今日の工房 2016年 5月

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2016年5月25日(水) 平綴じされた機械パルプ紙製の小冊子やノートのヒンジ部破損の修理

機械パルプ紙製の小冊子や大学ノートなどによく見られる表紙ヒンジ部の損傷。ヒンジ部とは、冊子の表紙の開閉時の「ちょうつがい」になる部分。酸化と酸性劣化により紙の耐折強度が低下している機械パルプ紙の資料の場合、同じ位置で強制的に折られる表紙ヒンジ部は、真っ先に破断などの損傷が起きる。閲覧利用の際や、デジタル化撮影の際、あるいは冊子を開いた状態で展示する際などに、何度か冊子を開け閉めしていると、気が付いたら表紙がヒンジ部で切れてしまった、と言ったご相談もあります。

 

今回取り上げている小冊子は、本体は針金による平綴じで、表紙が本体の綴じ代で糊付けされ、それによりできた綴じ代の内側のヒンジ部に負担が集中して破れが起きている。修理方法の一つとして、表紙のちょうつがいの位置を移動し、冊子の開閉時に表紙が折れない構造にする処置がある。処置工程は、冊子の金属留め具を除去して表紙と本体を解体し、破れている箇所を和紙とでんぷん糊で修補する。表紙以外の本体を糸で綴じ直し、表紙は本体の綴じ代に糊付けしない。(平綴じでなく、かがり綴じでの綴じ直しができるのであれば、かがり綴じの方がさらに負担が少なくて良い。)これにより、表紙のヒンジ部は背表紙の表紙側の角に移った。

 

表紙と本体の接合方法については、資料によって様々であるため、各資料に合わせて十分な接合が確保できるような構造にする。

2016年5月18日(水)ラベルを定位置にきれいに貼るための簡単な治具

保存容器などにラベルを貼る際は、「蓋の中央」「下から1cm」というように、位置を正確に決めて貼りたい。特に複数の容器に貼る際には、並べた時にラベルの位置が揃っていると、見た目もきれいである。とはいえ、貼るたびに定規を当てて印をつけて、というのも面倒なもの。そんな時は専用の治具を作ると便利である。治具は、大きさの違う板紙を2枚貼り合わせたもので、裏面にくる段差を箱の縁にあてて使う。シンプルで使い勝手が良く、簡単に作ることができるので、ラベル貼りにお困りの方はぜひお試しください。

 

【例:端から1cmのところにラベルを貼るための治具】

○材料
・硬い板紙 または アクリル板
・両面テープ または のり

○作り方
① 板紙から扱いやすい大きさの四角形を2つ切り出す。片方の一辺は1cm短くする。
(例)4×4cmと4×3cm 

② 両面テープで貼り合わせる。

 

関連情報

中性ラベル

 

2016年5月11日(水) 電動ドリルで資料に穴を開ける。

電動ドリルで穴を開ける。目打ちが紙を「押し広げて」穴を開けるのに対し、ドリルは紙を「削り取って」穴を開ける。酸化・酸性紙化により紙力が低下した紙は、目打ちで押し広げて穴を開けると、周囲にひび割れが広がってしまう場合がある。特に小冊子に綴じ穴を開ける処置ではドリルを用いた方が資料にかかる負担が少ない。また、ハードカバーの外れた表紙を本体に再接合する方法のひとつのタケッティング法では、表紙ボードの断面から正確に細い貫通孔を開ける必要がある。このため、径が1㎜以下の刃を装着したペン型のドリルを使う。一見大胆な道具にも思えるが電動ドリルの使用が適している処置は多々あり、修理に欠かせない道具のひとつである。

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