
オランダ国立図書館はこのほどドイツのCCS(Content Conversion Specialists)社と同図書館が所蔵する新聞のうち800万ページをデジタル化することで契約を結んだ。新聞は電子テキスト化され全ての内容の検索が可能になる。また国家的な計画に基づく新聞データベースに組み込まれる。スキャニングを担当するのはオランダのM&R社で、月20万ページのペースでデジタル化し3年で終了する予定。2009年にはオンラインでの利用がスタートできるとしている。古いものは1618年まで遡り、20世紀のものまで包含する。
Koninklijke Bibliotheek start met digitaliseren acht miljoen pagina’s historische kranten
(株)パレットは文化財の保存修復に使う実際の材料や機器を見ることができる商品ショールームを東京・上野桜木町に6月2日に開設する。同社が扱うスイス・ラスコー社の接着剤や、オランダ・ムンツ社のミュージアム・クリーナー(掃除機)、スチーム・ジェネレーター(洗浄機)等が並ぶ。
ドイツ語圏のペーパー&ブック・コンサーバターを中心にした組織 IADA の機関誌 PapierRestaurierung の最新号(Vol.9, 2008、No.1)は以下の論文を掲載している。
Sabine Guttler: Starkeether in der Papierrestaurierung; Eigenschaften und
Einsatzmoglichkeiten der Hydroxyethylstarke Kollotex 1250. (ヒドロキシ・エチル・エーテル Kollotex 1250 による紙力強化)
Marine Letouzey, Maud Barbalat und Veronique Rouchon:Nebenwirkungen ionischer
Fixative. (滲み止めの副次的影響、変色 vs 人工及び自然劣化)
Weronika Liszewska und Zofia Goliszewska: Das Untergrundarchiv des Warschauer
Ghettos. (強制収容所ワルシャワ・ゲットーの地下文書館)
このうち Nebenwirkungen ionischer Fixativeの内容は以下の通り。
水性処置の際に滲んでしまうインクなどの色材をあらかじめ不溶性にするイオン系滲み止め薬剤が紙媒体の修復の現場で使われるようになってきた。その効果についてはいくつかの研究が発表されているが、長期の影響についてはほとんど研究が行われていない。この論文はアニオン系二種、カチオン系二種、その混合薬剤一種を、三種類の紙に適用した副次的な影響を調べたもの。人工光と自然光下での変色、温湿度を変化させた加速老化試験での物理的な変化を見たところ、処置後にリンスしたものは物理的な強度の低下は認められなかった(ゼロ・スパン試験による)。しかし、元々白色度の高い紙の変色が生じ、洗浄しない紙では特に著しいが、洗浄や脱酸性化処置を施したものでも変色し、アニオン系薬剤
Mesitol が最も変色した。イオン系薬剤での滲み止めは、洗浄や脱酸性化を行っても長期的には副次的な影響がでるだろう。
Abstracts aus der PapierRestaurierung Vol. 9 (2008) - No. 1

2004年に盗難に遭い、2006年にムンク美術館に戻ったものの、破れや剥離等の破損が生じていた「叫び」と「マドンナ」に、2年に渡る最小限の介入(minimum
intervention)を原則としたコンサベーションが施され、このほど同美術館で展示された。同美術館のサイトには、この作業に携わった Mette
Harvevold 女史を中心にしたコンサベーション部門での作業の詳細な様子を伝えるページが掲載されている(ノルウェイ語と英語で)。
Scream and Madonna - Revisited
※なお、この処置には出光ペトロリアムノルゲからの資金援助を得ている(下記の日本語版でのプレス・リリースを参照)

カナダ文化財研究所(CCI)はこのほど小規模な博物館やアーカイブが所蔵するオーディオ・テープ、ビデオ・テープ、CD、DVD等の電子メディア・コレクションを長期保存し利用してもらうためのマニュアル
Electronic Media Collections Care for Small Museums and Archives を作成しサイトで公表した。様々な素材や環境要因が複合的に影響することで、そのメディアがどのぐらい持つかを一概に測ることは難しいとしながらも、磁気ディスク、磁気テープ、光ディスクなどの各メディアの予想寿命を提示した上で(上記表を参照)、コレクションとしての調査の方法(メディアの種類は、再生するためのソフト機器およびその保有の有無は、メディアの状態は、記録の価値は)、各メディア別の保管法の改善(保管環境、収納ケースの良し悪し、置き方、ラベルの付け方など)、リ・フォーマッティングの準備と実際(フォーマットの選択、メディアの選択、テスト・ラン時の注意)、書誌やリ・フォーマッティングに関する事項の記録化(いつ、どのように記録されたのか、コンテンツの種類、オリジナルの記録になにが生じたためにリ・フォーマットするのか、どのように利用されてきたものなのか、採用したリ・フォーマットの方法)まで、4つのステップを簡潔に説明している。
Electronic Media Collections Care for Small Museums and Archives
全国歴史資料保存利用期間連絡協議会(全史料協)は12日、内閣官房公文書管理検討室の村井仁史参事官に上川陽子公文書管理担当大臣宛の要望書「文書管理法(仮称)制定に向けての要望について」を手渡した、と同協議会のサイトが伝えている。文書管理に関する法の整備と施策の確立等、4項目を骨子としたものだが、民間所蔵の歴史的文書も保護できる基本法の制定と施策も求めている。これにたいし村井参事官は「民間の文書保存はこれまでになかった論点」とコメントしたという。15日に開催された有識者会議では要望書への言及はなく、次回の28日やそれ以降に予定されている会議での論点になるかどうかが注目される。
「文書管理法(仮称)制定に向けての要望について」を上川陽子公文書管理担当大臣宛に提出しました
17、18日の両日、九州・大宰府で開催された文化財保存修復学会第30回記念大会の研究発表要旨集から、本紙関連の2つの成果を紹介する。
被災した近現代歴史資料の救済のための簡便な真空冷凍乾燥法の開発① (九州国立博物館・村田忠繁、元興寺文化財研究所・川本耕三 ほか、大阪市文化財協会・藤田浩明)
ワンボックス車に搭載して移動、現場で稼動でき、汎用の材料で修理可能な装置の製作。一晩水に漬けた後、マイナス40℃で凍結させた中質紙の冊子を凍結乾燥させた結果、おおむね水の昇華曲線上の数値を保ったまま資料が乾燥することを確認できた。既存の設備に比べて破格に安価で、効果は遜色ない。
「簡易万能型の太巻芯」の活用--博物館における対症修理 (保存修復技術者・鈴木晴彦 ほか、東京国立博物館・神庭信幸 ほか)
書画の掛軸装や巻子装の強い巻き癖や折れを太く巻くことによって負担を軽減するための太巻芯を、管の縦方向に開閉する中性の紙管と、元の巻芯をその直径サイズにほぼ合った状態で紙管の内側で支える楮紙との構成で作成した。
※既報のように今回は15本ほどの紙媒体関連の発表が行われたが、上記のものを除き、「成果」と呼ぶほどの新規性のあるものはなかった。先行成果(とりわけ海外の)への遡及がほとんど行われない「研究」と「学術発表」が依然として続いているのも相変わらずである。
【要約文責:木部】
中野修氏(現・特種製紙テクニカルアドバイザー)が、文化財の保存や保護に不可欠の中性アーカイバル紙や厚紙の開発・普及の功績により、今春の黄綬褒章を受章した。
国立公文書館の機関誌『アーカイブズ』(第32号)は安江明夫氏による「大量脱酸技術の展望--マネジメントの視点から--」を掲載している(p.29-36)。「本稿の主眼は、大量脱酸技術の歴史と現状を視野に置き、図書館・アーカイブズが本術を保存計画にどのように組み入れるべきか、それをマネジメントの視点から展望することにある」。章節の構成は以下の通り。
1. 酸性紙問題への取り組み
2. 大量脱酸技術
2.1 初期の展開
2.2 大量脱酸技術の研究と評価基準
2.3 第2世代
3. マネジメントの視点から
3.1 保存計画における位置づけ
3.2 対象資料群
3.3 技術評価と適用の時期
結び
※なお、『アーカイブズ』本号は上記の安江論文の他に、「Ⅰ文書の保存・管理、修復技術について」(p.1-28)特集として青木睦氏「アーカイブズ保存の理論」と、同公文書館が定期的に開催している実務担当者研究者会議への参加記録・報告を掲載している。しかし、いまだに「最良の保存法は修復」、もしくは「保存修復とは技術の課題」というトラウマから脱しきれないでいるという印象を拭えない。そのことは、本来ならば保存計画の立案とその運営すなわち保存管理を語るべき立場にあるであろう青木氏の講演の冒頭が「アーカイブズの保存・修復というのは、日々技術革新で変わってまいります」(p.1)で始まり(もちろん、そんなことがあるはずがない!! --
木部)、プリザベーション・アドミニストレーターが必要とは言いつつもその仕事の中身についてはほとんどなにも語っていない、あるいは誤解していることに象徴されるように思われる。また、こうした資料保存の研修会と言われるものが、国会図書館による類似のものも同様、結局は傷んだモノをどう治すかの修復技術研修会になってしまうことにも象徴される。資(史)料保存とは技術の課題ではもちろん、とりあえず、ない。方策の話ではなく政策の話であり、それに基づく保存計画の円滑な運営の話である。具体的には、アーカイブズ資料に対する大量脱酸についてならば、「マネジメントの観点では、アーカイブズの資料は印刷物と違い、それぞれが唯一のものである。そのなかで、貴重ではないがしかもオリジナルで保存すべき資料はなにか、図書館の場合の「特定資料群」のような選出が可能か」、「米国立公文書館員が述べるように、大量脱酸処理と低温保管環境の整備・代替などの資料保存選択肢との比較考量、組み合わせも検討しなければならない。」「これらの課題について、アーカイブズ側が、「解」を見いださないと前に進めない。研究者、技術者の支援も受けながら、この検討のステップが不可欠である。」(安江論文、p.36)ということである。安江氏は図書館畑の方だが、こうした視点をいまだにアーカイブズ側から提議できないのはなぜなのだろうか?
【文責は、引用も含めて、木部】
iPRES 2008: The Fifth International Conference on Preservation of Digital Objectsが今年9月末に開催される。ホストは英国図書館。第5回になる今回のテーマは「デジタル保存のための協働:ツールと方法」(Joined Up and Working: tools and methods for digital preservation)で、保存の事例、政策と費用、理論と考え方の枠組みの3つのセッションが予定されている。
内閣官房の公文書管理の在り方に関する有識者会議のページは15日(木)に開催された第5回会議の議事次第と配付資料を掲載している。今回は4月に行われた各省での文書管理状況調査結果と上川大臣による視察結果の報告、有識者からのヒアリングとして神奈川県立公文書館の石原一則氏を招聘しての中間保管庫や地方公文書館の直面している課題についてのヒアリングが行われた。また配付資料は論点項目別のの各省での文書管理の現状のほかに、各省庁へ出向して文書管理に携わっている民間企業からの担当者に対して、所属する企業内での文書管理の考え方や方法を踏まえた出向先での文書管理に対する意見や提案も含まれている。次回は28日に開催する。
アメリカ国立公文書館(NARA)が毎年開催している資料保存コンファレンス(Annual Preservation Conference)の第22回「文化施設の防火と消火のABC」(The ABC's of Modern Fire Suppression in Cultural Institutions)での発表資料がパワーポイント・ファイルでサイトに掲載された。NARAの他、スミソニアン協会、メリーランド大学、英国図書館、イェール大学等と、防火・消火専門企業からの講師による「最も新しい」防火と消火の技術や事例が紹介されている。
The ABC's of Modern Fire Suppression in Cultural Institutions

英JISC(Joint Information Systems Committee )のサイトはNeil Beagrie他によるレポート Keeping Research Data Safe: a cost model and guidance for UK Universities
を掲載している。大学等の高等教育機関が教育や研究のために、今後デジタル・データを長期保存しようとする場合、その維持のためのコストはどのぐらいかかるのかを予測し、安全に維持するための10の提言をしているが、このうちコスト(特に人件費)は初期は跳ね上がるが、長期的には蓄積したデータや使い勝手の向上、利用率のアップなどによるスケール・メリットが出てきて、徐々に減じて行くと結論している。
東京国立博物館は13日から特集陳列として「海外の日本美術品の修復」を行っている。25日(日)までの展示になる。海外の美術館・博物館にある日本美術品は数多いが、そのなかには気候や風土の違いから損傷が進んでいるものが少なくない。このため文化庁は平成3年度から「在外日本古美術品保存修復事業」を開始、平成13年度からは東京文化財研究所が主体となって、損傷の激しいものの海外での、あるいは里帰りさせての修復を行ってきた。今回は国内の工房で平成19年度末に修復が完成した作品のうち、絵画5点と工芸品2点を東博平成館1F企画展示室で公開する。
アメリカ議会図書館は14日、2007年度に選定した、将来にわたって残すべき優れた音響記録遺産のリストを発表した。この登録制度はNational Recording Preservation Act of 2000と呼ばれるもので、2000年から毎年選定しており、今回のを含めると250の記録が登録される。今回は、1920年代の初の国際的なラジオ放送やオペラの実況、50年代のジャズやミュージカル、70年代のリーガン大統領のラジオ放送など25の記録が選ばれたが、マイケル・ジャクソンの "Thriller"(1982年)も挙がっている。
"Thriller" in the Library of Congress: 2007 National Recording Registry
Announced

<左>楽山大仏
<右>青城山と都江堰かんがい施設
12日に中国の四川省を襲った大地震により、同地域にある国際的な文化遺産が甚大な被害を受けているのではないか---英国のコンサベーション協会(ICON)がそのサイトでいち早く懸念を表明している。人命の救助が最優先としながらも、同地域には青城山と都江堰かんがい施設、四川省のジャイアントパンダ保護区、峨眉山と楽山大仏、大足石刻など、ユネスコの世界遺産に登録されているものもあり、倒壊や消滅が予想されるとしている。
China Earthquake: World Heritage in Danger

E.C.C.O(European Confederation of Conservator-Restorers' Organisations)が新しいサイトをオープンした。E.C.C.Oはヨーロッパの16ヶ国の保存修復協会・学会と、ドイツ語圏を中心にした文書・書籍・グラフィックスの保存修復のための国際学会のIADA(Internationale
Arbeitsgemeinschaft der Archiv- Bibliotheks- und Graphik-Restauratoren)をメンバーとする連合組織。全体での会員数は約5,000名になる。機関メンバーとサイトは以下の通り。
IADA
ORV (オーストリア)
APROA-BRK(ベルギー)
ARBBG (ブルガリア)
NKF-dk (デンマーク)
NKF-FI (フィンランド)
FFCR (フランス)
VDR (ドイツ)
ICHAWI (アイルランド)
ARI (イタリア)
VRKS-ARCA(イタリア)
RN (オランダ)
NKF-N (ノルウェイ)
ARP (ポルトガル)
Komora Restauratorov (スロバキア)
ACRACV (スペイン)
Grup Tecnic (スペイン)
NKF-S (スウェーデン)
SKR/SCR (スイス)
国立公文書館の機関誌『アーカイブズ』は「当館が最近行った施策や国内外の公文書館に関する情報を掲載してい」るが、昭和48年11月発行の第1号からほとんど毎号に「資料保存」に関連する記事・論文を掲載している。また12号からは全文をPDFで提供している。以下は目次からの抽出の一覧(抽出は『ほぼ日』による)。
第1号
複写の光源の影響(公文書の保存を考える) 冨士フィルム 金澤 勇二
第2号
公文書の保存を考える2 媒体変換(1)-マイクロフィルム- 富士写真フィルム 金澤 勇二
第3号
公文書の保存を考える3 記録媒体(2)―デジタル記録― 富士写真フィルム 金澤 勇二
第4号
複写機の歴史とコピーの保存性について 京セラミタ株式会社 田邊 征夫
公文書の保存を考える4 記録媒体(3) ―デジタル記録― 富士写 真フィルム 金澤 勇二
第5号
公文書の保存を考える5 媒体変換(2) 富士写真フィルム 金澤 勇二
第6号
公文書の保存を考える6 修復事情 -海外編その1 国立公文書館 有友至
第7号
公文書の保存を考える 国立公文書館においてのリーフキャスティング 国立公文書館 丸山 正広
第8号
公文書館をめぐる諸問題―保存を中心に―
平成13年度実務担当者研究会議報告― 国立公文書館業務課
「現用文書の管理と公文書館」について討論報告
「目的に即した保存・修復」討論報告
「保存環境について」討論報告
「公文書館における保存の在り方について」討論報告
公文書の保存を考える8 国立公文書館のリーフキャスティング 第2回 国立公文書館 丸山 正広
第9号
公文書の保存を考える9 インドネシアと日本のリーフキャスティング 国立公文書館 有友 至
保存対策マニュアル(1) 時代別劣化症状の特徴と保存対策 国立公文書館業務課
第10号
近現代公文書資料群への予防的な保存手当て (有)資料保存器材 木部 徹
保存対策マニュアル(2) 支持体別劣化症状の特徴と保存対策 国立公文書館業務課
第11号
保存対策マニュアル(3) 記録素材別劣化症状の特徴と保存対策 国立公文書館 業務課
【以下はPDFで全文を読むことができる】
第14号
英国国立公文書館における資料保存システムについて 大湾ゆかり
第19号
国立公文書館書庫環境調査-調査報告書- (財)元興寺文化財研究所
第21号
スマトラ沖大地震災害時にインドネシナ政府が行った文書救出 坂本 勇
第24号
資料の防災計画 尾立 和則
第25号
アフガニスタン・イスラーム共和国国立公文書館職員に対する修復保存技術研修受け入れについて 有友 至
第26号
写真修復の現状 白岩 洋子
インドネシア・アチェ州立博物館及びアチェ州立公文書館職員に対する修復保存技術研修受け入れについて 有友 至
第28号
修復DVD(研修教材用)の作成について
紙の酸性劣化と脱酸性化技術 -大量脱酸による原物資料の予防的保存- 田曠吉・横島文夫
第29号
インドネシア・アチェの被災資料のその後 丸山 正広
酸性紙の大量脱酸処理 乾式アンモニア・酸化エチレン法の実用化とその評価について 須藤 猛彦
第30号
ビュッケブルグ保存法による大量脱酸と保存 Helge Kleifeld・Volker Hingst
カナダ文化財研究所(CCI: Canadian Conservation Institute)はこのほどCCI research and development
projects 2007-2008 として、同研究所が継続的にあるいは新規に進めている研究開発プロジェクトの成果を発表した。紙媒体関連ではStudy
on the Effectiveness of Bookkeeper Deacidification Technology Using the
Arrhenius Relationship が挙がっている。
Bookkeeper法は大量脱酸性化法として最も多くの欧米の国立図書館や研究図書館が採用している。カナダでも国立図書館・公文書館が、それまでの液相法(ウェイ・トウ法)からBookkeeper法への転換を行った。このように導入実績は高いが、必ずしもその長期的な効果について充分に納得できる根拠が示されているわけではない。同法以外の脱酸性化法は、液体の中にアルカリを溶解させて紙の繊維の奥深くまで浸透させ、酸の中和と炭酸化したアルカリのバッファを残す仕組みだが、一方Bookkeeper法は固体の酸化マグネシウムを紙に埋め込み、紙中と大気中の水分で水酸化し中和し、さらにバッファを残す。
CCIの研究は普通の保管環境に置かれた場合の紙の劣化の程度と脱酸性化効果を、複数の温度で加速老化させたアレニウス・プロットで測ろうというもの。2006年にスタートしたが、全体では4年間のプロジェクトで2010年に終了する。