今日の工房 2014年

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2014年12月18日(木) 襖絵を収納する保存箱

襖絵を収納する被せ箱。襖の縁の幅に合わせたスペーサーの板を、箱の底と天井に取り付けた。襖の縁部分のみがスペーサーに触れる構造のため、描画面は箱の内面に接触しない。収納後は箱を紐で縛り、立てて保管する。

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2014年12月11日(木) 師走の工房

師走に入り一段と忙しくなってきた工房。修理部門には年末、年度末に向けて修理待ちの資料が続々と集まってきており、スタッフは連日フル稼働です。これから修理をお考えのお客様は、どうぞお早めにお問い合わせください。

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2014年12月2日(火) カナダ、メキシコ国立公文書館の修復担当者が東京文化財研究所 近代文化遺産研究室の中山様、小林様と共に来訪

東京文化財研究所主催「第28回近代の文化遺産の保存修復に関する研究会-洋紙の保存と修復-」でご講演されたアン・フランセス・マヒューさん(カナダ国立図書館・公文書館 紙修復部門責任者)とアレハンドラ・オドア・チャヴェスさん(メキシコ国立公文書館 修復部門長)が東京文化財研究所 近代文化遺産研究室の中山様、小林様と共に弊社を訪れた。2時間たっぷり、カナダ、メキシコの近現代紙資料に対する保存の方策や考え方についてお話を伺うことができ充実した交流の機会となった。また弊社が海外の知見を学ぶと同時に、技術・製品の開発に積極的に活かしている点や細かな配慮がされた様々な保存容器にも大きな関心を持って頂けた。アレハンドラさんが専門とされている没食子インクに関する劣化と保存修復に関する研究は、オランダやスロベニアを中心に海外では1980年代半ばから盛んに行われてきており、その成果はすでにコンサベーションの現場で確立された技術として実用化されている。弊社の実例もお目にかけ評価して頂けた。美術作品以上にさまざまなコンディションが予想されるアーカイブ資料を扱うために、今後もしっかりと内外の動向を捉えていく必要があると感じた。

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2014年11月20日(木) 学習院大学大学院アーカイブズ学専攻の皆さんによる工房見学

工房見学にいらした学習院大学大学院アーカイブズ学専攻の皆さん。修理や保存容器の技術・工程・材料の話だけでなく、保存計画の中における弊社の役割から、方針が決まるまでにお客様と打合せる内容など、実際的な流れに沿った話や質問も多く大変充実した内容となった。毎年、熱意を持って資料保存に取り組んでいる方々が集まるこの見学会は、私たちにとっても貴重な意見が伺えるコミュニケーションの場として恒例行事となっている。

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2014年11月11日(火) 全国図書館大会と図書館総合展に出展

第100回全国図書館大会第16回図書館総合展に出展しました。ご好評をいただいている「GasQ」、「MoldenybeR」、「ドライクリーニング・ボックス」に加えて、新たな保存容器「スリムボックスとスリムフォルダー」も出品いたしました。お立ち寄りいただいた皆様からの貴重なご意見を、今後の技術・サービスの向上、商品開発に活かしていきます。

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2014年10月30日(木) 図書館関連のイベント出展のお知らせ

秋といえば読書。読書といえば図書館。秋は図書館関連のイベントも目白押しです。今週末から来週にかけて順次開催される全国図書館大会(10/31~11/1、於:明治大学)、図書館総合展(11/5~7、於:パシフィコ横浜)に、弊社も企業ブースを出展いたします。現在準備も最終段階です。新商品を掲載したカタログやサンプル等を多数ご用意しておりますので、ご来場の折はぜひお立ち寄りください。

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2014年10月23日(木) 新聞資料に対する洗浄・脱酸性化処置

新聞資料に対する洗浄・脱酸性化処置。基材の紙とイメージ材料へのスポットテストを行い、使用するアルカリ性溶剤に対する耐性が確認できたため水性の処置を行った。資料をクリーニング・ポケットに挟んで養生し、弱アルカリに調整した洗浄液、その後脱酸液に浸漬する。画像4枚目は処置後の洗浄・脱酸液。紙の中の可溶性の酸性物質が洗い出されて白色度としなやかさが回復し、処置後の平均pHは3.6から8.5に上がった。

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2014年10月16日(木) 新製品「スリムフォルダー」「スリムボックス」

新製品の「スリムフォルダー」と「スリムボックス」の販売を開始しました。薄くて丈夫な板紙を採用し、機能的で丈夫なデザイン(意匠登録出願済み)にしたことで、配架スペースを大幅に節約できます。サンプル発送もいたしますのでお問い合わせ下さい。配布用チラシ(PDF)はこちらです。

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2014年10月10日(金) 擬似革「スキバルテックス」を用いたリンプ・バインディング

擬似革「スキバルテックス」を用いたリンプ・バインディング(limp binding)。このクロスは、柔軟性とともに充分な張りがあり、また綴じのための支持体を通す孔も裂けにくいので、リンプ・バインディングの表装材として適している。擦れにも強いため、製本後の取り扱いによる損傷も少ない。

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2014年10月6日(月) 「江戸・TOKYO技とテクノの融合展 2014」に出展

10月2日に東京国際フォーラムで開催された「江戸・TOKYO技とテクノの融合展 2014」の展示ブースに弊社も出展しました。東京企業力!をテーマに幅広い分野から特色ある企業が集まり、異業種間の活発な交流の場となりました。弊社も多くの来場者の皆様から貴重なご意見を伺うことができました。お立ち寄りいただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

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2014年09月26日(金) カビが発生した資料のクリーニング

カビが発生した資料のクリーニング。資料をモルデナイベでパッキングしてカビ残滓の飛散を防止した状態でお預かりし、工房内に設置した簡易ドライクリーニング・ボックスの中でクリーニングを行う。カビ資料を扱う際は特に、作業設備、使用する道具を専用に備えて、作業者自身も手袋やマスク、エプロン等を着用して防御する。

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2014年09月18日(木) ブックマット形式の染織布用保存箱

染織布用の保存箱。9種類の布は色の比較見本として使うため、ブックマット形式に。布に直接触れることなく扱えるので、汚れや物理的な傷みも少ない。箱から取り出し易いようにスペーサーを兼ねた下敷き付き。保存性と閲覧のしやすさ両方を兼ね備えている。

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2014年09月11日(木) 市販の桐箱から出る有機酸ガスを観る実験2

7/17の「今日の工房」では市販の桐箱から出る有機酸ガスを観る実験をした。今回は、同じ桐箱を直接アーカイバル容器に入れたものと、GasQ(汚染ガス吸着シート)に包んでからアーカイバル容器に入れたものをそれぞれガスバリア袋に入れ、検知剤の色の変化を観察した。2週間後、アーカイバル容器に直接入れた方は検知剤がやや緑色に変化したにとどまり、さらにGasQで包んだ方はほとんど元の青色のままであった。アーカイバル容器とGasQを併用することで汚染ガスに対する抑制効果が格段に上がることがわかる。

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2014年09月05日(金) デジタル撮影の事前処置

脆弱化した資料をデジタル撮影するための事前処置。本紙のしわを伸ばして極薄の和紙を重ね、上から薄めたデンプン糊を均一に噴霧する方法で補強とフラットニングを兼ねた裏打ちを行った。文字も判読しやすく、撮影時安全に取り扱える。画像3枚目が処置前、4枚目が処置後。

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2014年08月29日(金) アーカイバル容器新製品の撮影風景

秋に発行予定の製品カタログ改訂版に掲載する、アーカイバル容器新製品の撮影風景。薄い冊子用のタトウ箱や、大きめの薄い資料を平置きできる台差し箱を開発しました。その他にもより利便性を上げるためモデルチェンジした製品を掲載予定です。ご期待下さい。

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2014年08月21日(木) 擬似革の紙クロス

弊社で採用している擬似革の紙クロス(スキバルテックス:SKIVERTEX)。Acid-Free(アシッドフリー)・Lignin-Free(リグニンフリー)と安定した素材で、擦れにも強い。ハーフバインディングやクオーターバインディングの革装本の修理に最適で、革で直すよりも安価にでき、見開きや開閉もしやすいため、お客様にご好評いただいている。書籍の写真2枚が処置前後の例。

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2014年08月07日(木) ハンギングフォルダー用保存容器

市販のハンギングフォルダーが、サイズの合わない既存の木製キャビネットに無理に収納され資料がカールしていた。そのため、フォルダーサイズに合わせ負担なく吊るせる保存容器を作製した。棚に並べた際に収納物が一目で分かるようにカードホルダー(左:タイトル、右:請求番号)を付けて完成。

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2014年08月01日(金) 夏のご挨拶

いよいよ夏本番を迎え、厳しい暑さが続く季節になりました。毎年恒例の夏の手ぬぐいは、これまでと少し趣向を変えて、爽やかな青地に白抜きでうちわ柄のデザインとなっています。現在、お客様の元へとお届けする準備が着々と進行中です。

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2014年07月25日(金) 陜西歴史博物館の方々の工房見学

中国陝西省西安市にある陜西歴史博物館の楊潔さん、劉慶紅さんが工房見学に。修理部門と保存容器部門の作業現場を熱心に見て回られた。お2人は5年前、中国文化遺産研究院(北京)での「シルクロード沿線文化財保護修復人材育成プログラム」の講習会に参加された方々。今回も、熱い質問と意見が飛び交う、活気ある見学会となった。

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2014年07月17日(木) 資料や市販の桐箱から出る有機酸ガスを観る実験

資料や市販の桐箱から出る有機酸ガスを観る簡単な実験をした。桐箱・古書籍・古新聞をそれぞれ検知剤とともに密閉性の高いガスバリア袋に入れ、検知剤の色の変化を観察する。検知剤はもともとは青色だが、有機酸ガスに反応すると黄色に変わる。6日後、桐箱に入れたものは完全に黄色く変化していた。素材が明確でない容器が資料劣化の要因となりうることがわかる。

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