ホームほぼ日刊資料保存>2008年9月のアーカイブ

almost daily news of preservation and conservation

図書館やアーカイブ等の資料保存に関する世界のニュースを伝える、ほぼ日刊のページです。 土日・祝日は休刊します。 リンクも引用も自由です。

2008年10月のアーカイブ

2008年10月31日(金)

スイスのザンクトガレン修道院図書館が8世紀からの貴重書144冊をデジタル化し公開、製本の多面的な画像も

Codices Electroici Sangallenses

 

スイスのザンクトガレン修道院図書館(Abbey Library of St. Gallen)は所蔵する貴重書144点をデジタル化し Codices Electronici Sangallenses (CESG) – Virtual Library としてサイトで公開している。同図書はスイスで最古の図書館で8世紀から15世紀までの2,100点の手稿本、1,650点のインキュナブラ(初期印刷本)を持つ。デジタル化し公開されている貴重書は詳細な内容の書誌情報とともに、製本についての画像が掲載されている。表の表紙、裏の表紙、背、前小口、表紙の裏(上記画像)、そして必要な場合には天地の小口の画像があり、書誌情報のなかの製本の説明と共に、装飾と製本構造がよく判る。


Codices Electronici Sangallenses (CESG) – Virtual Library

2008年10月30日(木)

英国図書館 Collection Care のページ、見開き性の悪い本を閲覧する際の「ブックレスト」を紹介

bookrest

英国図書館の”蔵書のケア”のホームページは、見開き性が悪い本を閲覧するときの支えになる台と、開いた状態を安定させる紐状の重石から構成される book rest を紹介している。閲覧室には常備されており、同図書館ではこれ以外のもので、見開き性の悪い本を利用することを認めていないとしている。

‘What is it…?’

2008年10月28日(水)

世界の図書館で使われている4種の自動スキャニング・ロボットの仕様やコストを比較

scan-robotte

今年6月にドイツのミュンヘンのMunich Digitization Centre と Institute of Book and Manuscript Conservation of the Bavarian State Libraryの主催で開催された書籍のデジタル化ための自動スキャナーの参加記を、米サザンプトン大学図書館の Jullian Ball が書いている。この催しは現在、欧米で使われている4つの自動スキャン・ロボット(Qidenus, Kirtas, Treventus、4DigitalBooks)の実演とメーカーによる講演で構成された。参加記では、それぞれのロボットの仕様や価格、スキャンニングの費用などがまとまっている。そして、「現時点では、対象資料やその扱い、さらに出力に関する全ての要求に応えられるようなロボットはない」と結論している。

Report (by Jullian Ball)

Retrospective: The Scan-Robot-Days

 

国立国会図書館の Curent Awareness Portal が弊社の3点の翻訳掲載を紹介

24日付の国会図書館のカレント・アウェアネス-R は弊社のサイトが掲載している3つの海外文献の翻訳を紹介している。

資料保存器材、資料保存関係の海外文献3点を翻訳・公開

2008年10月24日(金)

29日に開催されるシンポジウム「プリザベーション・マネジメントを着地させるには」の参加申込数が予定数を大幅に上回る

29日に開催される第2回資料保存シンポジウム「図書館・アーカイブズにプリザベーション・マネジメントを着地させるには ―調査と計画、そして実行のケース・スタディ―」の参加申込数が、当初に予定していた300を大幅に上回り、昨年の380名に迫る勢いである。会場の江戸東京博物館ホールにはまだ若干名の余裕があり、事務局では「早急に申し込みを」と呼びかけている。当日の会場での受付も可能、という。

なお、同シンポジウムでは企業展示も行われ、弊社もアーカイバル容器の新製品やコンサベーション技術の紹介をします。ぜひ、お立ち寄りください。

第2回JHK/日本図書館協会主催 資料保存シンポジウムのお知らせ

2008年10月23日(木)

弊社スタッフによる翻訳『館内で本を修理する』の連載がスタート、一般書対象のコンサベーション・マニュアル

弊社のスタッフよる翻訳『館内で本を修理する』の連載がスタートしました。Altemis BonaDeaによるConservation Book Repair: A Training Manual の全訳です。原本は、専門的な訓練を受けてはいない図書館職員等が、傷んだ一般の蔵書を館内で修理するときのマニュアルとして、アラスカ州立図書館から1995年に刊行されたもの。類似の修理マニュアルはこれまでにも国内でも海外でも紙媒体で刊行されているし、ウェブ上の文献としても数多く見つけることができますが、BonaDea女史によるこの本は、表題が示すように、旧来の修復(restoration)ではなく、現在の書物のコンサベーション(conservation)という考え方を、一般書の修理において一貫させていることに特徴があります。すなわち、書物の見た目ではなく機能の回復を優先させる、後々に悪い影響を及ぼさない材料や技術を選ぶ、可能な限り可逆的な方法を採用する---等々。本の構造から説きおこし、傷みの部位や程度に応じて初級・中級・上級の修理へとステップアップしてゆき、災害対策と復旧にまで及ぶ本書は、館内修理に取り組んでいる人たちやこれから取り組もうという人たちへ過不足ない有益な情報を提供する好著といえます。

アルテミス・ボナデア著 (伊藤美樹 訳) 『館内で本を修理する』

2008年10月22日(水)

有識者会議のHPが「公文書管理の在り方」最終報告案を掲載、16日の意見を踏まえて修正し最終報告へ

公文書管理の在り方等に関する有識者会議のHPは、16日に開催された最後の会議の議事次第、配付資料、議事概要を掲載している。配付資料は最終報告案としての「時を貫く記録としての公文書管理の在り方--今、国家事業として取り組む」(正規版と見え消し版)、「IT化に対応した文書館について」。16日の会議では各委員から、「国立公文書館を特別の法人に位置づける」、「特別の法人にするにあたっては内閣総理大臣の権限を国立公文書館に委任する」、「施設の計画的整備を薦めるに当たっては、国民の利便性などを配慮して、例えば霞ヶ関周辺地域を念頭に置く」などの意見が出された。これらを踏まえて、尾崎護座長一任で最終報告の修正を行う、としている。

公文書管理の在り方等に関する有識者会議

製本史家ピアソンの新著『歴史としての書物』、デジタル時代のテキストを越える歴史的モノとしての書物とは

books as history

英国の製本史家 David Pearson の BOOKS AS HISTORY: THE IMPORTANCE OF BOOKS BEYOND THEIR TEXTS が出版された。過去に紙媒体等で出版された書物の大規模なデジタル化が進む中で、単なるテキストを盛り込む媒体としてでなく、物体(モノ)としての書物を形成する上での印刷、製本、装幀等の意味と歴史を、中世から今日までのさまざまな書物の例を挙げながら論じている。著者のピアソンはロンドン大学は研究図書館サービス部長で、これまでにもProvenance Research in Book History (Oak Knoll Press and The British Library, 1994), English Bookbinding Styles, 1450-1800: a Handbook (Oak Knoll Press and The British Library 2005)などの著作を持つ。

- New Castle, Delaware and London, England : Oak Knoll Press and The British Library 2008
- 8.75 x 9.5 inches - Hardcover
- 208 pages
- ISBN 9781584562337 / Order Nr. 96664
- Price: $ 49.95

BOOKS AS HISTORY: THE IMPORTANCE OF BOOKS BEYOND THEIR TEXTS

2008年10月20日(月)

16日の有識者会議が国立公文書館は「特別の法人」へ改組と提言、規模も大幅に拡張へ

16日に開催された公文書管理の在り方等に関する有識者会議の内容を新聞各紙が報じている。それによると最終報告書には、国立公文書館を現行の独立行政法人から公文書管理の権限を強めた「特別の法人」に改組する、人員も大幅に増員する、新たな施設を整備する等が盛り込まれるという。有識者会議のHPにはまだ掲載されていない。

9月25日に開催された第11回会議での配付資料「公文書管理担当機関の組織の在り方について」における「特別の法人」の説明は以下の通り。

メリット:
・立法府・司法府の公文書の受入れが円滑 に行える
・法人による柔軟な業務運営と権限強化を両立できる

デメリット:
・特別の法人に対する政府の関与に一定の限界がある
・組織が2つに分かれるため、連携の在り方が課題

公文書館を「特別の法人」に 有識者会議  日本経済新聞
国立公文書館「国関与を」 職員増員も促す 有識者会議  朝日新聞
公文書館は「特別な法人」に=有識者会議が最終報告案  時事通信

 

英国図書館の新三ヶ年戦略、低酸素書庫へ移管やコンサベーションの拡充、マイクロに替わる長期保存デジタル化など

Boston Spaの最新鋭低酸素書庫
Boston Spa の低酸素書庫

英国図書館は15日、2008年から2011年までの新しい三ヶ年戦略を発表した。優先的な戦略課題として7つが挙げられているが、このうち Integrate storage and preservation of physical collections(物理的なコレクションの保管と保存の統合)では、数百万冊規模のコレクションを低酸素環境で保管できるBoston Spa の保管庫の新設により、長期保存に適した環境下でのコレクションの保存能力が従来の44%から66%にまで向上し、2010年までには現在6ヶ所にある保管庫を2つに統合できること、これも新しく設置されたセンター・フォ・コンサベーションにより、ブック・コンサベーションと音響アーカイビングのための体制を一層拡充してゆくこと、マイクロフィルムに替わる長期保存のためのデジタル複製の研究を進める、などが盛り込まれている。

英国図書館、2008年から2011年にかけての戦略を発表 (国立国会図書館 Current Awareness POrtal)

The British Library's Strategy 2008 - 2011

2008年10月14日(火)

NEDCCが防災・教育・デジタル資料の調査法など、資料の保存のための多面的なツールキットを公開

アメリカの非営利・地域保存修復センター Northeast Document Conservation Center ( NEDCC)は、図書館やアーカイブの防災計画や教育機関での資料保存カリキュラム・モデルなど、資料保存のための多面的なツールキットをまとめ、公開している。

dPlan: 防災計画を立てるためのツール。オンラインで情報を入力していくことで、その機関に則した資料防災計画を立てることができる。アクセス数はすでに2,400以上という。より小規模な機関のための dPlan Liteがまもなく公開される。 www.dplan.org

Preservation 101: 資料保存管理のための無料のオンライン遠隔教育ツール。教育の機会が得られない図書館などの実務者向けに特化している。また、一般の人からの質問に対して資料保存管理の専門家が平易に答えるのにも役に立つ。 www.preservation101.org

Toolkit on Surveying Digital Readiness: デジタル資料の保存ニーズを専門家に委託してより深く調査する際の事前のチェックリストと情報のキット。調査に従事するコンサルタントにも有益。 www.nedcc.org/resources/digtools.php

Toolkit on What's Wrong With This Picture: 写真資料をデジタル化するための情報とソース一覧から成るツールキット。NEDCCが開催してる3日間のワークショップの成果をまとめたもの。 www.nedcc.org/resources/wwwtptools.php

Preservation Education Curriculum: 大学院レベルでの資料保存専門家教育カリキュラムのモデル。 www.nedcc.org/curriculum/lesson.introduction.php

The Coordinated Statewide Emergency Preparedness (COSTEP) framework:台風や地震などによる 広域での被災にたいする協力プログラム。  www.nedcc.org/services/disaster.costep.php

NEDCC’S Preservation Leaflets: 定評あるリーフレット・シリーズ。7つの項目で計60のリーフレットが公開されている。デジタル資料の防災・救助計画や動画コレクションの保存などの新しい内容を組み込んだ新版が12月に掲載される。  www.nedcc.org/resources/leaflets.introduction.php

NEDCC PRESENTS NEW PRESERVATION TOOLS

2008年10月9日(木)

気候の急激な変化は文化財にどのような影響を及ぼすのか--国際文化財保存修復学会の円卓会議の記録

IICロンドン会議での気候変動と文化財円卓会議

9月に開催された国際文化財保存修復学会(IIC)ロンドン大会の円卓会議「気候変動と博物館のコレクション」での5人のパネリストの報告とディスカッションの記録がIICのサイトに掲載された。写真の保存の専門機関 IPI所長のJames M. Reillyらによる報告の概要が載っている。

Climate change and museum collections: transcript of event


特種紙商事、多目的もんじょ箱など14種類の保存用品のオンライン・ショップを開設

特種紙商事のオンライン・ショップ


特種紙商事はこのほど封筒やフォルダーなど従来からの製品に加えて、多目的に使える組み立て式のもんじょ箱「フリーS、L」などショップ限定の新製品をラインアップしたオンライン・ショップを開設した。個人からの少量の購入ニーズに応えるもの。

AFシリーズ・資料保存用品 オンラインショップ

2008年10月6日(月)

フロリダ大学の歴史的児童書図書館、YouTube でポップ・アップ本のコンサベーションを紹介

フロリダ大学のGeorge A. Smathers Librariesの貴重児童書図書館(Baldwin Library of Historical Children's Literature)は飛び出す絵本(Pop-up Book)へのコンサベーションの工程を約11分の動画にまとめYouTube のサイトにアップロードした。子どもが引いたり折ったりして絵を動かすことで楽しむポップ・アップ本はそれだけ傷みも生じやすい。動画では駆動部の破れや剥がれをコンサーバターが治して行く工程を見ることができる。

ニュース・ソースは Library Preservation (FRIDAY, OCTOBER 3, 2008)

2008年10月6日(月)

翻訳「『貴重書は白手袋を着けて』という誤解」が完結

弊社のページ・スタッフのチカラにキャスリーン・A・ベイカー/ランディ・シルバーマン著(蜂谷伊代 訳)「『貴重書は白手袋を着けて』という誤解」(下)を掲載しました。

「貴重書は白手袋を着けて」という誤解 (下)

2008年10月3日(金)

有識者会議の配付資料に追加、公文書管理担当機関の2案のメリットとデメリットを提示

組織の在り方について

内閣官房の公文書管理の在り方等に関する有識者会議のホームページは、9月25日に開催された第11回会議の議事次第と配付資料を掲載しているが、配布資料として「最終報告の構成イメージについて」、「公文書管理法制に盛り込むことを検討すべき事項について」、「公文書管理担当機関の組織の在り方について」を新たに追加した。「担当機関の組織の在り方について」では、現在の独立行政法人国立公文書館の内閣府への統合、もしくは特別の法人への改組とする二つの案が提示され、それぞれのメリットとデメリットが掲載されている。

2008年10月2日(木)

麻生内閣の公文書管理担当大臣は小渕優子・ 内閣府特命担当大臣が兼任

国立公文書館のホームページは、麻生内閣の公文書管理を担当する大臣に小渕優子・内閣府匿名大臣が任命されたと報じている。

麻生内閣の公文書管理を担当する大臣等が決定されました

 

Restaurator最新号、過炭酸ナトリウムでの新漂白法や水酸化カルシウム/マグネシウム・ナノ粒子による脱酸性化効果

図書館・文書館資料の保存と修復のための専門誌 Restaurator:Journal for the Preservation of Library and Archival Materials 最新号(2008, Vol.29, No.2)は、以下の4つの論文を掲載している。

・The Study of Two Humidification and Flattening Methods for Albumen Prints to Determine their Impact on the Evolution of the Cracks in the Albumen Laye.
Vischi, Christophe. / Hill, Gregory. (Page 45 - 75)

・A Study about Colourants in the Arabic Manuscript Collection of the Sacromonte Abbey, Granada, Spain. A New Methodology for Chemical Analysis.
Arias, Teresa Espejo. / Montes, Ana Lopez. / Bueno, Ana Garcia. / Benito, Adrian Duran. / Garcia, Rosario Blanc. (Page 76 - 106)

・A Preliminary Study on Paper Bleaching with Sodium Percarbonate.
Baldin, Alice. / Calvini, Paolo. / Zappala, Mariagrazia Plossi. (Page 107 - 124)

・Study of the Photochemical Stability of Paper Deacidified with Dispersions of Ca(OH)2 and Mg(OH)2 Nanoparticles in Alcohols.
Stefanis, Emmanuel. / Panayiotou, Costas. (Page 125 - 138)

このうち、Baldin らによる過炭酸ナトリウムでの紙の漂白は、新しい酸化漂白法の基礎的な研究。一般に用いられてきた過酸化水素水よりも化学的に安定した固体の過炭酸ナトリウムを使う。漂白工程の最後に塩化カルシウム水溶液を使い炭酸カルシウムのアルカリバッファを直接紙の中に形成するのがポイント。機械パルプ紙の漂白効果と処置後の安定性が確認されたという。Stefanisらによる論文は、水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムのナノ粒子のアルコール分散液による脱酸性化した紙の光に対する安定化効果試験で、効果が確認されたという。

Neues auf der Website Forum Bestandserhaltung

2008年10月1日(水)

9月25日の有識者会議は司法府・立法府からのヒアリングや最終報告の構成イメージで

内閣官房公文書管理の在り方等に関する有識者会議のホームページは、9月25日に開催された第11回会議の議事次第と配付資料を掲載している。議事概要と議事録は準備中としている。今回は司法府・立法府からのヒアリングと国立公文書館へのデジタルアーカイブについてのヒアリング、そして最終報告の構成イメージについて論議した。10月16日に予定されている第12回会議では最終報告案が審議され、この後に最終報告がまとまり公表される。

内閣官房公文書管理の在り方等に関する有識者会議開催状況

ページトップへ