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図書館やアーカイブ等の資料保存に関する世界のニュースを伝える、ほぼ日刊のページです。 土日・祝日は休刊します。 リンクも引用も自由です。

2008年11月のアーカイブ

2008年11月26日(水)

英国図書館のオン・ラインビデオ「蔵書を傷めずに利用するには」、図書・文書・巻物・パピルスなどアイテムごとに

英国図書館はこのほど蔵書ケアのためのサイトに、オン・ラインで見ることができる教育ビデオ「蔵書の取り扱いかた」 Collection Care Videos: 'Using Collection Items' を掲載した。「はじめに」を含めて全部で9つの短い動画(それぞれ1分から3分程度)だが、同図書館が持つ本や文書などのアナログ媒体の資料のほとんどをカバーし、アイテムごとに利用時に守らなければならない基本的な取り扱い方を要領よく解説している。以下は解説の要訳。

 

1. Caring for the Collections - Introduction (はじめに)

世界でも最大の図書館のひとつである英国図書館にとって蔵書ケアは重要な責務である。

蔵書はBC1000年から現在までのすべての文明から集められた1億5千万アイテムで構成される。

文化的・歴史的にかけがえのないものが多い。希少で脆弱なものもあり、将来に渡って残さねばならないものが多い。

あらゆる蔵書が、作られた時代や現在の状態がどうあれ、価値を持ち、ケアが必要である。

こうした蔵書を利用する際には利用者はまず利用登録を行う。利用者パスを使うのだが、閲覧室に入室するまえに「利用条件」許諾のサインが必要である。そして閲覧時の注意をしっかりと認識してもらう。

入室時にスタッフがパスの提示を求めることがある。大きなバッグなどの中身をあらためることもある。閲覧室の外へ蔵書を持ち出すことはできない。

 

2. Using Books (書籍を利用する)

棚から本を抜き出すには二つの方法がある。両脇の本をひとまず奥にずらし目的の本を引き出すか、本の天小口にそって奥に手を入れて前小口を手前に押すようにして取り出す。背の天の部分に指をかけて引き出すと本が傷む。引き出すときは本の背の中央部を持つ。

本を平らに重ねる時には前小口と背を互い違いに重ねると安定する。特に重ねて持ち運ぶ場合にはこのようにする。運ぶ際には両手で一回でしっかりと持てる量に限定し、何回かに分けて運ぶ。

大きい資料や重い資料を移動するときにはスタッフの手を借りる。蔵書に思わぬ事故が起こらないように閲覧の机の上は整理する。閲覧スペースは限られているので、利用しない本は棚に戻すか返却する。

閲覧時の本の支持台(ブック・サポート)が必要ならばスタッフに頼む。たいていの本は120度以上は見開かない。無理に平らに開こうとせずにサポート台を使う。

ブック・サポートの利用法は次の通り。ホロウ・バックの本はサポートの背の所を開けて(gap)。背の丸みが固定されている本(rigid tught back)も同様に。和本などの平綴じされたものも同様にして閲覧時に閉じてしまわないように紐状の重しを置いて。開くと背の丸みが凹む本(flexible tight back)は背の開いたところに背を支える台(spine support)を入れて。spine support はまた、厚いペーパーバックの本にも良い。

ほとんどの本を閲覧するのに手袋は不要だが、手は清潔に、乾かして。指先で字をなぞらずにペーパー・スリップを置いて読むと閲覧しやすく本も汚れない。

ポスト・イットを貼ること、本の角を折り曲げることは厳禁である。後々にコピーしたいところにはペーパー・スリップを挟む。

閲覧中にアン・カットのページがあったときにはスタッフに告げて開けてもらう。


3. Using Gloves with Collection Items (手袋を使うときは)

ほとんどの資料が手袋を使うことはない。手を洗って清潔にし、乾かして資料に触れること。ハンド・クリームやローションも御法度。

手袋をして資料を扱うと、本の傷み等の状態が解らなくなってしまい、逆に壊してしまいがちである。また、手袋は汚れが移りやすく、その汚れが別のものを汚す原因になる。手袋着用よりも、たびたび手を洗うことを奨める。

ただし、特定の資料には手袋着用が良い。着用した方が良いかどうかはスタッフに相談を。

※参考:「貴重書は白手袋を着けて」という誤解

 

4. Using Books in Boxes and Using Other Types of Books (保存箱等に入れてある書籍、その他の形態の書籍資料)

保存箱などの専用の容器に収納された本は特別のケアが必要だ。平紐で結ばれているものもあるし、装幀が精美なものもある。

表紙に金属製の凸部がある本もある。こうした本は必ず支持台を使う。

前小口に留め具があるものを開閉するときには慎重に。利用しない間は保存箱に入れておく。

蛇腹状に折り畳んだ資料は机の上に平らに置いて、一度に一つの折りを返す。

コプト綴じされている本は支持台の片方だけを使って表紙を支える(訳注:普通は背表紙が無く、綴じが剥き出しで傷みやすいためと思われる)。

貝葉(palm leaf)手稿本は、プラスチックフォームを敷いて、脆弱な表紙を守る。糸を充分に緩めておいて、葉が楽に捲れるようにする。

 

5. Using Folded Items (折り畳み資料)

折り込んである地図や図面を含む本は、V字型の支持台を使わずに、片方にだけ本を載せる。こうすると折り畳んだものを楽に平らに開くことができる。

折り込みは折り部や本の本体との接合部が特に弱っていて裂けたりすることが多いので注意する。一度に一枚ずつ開き、逆順に折り戻す。

スリップケースに入った地図は全部が同じ折り方をしているのではない。折りの状態を見ながら一つの折りごとに開いてゆく。また、予想したよりも大きいことがあるので、開くのに充分なスペースを確保すること。戻すときは正確に逆順に折り戻し慎重にスリップケースに収める。

蝋封(seal)付きの羊皮紙証書(charter)は扱いが難しい。証書そのものが折ってある場合は特にそうだ。

持ち上げるときや開くときには蝋封が動かないようにする。蝋封はプラスチックフォームの上に置く。一折りずつ開いてゆき、端に重しを置く。

 ※charter: 憲章や契約書などの、いわゆる捺印証書。「捺印」に相当するのが蝋封(seal)。

 

6. Using Rolled Items (巻いてある資料)

紙の巻物は巻き癖が付いているので扱いにくい。少しずつ開いて、その部分を重しで固定して閲覧し、次の箇所を開いたら元の部分は巻き戻しながら利用する。

絹製の巻物は一度に閲覧できる部分だけを開いて利用する。

パーチメントの巻物は数枚のシートを一緒に巻いてあることがある。閲覧したいものの上に重なっているものを巻き込み、利用後は順番通りに巻き戻す。

 

7. Using Archive Material (文書資料)

紐状の留め具(タグ)で束ねられている文書でタグを外すべきではない場合には、タグに充分な遊びを保たせて、一枚ずつめくり、束を崩さないようにする。

ラッパーにくるまれている文書は慎重にラッパーを外して、一枚ずつ捲ってゆく。順番を崩さないように。束で持って小口を机上に打ちつけて文書を揃えてはいけない。

大きな一枚物の資料は、全体が広げられるだけの充分な大きさの机を用意し、固定のために端に重しを置く。画像などが載っている部分には重しがかからないようにする。

一枚物をさまざまな形態の文書を製本した資料は、文書一枚ずつ捲ってゆく。サイズが異なるものが重なっているので不用意にまとめて開いて傷めないこと。

 

8. Using Prints, Drawings and Photographs (絵画や写真資料)

版画などの絵画資料や写真資料を閲覧する前には手を洗う。画像の部分に触れてはいけない。

マウントされたものはマウントごと机の上に平らに置く。マウントを開き、資料の上にかぶせてある保護用の薄紙も外す。閲覧後は薄紙を戻しマウントを閉じる。もしスタッフの補助が必要ならば申し出る。

マウントされていないペラの状態のものは、一枚一枚を持って順番通り重ねて置きながら閲覧する。持つときは資料の端だけにして画像部に触れてはいけない。

写真資料(紙焼きした物)は透明のポリエステル封筒に入っているので、手袋を付ける必要はない。上向きで閲覧し、順番を違えないようにする。

アルバムは保存箱の蓋のほうにクッションを敷いて一枚ずつ捲ってゆく。画像部に触れてはいけない。

 

9. Using Other Formats (他の形態の資料)

大きな地球儀は可能な限り表面に触らないようにする。しかしこれが必要な場合には手袋を着用する。スタッフがアドバイスしてくれるだろう。

小さな地球儀はそれを支えているピンの天地を手でもって見る。専用のコルク製のスタンドを貸してもらえる。

ガラスで挟まれたパピルス資料は、ガラスを割らないように注意する。資料は一つずつ運ぶ。ラッピングを外したらプラスチックフォームの上に置く。

パピルス資料は脆いし、すでに物理的な劣化が激しいことが多い。紙の入れ物に納められたパピルス資料は一枚ずつ丁寧に捲って閲覧する。

Collection Care Videos: 'Using Collection Items'

 

※ビデオの中で小さな「重し」が使われているが、同種のものを弊社でもコンサベーション処置の時に使っているので紹介する。不織布(例:使い切りのティーパックの袋の素材)で小さな袋を作り、これに散弾銃の鉛の弾を入れて封じたもの。大きさもサイズも自由に作れて、中は球なので相手の形状に合わせて接触面の形を変えて置ける。

散弾銃の弾を入れた小さな重し

(文責:木部徹)

2008年11月20日(木)

ブログもんじょ箱、9月の国会図書館の保存フォーラム「害虫を入れない・増やさない」の詳細なレポートを掲載

特種紙商事株式会社のブログもんじょ箱は17日付で「国会図書館におけるトラップモニタリング調査報告」を掲載している。9月11日に行われた第19回保存フォーラム「害虫を入れない・増やさない-図書館における有害生物管理-」における東京文化財研究所生物科学研究室長の木川りか氏と国会図書館収集書誌部資料保存課の宇野理恵子氏が講演と事例報告を再構成し、レポートとしてまとめたもの。木川氏の害虫入門、内外でのIPMの事例、モニタリング法の解説から、宇野氏の国会図書館での事例を詳細/的確にまとめた好レポートになっている。PDF(88KB)としてダウンロードできる。

国会図書館におけるトラップモニタリング調査報告

 

10月開催の画像保存セミナー『画像保存の過去・現在・未来』からIPIのライリー所長の講演をまとめて掲載

10月30、31日に開催された日本写真学会主催の画像保存セミナー『画像保存の過去・現在・未来』の参加報告を弊社のスタッフがまとめ、このほど弊社サイトに掲載しました。特別講演のひとつだった世界的な専門機関IPIの所長であるジェームズ M ライリー氏による「写真資料の保存の過去との未来」、「写真資料の保存の近年の進展」の二つの講演を中心にまとめたもの。

画像保存セミナー『画像保存の過去・現在・未来』参加報告

2008年11月19日(水)

欧州の図書館等が共同で革新的な蔵書状態調査ツールを開発、光(NIR)に数秒当てるだけで非破壊で物性をデータ化

SurveNIR
手前の箱型のがNIRの発光装置。上部に空けられた穴から発する近赤外線に紙をか ざし、
パソコンでデータを吸い上げて分析する。オランダ国立公文書館(Nationaal Archief)での実施例。
source: http://www.science4heritage.org/survenir/images/105.jpg

 

スロヴェニア国立図書館、オランダ国立公文書館、英国図書館などヨーロッパの主要な図書館やアーカイブが協力し、欧州委員会(EC)の研究開発フレームワーク・プロジェクトとして開発をすすめていた SUrveNIR プロジェクトの成果がこのほど発表された。同プロジェクトの目的は、これまで人の目や触覚で、あるいはサンプルを得て破壊的に分析することでしか得られなかった紙の諸物性を、簡便なNIR(近赤外線)発生装置に資料を数秒かざすだけ得られるというツールの開発である。NIR分析はこれまでにも紙の重合度を測るなどの方法として保存科学分野でも用いられてきたが、今回のプロジェクトは1,000点を超えるさまざまな時代や質のサンプルを従来の破壊的な方法で分析しpHや重合度のデータを得る一方で、これらを計量化学(chemometrics)的な手法を用いてNIR分析したデータと融合させ、分析のための「ものさし」になるデータベースを作り、ソフトウェアに組み込んだことがポイントになる。ポータブルな装置(上記画像参照)を現場に持ち込んで計測することで、恣意性を排除した「客観的」なデータ(重合度 ・分子量 ・リグニン含有量 ・ゼラチン含有量 ・pH ・アルミニウム含有量 ・灰分 ・繊維組成 ・蛍光増白剤の有無 ・ロジン含有量 ・還元末端量 ・引っ張り強度 ・折りたたみ後の引っ張り強度)が、それも短時間で得られることになり、蔵書の状態調査のため画期的なツールとして活用が期待されている。実際の図書や文書の蔵書調査への実施例や、動画による計測の様子を載せた全容は下記ページに。

SurveNIR-Near Infrared Tool for Collection Surveying

※プロジェクトの背景から開発の経緯、技術の内容の解説を掲載しました。
スタッフのチカラ: 佐竹尚子「SurveNIRを用いた紙資料非破壊分析と蔵書の状態調査の可能性」

 

弊社、マイクロフィルムから発生する酢酸やアンモニアを吸着して劣化を抑制する封筒を発売、取替え時期が一目で

マイクロフィルム用ガス吸着封筒
既存の中性箱のサイズに合わせた封筒サイズ。マイクロフィルムを封筒に入れて 再収納するだけ。


酢酸を吸着した封筒 アンモニアを吸着した封筒
酢酸とアンモニアをを限界まで吸着した封筒(左が酢酸、右がアンモニア)

 

弊社:有限会社資料保存器材はこのほど、TACやジアゾのマイクロフィルムの劣化を抑制するガス吸着封筒を開発、販売を始めた。これらのマイクロフィルムが発生する酢酸やアンモニアを吸着し、フィルム自体の劣化を抑える。すでに書誌事項などが記された保存箱に収納されていても箱を変えることなく中のフィルムをリールごと封筒に入れ再収納できる。また、封筒の吸着能力が限界になると酢酸では封筒表面に濃い青の斑(まだら)模様が、アンモニアでは全体が濃い青色になり、取替え時期が一目で分かる。ただし、マイクロフィルムの劣化の程度を測るA-D ストリップでのチェックがあらかじめ必要であり、チェックレベルで1.5を超えた劣化状態にあるものは、他のマイクロやデジタル化などの代替しかなく、この封筒が有効なのは1.5未満の、まだ初期の劣化レベルに限定される。1.5未満ならば酢酸、アンモニア共に約100ppmが吸着でき、平均約18ヶ月間使用できる。

マイクロフィルムリール用ガス吸着封筒のご案内  酢酸とアンモニアに対する優れた吸着機能

A-D ストリップでのチェック法については以下を参照
本誌:安江明夫 「ビネガー・シンドローム問題再考 -- マイクロフィルムの保存のために 」(PDF)

2008年11月17日(月)

米調査会社、欧米の図書館・ミュージアムでのデジタル化プロジェクトの現状をレポート

アメリカの調査会社 Primary Research Groupeはこのほど、欧米の100を越える数の図書館とミュージアムにおけるデジタル化プロジェクトの現状をまとめた調査報告書 The International Survey of Library & Museum Digitization Projects を出版した。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、イギリス他をカバーし、資金、他機関との協力体制、人員、ハードとソフトの経費、著作権の対処、外部委託、スタッフ教育、保存メディアへのデジタルの影響、目録化の課題、プロジェクトのマーケティング、全体の管理について調査している。また、機関の大小、プロジェクトの規模別、本や文書、写真、音響、動画のプロジェクト対象別にも分析している。報告書は下記のページから入手できる(有料)。

The International Survey of Library & Museum Digitization Projects

 

文化財保存修復学会、12月13日に「文化財をまもる」シンポジウムを開催

有限責任中間法人・文化財保存修復学会は12月13日(土)に京都テレサホールでシンポジウム「文化財をまもる--文化財をまもる人たち」を開催する。文化庁、国宝修理装こう師連盟などから6名のパネリストが予定されている。参加申し込みは下記のページから。

文化財をまもる--文化財をまもる人たち

2008年11月12日(水)

NEDCC、Ann Russell氏の後任として新所長にJohn H. Ott氏が就任

アメリカの非営利地域保存修復センター NEDCC (Northeast Document Conservation Center)はこのほど、30年間所長を務めたAnn Russell女史の後任として、John H. Ott氏が就任したと発表した。Ott 氏は Scottish Rite Masonic National Heritage Museum and Libraryの専務理事を務め、同博物館をアメリカ史と文化の研究や展示の革新を唱う、全米でも有数の機関に育てるなど、数々の功績を認められている。

NEDCC Appoints John H. Ott as Interim Executive Director

 

慶應義塾大学MLAフォーラム、18日にデジタル化における著作権、保存、流通、利用を実践から考えるワークショップ

博物館・アーカイブ・図書館のデジタルアーカイブと連携を考える慶應義塾大学のMLAフォーラムは11月18日に「デジタルへの実践と課題: デジタル化における著作権、保存、流通、利用を実践から考える」ワークショップを開催する。慶應義塾大学メディアセンター、国会図書館、国立公文書館、国文学研究資料館の事例等が発表される。

MLAの連携「デジタルへの実践と課題」

2008年11月10日(月)

ブログ「源清流清」、公文書管理の在り方等に関する「最終報告」の中間報告からの展開と法制化へのコメントを掲載

瀬畑源氏(一橋大学大学院社会学研究科博士課程)のブログ「源清流清」は、公文書管理の在り方等に関する有識者会議が4日に提出した「最終報告」の解説とコメントを掲載している。全3回の、委曲を尽くしたもので、うち2回が先の「中間報告から最終報告へ内容がどのように変化したのかの解説、3回目が、公文書管理法が実際に法案として提出された際にどこに注目すべきかを、現時点での瀬畑氏の視点から論じたもの。

氏は「最も注意しべき点」として、最終報告では、現用の行政文書と公文書館に移管された歴史文書を統一的に管理すると書かれているが、情報公開法では行政文書は「組織的に用いるもの」のみと限定してあり、定義が異なっていること、情報公開法の定義では政策立案した際の文書などを「私的なメモ」として勝手に廃棄できるようになり、結果的に決裁文書だけしか残らず、「もし情報公開法に合わせて公文書管理法ができた場合、この改革は間違いなく骨抜きになる。政策決定過程の文書は残らず、結果的に説明責任を果たすような資料は「公文書」として残らなくなるだろう」としている。さらに「公文書管理担当機関の権限」、「利用者が不服申し立てが行えるような第三者機関の設立」など、全部で6つの注意点を挙げている。

「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」の「最終報告」を読む

 

紙の温度株式会社が代表的な紙の原料と漉き方に関する比較判定見本帳を頒布--ブログもんじょ箱が掲載

特種紙商事株式会社のブログもんじょ箱が、「紙の温度(株)が繊維判定用和紙見本帳発売」として、繊維分析研究者の宍倉佐敏氏の開発した判定法を元に、紙の温度株式会社(名古屋市熱田区)が、麻や楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)などの和紙や針葉樹パルプなど22種類の紙を束ねた比較判定のための見本帳を発売した、と掲載している。原料の産地や煮熟の方法、叩打やネリ剤の種類のデータ、漉き方や乾燥方法なども記載されている、という。

紙の温度(株)が繊維判定用和紙見本帳発売

2008年11月7日(金)

米議会図書館が100年経時老化試験プロジェクトを紹介、北米の10機関と協力し2098年まで定期的に加速老化と比較

アメリカ議会図書館のサイトは2000年からスタートした100年経時老化試験プロジェクトを紹介するページを掲載した。北米の10の図書館やアーカイブズと協力し、同じ15種の書籍・文書用の紙をそれぞれの保管環境下に置き、2098年まで自然に経時老化させて、その結果を定期的に持ち寄り、人工的に老化させる試験との比較を行う。

書籍や文書の紙が自然に経時して老化して行くのゆくを”予測”するための加速老化試験(accelerated aging test)はこれまにも様々な人工的な環境下で行われてきているが、その結果がどこまで自然の経時老化を再現しているのか、明確ではなかった。アメリカ議会図書館は1994年から2000年にかけてアメリカ材料試験協会(ASTM= The American Society for Testing and Materials)が中心になり進めた「自然老化を再現できる加速老化試験法の開発」プロジェクトに参加し、密閉した試験管に紙を封印して熱劣化させることで自然に経時老化にかなり近い結果が得られる新しい試験法を開発、2007年にASTM D6819-02(2007): Standard Test Method for Accelerated Temperature Aging of Printing and Writing Paper by Dry Oven Exposure Apparatusとして規格化された。しかしこの試験法の確実さをさらに裏付けるのには図書館等の棚に置かれて50年、100年という長い時間の中で自然に老化して行く実際の書籍用紙や文書用紙と比較が必要とされ、今回の100年経時老化プロジェクトを発足させたもの。

同プロジェクトは綿100%の上質の紙から、リグニンの含有比率が高い低質の紙まで全部で15種類のサンプルを製紙し、密閉試験管法で人口老化させて結果を得る一方で、保管環境の異なる北米の15の機関に保管してもらい、2098年まで定期的に10回、老化状態を調べ、加速老化の結果や、環境の違う各機関での差異と突き合わせる。

すでに初回の2000年、第2回目の2003年の結果の比較が終了しているのに続き、第3回目の今年2008年の比較が行われる予定であり、成果の一部が国際法医学学会などで報告されている。

100-Year Paper Natural Aging Project

 

文化財保存修復学会、7月に制定された「文化財の保存にたずさわる人のための行動規範」をサイトに掲載

文化財保存修復学会のサイトは、7月8日に発表された「文化財の保存にたずさわる人のための行動規範」を掲載した。諸外国ではすでに同種の行動規範やガイドラインが作成されているが、同学会の規範はこうした先行事例を参考にしながら、「8. 記録の作成・保存・公表: 文化財保存修復学会会員は、調査・研究、保存・修復処置にあたっては、信頼性を確保しつつ適正な記録や報告書を作成し、適切に保存・管理するとともに、公表に努める」等の、簡潔な10の規範にまとめている。

文化財の保存にたずさわる人のための行動規範

2008年11月5日(水)

有識者会議が4日に「公文書管理の最終報告」を小渕担当大臣と麻生総理に提出、国立公文書館は全文をPDFで掲載

国立公文書館のサイトは、昨日、公文書館管理の在り方等に関する有識者会議(尾崎護座長)がまとめた最終報告が小渕担当大臣と麻生総理大臣に提出されたことを伝えるとともに、同報告全文をPDFで掲載している。今日付けの各新聞はこの記事を掲載しており、読売新聞は社説で採り上げている。また、有識者会議のサイトでは10月16日に開催された最後の第12回会議での詳細な議事録を掲載している。

(国立公文書館のサイト)「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」が最終報告を小渕担当大臣及び麻生総理大臣に提出

国立公文書館 強力な「法人」に改組すべきだ(11月5日付・読売社説)

公文書管理の在り方等に関する有識者会議

 

東京文化財研究所、12月に「"オリジナル"の行方--文化財アーカイブ構築のために」国際研究集会を開催

東京文化財研究所は12月6~8日に、東京国立博物館平成館大講堂で第32回文化財の保存及び修復に関する国際研究集会「"オリジナル"の行方--文化財アーカイブ構築のために」を開催する。参加申し込みを受付中。紙媒体関連では以下の発表が予定されている。

・二点の中国古書蹟における光学調査  何傳馨(國立故宮博物院)
・室町時代狩野派扇面画の“オリジナル”:宋画との関連 マシュー・P・マッケルウェイ(コロンビア大学) 
・肉筆浮世絵と浮世絵版画:浮世絵研究者にとってのオリジナル  浅野秀剛(大和文華館) 
・『諸説不同記』と「現図」胎蔵曼荼羅  津田徹英(東京文化財研究所)
・鼎談 敦煌文書とアーカイブ  赤尾栄慶 (京都国立博物館)  マーク・バーナード (大英図書館)
中野照男 (東京文化財研究所) 

"オリジナル"の行方--文化財アーカイブ構築のために

 

東京文化財研究所、12月4日に「文化財の保存環境を考慮した博物館の省エネ化」研究会を開催

東京文化財研究所は12月4日に同研究所で「文化財の保存環境を考慮した博物館の省エネ化」研究会を開催する。参加申し込みを受付中。現在、地球温暖化の問題からあらゆる施設で、温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みが必要になってきている。博物館等文化財公開施設に関しても例外ではないが、文化財を取り巻く環境を良好に保ちながら、施設の省エネ化を図っていくことが必要であるとし、国際的な動向に詳しい米国ゲティ保存研究所の前川信氏、建築の省エネ化に詳しい北九州市立大学の白石靖幸氏らを招いて研究会を開催する。また、埼玉県立歴史と民俗の博物館や九州国立博物館での省エネ化の取り組みについても紹介する。

文化財の保存環境を考慮した博物館の省エネ化

2008年11月4日(火)

製本家のための e-Journal ”Bonefolder” 最新号、製本のための各種の糸や織物の繊維科学的な解説を掲載

bonefolder_fall


製本家と製本工芸家のための電子ジャーナル Bonefolder の最新号(Vol..5 No.1, Fall 2008)は以下の記事を掲載している。

・Limp bindings from Tallinn, by Monica Langwe Berg 3
・An Overview of Fibers, Yarns, and Textiles for the Book Artist, by Amanda Thompson, PhD and Anna Embree, MFCS 6
・Thinking by the Book by Wendy Strauch-Nelson 14
・Colours of Persia: The Making of a Book by Susan Allix 19
・The Simplified Binding Examined by Laura Wait 22
・Big Books: Constructing a Four Foot Springback by Charlene Matthews 28
・Modified for Re-use: Broken Ledger Bindings become Ledger Enclosure by Karen Jones 32
・2008 Bind-O-Rama, a look back on techniques introduced in The Bonefolder 34 Book Reviews 4529

このうち An Overview of Fibers, Yarns, and Textiles for the Book Artist は製本で用いられる繊維、糸、織物について繊維科学からの知見。綴じ糸、紐、平紐、表装材などとして製本に用いられる綿や麻、絹の自然物からナイロン等の化学製品までを、最小単位の繊維、縒り合わせた糸、織り込んだ織物という順に、それぞれの特徴と製本での適切な使い方を述べている。

The Bonefolder — Volume 5, No. 1, Fall 2008

 

国立公文書館の今月のアーカイブ、同館所蔵の貴重書元版『五代史』など3点をウェブで紹介

国立公文書館所蔵の元版

国立公文書館のサイトは「今月のアーカイブ」として同館が所蔵する貴重書等をウェブで紹介しているが、今月は元(1296~1367)の時代の『五代史』など三点を挙げている。

今月のアーカイブ

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