2010年3月10日(水)
英国図書館のヘレン・シェントンが4月にハーバード大学図書館へ移籍、副館長として資料保存を踏まえた新しい大学図書館構築へ

英国図書館のコレクション・ケアの責任者として、同図書館だけでなく、英国全体の資料保存の牽引役を果たしてきたヘレン・シェントン(Helen Shenton)が3月末に英国図書館を離れ、新たにハーバード大学図書館に副館長として迎えられることになった。ハーバード大学のロバート・ダーントン(Robert Darnton)館長のたっての要請を受けてのもの。シェントン女史はハーバード大学の73におよぶ図書館群が進めるアナログ/デジタルの両分野でのバランスとのとれた図書館政策を指揮することになる。
シェントン女史は1998年にビクトリア&アルバート博物館から英国図書館に移籍、2002年に同図書館の蔵書を総合的にケアするという新しいコンセプトを提示し、初のコレクション・ケア部門長として、本と音声資料のコンサベーションに特化したセンター・フォ・コンサベーション(Centre for Conservation)を設置、一方で1億5千画像に及ぶ大規模な代替プロジェクト、各国に分散されていた貴重書「シナイ写本」をデジタル的に一元化する国際プロジェクト--等々を推進した。
今回のハーバード大学への移籍は、世界的な歴史学者であり、最近ではグーグルと図書館の関係について先鋭的な論文をいつも発表しているロバート・ダーントン館長の強い要請を受けてのもの。同図書館が打ち出した21世紀の新しい大学図書館ビジョン作りに専念することになる。
Helen Shenton New Deputy Director of Harvard University Library
British Library's Helen Shenton Is HUL's New Deputy Director
2010年3月9日(火)
ICCROMと東京文化財研究所共催のJPC2010は8月末から18日間のコースで、参加者を公募へ
ICCROM(ICCROM (International Centre for the Study of the Preservation and Restoration of Cultural Property)と東京文化財研究所が海外のペーパー・コンサーバターを対象に定期的に開催している国際セミナー JPC(International Course on Conservation of Japanese Paper)の今年の参加者公募が始まった。セミナーの機関は8月30日から9月17日まで。人数は10名。
International Course on Conservation of Japanese Paper
2010年3月1日(月)
岩田書院、『劣化する戦後写真』と『写真保存の実務』を上梓
岩田書院はこのほど写真資料の保存に役立つ新刊書を2点、上梓した。
このうち『劣化する戦後写真 写真の資料化と保存・活用』(全国歴史資料保存利用機関連絡協議会編)は、第Ⅰ部で、写真の専門家ではない調査者が写真資料を調査するときの概要を、第Ⅱ部で、保存・管理・活用する側からの尼崎市立地域史料館の事例報告を、第Ⅲ部で、実際に起こりうるであろう問題点をQ&A方式にまとめたもの。
また『写真保存の実務』(大林賢太郎著)は2007年1月に開催された全国歴史資料保存利用機関連絡協議会の研究例会「劣化する戦後写真」での報告を元にして、最新の成果を加えて書き下ろしたもの。調査票の作成から保全の方法まで実務に則した内容。
2010年2月24日(水)
英国物理学会(IOP)が5月にデジタル印刷と写真の保存修復で国際コンファレンスを開催
英国物理協会(Institute of Physics)は5月に第4回国際コンファレンス「デジタル印刷物とデジタル写真のプリザベーションとコンサベーション」を開催する。コンピュータ上で作成され紙等に出力された記録や写真は将来の長期保存の対象になるものが含まれる。今回のコンファレンスでは、インクや紙などの印刷基材の現状と共に、その保存と修復における課題と技術について論じる。
4th International Conference on: Preservation and Conservation Issues in Digital Printing and Digital Photography
2010年2月23日(火)
【弊社のニュース】 スタッフの力:全史料協近畿部会第104回例会 「行政文書を文化財として取り扱う」 参加報告
2月2日に京都府立総合資料館で開催された全国歴史資料保存利用機関連絡協議会近畿部会例会「行政文書を文化財として取扱う」の参加報告を掲載しました。
久利元昭:全史料協近畿部会第104回例会 「行政文書を文化財として取り扱う」 参加報告
2010年2月22日(月)
英ノーザンブリア大学が『紙媒体上の印刷:その技術、歴史、コンサベーション』を上梓、インキュナブラからデジタル印刷物までを網羅
![]()
英ノーザンブリア大学は、Printed on Paper: The Techniques, History and Conservation of Printed Media を上梓した。2007年に同大学とアメリカ文化財保存修復学会(AIC)との共催で開かれた開催された国際コンファレンス Printed on Paper での発表を元に、改訂・編集を行ったもの。ヨーロッパで紙の上の印刷が行われた最初期のインキュナブラ(揺籃本)から、現在のインクジェット等のデジタル印刷物までを包含し、その技術、歴史、そしてケアやコンサベーションまで、保存科学や美術史などにまたがる学際的な研究成果をまとめた25本の論文が寄せられている。内容の詳細と購入は下記のページから。
Printed on Paper: The Techniques, History and Conservation of Printed Media
Edited by Jane Colbourne, Northumbria University and Reba Fishman Snyder, Pierpont Morgan Library.
£35.00 ISBN 978-09561206-3-2
Paperback, 290x210 mm. 228 pp.,136 colour ill.
School of Arts & Social Sciences Academic Press Publications
2010年2月19日(金)
カナダCCIが来年10月に接着剤とコンソリデーションをテーマに6日間のシンポジウムを開催、発表者を募集
カナダ文化財研究所(CCI)は2011年10月に国際シンポジウム「接着剤とコンソリデーション--研究と応用」(Adhesives and Consolidants for Conservation: Research and Applications)を開催する。接着剤とコンソリデーション(固定材としての接着剤の使用)はあらゆる文化財のコンサベーション分野で必須の材料であり工程だが、6日間に及ぶ今回のシンポジウムは内外から集う科学者とコンサーバターにより新しい研究と応用の現状の発表講演とともに、文化財保存修復機関へのツアー、実践的なワークショップが予定されている。口頭・ポスター発表を公募する。
2010年2月17日(水)
米NEDCC、地域基金による古地図のコンサベーションの事例

linksouce:http://www.nedcc.org/about/images/news.chnh4.jpg, http://www.nedcc.org/about/images/news.chnh5.jpg
米国の非営利地域資料保存修復センターのNEDCC(Northeast Document Conservation Center)のサイトは1860年に作成されたニューハンプシャー州サリバン郡の地図へのコンサベーション事例を掲載している。手当ての費用は同郡の歴史協会が音頭をとり、地域基金(local fund)として集めらられ、NEDCCに持ち込まれた。
処置は、表面に塗布されている黄変したワニスをエタノールで除去し、洗浄後に脱酸性化された。また以前の布裏打ちが剥がされ、和紙で新たに裏打ちされた。別の亜麻布でされマウントされた地図は、ポリエステルフィルム・エンキャプシュレーションされ、吊り下げて鑑賞することができるようになった。
Successful Local Fundraising for Conservation
2010年2月15日(月)
IPI、動画フィルムの歴史と技術と保存法が一目でわかる大型(120×90センチ)のポスターを作成し頒布へ

米国 Image Permanence Institute(IPI)はこのほど、無声時代から今日までの動画フィルムの歴史と技術およびそれぞれの保存方法を一覧できる大型のポスター Knowing and Protecting Motion Picture Film Poster を作成し、販売を始めた。価格は50ドル。
Knowing and Protecting Motion Picture Film Poster
フリッツ・ラングの『メトロポリス』完全版がベルリン映画祭で公開、2008年に発見された幻の30分の修復処置を終えて

BBCのサイトは、11日から開催されているベルリン国際映画祭でフリッツ・ラング監督のSF映画『メトロポリス』(1927年初公開)の完全版が公開された、と報じている。2008年にブエノスアイレスで、これまで消失したと言われていた30分の部分を含む完全版が発見され、2年間を費やして修復処置が進められていた。
Berlin film festival showing for restored Metropolis
※参考
「ほぼ日」2008年7月10日(木) フリッツ・ラングの映画『メトロポリス』、消失したとされていた幻の30分のパーツを加えた完全版への修復作業が開始
2010年2月12日(金)
林原生物化学研究所が東文研と岡墨光堂と共同で「新古糊」を開発し市販へ、酵素利用で2週間で製造
特種紙商事の「ブログもんじょ箱」は㈱林原生物化学研究所(岡山市中区)が、(独)東京文化財研究所(東京都台東区)、㈱岡墨光堂(京都市中京区)と共同で古糊(ふるのり)を開発し、「林原・新古糊」(商品名)として販売に乗り出したと報じている。価格は250gアルミラミネート袋入が10,000円、20gアルミラミネートチューブ×10本が10,000円。詳細は下記ページから(林原生物化学研究所のプレスリリースへのリンクあり)。
「新古糊」を新発売 林原が文化財の修復に 10年かかる古糊をわずか2週間で
※関連文献
Characterization of Furunori (Aged Paste) and Preparation of a Polysaccharide Similar to Furunori
枝野幸男内閣府特命担当大臣が公文書管理を担当
国立公文書館のページは、2月10日付で枝野幸男内閣府特命担当大臣が任命され、公文書管理を担当する大臣となったと伝えている。
2010年2月10日(水)
東北芸術工科大学文化財保存修復学科の卒業・修論口頭発表会が12日に、東洋絵画修復や保存科学で5件
東北芸術工科大学美術史・文化財保存修復学科は2月12日(金)に同大学本館407号室で卒論・修士論文の口頭発表会を開催する。「美術史上の作家や作品・損傷してしまった修復作品・後世に残すべき文化財に真摯に向き合った研究成果を一同に開陳し、大方のご意見を仰ぎます」。美術史で9件、西洋絵画修復で5件、東洋絵画修復で3件、保存科学で2件、大学院で2件の発表が予定されている。問い合わせは下記に。
美術史・文化財保存修復学科教員準備室
電話:023-627-2000(代表) 023-627-2023(直通)
※お知らせのハガキは本日(10日)届きました。
ポルトガルで6月にパーチメントと紙媒体の記録物保存のための科学と修復で国際セミナー
ポルトガルのコインブラ大学アーカイブと同大学化学科(Chemisty Department and the Archive of the University of Coimbra)は6月7~9日に「記録物を保存する--その科学と修復」国際セミナー(International Seminar Preserving documents – science and restoration)を開催する。パーチメントと紙媒体の記録物のコンサーバターと保存科学者が集う。プログラムとアブストラクトが近々、公開される。
International Seminar Preserving documents – science and restoration
2010年2月9日(火)
英国資料保存支援センター、23日に「保存・修復・デジタル化の優先順位付けはどのよう行われているか」でセミナー
英国資料保存支援センター(Preservation Advisory Centre)は2月23日に英国図書館(BL)でセミナー Prioritization for preservation, conservation and digitization を開催する。国立図書館、国立アーカイブ、大学図書館で資料保存に携わり、コレクションの保存管理、コンサベーション、デジタル化を行ってきた担当者が、優先順位付けをどのように行っているかを発表し、知恵を分け合う。リスクアセスメントの方法、アセスメント調査法などを説明すると共に、これらを元にした適切な優先順位付けとはなにかが話しあわれる。後にポストスクリプトが公開される。詳細は以下のページに。
Prioritization for preservation, conservation and digitization
2010年2月5日(金)
Restaurator 最新号は紙媒体の漂白の特集、光や科学薬品による処置を新しい視点で
図書館・文書館資料の保存修復のための季刊誌 Restaurator; International Journal for the Preservation of Library and Archival Materials の最新号(Vol. 30, No.4, 2009)は「漂白」の特集号。概要は以下の通り。
Bleaching
Hans U. Suess
紙、織物の生産において漂白はかかせない工程であり、特に工業生産規模での繊維漂白は、いくつもの化学薬品を使用するため非常に重要である。理論上では、漂白にはほとんどすべての酸化、還元化合物を使用できるが、しかし実際は、技術的な慣習によってほんの一握りの化合物が適用されている。工業的に重要な化学物質は、酸素、二酸化塩素、過酸化水素、亜ジチオン酸ナトリウム、そしてオゾンである。 漂白過程におけるこれらの化学反応についてはイラストで説明している。 また、漂白後の変色と、光に対する安定性を改良する可能性が示されている。
Bleaching in Paper Production versus Conservation
Irene Brückle
コンサベーション分野における紙漂白と、製紙工程におけるパルプ漂白の、その類似性と違いについて。最も古いコンサベーション分野における漂白方法は光漂白であり、テキスタイルと紙の漂白には共通するルーツがあると考えられている。織物、紙の伝統的な光漂白方法には、酸素、オゾンまたは過酸化水素を使う現代のパルプ漂白に通ずるものがあると考えられる。これらの化学物質は、太陽光にさらされているという要因で作用し、空気と水の存在によって漂白が引き起こされる。非常に小さな量が形成され、漂白効果を与える。 紙の光漂白は化学薬品を必要としないが、これはまさに化学介入と同じことである。
Bleaching Revisited: Impact of Oxidative and Reductive Bleaching Treatments on Cellulose and Paper
Ute Henniges and Antje Potthast
5つの酸化漂白(次亜塩素酸カルシウム、二種類の濃度の過酸化水素(0.5 %と3 %)、光漂白、および過マンガン酸カリウム)と、2つの還元漂白(水素化ホウ素ナトリウム、tert-butylaminoborane(TBAB))を比較。これらの漂白効果は、純セルロース(ワットマン濾紙)と、2種類の古紙(18世紀の印刷本の紙と、手槁の紙)に対して調査を行った。漂白作用を評価するため、明るさ、分子量、カルボニル基とカルボキシル基のパラメータが調査された。漂白後のほかに、加速劣化した後も分析が行われ、その結果、テストした漂白法すべてにおいて明るさのパラメータが増加したことから、それらは効果的な漂白法であることが確かめられた。 酸化漂白について、酸化セルロースの機能性を増加させる傾向がある。しかし、処置のほとんどの間は著しい違いが全く見られず、また、すべての酸化処置はセルロースに何らかのダメージをもたらしていた。2つの還元漂白については、カルボニル基の量は減少し、分子量が安定するなかでセルロースを部分的に維持していた。なかでも水素化ホウ素ナトリウムは、明らかに効果的な還元剤である。
Bleaching Paper in Conservation: Decision-Making Parameters
Irene Brückle
コンサベーションにおいて、漂白を行なうのに伴う処置方針の決定は、漂白方法の「選択」とその「過程」という2つのパラメータが、処置のゴールを定める。技術的にふさわしい処置を考えるということは、漂白による様々なリスクを減らすとともに、紙の色に対して審美的な考慮をするためにも重要なことである。処置を行う前に、コンサーバターは処置のゴール、リスク、結果を見通しておくということを念頭に置かなければならない。これは、処置方針を決定する際の重要な基礎である。意思決定のパラメータは、漂白の知識や、物質の構成、漂白剤、処置の準備、使用する道具、手段、漂白にかかる時間など、意思決定のファクターを考慮したもとで処置の効果を見通すためのものである。
[要訳文責:蜂谷伊代]
Restaurator Vol. 30, No.4, 2009
『国立国会図書館月報』が前フランス国立図書館館長とのグーグル等のインターネットの課題の対談と講演、オランダ国立図書館の資料保存も
『国立国会図書館月報』(586号、2010年1月)は資料保存関連の以下の記事を掲載している。9月に国会図書館で開催されたジャンヌネー 氏の講演と対談、10月に開催されたヘンク・ポルク博士(オランダ王立図書館専門サービス・資料部付保存科学者)による講演のまとめ。PDFで『月報』の全文がダウンロードできる。
国立国会図書館 館長対談 第13回 前フランス国立図書館長 ジャン-ノエル・
ジャンヌネー 氏 文化の多様性と知の伝承 p.4-10
インターネットと文化 チャンスか危機か p.11-13
オランダにおける資料保存研究 王立図書館からの報告 p.24-27
参考:当社のスタッフによるポルク氏の講演概要は以下に
国立国会図書館主催「第20回 保存フォーラム」におけるポルク博士の講演
2010年2月3日(水)
『図書館界』の矢野「資料保存」がこの10年の動向を140の文献を元に紹介、アーカイブまでも含めた見晴らしの良いレビュー
日本図書館研究会機関誌『図書館界』(Vol. 61, No.5, January 2010)は図書館界のこの10年(2001年以降)の動向を紹介しているが、「資料保存」として矢野正隆(東京大学大学院経済学部研究科・経済学部資料室)によるレビューを掲載している(p.542~p.533)。各紙誌やウェブ上に発表された論文や記事などの参照文献は140に及ぶ。図書館界だけでなくアーカイブ界の関連文献も丁寧に集め、6項目で整理されている。
資料の「保存」とは長いスパンでの利用の保証であり、ならば収集や整理と同じく、日常業務の中に組み込むべきものであること、技術的な解決策を優先させるのではなく、総合的な政策の見地から判断することが図書館員やアーキビストの役割であること---という視点が一貫しており、「資料保存の10年」が見晴らせる。章立ては以下の通り。
はじめに
1. 資料の現状把握と保存計画
2. 環境管理
3. 現物保存
4. 代替保存
5. 収蔵スペースと共同保存
6. 災害対策
むすび
直子ブログ、フランス国立図書館での「和紙で革装本を補修する」

linlsource:http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/i/i-008/20091230/20091230124524.jpg
http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/i/i-008/20091230/20091230173903.jpg
フランス国立図書館で資料保存の研修をしている村上直子さん(国立国会図書館資料保存課)のブログは同図書館での「革装本」の和紙での補修を紹介している(2010-01-18付け、2010-02-01付け)。それぞれのコメント欄もどうぞ。
フランス国立図書館及びカナダ国立図書館公文書館における資料保存業務に係る研修
2010年2月2日(火)
国立公文書館が和装本の修復業務の非常勤職員を公募、募集期限は2月5日
カナダ文化財研究所(CCI)が保存のためのパンフレットをオンラインで提供、紙媒体関連も多数

N11/10 Encapsulation (1995) フィルムエンキャプシュレーション法
カナダ文化財研究所はこのほど、同研究所が1991年から紙媒体で無償頒布していたパンフレット CCI Notesをデジタル化し、html とPDFのフォーマットとしてオンライン化したと発表した。各分野にまたがる専門的な研究成果を元に、一般向けに書き直し、マニュアルのように使えるものとして評価が高いCCI Notes はこれまで紙媒体としか入手できず、版元切れのものもあった。100におよぶ Notesには以下のような紙媒体関連(Paper and Books)のものも含まれる。
N11/1 Making Protective Enclosures for Books and Paper Artifacts (1996)
本や文書等の紙媒体記録の保護容器
N11/10 Encapsulation (1995)
フィルムエンキャプシュレーション法
N11/2 Storing Works on Paper (1995)
紙媒体文化財の保管
N11/3 Glazing Materials for Framing Works on Paper (1996)
紙媒体文化財の額装のためのグレージング材料
N11/4 Wheat Starch Paste (1993)
でんぷん糊
N11/5 Matting Works on Paper (1997)
マッティング法
N11/6 Removing Paper Artifacts from Their Frames (1993)
額装からの外し方
N11/7 Basic Care of Books (1995)
本のケア
N11/8 Display Methods for Books (1994)
本の展示
N11/9 Framing Works of Art on Paper (1995)
アート・オン・ペーパーのフレーミング
また、分類としては他の分野になっているが、保管庫の温湿度管理、光の制御、災害対策、棚の適切な塗料の選択、写真資料の保存法--等々、見逃せない Notes が揃っている。ただ、なにぶんにも最も古いものは1991年に遡り、どれも最初の出版時のままの内容をそのまま載せてていて、アップ・ツー・デートされてはいないことは注意したい。
なお、やや専門的な内容をまとめた Technical Bulletins (紙媒体、有償)にも、紙のpHの測り方、洗浄水の質、アーカイブの温湿度管理--等々がある。
都立中央図書館企画展「未来へ、本が読み継がれるために 図書資料の保存・修理」、今日から2月20日まで
期間:2010年2月2日(火)~2月20日(土) 時間:10:00~17:30
場所:東京都立中央図書館 4階 企画展示室
展示概要: ・都立図書館における資料を守るための取組 ・修理・製本に使う道具の紹介 ・江戸時代の和装本の修理のいろいろ ・資料の「敵」とその対策(日本図書館協会提供「利用のための資料保存」パネル展)
入場料:無料
問合せ先:東京都立中央図書館 資料管理課
〒106-8575 東京都港区南麻布5-7-13 電話 03-3442-8451(代) 内線6211
2010年2月1日(月)
元英国博物館の保存科学者オディ博士が自分の蔵書を売りたて
元英国博物館の保存科学者であり、保存用のモノの長期安定性試験として名高いオディ試験の開発者であるWilliam Andrew Oddy 氏が、1965年から2005年にかけて集めた保存科学関連の蔵書の引取先を公募している。蔵書リストが氏からもらえる。下記で。
Conservation and archaeometry library for sale
『情報の科学と技術』2月号は資料保存特集号、弊社スタッフの「近代の紙媒体記録資料の保存修復技術」も掲載
(社)情報科学技術協会会誌『情報の科学と技術』の最新号(Vol. 60, 2010, No. 1)は「特集:資料保存:メディアの劣化と対策」。弊社のスタッフによる「近代の紙媒体記録資料の保存修復技術」も掲載されている。
特集:「資料保存:メディアの劣化と対策」の編集にあたって 41
資料保存の考え方 --現状と課題-- 小島浩之 42
デジタル情報保存のリスク: 記録メディアの劣化・陳腐化とファイルフォマットの陳腐化 大島茂樹 49
保存環境とIPM(総合的有害生物管理) 木川りか 55
近代の紙媒体記録資料の保存修復技術 木部徹 61 (PDF 3.2MB)
コンピュータゲームアーカイブの現状と課題 後藤敏行 68
できることから始めてみよう:京都大学の図書館における資料保存活動 山崎知恵、天野絵里子 75
『情報の科学と技術』誌は発行後、アブストラクトだけが下記のHPに公開されるが、概ね3ヶ月後には全文公開される(無料)。著作権は著者にあり、配布も自由であることから、上記の弊社スタッフによる論文をPDFで当サイトに掲載する。なお、いくつかの論文へのレビューは後日、掲載したい。 [木部]
2010年1月29日(金)
火災によるススの被害を受けた図書をドライアイスで洗浄、これまでのラバー・スポンジよる拭き取り法との比較実験

IFLA(国際図書館連盟)の International Preservation News (IPN:No.49, December 2009)は災害管理(disaster management)の特集号。掲載論文のうち、火災によるススの被害を受けた図書をドライアイスを吹きつけて洗浄し、これを従来法であるラバー・スポンジでの拭き取りと比較して、その効果と影響を見た実験について紹介する。
Fire and Ice Revisited: A Comparison of Two Soot Removal Techniques for Book
Randy Silverman(Preservation Librarian at the University of Utah’s Marriott Library in Salt Lake City)
Seth Irwin(Helen Ohrenschall Intern at John’s Hopkins University’s paper conservation laboratory)
表題が Revisited になっているのは著者の一人 Silverman が2006年に行った実験報告(Fire and Ice: A Soot Removal Technique Using Dry Ice Blasting, IPN, No.39,Octber,2006)に続くたため。前回はドライアイス洗浄の効果(上記の右の画像)だけを見たが、今回は他方法との比較になる。
直径1ミクロン以下のカーボン粒子からなるススは紙や布の繊維の微細な隙間に入り込むために、これを除去するのは容易なことではない。また消火のための水と組み合わさった場合には資料の表面に「接着」したようになってしまう。こうしたやっかいなススを、他の工業分野やランドリー・クリーニング業界ですでに使われているドライアイス洗浄(原理や応用分野については Wikipedia を参照)を使うことで効果的かつスピーディに除去する実験を行った。
従来からススの除去に使われてきた天然ゴム製のスポンジ(natural rubber sponge)による方法は、スポンジ表面の適度な粘性により、スポンジを押し付けて細かいススを吸着、拭き取るというもの。これに対しドライアイス洗浄は、高速でドライアイスペレットを噴射し、ドライアイスの極度の低温(-78.9℃)による熱収縮の効果によりススを分離し、剥離したススと基材(この場合は本の表紙)との間にドライアイスが入り込み急激に気化し、その体積が膨張変化(750倍)、この体積変化により洗浄する--という方法だ。
20冊のススの被害を受けた図書を2つの方法でクリーニングし、残留がどのぐらいあるかという除去効果、表紙(布や革)が変色しないか、表面は傷んでいないか等を表面形状測定器(Topographic scanning)と比色計とで計測した結果、ドライアイス洗浄のほうが除去効果が優れ、傷み(擦傷など)も最小に抑えられていることが判った。
International Preservation News(IPN:No.49, December 2009)
2010年1月28日(木)
米議会図書館の資料保存研究プロジェクトのテーマがアップデート、保管環境や紙媒体などの5分野でテーマを設定
アメリカ議会図書館(LC)の資料保存研究プロジェクト(preservation research project)がアップデートされた。今回掲げられた研究分野は5つで、各分野のテーマは以下の通り。
Environmental Studies (環境)
Anoxic Encasements: Visual Storage
(低酸素環境の保管ケース)
Environmental Monitoring: Climate Notebook and Web-based Climate Control System
(IPIと提携してのウェブベースの環境モニタリング)
Evaluation of Storage Materials: Alternatives to Oddy Test
(現在の Oddy試験に代わる、保管資材の試験法の開発)
Lab Renovation: Increasing Energy Efficiency and Reducing Environmental Impact
(エネルギー効率が良く環境負荷の小さな試験研究室への改革)
Preservation of Traditional Materials (書物や文書、パーチメントや写真などの従来型の資料の保存)
Aging: Improved Accelerated Aging Testing Techniques
(加速老化試験法の改良)
Aging: 100-Year Paper Natural Aging Program
(北米の複数機関の協力による紙の100年自然老化試験)
Book and Paper: Volatile Organic Compound Testing
(劣化時に発生する有機化合物の研究)
Cellulose Acetate Laminates: Re-treatment and Storage
(かつて行わていたセルロース・アセテートフィルム被覆処理の評価)
Iron Gall Ink Corrosion
(インク焼けの研究)
Mass Deacidification: Saving the Written Word
(大量脱酸性化技術)
Paper Strengthening through Paper Splitting
(ペーパー・スプリット法による紙力強化)
Parchment: Integrated Forensic Investigations
(パーチメントへの統合的な法医学検査)
Photographs: The Effects of Solvent Treatments
(写真資料への溶剤処置の影響)
Photographs: Early Ungilded Daguerreotype Images
(初期の艶なしダゲレオタイプの写真資料)
Recycled Fiber Paper: Longevity Study
(再生紙繊維の長期安定性)
Storage Materials: Determining Purity of Polyester Film for Use in Encapsulation of Collection
Materials
(エンキャプシュレーション用ポリエステルフィルムの純度判断)
Storage Materials: Effects of Zeolites
(包材に使われているゼオライトの影響)
Preservation of Audio-Visual Materials (視聴覚資料の保存)
CD ROM Longevity Research
(CD ROM の長期安定性試験)
CD-R and DVD-R RW Longevity Research
(CD-R と DVD-R RWの長期安定性試験)
DVD ROM Longevity Research
(DVD ROM の長期安定性試験)
Technology Transfe (他分野からの技術移転)
Anoxia: Fire Suppression System Tests
(無酸素消化システム試験)
14C-AMS Dating of Silver Gelatin Photographic Prints
(14C加速器質量法による写真銀塩ゼラチンの分析)
Direct Analysis in Real Time Mass Spectrometry (DART-MS)
(DART質量分析)
Haptic Technology for Use in Conservation Training
(疑似触感技術を応用したコンサベーションの訓練)
Integrated Digital Imaging Systems - Hyperspectral Imaging
(統合的デジタルイメージシステムの応用)
Laser Cleaning of Documents
(文書資料へのレーザークリーニング)
Experimental Sample Reference Collections (比較実験の参照サンプル)
The Barrow Book Collection: Characterization and Access
(バロウが紙の脱酸性化試験のための集めたコレクションのキャラクタライゼーションとアクセス)
Center for the Library's Analytical Science Samples (CLASS):
Dedicated Collection Space for the Library’s Valuable and World-Renown Scientific Study Specimens
(これまでの蓄積された図書館資料の分析科学サンプルのセンターの設置)
The Forbes' Pigment Reference Collection: Characterization Using Scanning Electron Microscopy (SEM) and X-ray Fluorescence (XRF)
(顔料の研究者 Forbe が集めた参照サンプルコレクションのSEMとXRFによるキャラクタライゼーション)
The TAPPI Standard Paper Reference Collection: Characterization Using Optical and Scanning Electron Microscopy
(アメリカ紙パルプ技術協会の規準に則した参照サンプルコレクションの光学・走査型電子顕微鏡による分析)
Preservation Research Projects Updates
米Appleがタブレット型の小型パソコン iPad を発表、電子ブック+ビデオ+音楽再生+Webブラウザで499ドル

linksouce:http://jp.ibtimes.com/files/general/2010012805392927.jpg
米Appleは27日、タブレット型の小型パソコン iPad を発表した。重さは680g、薄さは1,3㎝、バッテリー駆動時間は10時間、3G&無線LAN対応、スムースなページめくりによる電子ブックの閲覧、iPodを上回るビデオや音楽の再生の他、ウェブのブラウジング、E-mail等ができる。価格は499ドル~829ドル。Appleの動画による紹介ページは以下に。
2010年1月27日(水)
BBC、英国図書館が2600万ボンドを投じて新設した自動書庫を紹介する動画を掲載
英BBCのサイトは、英国図書館が2600万ポンドを投じてボストン・スパ(西ヨークシャ)に新設した自動書庫を紹介する動画を掲載している。
British Library's automated storage system unveiled
Robots used at £26m British Library store
2010年1月26日(火)
国会図書館、2月19日にデジタル情報の長期保存とアーカイブの長期利用に関する国際シンポジウム
国立国会図書館は2月19日(金)午後から同図書館で筑波大学知的コミュニティ基盤研究センターとの共催による「ディジタル情報資源の長期保存とディジタルアーカイブの長期利用に関する国際シンポジウム」を開催する。ミシガン大学(アメリカ)、ウィーン工科大学(オーストリア)、ナンヤン工科大学(シンガポール)から講師を招聘する。詳細は下記ページで。
ディジタル情報資源の長期保存とディジタルアーカイブの長期利用に関する国際シンポジウム
「事業仕分けや行政改革は市町村公文書館にどのような影響を与えているか」、全史料協関東部会が寒川文書館の事例で研究会
全史料協関東部会は2月26日(金)に芳賀町総合情報館(栃木県芳賀町)で第255回定例研究会を開催する。テーマは「市町村公文書館の運営をめぐって-その現状と課題」。近年話題の事業仕分けをはじめとする外部評価や行政改革等が市町村公文書館の現場にどのような影響を与えているのか、事業仕分けの現場に臨んだ寒川文書館(神奈川県寒川町)の報告を踏まえて議論する。
施設見学 13時~14時20分
報告と討議 14時30分~17時
「行財政改革と公文書館--寒川文書館の事例--(仮)」 高木秀彰氏
コメント 藤沢市教育委員会 細井守氏
40名まで。事前登録厳守。申し込みは2月20日までに関東部会事務局(長野県立歴史館内、電話 026-274-3993 fax 026-274-2996)へ。
2010年1月25日(月)
独IADA機関誌 PaperConservator、天球儀上のワニス処置事例、と北欧の2人のコンサーバターの和紙ツアー報告等

linksouce:http://www.iada-online.org/img/cover_0409.jpg
ドイツ語圏を中心にした紙媒体資料のコンサーバターの組織 Internationale Arbeitsgemeinschaft der Archiv-, Bibliotheks- und Graphikrestauratoren(IADA)の機関誌 PaperConservator最新号(Vol,10, 2009, No.4)は主要な記事として以下の処置事例を掲載している。
EIN GEFIRNISSTER HIMMELSGLOBUS Untersuchung der Konstruktion und Überlegungen zur Problematik der Firnisbehandlung
Anna Endreß, Rebecka Thalmann
1799年にロンドンで作成された天球儀の表面に塗布され著しく変色したワニスの調査とコンサベーション。紫外線および遠赤外線顕微鏡で観測、ワニスは完全には除去せず、下の図柄が見えるぐらいに薄くする処置をエタノール含浸綿棒により行った。
DIE DRITTE DIMENSION Methoden zur Feststellung technologischer Merkmale an historischen Künstlerpapieren und die Relevanz ihrer Erhebung
Thomas Klinke
EC(欧州委員会)の支援のもとに2006年から各国の紙の歴史研究者が協力するかたちで進められてきた歴史的な紙の情報データベース Bernstein-Projekt—The Memory of Papers の紹介。デジタルイメージとともにインターネットで公開されることで研究が飛躍的な向上をもたらした。
以上とともに本号には、ノルウェイとスウェーデンのペーパー・コンサーバターによる、昨年(2009年)春に行われた和紙ツアーの参加記が掲載されている(p.7-10)。訪問した紙漉場は高知(浜田工房、典具帖)、奈良(福西工房、宇陀紙)、同(上窪工房、美栖紙)、岐阜(長谷川工房、美濃紙)、福井(岩野市兵衛工房、越前和紙)、同(岩野平三郎工房)。
Study Trip to Japan: Washi Manufacture–Seen Through two Nordic Paper Conservator’s Eyes
Nina Hesselberg-Wang, Karin Wretstrand
PaperConservator (Vol,10, 2009, No.4)
2010年1月22日(金)
国会図書館、2月18日に「第1回 公共図書館におけるデジタルアーカイブ推進会議」フォーラムを開催
国立国会図書館は全国の公共図書館におけるデジタルアーカイブ事業を推進するとともに、国立国会図書館デジタルアーカイブポータル(PORTA)のコンテンツ拡充を図ることを目的として「公共図書館におけるデジタルアーカイブ推進会議」を設置する。第一回会議はフォーラム形式で2月18日(木)午後に、同図書館で開催される。詳細は下記ページで。
紙媒体資料への表具技術ワークショップ、3月にバレンシア工科大文化財研究所で

linksouce: http://www.e-conservationline.com/images/stories/restauracion-del-papel.jpg
表具等の日本の伝統的なコンサベーション技術を教えるワークショップが3月2-5日にバレンシア工科大学(Universidad Politécnica de Valencia)の文化財研究所( nstituto de Restauración del Patrimonio)で開催される。講師は Katarzyna Zych Zmuda女史。4日間のコースでは、糊の作り方、紙の扱い方、切り方、膠の作り方、刷毛の扱い方、支持体や顔料等の表面のクリーニング、蒸気チャンバーでの加湿、裏打ち、仮張り等の乾燥法--等の実演と実技指導が行われる。
TECNICAS ORIENTALES APLICADAS A LA RESTAURACION DEL PAPEL
2010年1月21日(木)
4月のICOM-CC Graphic Document Groupe の会議、図書館・アーカイブ蔵書の調査やアセスメント、水性処置や脱酸性化も
今年4月にコペンハーゲンの王立図書館で開催される国際博物館会議コンサベーション部会(ICOM-CC)グラフィックドキュメント・グループ(Graphic Document Groupe)会議の報告プログラムが発表された。同会議のテーマは「コンサベーションにおける選択--実践 vs 研究」(CHOICES IN CONSERVATION - PRACTICE VERSUS RESEARCH)。予定されている報告の大半が図書館・アーカイブ資料の保存に関するものになっている。
THE HYPERSPECTRAL IMAGING PROJECT AT THE NATIONAAL ARCHIEF OF THE NETHERLANDS
オランダ国立アーカイブによる分光イメージング法による蔵書の保存状態アセスメント (オランダ)
COLLECTION ASSESMENT: DETERMINATION OF THE PAPER CONDITION WITH SURVENIR
SurveNIR を用いた紙媒体の状態調査 (スロヴェニア)
ENVIRONMENTAL ASSESSMENT WITHOUT LIMITS AT THE NATIONAL ARCHIVES
保存環境アセスメント。英国立アーカイブに限定せずに。(英国)
THE INTERACTION OF COLLECTION SURVEY, PRESERVATION PLAN AND IMPROVEMENT OF STORAGE FASCILITIES
オランダ王立図書館の状態調査と保存計画と保管設備の改善の相互作用 (オランダ)
COLLECTION MANAGEMENT TOOLS AT THE NATIONAL ARCHIVES
英国立アーカイブの蔵書保存管理のツール (英国)
DEACIDIFICATION AND STRENGTHENING OF ACIDIFIED BOOKS AND DOCUMENTS: A new, fast and safe method (Papercare process) for conservation of our paper based cultural heritage
超臨界流体を用いた新しい脱酸性化法 Papercare process 法 (オランダ) →参考:特許
MONITORING AQUEOUS PAPER CONSERVATION TREATMENTS BY ION CHROMATOGRAPHY
イオンクロマトグラフを用いた紙媒体の水性処置モニタリング (フィンランド)
A NEW METHODOLOGY FOR WET CONSERVATION TREATMENTS OF GRAPHIC ART ON PAPER WITH A RIGID POLYSACCHARIDE GEL OF GELLAN GUM
固形の増粘多糖類ゲルを用いた紙媒体の水性処置 (イタリア)
TREATMENT OF FUNGI IN BOUND VOLUMES
カビの被害を受けた書籍の処置 (オーストリア)
PRESERVING THE BOOK AS ARTEFACT: USING CONSERVATION AS THE IDEAL OCCASION IN WHICH BOOKS ARE BOTH REPAIRED AND STRUCTURALLY UNDERSTOOD
モノとしての書物の保存:コンサベーションを契機に (ギリシャ)
TECHNICAL RESEARCH FOR WHITE LEAD IN THE GOTTORFER CODEX Considerations on the suitability of various techniques
2009年からコンサベーション処置が奨められているGottorfer植物園の手彩色貴重書上の鉛白の研究 (デンマーク)
ANALYSIS AND STUDY OF TWO MANUSCRIPTS HIDDEN INSIDE TWO LITURGICAL ORNAMENTS OF THE XIV-XV CENTURIES
礼拝堂の装飾内に隠されていた文書の分析と研究 (スペイン)
RESEARCH AND ANALYSES OF A 14TH CENTURY ILLUMINATED NAPOLITAN BIBLE
14世紀彩色聖書の研究 (ベルギー)
"DIE TRIUMPHZUGMINIATUREN VON ALBRECHT ALTDORFER FÜR KAISER MAXIMILIAN I" EIN PROJEKT ZUR AUSSTELLUNGS-PRÄSENTATION VON 62 GROßFORMATIGEN PERGAMENTBLÄTTERN
大きなパーチメント(皮紙)上に描かれた画家アルトドルファー の絵の展示 (オーストリア)
THE COMPLEMENTARY USE OF RAMAN SPECTROSCOPY AND MULTI-SPECTRAL IMAGING TO ASSESS CHINESE QUR'ANS
ラマン分光法と分光画像法による中国で作られたコーランの分析 (英国)
ANALYSING INTAGLIO PRINTING INK
凹版印刷インクの分析 (フィンランド)
A CONTRIBUTION TO THE STUDY OF BOOKS PRINTED ON BLUE PAPER. ORGANOLEPTIC ANALYSIS OF 9 VOLUME PUBLISHED BETWEEN 1553 AND 1750
青色に染められた紙(blue paper)に印刷された本の官能法による分析 (スペイン)
FINNISH WALLPAPER PIGMENTS IN THE XVIII-XIX CENTURY: COMPARISON WITH THOSE USED IN WESTERN EUROPE
18~19世紀の壁画の顔料の研究--西ヨーロッパの顔料との比較 (フィンランド)
LE TRAITEMENT DES ENCRES FERRO-GALLIQUES: POSSIBILITES ET QUESTIONS -THE TREATMENTS OF IRON-GALL INKS: POSSIBILITIES AND QUESTIONS
没食子インクへの処置--可能性と問題点 (ベルギー)
GELS FOR SOOT REMOVAL ON PAPER
紙上の煤を除去するためのゲル (エストニア)
RESTORATION OF PERSONAL CARDS FROM PREVIOUS CENTURY
名刺の保存 (ラトビア)
ICOM-CC Graphic Document Working Group: CHOICES IN CONSERVATION - PRACTICE VERSUS RESEARCH
2010年1月20日(水)
米保存修復学会(AIC)、本のコンサベーションのマニュアル Book Conservation Catalog を WIki形式で公開

アメリカ保存修復学会(AIC)の本と紙グループ(Book & Paper Groupe)はこのほど、書籍のコンサベーション(Book Conservation)のマニュアル Book Conservation Catalog を Wiki 形式で公開した。同グループに所属するブックー・コンサーバター達が、それそれの専門性を活かして、処置前の洗浄、脱酸性化、外れた丁の接合、表紙の接合、見返しの組み立て等の方法を述べたもの。それぞれの工程や革・パーチメントに関する文献一覧もついている。 全体が完成されたものではなく、今後、新たに付け加えたり既存の内容の改訂が行われ充実してゆくことになる。昨年10月に公開された Paper Conservation Catalog に続くもの。
2010年1月19日(火)
東北芸工大保存修復研究センター報告書、補修紙作成法、木製箱とPP箱の罹災後の比較、罹災文化財への緊急対策と修復技術など
東北芸術大学文化財保存修復研究センターはこのほど平成21年度の「研究成果報告書」を上梓した。このうち紙媒体関連は以下の通り。
・補修紙作成法の研究(半田正博、大山龍顕)
・桐箱内の美術品資料等に於けるフォクシングの発生原因及び処置方法と予防索の研究(半田正博、張大石ほか)
・文化財施設における防災対策としての木製箱の利用(片岡太郎、栗本康司、手代木美穂)
・焼損文書に関する修復処置(半田正博、手代木美穂ほか)
・固着した塗工紙の展開を含めた保存・修復処置に関する基礎的研究--送風乾燥と真空凍結乾燥による固着の差異について (小味浩之、手代木美穂)
・固着した塗工紙の展開を含めた保存・修復処置に関する基礎的研究--塗工紙を含めた印刷用紙の水害時における保全マニュアルのための基礎研究 (小味浩之、手代木美穂)
JIIMA機関誌『月刊IM』、対談「国会図書館蔵書のデジタル化とJIIMAの取り組み」を掲載
(社)日本画像情報マネジメント協会(JIIMA)の機関誌『月刊IM』(Feb. 2010)は「国立国会図書館蔵書のデジタル化とJIMMAの取組み」として長尾真・国会図書館館長と高橋通彦・JIIMA理事長との対談を掲載している(p.15-18)。
以下、抜粋と要約。
高橋「時代も移り変わり、デジタル時代の技術が進歩してきて、活用はデジタルで保存はマイクロで、というのが現在の状況になっている。協会ではデジタルの標準化や普及活動と共に保存を目的としたマイクロフィルム化という伝統も守ってゆくため、マイクロ - デジタル・アーカイブという、デジタルからマイクロへという技術も提唱している」
長尾「マイクロは保存用には最適だったが利用者には不便で不評。初期のフィルムの品質劣化や分解能が悪くて読めないものもある。そこでこれからの資料保存はデジタルに移行することに決めた。ただ、デジタルは利用者には便利だが、長期保存については慎重に考えねばという段階である」
高橋「協会でもデジタルデータの長期保存を取り上げ、こういう条件ならば30年保存できるというJISを作った。アメリカ国立公文書館では、72年間のデジタルでの保存は、保管・運用コストがマイクロの十数倍かかるという結果が出たためにマイクロフィルムで保存している。また昨年、デジタルデータを保存するときにはマイクロと同時にという国際標準規格(ISO)ができた。スキャンしたものをマイクロに落として活用はデジタル、保存はマイクロという使い分けができるので焦燥している」
長尾「(国会図書館の大型デジタル化計画については)、明治・大正期のはほぼ終わり、残りの大正の最後から昭和前期、戦後とあるが、2年間の補正予算では1968年までの図書をデジタル化する計画である。そのほかに博士論文や戦前の雑誌、官報の古いものの計画がある。」「ただ、政権が代わり、予算もはっきりしないため、作業がどこまでいけるか見通しが立たないところがある」「1968年までは約100万冊、蔵書900万冊あるなかでデジタル化したいのが400万冊であるから、残りは300万冊。これらをデジタル化するとなると、さらに400億円ぐらいかかり、雑誌・新聞を含めるとその2倍以上になる。特に地方紙のデジタル化は必要だ」
高橋「(人材の育成については)、当協会は文書情報管理士という資格制度を設けている。マイクロの知識から、上級ではシステムの全体設計や運営までできる資格だ。デジタルデータの改竄などにもしっかり対応できる人材を含む」
長尾「世界的にも電子図書館の動きが加速しており、主要な館は情報技術を理解した人材を置いている。」「我々も近い将来、電子情報部というようなものを作らなくてはならないと考え、検討し始めている」
2010年1月15日(金)
オーストリアのデジタル・スキャナー QIDENUS ROBOTIC BOOK SCANNERが米国で市場開拓へ、自動・手動のどちらにも対応

オーストリアを本拠に欧州全域で実績を持つデジタル・スキャニング業者の Crowery 社が、自社開発のスキャナー QIDENUS ROBOTIC BOOK SCANNERの米国での市場開発に乗り出す。同機は手捲りでと自動捲りの両方でのスキャニングに対応、V字型のベッドを鋭角に設定しても撮影が可能であることという特徴を持つ。速度は2,000ページ/時(自動捲り)、900ページ/時(手捲り)。
Qidenus Robotic Book Scanner to be demoed at ALA Midwinter Conference
動画は→このページのView Qidenus Technologies Videoで
2010年1月13日(水)
テキサス大学の保存管理と保存修復の高等専門教育講座が閉鎖へ、今後はより広い一般教育課程に組み込み
テキサス大学(オースティン)の情報学校に設置・運営されていた資料保存管理(preservation administration)とコンサベーション(conservation)の高等専門教育講座が閉鎖されることになった。同校が進めているカリキュラムの統合・集中計画の一環で、情報のライフサイクルを担うコア・コンセプトであるこの二つをより広い学習プログラムの中に統合するため、としている。
2009年度史料ネットセミナー「災害から歴史遺産を守る!」が2月13日に瀬戸内市で、水害を受けた資料の保全など
岡山史料ネット・岡山県立記録資料館・岡山大学文学部の共催による2009年度史料ネットセミナー「災害から歴史遺産を守る!」が2月13日(土9に瀬戸内市で開催される。「歴史遺産の保全と活用をめぐる地域力」、水害と歴史資料」、「水損した歴史資料の保全方法」がテーマ。詳細は下記に。
国立女性教育会館が女性情報アーキビスト入門講座を2月8、9日に開催、紙資料やフィルム・写真の保存と管理もテーマに
独立行政法人国立女性教育会館は女性アーカイブの保存・提供に携わる実務者を対象に、具体的な保存技術や整理方法を紹介し、実務者同士の情報交換を行うことを目的として、2月8、9日に同会館(埼玉県比企郡嵐山町9で女性情報アーキビスト入門講座を実施する。2日目の9日には紙資料とフィルム・写真の保存と管理についての講座も盛り込まれている。
2010年1月8日(金)
プリザベーション・トリアージという仕事:劣化資料や貴重書のデジタル・スキャニングの前後にすべきこと
国立国会図書館のカレント・アウェアネス・ポータルは12月28日付のニュースとして「LC、Internet Archiveと協力して歴史的書籍数万冊をデジタル化」を掲載している。デジタル化の対象は「歴史家や作家、系図学者らに高く評価され、人々にも求められている資料であるものの、老朽化し、壊れ易くなっている書籍」で「デジタル化された書籍は、LCのウェブサイトで利用可能なほか、Internet Archiveのウェブサイトでも提供され」るという。
このニュースの元は米国政府のサイトが一般の国民を対象にして政府としての活動を報告、PRするサイトの Ameriva. Gov. 当該の記事は Library of Congress Puts Thousands of Historic Books Online; Readers worldwide have free access to significant part of its collection として12月24日付で掲載されている。

Internet Archiveの総帥 Brewster Kahle 自身によるスキャニングのデモンストレーション
linksouce: http://photos.state.gov/libraries/amgov/30145/week_4_1209/122409-061218033043-500.jpg
この記事ではInternet Archiveのデジタル化プロジェクトの責任者である Michael Handy のインタビューが掲載されているが、Alfred P. Sloan 基金からの200万ドルを投入するプロジェクトは、他の類似のデジタル化プロジェクトでは取り扱いが難しいためスキャニングがスルーされていた資料、例えば物理的な劣化がすでに極限にまてきている Brittle Bookも対象になるという。Handy は「そのために我々は充分な保存処置を施すためのいくつかの工程を確立している」。スキャニングの前に当該資料の傷みがどの程度か、スキャニング時にはどのような注意が必要か、そしてスキャニングの後にも傷みが生じていいないかを図書館員はそれぞれ資料ごとにが検査するこの工程は、プリザベーション・トリアージ(preservation triage)と命名されている(トリアージとはもともとは治療現場での、負傷程度に応じた優先順位付けをすること)。
事前のトリアージ工程が終わった資料は、上記の写真のようなV字型の台に置かれた本は手捲りでページが開かれ、一週間に1,000冊のスピードでスキャニングされるという。スキャニングが終了した資料はort Meade( Maryland)にある環境の整った書庫に収納される。「もはや閲覧には供されずに保存される」。
議会図書館は Brittle Book および地図などの折りたたまれた資料をスキャニングする際の具体的な方法や注意事項を盛り込んだレポートを作成中で、完成次第、議会図書館と Internet Archive(IA) の両サイトに掲載される予定としている。
米議会図書館の中に設置されているスキャニング・センター(Library of Congress scanning center)は図書館だけではなく、連邦政府の他の部門、例えば政府印刷局の文書等のスキャニングも引きけている。「それこそがまさに行政の透明化の証になる」と、IA の総帥の Brewster Kahleは言う。
Library of Congress Puts Thousands of Historic Books Online
「ほぼ日」12月8日付記事:雑誌『情報管理』の時実・愛知大学教授「Internet Archive創設者Brewster Kahleへのインタビュー」、手めくりスキャナーも紹介
プリザベーション・トリアージについてはワシントン大学図書館の特別コレクション部門のサイトが、同部門にアーカイブ資料を受け入れて整理・目録化・公開するステップのひとつとして挙げている。それによると保存のために直ちに行うべきことは「資料の順番を狂わせないようにしながら、そのものが傷んでいたり酸性である容器から安定した品質のフォルダー容器への資料の入れ替えと、緊急の保存処置の要する資料の区分け」としている。
2010年1月4日(月)
全史料協近畿部会が「行政文書を文化財として取り扱う」で例会、京都府行政文書を対象にした国庫補助による修理事業の指針等も
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会近畿部会は2月2日に京都府立総合資料館で第104回例会を開催する。テーマは「行政文書を文化財として取り扱う」で、地主智彦氏(文化庁文化財部 美術学芸課 文化財調査官)が報告する。概要は以下の通り。
「2002年に京都府行政文書15,407点が重要文化財に指定されて以降、近代行政文書を文化財として取り扱うとはどのような意味内容と方法を伴うのか、熱心に議論されてきた。 同資料については、今年度から国庫補助による修理事業が開始されたが、その実施にあたって、行政文書の文化財的価値および実際の修理方針策定上の指針について、資料を前にしながら具体的に検討を行い、行政文書保存の方策と文化財概念の未来を考えたい。」








日本図書館協会資料保存委員会が『資料保存の調査と計画』を出版、資料の状態調査から保存計画を立ち上げるには


ページトップへ