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中国古籍の修理(12)

中国古籍の修理 ― コンサーバターのために (12)

デヴィット・ヘリウェル
(福島 希 訳)  2009/02/19

<線装>続き

1.11 表紙作り

表紙は本の書葉を保護するだけでなく、外観を良くする役目がある。表紙の作り方には様々な方法があり、本の種類によって使い分けられる。

1.11.1 一般的な方法

一般的な本に対して用いられる、比較的簡単な方法である。作業効率が良いばかりか、使う材料も節約できる。

まず表紙用の紙を本の寸法に合わせて切る。紙の大きさは表紙2枚分の幅にするが、折り込み分を考えて四辺を少し大きめにしておく。一度に沢山の表紙を作る時は、3~5枚重ねて行うと良い。紙を外表にして半分に折る(図14A)。折り込む分の折り目を作る(図14B)。本の大きさによって、折り込みの幅は異なってくるが、一般的には約1センチである。折り目をしっかりと付けたら、紙を裏返して同じように折り目を付ける(図14C)。表面が滑らかな道具を使って、しっかり折り目を付ける。ペーパーナイフで中央の折り目に沿って切ると、2枚の表紙になる(図14D)。それぞれの表紙に付いている折り目に沿って折り込めば、書口部分に折り込みができたことになる(図14E)。紙を半分に切る前に折り目を付けておくと、大きな紙であっても完全に真っ直ぐな折り目を付けることができる。長さがあるものを1センチ幅で折るのは非常に難しい。

図14A~図14E

書口が手前に来るように、作業台に本を置き、傍にはプレス板を置いておく。最初の冊をプレス板に移動させる。見返し紙の書口に右手の中指で濃い糊を3~4ヶ所付ける。書脳にある紙縒りの端にも2ヶ所、糊を付ける。両手の中指と人差し指で表紙を持ち、書口に親指を添えながら、見返し紙の上から適切な位置に表紙を貼り付ける。糊付けした部分を両手で押さえる。次の冊を1冊目の上に置き、同じように表紙を付ける。オモテ表紙を全て付け終えたら、その上に別のプレス板を置いて束全体を引っくり返し、ウラ表紙も同様の方法で付けていく。オモテ表紙とウラ表紙の両方を付けた後に、正確な寸法にトリミングする。
 
単に表紙を作ったり、古い表紙と取り替えたりするだけならば、書葉までトリミングする必要はない。その場合は以下の方法を採る。

1.11.2 古い表紙の取り替え

表紙を取り替えるだけならば、上記の方法と同じように作るが、オモテ表紙を付けたら速やかに左手で冊、右手でハサミを持って、本の端から飛び出している余分な部分を切り落とす。まず地から始め、本を回して書脳、そして最後に天をトリミングする。本を裏返してウラ表紙を貼り付けたら、オモテ表紙と同様にハサミで切り落とす。ハサミの代わりにカッターと定規を使い、カッターボードの上で余分な部分を切っても構わない。どちらの方法を採ったとしても、表紙をトリミングした後はやすりで再び小口を滑らかにし、その後に綴じを行う。

1.11.3 袋表紙

「一般的な方法」と全く同様の手順である。しかし、書口部分を折り込んだり、見返し紙と表紙を書口で糊付けしたりすることはない。

1.11.4 四辺を折り込んだ表紙

四辺を折り込んだ表紙の利点は、辺を全て折り込むために、1枚の紙で作った表紙であっても隅が折れにくくなることである。この表紙は上品な印象を与えるので、貴重な本に対してよく使われる。

まず、全紙から何枚の表紙が取れるか確認し、裁断する。その際、四辺に1.5センチずつ折り込み分を加えて考えなくてはならない。その後は上記の「一般的な方法」と同様に作業を進める。書口の折り込みに当たる部分に折り目を付けて、紙を半分に切って2枚の表紙にする。四辺の折り目が曲がらないように注意する。

冊をプレス板に置き、右手の中指で濃い糊を4ヶ所、見返しの書口部分に付ける。書口部分を5等分するように付けると良い(図15)。両手の中指と人差し指を使ってオモテ表紙を取り、親指を書口に沿わせながら表紙の折り込みを見返しの上に載せ、天地のチリが均等になるように気を付けながら貼り付ける。次の冊はその上に重ねて置き、同じようにオモテ表紙を貼る。

図15

全体が10冊に満たない本であれば、表紙を全冊に一度に付けて構わないが、大量の冊がある場合は何回かに分ける必要がある。全てのオモテ表紙を書口で貼ったら、重ねた冊の上に別のプレス板を置き、小さい重石か、何らかの他の物でプレスする。今度は書脳が手前に来るように、重ねた冊全体を回す。上に置いたプレス板を本の幅の3分の1程度ずらし、書脳の縁が完全に見えるようにする。両手の中指と人差し指を使い、チリを見ながら書脳の縁に沿わせるようにして、表紙に折り目を付ける。表紙を持ち上げて折り目に従って折り、折り込んだ端を2、3ヶ所糊付けする。そして、プレス板と共に移動させる。次の冊も同様に書脳の折り込みを行う。

全ての冊に対して書脳の折り込みが終わったら、プレス板ごと本を回し、地も同じ方法で折り込む。折り目を付けた後に、角の二重になった部分の片方の折り込みをハサミで斜めに切り落とす。それから地を折り込んで糊付けする(図16)。あるいは、角に少し余裕を持たせて、書口と書脳の折り込みを斜めに長く切り落としても良い(図17)。もし絹を表紙に使うなら、角を切ってはいけない。ほつれの原因になるからである。まず角を斜めに折り、その後に端を折り込む(図18)。裂が二重になった所は小さな金槌で叩いて馴染ませる。書口の角と書脳の角、さらにその中間にも糊を付け、見返しに貼る。角裂がある場合は、その上に表紙を貼り付ける。天の折り込みも同様に行う。オモテ表紙を付け終えたら、ウラ表紙を付けていく。

図16 図17 図18

1.11.5 素材

通常の場合、表紙は茶色や青に染色した薄い棉連紙を、白い薄い紙で1、2度裏打ちしたもので作る。裏打ちには宣紙を使うのが望ましいが、毛辺紙でも構わない。厚い紙を裏打ちせずに表紙用の紙としても良いが、薄い紙を裏打ちして使用するのが一般的である。紙全体を一度に裏打ちし、仮張りに張っておく。(この方法については「巻子」の項を参照のこと) 乾いたら寸法に従って裁断する。

茶色の表紙を作るには、紙を黄土で色付けする。黄土に籐黄を混ぜたり、徽州墨で色合いを暗くしたりすることもある。こういった茶色の表紙用の紙は古色書皮紙(「古色の表紙用紙」)として知られており、場合によっては既製品を購入できる。

青色の表紙は化青によって色付けされ、瓷青書皮紙(「紺青の表紙用紙」)として知られる。これは非常に品のある紙であり、既製品を買うことができる。清代の乾隆、嘉慶の時に生産され、元は内閣大庫に保管されていたため、庫瓷青紙(「内閣文書の紺青紙」)と呼ばれていた。この紙は何枚も貼り合わせた状態で乾燥してあるため、必要な時は水に浸けて1、2枚ずつ剥がして表紙に使うと良い。

様々な装飾的な紙も表紙に使うことができる。虎皮紙は額面通りに受け取れば「虎の皮模様の紙」だが、その様相から「ヒョウの皮模様の紙」と言った方が相応しい。非常に薄いので、しっかりと裏打ちをする必要がある。小説の表紙として時折用いられ、金箔や金粉を蒔いた朱色の蝋箋は、本を大変豪華な仕上がりにする。

絹は非常に貴重な本に対して使用されることがある。まず絹を適切に色付けしてから、角裂の絹と同じように裏打ちをする(上記の「角裂付け」の項を参照のこと)。

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1.12 綴じ穴開け

大半の本には、綴じるための穴が4個ある。少し大きめの本ならば5個か6個、非常に大きな本は7個、またはそれ以上の穴を開ける。穴の数は本の大きさによって異なる。

1.12.1 綴じ穴の位置を印付ける

冊の書脳を手前に向けて作業台に置く。長方形の紙を2回折り直角三角形を作る(図19)。綴じ穴の位置を印付けるため、この直角三角形のガイドを次のように使う。ガイドを書脳の縁と地小口に合わせておく。ガイドの上から針で一番下の綴じ穴の位置を印付ける(図20)。一般的に、地の縁から綴じ穴までの距離は天地の長さの10分の1(図21)であり、書脳の縁から綴じ穴までの距離は書脳の幅によって決める。書脳の幅が広ければ書脳と本文の間に余白があるので、その距離は地の縁から穴までの距離の3分の2で良い(図22)。しかし、書脳が狭ければ2分の1にする(図23)。

図19、図20

図21、図22、図23

次に、ガイドの上部を右の人差し指で押さえながら、左手でガイドの下部を持ち、天の縁に合わせて折り曲げる(図24)。ガイドの折り目をしっかり付けると、この位置が天地の長さのほぼ中間点となるはずである。地の綴じ穴を印付けた時の印で、一番上の綴じ穴の位置を印付ける(図25)。このようにして、天の縁と書脳からの距離を決めることができる。その後、ガイドを裏返し、天の位置を印した時の折り目に合わせて折り、同じ位置に針で印を付ける(図26)。ガイドを開くと2つの印が付いている。ガイドを地の角に合わせ、下から2つ目の綴じ穴の位置を印す(図27)。次に天の角に合わせて、上から2つ目の綴じ穴の位置を印付ける(図28)。

図24、図25

図26

図27、図28

この手順は少し複雑に見えるが、実際はとても簡単で、幾つかの利点もある。まず、最初の穴の位置を決めてしまえば、後は測る必要がない。また、本の中の1冊をこの方法で行うと、残りの冊の印付けも同じガイドを用いて速やかに、とても正確に行うことができる。さらに、最初に開ける穴が地の縁からちょうど10分の1の距離であれば、4個の綴じ穴の位置の比率が3:2:3となり、概して理想的とされる(図29)。

図29

時には4個の綴じ穴が、均一な間隔で開けられることがある。冊がやや縦長である場合は、綴じ穴が5個開けられる。非常に大きい冊なら、それぞれの角に2個ずつ綴じ穴を開ける。冊がとても厚い場合は、小さなズレによって穴が斜めに開く可能性がある。そのため、ウラ表紙にもガイドを使って綴じ穴の位置を印しておき、穴を開ける時は両側から行う。角裂がある時は、その位置に沿って正確に綴じ穴を開ける。そうすると、角裂の端は綴じ糸で隠れるだろう(図30)。

図30

1.12.2 穴を開ける

冊の書脳を手前に向けて目打ち台の上に置く。左手で目打ちを持ち、右手に持った金槌で目打ちを叩く。大抵の冊は1回叩けば穴が開くだろう。両側から穴を開ける場合は、まずウラ表紙側から半分ほど開けておき、次にオモテ表紙側から開けると良い。

1.12.3 新たな綴じ穴を作らない

古籍を修理する際は、元の綴じ穴の再利用を必ず心掛け、新たな穴はできるだけ開けないようにする。綴じ穴を新たに作るということは、本に対して多大な損傷を与えることになるからである。それぞれの冊に綴じ穴が4個、中綴じ用の穴が4個あると想定し、もし新たな綴じ穴を開けて綴じ直すとする。そうすると、さらに16個もの穴(つまり、書葉の半分に8個ずつ)が1回の綴じ直しで書葉にできる。本が次に綴じ直される時には、全ての書葉に48個の穴が開くことになる。結果として、損傷がない部分が書脳に僅かしか残らず、本を綴じられなくなるだろう。そのため、元の綴じ穴を常に使うようにして、新しい綴じ穴は極力開けないようにする。元の綴じ穴の位置が揃っていない場合は、元の綴じ穴をできる限り利用しながら、必要な箇所だけ新たな綴じ穴を開ける。本に間紙を挟んでいない場合は、紙縒りを使って元の綴じ穴を塞ぐ安易な方法ではなく、1枚ずつ書葉を修補した後、元の綴じ穴の横に新しく穴を開けるように注意する。

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1.13 綴じ

1.13.1 糸を選ぶ

綴じに用いる糸は強度や耐久性だけではなく、本にあった風合いや色合いを考えなくてはならない。本の特質に応じて絹もしくは木綿の糸を選択し、その中でも適切な太さを選んで使用すれば良い。絹糸は貴重な本に最適だが、通常の本に対しては木綿糸を用いる。厚い本には太めの糸を使い、薄い本には細い糸を使う。非常に大きいけれども薄い本の場合は、細めの三撚糸を用いると良い。綴じの際は、2本の糸が平行になるように常に気を配るようにする。

1.13.2 糸の長さを決める

綴じの前に、糸の長さを本の天地の長さと厚みによって決める。天を右、書脳を手前になるようにして置く。通常、1冊の本を綴じるには、その本の天地の長さの6倍の長さの糸があれば充分である。4個以上の綴じ穴を開けた場合は、もっと長くする必要がある。例えば6個の穴を開けた時は、本の天地の長さの7倍、あるいは、それよりも少し長めに糸を取る。沢山の冊がある場合は、最初の冊を実際に綴じて糸の長さを確認してから、冊の厚みに応じて長くしたり、短くしたりして糸の長さを決めると良い。そうすると、糸を無駄にすることがない。

1.13.3 針に糸を通す

大抵は針の穴に糸を直接通せるが、糸が太い場合はまず細い糸を針の穴に通し、その端に輪を作る。この輪に綴じに使用する太い糸を通して使用する(図31)。この方法は、太い糸を直接針の穴に通すよりも簡単だが、細い糸で作った輪が綴じの最中に解けないように注意しなければならない。針の穴に糸を通し、糸の両端を同じ長さになるまで引っ張ると、2本取りとなる。

図31

1.13.4 綴じる

右手に針を持ち、糸の端は絡まないように口に挟んでおく。左手で冊の書脳部分を持ち、まず右から2つ目の穴(天から2つ目の穴)にオモテ表紙からウラ表紙へ向かって糸を通す(図32)。糸の端が穴の近くに来るまで糸を引いた後、書背に針を入れ、糸の端を引き出す。糸の端に結び目を作った後(図33)、再び糸を引き、書脳の中に糸の端を隠す。もしくは、綴じを始める前に結び目を作っておいても良い。この場合は糸を強く引いて、結び目をオモテ表紙から書脳の中へと入れるが(図34)、この方法は結び目が抜けやすいので充分とは言えない。書背に糸を回して同じ穴に戻し、冊を裏返す。今度は地から2つ目の穴に針を通して書背を綴じ、最も地に近い穴に進む。書背を先に綴じてから、次に地小口を綴じる。その後は冊の天に向かって針を進めていき、最終的に最初の綴じ穴に戻る(図35)。綴じを行う時は書脳を手前に向け、冊が常に平らになるように作業台に置き、針は常に下向きに刺すようにする。つまり、1つの穴を綴じるごとに、冊を裏返す必要がある。綴じ終えたら、綴じ糸の下に針を潜らせて、穴のできるだけ近くに結び目を作る(図36)。針を穴に刺し入れ、糸を引いて書脳の中に結び目を隠す(図37)。冊にできるだけ近いところで糸を切り、その端を針や目打ちを使って書脳の中に入れる。

図32、図33、図34 図35

図36、図37

2本の綴じ糸は捩れないように気を付けなければならない。糸が張っている状態であれば、綴じている間に1つの綴じ穴から次の綴じ穴まで糸に沿わせるように針の先を動かすことで、2本の糸は簡単に平行になる。6穴の本の場合は天地の角に穴が増える点だけ異なるが、綴じ方は全く同じである。

綴じの切れた本を見つけた際は、速やかに修理するべきである。そうでなければ、表紙が取れたり、散逸したりして、書葉が損傷を受けることになるだろう。

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1.14 題箋貼り

元表紙から題箋を注意深く外し、修補した後に新しい表紙に貼り付ける。題箋が損傷、欠損している場合や、修理の過程で本の構成が変わり、冊の内容と表題が一致しない場合は、参照のために前見返し紙に貼り付けて残しておく。

題箋は、オモテ表紙の書口と天の縁からそれぞれ2.5ミリ開けた位置に貼り付ける。題箋の四方の縁に薄糊を付けて貼り、上に白い紙を載せる。冊を重ねた上にプレス板を載せ、重石を置いてプレスする。題箋が乾燥するまで数日間そのままにしておく。

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1.15 地小口に表題を記す

本の地小口に表題を記すという行為は、かなり古くから行われていた。北京図書館にある宋代の類書『文苑英華』『冊府元亀』には後に記された表題が確認できる。また、明代創設の天一閣にある大半の本の地小口には表題が記されており、表題の書体からその本がいつ図書館に持ち込まれたかを判断することが可能である。近代になると、商務印書館が出版した『四部叢刊』や、中華書局が出版した『古本戯曲叢刊』のように数冊から成り立っている本に関しては、地小口に表題が印刷されている。この表題は索引のような役割を果たすので、求めている冊を探し出す手掛かりとなる。特に大量の冊から構成されている叢書の場合は、非常に便利である。

本の題名とそれぞれの冊に含まれた章番号の詳細を紙に記しながら、冊を正しい順に並べる。本が20冊以下で構成されている時は、一度に全ての表題を書き入れることができる。プレス板に本を挟んで紐できつく縛り、作業台の左側に用意した台の上に置いて、本の地小口が作業台の表面と平行になるようにする。筆を持った右手を作業台に固定できるので、簡単に表題を書けるだろう。書く前に本の地小口をお湯で湿らせたタオルで軽く拭っておく。そうすると、トリミングして滑らかに磨いた小口は、インクをより吸収しやすくなる。細い糸を適当な長さに取り、それぞれの端に中央に穴のある銅製コインや座金などの何かしらの重りを付ける。その糸を適切な間隔で地小口に配置してぶら下げ、表題を書く際の基準とする。文字は通常宋代の書体で書き、題名は章番号よりも少し大きくする。章番号は綴じ糸の内側、書脳の角に書く(写真14)。

写真14

写真14 地小口の表題。地小口に表題が刻まれている本は、磨耗を避けるため、常に平置きにした状態で保管する。ここでは冊の番号がどのように書脳の角と綴じ糸の間に書かれているかに、注目して欲しい。角裂の損傷が著しくて確認しにくいが、一番下の本の場合は角裂の上に冊の番号だけでなく、表題も書かれている。ボードリアン図書館Backhouse no.514、 627 Sinica no.3061 Backhouse no.241

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1.16 套を作る

肖振棠の書いたマニュアルでは、套の修理について簡単に言及しているだけで(下記の「套の修理」を参照のこと)、新しい套の作り方に関しては全く述べられていない。これは残念なことである。取り外し可能なケースは中国書の一部を構成するのに不可欠だというだけではなく、中に納めた本に対する最初の保護の役割を果たすものだからである。新しい套を作る、あるいは可能ならオリジナルの套を修理するのは、コンサーバターが行う最も一般的な処置の1つであると言える。池上幸二郎著『和装製本』(Kojiro Ikegami “Japanese Bookbinding: Instructions From A Master Craftsman”, 1986)の8章には套の作り方が載っているが、コンサーバターは自身の経験と照らし合わせ、中国における伝統的な套の観察をした上で、この文献に向き合うべきである。ここでは以下のことを補足しておく。

使用する厚紙は、折り曲げる部分にくる縁の小口を面取りした、軽く柔らかいものを使用する。一般的に機械漉きの厚紙は重く堅すぎる。上品な青い綿布で厚紙を覆い、表面が少し粗い紙で内張りをする。内張りの紙は黄色に染められていることもあるが、おそらく殺虫作用のある植物染料のうちの1つを使用しているのだろう。

套というのは、その大きさが非常に重要である。部分的にでもきつい所があると、套の中で冊が曲がり、結果的に書葉が歪んだままの状態になる。本がうまく開かなくなり、損傷を引き起こすことになる。その一方で、本を適切な位置にしっかりと固定するためには、冊に適切な圧力を加える必要がある。套が緩すぎる場合は、中の冊が滑り落ちる。これは本を立てて配架する際、特に起こりやすい。そのため、厚紙の寸法はとても慎重に測らなくてはいけない。この採寸によって套の仕上がりが決まるからである。

 

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