air pollution from wood burning in 18th and 19th century Danish kitchens: Carbon monoxide and fine particle concentrations measured at the open air museum of Lejre Experimental Centre (in pdf, 2 Mb)


Session on Biocides

T. Salthammer et al., Fraunhofer Wilhelm-Klauditz-Institut (Germany): Occurrence of organic and inorganic biocides in the museum environment (in pdf, 587 kb)

S. Krug et al., Berlin (Germany): Biocide determination in ethnological collections - a methodological approach (in pdf, 1.4 Mb)


Session on Monitoring

Ch. Muller et al., Purafil, Inc., (USA): Air Quality Monitoring in European Museums: 2000 to prevent (in pdf, 2.8 Mb)

J. Havermans, TNO Built Environment and Geosciences (The Netherlands): EU COST Action D42 - Chemical interactions between cultural artefacts and indoor environment (EnviArt) (in pdf, 616 kb)

M. Odlyha et al., Birkbeck College (UK): Use of spectroscopic and impedance techniques to monitor the cumulative damage caused by indoor environmental factors on organ pipes - Part A (in pdf, 1.3 Mb)

M. Odlyha et al., Birkbeck College (UK): Use of spectroscopic and impedance techniques to monitor the cumulative damage caused by indoor environmental factors on organ pipes - Part B (read by A. Caviccioli) (in pdf, 1.2 Mb)


Session on Corrosion

M. Saheb et al., Centre de Recherche et de Restauration des Musées de France (France): Corrosivity assessment in museums and archives: standards and recommendations (in pdf, 223 kb)

T. P. Nguyen et al., Bibliothèque Nationale de France (France): Indoor air pollution in the new building's storage areas of the French national Library: effects on the corrosion of copper and silver and on the paper cellulose - I. First results (in pdf, 1.9 Mb)

M. Dubus et al., Centre de Recherche et de Restauration des Musées de France (France): The dependance of the corrosion of silver collections on the nature of showcases textiles (in pdf, 3.3 Mb)

A. Adriaens et al., Ghent University (Belgium): Stabilization of corroded lead artefacts in museums: Insights into the effects of electrolytic reduction as a treatment (in pdf, 1.2 Mb)


Session on Show Cases

O. Hahn et al., Bundesanstalt für Materialforschung und -prüfung (Germany): Indoor air quality in show cases - an attempt to standardise emission measurements (in pdf, 536 kb)

A. Schieweck et al., Fraunhofer Wilhelm-Klauditz-Institut (Germany): Chemical substances in newly constructed showcases (in pdf, 1,1 Mb)


7th Indoor Air Quality 2006 Meeting (IAQ2006) Presentation slides

2007年3月6日(火)

米英の4つの関連機関共催で「紙媒体印刷物の技術、歴史、コンサベーション」国際コンファレンスが9月に


アメリカ保存修復学会(AIC)と英ノーザンブリア大学、米印刷学会、英ナショナル・トラストの共催による国際コンファレンス Printed on Paper: The Techniques, History and Conservation of Printed が今年9月5~7日にノーザンブリア大学で開催されるが、このほど発表プログラムがまとまった。50近い応募の中から29の発表が行われる。発表者は学芸員、図書館員、アーキビスト、コンサーバター、保存科学者等、テーマもメキシコ、中国、ヨーロッパの印刷物、ファブリアーノ紙を媒体とした印刷物、ウオーホールのスクリーン印刷物等の現代絵画、レーザー、インクジェット等によるデジタル印刷物と多彩。、こうしたテーマに絞った国際コンファレンスも、米英共催も初。予稿集を編纂し直した Printed on Paper: The Techniques, History and Conservation of Printed Media が同大学から来春にも出版される予定である。

Printed on Paper Conference

2007年3月5日(月)

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安江明夫論文「ビネガー・シンドローム問題再考 -- マイクロフィルムの保存のために 」

日本図書館協会発行の雑誌『現代の図書館』(vol.44, No.4, 2006/12)は安江明夫「ビネガー・シンドローム問題再考 --- マイクロフィルムの保存のために」を掲載してる(p.240-251)。

同論文の構成は次の通り。

はじめに
1. 問題の発見
2. 問題解決への取り組み
 2.1  TACフィルムの劣化研究
 2.2  PETへの移行
3. 図書館、文書館の対応
 3.1  世界の動向
3.2  日本の動向
4. 残された課題 -- 今後に向けて

以下は同論文の要約。

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はじめに
図書館・文書館の代替保存策としてのマイクロ・フィルムはメディアが長期保存に耐えるという理由で採用されてきたが、最も一般的に使われてきたTAC(トリアセテートセルロース)フィルムが自生する酢酸によって劣化してしまうことが明らかになり、保存性に優れたPET(ポリエステル)フィルムへと移行が進んできた。「ビネガー・シンドローム」と呼ばれるこの現象による問題は、しかし、解決済みではない。移行以前のTACフィルムは全国の図書館・文書館に膨大にあり、確実に劣化が進行している。その日本での採用時期から推して、問題がより顕著になるのはこれからである。「ビネガー・シンドロームを過去の問題としないこと、そしてTACフィルムなどのマイクロフィルム資料群を我々が責任をもって保存していく」ために、問題の歴史的経緯と今対応策を整理した。

1. 問題の発見
マイクロフィルムの資料保存分野での採用は1930年代のアメリカで始まり、日本では戦後になって国会図書館や国立大学図書館で採用され、素材の安定性が良いとされたTACフィルムが使われてきた。しかし、マイクロフィルムの保存性は使用素材、現像処理、保存方法の三つが全て整ってのことである。80年代になって米国で行われた調査ではすでにビネガー・シンドロームによる劣化が指摘されている。分解反応は極めて遅いにも関わらず、この時に出てくるわずかな酢酸が閉じ込められ、反応の触媒になって加水分解を促進させる濃度になる。すると更に酢酸が生じて反応が加速されるという連鎖反応になる。長年使われてきたTACに、1980年代になって一斉に問題が出てきたのは、連鎖反応が保存中のある時期から発生するため事前に予測できなかったこと、保存されてきた30年間では急速な劣化に至らなかったこと、TACは発火性のあるニトロセルロース・フィルムの問題を克服したものとして広く認識されたことが理由である。TACフィルムの劣化は早くから映画フィルムとしては問題視されてきたのだが、マイクロフィルムの保存性として問題になるのは80年代も末になってからだった。

2. 問題解決への取組み
米英仏の専門家による研究により酢酸を自触媒とした加水分解と加速が、またフィルム劣化の尺度はpHではなく遊離酸度が適切であること、当初は緩慢だが、遊離酸度が0.5を越えるとビネガー・シンドロームが発症し劣化が急速に進行していくことが解った。さらに保管環境(主として温度と相対湿度)が劣化のスピードに大きく関与することも明らかになった。

TACフィルムに対するこうした研究実績を背景に、図書館や文書館では、80年代末から90年には、より優れた長期保存性を持つPET(ポリエチレン・テレフタレート)フィルムへの移行が行われるようになった。しかし日本は世界の趨勢に遅れ、PETへの移行は93年前後になる。

規格への反映をISO規格で見ると、1986年版、1992年版、さらに1996年版へと改訂され保管条件については詳細になったが、内容は大きな変化はなかった。ようやく2000年版で「長期保存性」とは500年保存のことが明確にされ、TACとPETを区別しての保管条件も提示された。それによると、TACの500年保存を前提とした保管条件は温度2~7℃、相対湿度は20~30%(それぞれ温度と相対湿度の設定で異なる)、PETは21℃以下、20~50%とされた。ちなみにISOの2000年版に対応する国内規格はまだ策定されておらず、業者団体からの出版物に保管条件が紹介されているのみである。

3. 図書館・文書館の対応
保管条件によっては30~40年で利用不可能になるというこの問題に対して図書館・文書館はどのように対応したか。90年代央からのIFLA(国際図書館連盟)、ICA(国際文書館会議)等のマイクロフィルムの保存に関する出版物(例:IFLA『予防的保存対策の原則』 第5章 写真およびフィルム媒体)を見てもビネガー・シンドロームの重要性、緊急性の認識は薄かった。

ここにきて新しい取組みがでてきた。オーストラリアでは国立図書館が中心になった全国調査やアセテートセルロース・フィルム情報のためのネットワーク(ANICA)の立ち上げなど、全国規模での取組を始めている。英国図書館は2002年から連続した国際フォーラム(CAMF)を開催してきた。とはいえ、この問題が技術的な課題で一般に理解しにくいこと、マイクロは二次資料扱いで保存の重要性の認識が低いこと、そして英米諸国では劣化がそれほど進んでいないために危機意識が薄いことが見て取れる。

しかし、マイクロでしかアクセスを保証できない場合は少なくないし、これまで投じられてきた資金も考慮しなければならない。さらに熱帯・亜熱帯地域では劣化はさらに酷く、米英での認識とは異なることも考えなければならない。

日本では国会図書館が1990年に専門調査委員会を設け、その結果を踏まえて「フィルムを密封しない、巻き返す」等の対処的な方策と合わせ、1992年にはネガフィルム専用保管庫を設置している。こうした動きに合わせるように図書館・文書館界では議論が巻き上がり、新聞にも採り上げられることになって、ネガフィルムの保管整備や検査・クリーニングなど一部には具体的な成果も上がったのだが、しかし十全な対応というには至らなかったのが現実ある。

4. 残された課題--今後に向けて
図書館等のマイクロフィルムは図書・雑誌のようには問題が見えにくい。"out of sight, out of mind"になりがちだが、これを "keep in mind"に切り替えるにはどうしたらよいのか。まず、保存状態を把握することであり、そのための調査を実施することである。フィルム資料の劣化を測定するための簡易なツール A-D (Acid-Detective) ストリップがあり、変色のレベルに応じた対応策が示されている。これらと合わせてフィルムの巻き返しによる酸の放散、キャビネットへのガス吸着剤の導入、劣化フィルムの別置等の対策も講じる。

こうした対策が幅広く行われるように日図協や全史料協は働きかける必要があるし、図書館等だけではなく、マイクロフィルムを持つ自治体や企業、諸機関への啓蒙も社会的な役割ではないか。

おわりに
蔵書の酸性紙問題は「スロー・ファイア」(緩慢な火災)と称されたが、同じ火災にマイクロ・フィルムが見舞われている。しかも、フィルムの制作主体は図書館・文書館である。劣化の原因、点検方法、対処についてすでに知見と経験がある現在、具体的な取組みが十全でないのは、文化資産、情報資源の保管者としての我々の怠慢であろう。「早期発見、早期対処」に取り組んでいかねばならない。

(要約の文責:木部徹)

『現代の図書館』

マイクロ資料の劣化対策(国立国会図書館の事例)

東京大学経済学部における資料保存対策事業の成果とその意義(マイクロフィルム状態調査を含む)

国立国会図書館:マイクロフィルム保存のための基礎知識


■A-D ストリップ(A-D Strips)について

フィルム資料の酸性劣化を測るための紙片。BCG(ブロモクレゾールグリーン)という薬品が含浸させてある(写真の右上)。写真資料の保存の研究機関として世界的に知られる米Image Permanence Institute(IPI)が開発した。密閉性の高いアルミ袋に詰めて販売されている。価格は、アルミ袋ひとつにストリップ(1 1/2" x 3/8") 250枚入りで、45ドル(1~4袋購入の場合)~27ドル(10袋以上の場合)。



フィルムが入った容器、あるいはフィルム資料を密閉できる袋等にストリップを入れて一定時間おくと、フィルムから発する酸性ガス(主として酢酸)に反応して変色する。



附属の鉛筆(写真参照)のカラーチャートの「変色なし(青)から黄色」までの5段階が次のフィルムの状態とそれへの対処を示す。
 (日本語訳は安江論文から)


経時による酸性度アップと変色レベルとの関係は以下の通り。劣化が劇的に早まる「自触媒反応の作用点」に注意。





        (当社での事例:変色したA-D ストリップを一覧した)


入手法とともに、詳しい使い方が以下のIPIのページに掲載されている。

A-D Strips
http://www.imagepermanenceinstitute.org/shtml_sub/cat_adstrips.shtml

2007年3月1日(木)

『資料保存の3つのD --災害、展示、デジタル化』国際シンポジウムの予稿集がPDFで

昨年3月にフランス国立図書館と国際図書館連盟(IFLA)の共催により開かれた国際シンポジウム International Symposium the 3-D's of preservation disasters, displays, digitization の予稿集が、International Preservation Issues No.7 としてIFLA-PAC(資料保存分科会)のサイトに掲載された。主な内容は以下の通り。

OPENING SPEECH: FORTY YEARS OUTSIDE LOOKING IN: PANACEAS, PRINCIPLES AND PRAGMATISM(資料保存の40年を外から見ると--方策、原則、プラグマチズム) by JOHN MCILWAINE

KEYNOTE ADDRESS: THE FUTURE OF PRESERVATION(資料保存の未来) by DEANNA B. MARCUM


第一セッション:災害 (座長:PAC ディレクタ Marie-Therese Varlamoff)

THE NEVER-ENDING CHALLENGE: DISASTERS AND PRESERVATION IN CHILE(終わりなき挑戦--チリの図書館災害と資料保存) by XIMENA CRUZAT A.

FORESEEING AND DEALING WITH THE UNFORESEEN - LIBRARY DISASTERS IN PERSPECTIVE(予測できない事態の予測と対処 -- 図書館災害へのある視点) by PER CULLHED

FROM DISASTER PLAN TO ACTION PLAN(防災・救助計画から実行計画へ) by SARAH-JANE JENNER

LE PLAN D’URGENCE DE LA BIBLIOTHEQUE NATIONALE DE FRANCE (フランス国立図書館の防災・救助計画)by JOSIANE LAURENT

TOWARDS A NATIONAL DISASTER RESPONSE PROTOCOL(国レベルのプロトコールへの提言) by RANDY SILVERMAN


第二セッション:展示 (座長:スミソニアン機構図書館 Nancy E. Gwinn)

LES CONDITIONS DE CONSERVATION DES DOCUMENTS GRAPHIQUES ET PHOTOGRAPHIQUES LORS DES EXPOSITIONS (資料保存からみた記録資料や写真資料の展示の状態) by JOCELYNE DESCHAUXEXPOSITIONS ET CONSERVATION : DE LA NORME À LA REALITE (展示と資料保存--原則と現実) by ANNE-HELENE RIGOGNE ET BRIGITTE LECLERC

DISPLAYS: THE ROLE OF PRESERVATION IN EXHIBITIONS ATTHE LIBRARY OF CONGRESS(アメリカ議会図書館での展示における資料保存の役割) by DIANNE VAN DER REYDEN


第三セッション:デジタル化(座長:英国図書館 Helen Shenton)

NETWORKING FOR DIGITAL PRESERVATION: CURRENT PRACTICE IN NATIONAL LIBRARIES(デジタル保存のためのネットワーク--15の国立図書館での実践の現状) by INGEBORG VERHEUL

CONSERVATION ET ACCES AUX RESSOURCES NUMERIQUES ALA BIBLIOTHEQUE NATIONALE DE FRANCE(フランス国立図書館におけるデジタル資源の保存とアクセス) by CATHERINE LUPOVICI

MAKING (PRESERVATION) PLANS TOGETHER - PLANNING STRATEGIES FOR DIGITAL PRESERVATION IN THE NETHERLANDS AND EUROPE (資料保存計画の共有 --オランダおよびEUでのデジタル保存のための戦略を練る) by HILDE VAN WIJNGAARDEN

NATIONAL DIGITAL INFORMATION INFRASTRUCTURE AND PRESERVATION PROGRAM:WHAT WE HAVE ACHIEVED SO FAR AND WHERE WE ARE HEADED? (デジタル情報のインフラ整備と保存計画 -- なにが達成され、どこに向かうのか?) by LAURA CAMPBELL


IPI number 7:Proceedings of the international Symposium the 3-D's of preservation disasters, displays, digitization

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