今日の工房 2017年 3月

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2017年3月29日(水)工房はいま、繁忙期真っ只中です。

おかげさまで、例年同様、工房はいま繁忙期真っ只中です。ご注文いただいた保存容器やお預かりした資料は順次お客様の元へ発送、ご納品に伺っております。修理部門では、ご納品と併せて、次年度案件の資料のお引取も相次いでおり、すでに工房内は資料で溢れています。

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2017年3月22日(水) 書架に収納する大型雑誌用ファイルボックスをブリヂストン美術館様に

公益財団法人石橋財団ブリヂストン美術館様が収集している海外の美術雑誌の多くは大判で薄く柔らかいため、書架にそのまま立てて並べると自重で湾曲してしまう。当初利用されていた一般的な事務製品は、大型本を支える強度がなく、また、箱の手前の壁が資料の下半分を隠してしまい、本のタイトルや管理用ラベルが見えづらく、出し入れに手間がかかっていた。そこで強度のあるアーカイバルボードを使い、資料をしっかりと支えられる構造にした。手前の壁がなくなることで資料の背がすべて見え、出し入れも安全に行うことができるようになった。

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2017年3月15日(水)和装本(四つ目)を仕立て直す。

和装本の修理の行程は、綴じを解体して一丁ずつ本紙を修補することと、修補後の綴じ直しに大別される。綴じ直しは、元穴や元表紙が問題なく再使用できたり、本紙の状態が良好であれば、さほど難しい工程ではない。しかし、損傷状態によっては綴じ穴を新しく設けたり、表紙を新しくする仕立て直しをすることも多い。綴じ穴の位置やちりの具合を調整する仕立て直しの作業は、資料の「顔」を決める重要な工程といえる。
 
まずは本紙を中綴じする。修補後の本紙を折り直し、丁を揃えながら元の順番通りに重ねる。重ね終えたら、目打ちで綴じ穴を開けて、紙縒りで中綴じを行う。周辺に残る補修紙については化粧裁ちを行う(薄手の資料であればカッターなどで、厚いものは断裁機を使用する)。角裂(かどぎれ)は、あらかじめ修補または新しく用意しておき、中綴じと化粧立ちの後に付け直す。
 
次に、表紙の四辺を折り込む「表紙掛け」を行う。中綴じした本紙と、表紙の内側を、軽く糊付けして固定したあと、表紙の背、天地、小口の順に、ヘラで筋を付けながら折り込み、最後に、折った紙が重なる四隅を斜めに切り落とす。本紙をきちんと保護できるよう、表紙が出過ぎたり内に入りすぎたりしていないか、指先で確認しながらちりの具合を調整する。その後、表紙と見返し紙の小口を糊で貼り合わせる。
 
最後に、題箋やラベルを元の位置に貼り戻した後、元糸を参考にして、似た色合いと太さの糸で外綴じを行って完成させる。

 

 関連情報
今日の工房2015年9月9日  和装本の綴じ直しに使う絹の糸と布
今日の工房2005年10月11日  ボーディングで紙縒りを作る
スタッフのチカラ2015年5月20日  シリアス染料による補修用和紙の染
スタッフのチカラ2011年5月27日  馬込家文書に対する保存修復処置事例
スタッフのチカラ2010年3月29日  和書「往来物」への保存修復処置

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2017年3月9日(木)殺虫処理が館内で簡単・安全・確実にできる無酸素パック『Moldenybe®モルデナイベ』の大型サイズをラインアップしました。

「サイズが大きい博物資料、絵画、美術工芸品、テキスタイルなどの殺虫処理や保管にも対応できる大型袋が欲しい」そうしたお客様からのニーズを受けて、これまで特注品(都度対応品)として製造していた『Moldenybe®モルデナイベ』の大型袋3種を定番化します。材質も形も多種多様な文化財の密閉・脱酸素処理に最適なサイズを揃えました。

 

内寸mm 外寸mm セット数 価格
(税抜)
モルデナイベ大型 1,110×1,280 1,140×1,320 5セット

スライド・チャック式ガスバリア袋(マチなし平袋)5枚+エージレスセット25個

¥53,000
モルデナイベ大型 310×1,360 380×1,400 10セット

スライド・チャック式ガスバリア袋(マチなし平袋)10枚+エージレスセット10個

¥65,000
モルデナイベ大型 430×929 440×944 10セット

スライド・チャック式ガスバリア袋(マチなし平袋)10枚+エージレスセット10個

¥42,000

 

無酸素パック『Moldenybe®モルデナイベ』は、酸素を遮断できる高性能な3連スライド・チャック式ガスバリア袋と医薬品や化粧品にも使用されている安全性の高い脱酸素剤を使い、誰でも手軽に無酸素の密閉空間を作ることができる包装資材です。無酸素の環境にすることによって、貴重な資料、染織品、木製品、革製品等に付く害虫やカビを、人体に有害な殺虫剤や防カビ剤などの化学薬品を使うことなく確実に殺虫・防カビ処理できます。また、酸素をゼロにして「酸化」を防ぐ特性を生かし、衣類の酸化による色褪せ、黄ばみ・染みの発生防止や金属材料の腐食防止・保管など様々な用途に活用できます。通気を遮断するので乾燥をある程度防ぎ、臭い移りが起こらないので一時的な隔離袋としても使用できます。

 

ご購入方法

 

本製品のお見積り・ご購入は下記リンク先の販売代理店窓口までお問い合わせ下さい。

メールまたはFaxでお問い合わせの際は件名に「モルデナイベ問合せ」とご明記をお願い致します。
メールは(at)を@に変えて送信して下さい。
なお販売代理店は取りまとめ店のみを記載しております。このほかの営業所は各販売代理店までご連絡下さい。

 

 

販売代理店 お問い合わせ先

 

・日本ファイリング株式会社 特販部
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-2 新御茶ノ水アーバンビル
Tel:03-5294-3037 Fax:03-5294-3014  メール t.sudo(at)nipponfiling.co.jp(担当:須藤)

 

・株式会社クマヒラ 企画本部 ミュージアムグループ
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町1-10-3
Tel:03-3270-4393 Fax:03-3270-4394  メール info(at)kumahira.co.jp

 

・金剛株式会社 業務本部 企画・調達センター
〒860-8508 熊本市西区上熊本3丁目8-1
Tel:096-355-8889 Fax:096-352-0227  メール contact(at)kongomail.com

 

・中部資材株式会社 燻蒸部
〒490-1447 愛知県海部郡飛島村西浜28番地
Tel:0567-55-1290 Fax:0567-55-1777  メール bunkazai(at)chubushizai.co.jp

 

・トラッドマテリアル
〒589-0007 大阪府大阪狭山市池尻中2-2-26
Tel:072-205-2027 Fax:072-205-2028  メール mail(at)tradmaterials.jp

 

・第一合成株式会社 営業部文化財課
〒192-0051 東京都八王子市元本郷町1-25-5
Tel:042-625-5070 Fax:042-622-1884  メール info(at)daiichigosei.co.jp

 

・沖縄サニタリー株式会社
〒900-0036 沖縄県那覇市西2丁目13-15
Tel:098-868-8458 Fax:098-862-0825  メール sanitary(at)woody.ocn.ne.jp

 

・寺田倉庫株式会社  ドキュメントソリューショングループ
〒140-8615 東京都品川区東品川2-6-10
Tel:03-5439-6100 メール doc.contact(at)terrada.co.jp

 

・株式会社 明治クリックス
〒661-0001 兵庫県尼崎市塚口本町3丁目28番8号
Tel:06-6423-0662 Fax:06-6423-3452 メール world(at)meijiclix.co.jp

 

・タキヤ株式会社 東京営業所
〒107-0062 東京都港区南青山1-4-2八並ビル2F
Tel:03-5410-0992 Fax:03-5410-0998 メール info(at)takiya.com

 

・株式会社パレット
〒259-0113 神奈川県中郡大磯町石神台3-11-3
Tel:0463-70-6444 Fax:0463-72-3157 メール toiawase(at)paret.jp

 

・IPMサポート株式会社
〒299-4502 千葉県いすみ市岬町中原422
Tel:0470-64-6824 Fax:0470-64-6825 メール t.hasegawa(at)ipm-s.co.jp(担当:長谷川)

 

・株式会社紀伊國屋書店 教育支援システム部 デジタルコンテンツ課
〒153-8504 東京都目黒区下目黒3丁目7番10号
Tel:03-6910-0514 Fax:03-5436-6921 メール dc00(at)kinokuniya.co.jp

 

 

関連情報

2016年8月3日(水) 無酸素パック「モルデナイベ」は工房でも加湿や修理用の材料の保管などに活用しています。

 ・2015年03月27日(金) 無酸素パックの大型タイプを開発—-段ボール4箱をそのままパックして安全に殺虫。

 

 

※2019年3月更新

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2017年3月2日(水)本日の専図協のセミナー「館内でもできる簡易修理」はこんな内容です。

本日(2017年3月2日)開催される専門図書館協議会主催の資料保存セミナー「館内でもできる簡易修理」の講義内容です。

 

図書資料でもよく見かける、金属の綴じ具が錆びた小冊子や、表紙が本体から外れかかっているくるみ製本などへの、簡易修補のデモンストレーションと実習を行います。午前は、小冊子の金属除去・綴じ直し・修補。午後は、くるみ製本の解体・背ごしらえ・本体と表紙の接合、というプログラムです。実習後には質疑応答、意見交換会も予定しております。

 

セミナーの参加者の方々には、日頃、現場で抱えておられる様々な課題に対し、少しでも解決のお手伝いになるような情報をお持ち帰り頂けると思います。

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