今日の工房 2016年 2月

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2016年2月24日(水) 映像フィルムの劣化要因「ビネガーシンドローム」と、劣化の進行を低減できる保存容器。

映像フィルム用のシェルボックス。写真や映画の撮影フィルムのうち、特にアセテートベースの物は密閉性の高い容器に入れて長期保管すると、酢酸を放出し、それが再びフィルムに吸着することで加速的に劣化が進む「ビネガーシンドローム」が起きる。映像フィルムの長期保存には低温低湿に管理された保管環境が不可欠だが、収納する容器内に酢酸を充満させないことも重要だ。 ある程度の通気性があるアーカイバルボード製の保存容器に入れ、さらに容器の底に交換可能な汚染ガス吸着シート「GasQガスキュウ」を敷く事で、より効果的に劣化の進行を低減できる。付属の下敷きボードは、中心の突起がフィルムコアの穴にぴったりとはまり、固定できる構造だ。また、古くなったコアは抜いて保管する場合には、フィルムの内径に合わせた円盤スペーサーを取り付ける。

2016年2月17日(水) 大判の汚染ガス吸着シートGasQは手作業で一枚ずつカット

汚染ガス吸着シートGasQ断裁品のご注文をいただいた際、機械断裁できない大判サイズは工房内で手作業で一枚ずつカットする。GasQをロールホルダーにセットし、必要な長さを引きだしてカッター台に固定する。こうすることで、しわや折れ目をつけずに歪みのない正確な寸法を切り出せる。このロールホルダーは市販のハンガーラックに手を加えたもので、不織布や薄紙の断裁に重宝している。

2016年2月10日(水) 手書きノートの非水性脱酸性化処置。

一枚ものの手書きノートに対する脱酸性化処置。基材の紙とイメージ材料へのスポットテストを行ったところ、手書きインクが水溶性であることが確認できた。水溶性のインク等が使用されている資料に対して、水性の脱酸性化処置を行うことはできない。そのため、Bookkeeper法による非水性の脱酸性化処置を行った。Bookkeeper法とはプリザベーション・テクノロジーズ社が開発した、不活性液体に酸化マグネシウム微粒子を浮遊分散させた液体である。処置前の平均pHは4.4であったが、処置後の平均pHは8.1に上がった。

2016年2月3日(水)アーキビスト養成のための資料保存手当て実習講座と工房見学会を実施しました。

独立行政法人国立女性教育会館平成27年度女性情報アーキビスト養成研修における実技コース「紙資料の修復関連実習」と弊社工房の見学会。昨年12月、弊社スタッフが講座を受け持ち、ドライ・クリーニングや金属除去と綴じ直し、無酸素パックモルデナイベの使用方法など、基本的かつ無理なく導入できる保存手当てを中心に道具の紹介や作業の実演・実習を行った。更に年明けには弊社でお引き受けしている様々な資料への手当ての事例や、より専門的な修理処置をご覧いただく機会として、弊社工房の見学会も実施され、多数の方々にご参加頂いた。研修、見学会ともに参加者の皆様からは熱心な質疑があり、私共にとっても図書館やアーカイブズの現場の声を直接聞かせて頂ける有意義な機会となりました。

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