今日の工房 2015年 10月

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2015年10月28日(水) 13年前に脱酸性化処置した資料はいま、どうなっているか?

コンサベーション・シミュレーション・サンプル。さまざまな紙媒体資料へのさまざまな修理方法を模擬的に適用したもの。サンプルが経年によりどのように変化するかを定期的に観察し、実際の処置の参考にする。ここでは13年前に、1枚の紙を分割し、それぞれの紙片に対して5種の脱酸性化処置を適用したものの、基材の紙と、インク等のイメージ材料の変化を検証した。

 

4枚目の画像について。オリジナル(未処置)の新聞紙片に対し、pHチェックペンの指示薬が素早く黄色に呈色したことから酸性度が高い事が分かる。対して、洗浄・脱酸性化処置(水酸化カルシウム水溶液による)を適用したものは、紫色のまま保たれている。pH値は13年前の処置時と同等のアルカリ域にあり、脱酸性化処置の効果が持続していることが確認できる。

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2015年10月21日(水)文化財防虫防菌の講習会でドライ・クリーニングの実演講義をしました

10月13日、14日の2日間にわたり公益財団法人文化財虫害菌研究所主催、文化庁後援による「第 35 回文化財防虫防菌処理実務講習会」が国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催されました。講習会には文化財虫菌害防除作業主任者および本資格更新者、一般の文化財保存管理者、博物館・美術館・図書館・資料館・文書館等において展示・収蔵品や資料等の保存管理する担当者、文化財に関する生物被害防除業務に携わる方々を中心に89名の参加がありました。

 

弊社は資料に着いた汚れやカビのドライ・クリーニングの実演講義のほか機器展示も併せて行い、アーカイバル容器、「無酸素パックMoldenybeモルデナイベ」、「簡易ドライ・クリーニングボックス」等、文化財保存管理に役立つ器材を展示しました。多数の質問が飛び交う充実した時間となり、大変参考になりました。お立ち寄りくださった皆様方に心より御礼申し上げます。

 

当日の配布資料は以下の通り。

島田要「資料に付着した汚れやカビのドライ・クリーニング」(「文化財の虫菌害」No.69 平成27年6月号に掲載)

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2015年10月14日(水) 今秋の興味深い展示会や見学会に弊社スタッフも伺います。

季節柄、魅力的な展覧会・見学会が目白押しですが、中でも特に興味深いものを4つ。弊社のスタッフも伺います。他分野の職人や技術者の方の知恵を学ぶ良い機会です。

 

早稲田大学総合学術情報センターでの「アルドの遺伝子」11月19日(木)まで。

 

旧平櫛田中邸アトリエでの 芸工展2015「修復のお仕事‘15伝えるもの・思い〜」10月18日(日)まで。

 

無印良品有楽町Open MUJI Tokyoでの「お直し市場」『本の修復工房』ブースは10月18日(日)まで。

 

佐々木活字店での 「10月度 鋳造見学会」10月17日(土)要申込。

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2015年10月07日(水) 企業史料協議会主催の紙資料保存と修理・修復セミナーが弊社の工房で開催されました

去る9月17日、企業史料協議会主催の第6回資料管理研修セミナーが弊社にて開催されました。「紙資料の保存、修理・修復について~アーカイバル容器製造工程、資料修復作業を見学して学習~」というテーマのもと企業アーカイブ担当者など16名の方が参加し、3時間半にわたり工房見学をしました。参加者からは具体的かつ踏み込んだ質問が多く寄せられ、私共にとっても大変有意義なセミナーとなりました。

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