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スタッフのチカラ

『館内で本を修理する』(6)

『館内で本を修理する』 (6)

アルテミス・ボナデア
(伊藤美樹 訳)   2009/02/05

Ⅷ. 用語集

アーカイバル Archival 中性域の素材の使用を条件とし、図書館資料の長期保存に適した安全なもの。
アクリル系接着剤 Acrylic adhesive 重合体アクリル酸やメタクリル酸による熱可塑性樹脂。アクリル接着剤には柔軟性、復元力があり、また黄変したり、もろく崩れることもない。
遊び紙 Fly leaf 本の前見返しと後ろ見返しの一部で、表紙の裏には接着されていないもの。
アルカリ Alkaline 1から14の数値のなかで、pH7.0以上のもの。
アルカリバッファー Alkaline buffer 紙に存在し得る酸を中和する目的で、紙に加えられるアルカリ物質。
オーバーソーイング Oversewing 手や機械によって本紙を綴じる平綴じの方法のひとつ。綴じ糸は本紙の背を跨ぎ、ノド側の余白部分を通る。
Shoulder 本体の背ごしらえの際に表紙の厚さに合わせて本体背の端の部分に作られる畝状の凸部。
括(かつ) Signature 通常、半分に折られたペラを束ねたもの。括は、4の倍数(4、8、16…)で構成されている場合が多い。古くから、括の先頭の本紙に、順番を示す番号や記号が記されていた。
括のパンチングジグ Signature punching jig 均一にすばやく綴じ穴を開けることができるよう、括を開いた状態で支え、綴じ穴を開けるための道具。
Corner(s) 表紙カバー(平表紙)の、前小口側の2つの端角と背側の天地の端角の部分。
紙(布)の目 Grain 機械製の紙やボードの場合の目は繊維方向。布の場合の目は、縦糸方向。普通の本の本文紙は天地に紙の目が通っているので、本が素直に平らに開く。
寒冷紗 Crash 目の粗い平織りの糊づけされた綿の布。片面が毛羽立っているものもある。図書館製本などの背貼りに使用される。
寒冷紗 Super 「寒冷紗(Crash)」参照。
効き紙 Pastedown 本の表紙裏側に貼りつける、表や裏の見返し紙。
生漉紙 Kizukisi 中程度の重さの和紙。
喰い先 Feathered edge 修理用和紙を水や針先で裂き、毛羽立たせた切り口のこと。
グルー Glue もともと骨や皮といった動物性の接着剤。PVAが広まる前は、動物性皮革の接着剤が製本に利用されていた。
くるみ製本 Case binding 一般に手にする大半の本の製本法。本の表紙カバーが本体と別に作られ、あとから表紙カバーでくるむように見返しを接着することにより接合する方法。この方法は、ケーシング・インとも呼ばれる。
くわ紙(楮紙) Rice paper 米のでんぷんは古くから楮(クワ科)の紙をサイジングするのに用いた。ライスペーパーは米からできたものでない。「修理用和紙」、参照。
ケトルステッチ Kettle stitch 本体の背の天や地に近い位置で、括を綴じ合わせるのに用いるステッチまたは結び目のこと。
骨ベラ Bone folder 「ヘラ」参照。
小麦粉糊 Wheat paste 小麦粉と水を煮て作られる接着剤。
コンサベーション Conservation 利用や時間の経過による影響から資料を保存、または計画的に手当てすること。
サイズ Size 紙の水分の吸収を防いだり、インクのにじみ防止のため、紙に与えるゼラチンや松ヤニ、でんぷん、その他の合成物質。
再製本 Rebinding 程度の差はあるが、損傷のある本の修理として、綴じ直しや表紙の貼り替えといった、最低限の処置を行うこと。
逆目(さかめ) Against the grain 紙は繊維に沿った(紙の目)方向に素直に曲がる(折れる)。正しく製本されたものは、天地に紙の目が通っており、本を平らに開くことができる。
ジグ Jig ガイドのための道具、または支えのための諸道具。「パンチング・ジグ」、「括のパンチング・ジグ」参照。
修理用和紙 Japanese repair tissue 楮や三椏などの植物繊維からできた紙。様々な重さがある。ライスペーパーと呼ばれているのが、間違いである。
ジョイント Joint くるみ製本の背と表紙の外側の接合部分。同じ接合部分の内側はヒンジと呼ばれる。
小冊子 Booklet 「パンフレット」参照。
シリコーン・リリースペーパー Silicone release paper 紙やヒートセットティッシュに固着することがないよう、シリコーン加工が施された剥離紙。
補修テープ Document repair tape 剥離紙と、安定性のあるアクリル系接着剤からできた市販の紙テープ。
浸透性非粘着素材 Non-stick porous material 水分は浸透させるが、資料には粘着することがない合成素材。
透かし模様 Watermark 紙を光にかざすと見ることができる透かし絵や文字。
スカルペル Scalpel 刃の先が非常にとがった小さいナイフ。
スコア Score ヘラを用いて紙やボードに、すじや折り目をつけること。
Spine 本体においては、糸綴じや接着により、ペラや括が接合される本の端。表紙においては、本体の背を覆う材料で、通常本棚に立てた時に見える部分。タイトルや作者、出版社、請求番号が記されていることが多い。
製本用クリップ Binder’s clip 「ブルドッグ・クリップ」参照。
製本用ボード Binder’s board 「ボード(表紙芯材)」参照。
石州和紙 Sekisyu 非常に重い和紙。
背ごしらえ Backing 本体の背の両サイドの肩を形作る工程。括や丁の背は、表紙が肩に収まりやすくなるよう背を中央から左右へ形作ること。肩の高さは、表紙の厚みにより決まる。背ごしらえにより、綴じ糸や幅の広い背のふくらみを分散させる。
背ごしらえ直し Rebacking 本の背のこしらえ直し。この場合、オリジナルの背を再利用する場合もある。
接着剤 Adhesive 一般に、科学的、物理的な働きにより、素材どうしを接着できるものを示し、水や水溶性溶剤、熱圧力、冷却などの働きで作用する。本書で紹介する接着剤には、PVA(PVAc)とでんぷん糊の2種類がある。
接着剤製本 Adhesive binding 版元製本法では「無線綴じ」と称されるが、修理では外れた葉を本体に戻すために、糸で綴じるのではなく、接着剤で治す方法をさす。
背の内張り Spine inlay くるみ製本の背のクロスの内張りの際に用いられる紙で、背のクロスの補強と、ある程度の堅さを与えるもの。また、正確に本が開くためには適度な柔軟性も求められる。
背のライナー Spine liner 接着、ラウンディング、背ごしらえの後に、背を補強するために使用される紙や寒冷紗を貼り重ねたもの。本体背を保護し、ある程度の堅さとともに、正確に本を開くための柔軟性も必要である。
ターン・イン Turn-in 表紙の芯材を覆う表紙クロスの、表紙裏への巻き込み部分。
たて糸 Warp 織機で縦に走る平行な糸。これが生地のたて糸となる。
ダブルファン接着剤製本 Double-fan adhesive binding 「接着剤製本」参照。
Tail 本紙や製本された本の、背の下の端。
チェーン・ラインズ(簾のこの糸目) Chain lines 通常、1インチ(2.54センチ)おきに見られる、紙の目に対して平行な線。この線は、紙漉きの際の、簾の糸の跡である。
ちり Square 本の本体よりも張り出ている表紙の縁の部分。
ティッピング・イン Tipping-in 接着剤を1辺(通常、ノド側の余白)に塗り、外れた本紙を本体に接合する工程。
Head 本の背の上端。製本した本の上端。
典具帖 Tengujo 最も軽い和紙。
綴じ穴 Sewing station 綴じ糸が通る、括の背の折り目に沿った穴。
図書館製本 Library binding 図書館向けの専門的な製本を提供するビジネス。版元量産用製本とは異なる。図書館製本家は将来、本に損傷を与えない素材や健全な修理技術を選ぶのに苦労している。
ドライクリーニング Dry cleaning 消しゴム等を用い、乾いた状態の紙の表面の汚れを除くこと。
ニードル・ティアー Needle-tear とがった針先を使って、紙に印をつけると、紙は印の線に沿って破れる。
ノド Gutter 向かい合うページの内側(背側)の余白によって生まれる部分。括の綴じ代部分。
ノドの余白 Inner margin 本の綴じ代部分の本紙の余白。「ノド」参照。
Paste 一般的にでんぷんと水の合わせたものを火にかけて作り、冷まして落ち着かせてから使用する。糊は昔から浸透性のある非動物性の素材と接着させるのに用いられた。様々な種類のでんぷんから作られているが、小麦と米のでんぷんが一般的。
また、植物性のでんぷんに水を混ぜたものを使って、素材と素材を接着することをいう。
ハーフトーン Halftone 写真の明るさの濃淡は、繊細なスクリーンを通して対象物を撮影して作られ、極小さな点の濃度や近い明度によってもたらされる。
刷毛 Brushes 紙、ボード、クロス等の表面に、接着剤や糊を塗るのに用いる道具。刷毛は、毛髪や、動物の毛(天然ブラシ)、合成の毛、人工毛を合わせて作られており、ハンドル(柄)に留め金で束ねられたもの。
パンチング・ジグ Punching jig 谷型の支えに乗せ、折り丁に綴じ穴に印を付けたり、穴を開けるもの。ペーパージグは綴じ穴を正確に開けるため、括を天に揃えるもの。
パンフレット Pamphlet 1括か数括でできた薄い小冊子。「小冊子」参照。
PVA PVA 「ポリビニール・アセテート」参照。
pH pH 修理資料の酸性度やアルカリ度を示すもの。pHの数値は0から14まで。数値はそれぞれ小数第一位まで示すことがある。pH7は中性。以下の数値は酸性度が高いことを示し、1が最も強い酸性。7以上の数値はアルカリ度が高いことを示し、14が最も強いアルカリ。
ヒートセット・ティッシュー Heat set tissue 従来の水分を使用する方法でなく、水分を含まない方法によって、ひどく破れたページや紙の修繕や、ノドの周辺の補強のために用いられる長繊維の紙。
表紙用クロス Book cloth 一般用語として、本の表紙覆うための織り布。綿やレーヨンやシルクでできたものがあり、紙で裏打ちされたものが多い。
表紙 Covers 利用や収納において、本体を保護するために外側から覆うもの。主に紙、製本用ボード、布、革でできている。
ヒンジ Hinge 背と表紙の内側の接合部分。外側の同じ接合部分はジョイントと呼ばれる。また、短冊状の和紙で紙と紙を接着することを意味する。
ヒンジング・イン Hinging-in 約1センチの短冊状の修理用和紙の半分を、外れた本紙のノド部分に貼り、もう半分を本体のノド部分(本文の内側の余白)に貼り、外れた本紙を貼り戻す工程。
ファン バインディング Fan binding 「接着剤製本」参照。
複雑な破れ Complex paper tears 複数の破れが複合した状態。
プラスチック・テープ Plastic tape 「プレッシャー・センシティブ・テープ」参照。
ブルドッグ・クリップ Bulldog clips 紙と紙をはさむのに用いる文具または事務用品の留め具。
プレート Plate 本文とは別に印刷された図版で、異なる種類の紙であることが多い。プレートは本体に綴じられていたり、ティッピング・イン、ヒンジング・イン、または表紙内側のポケットに入っていることもある。
プレス Press 本紙や本の表紙に均一に圧力をかけるのに用いられる機械。多くの多様なプレス機があるが、机上で使う手機械が最も一般的。また、資料に均一に圧力をかけることをいう。
プレッシャー・センシティブ・テープ(セロファンテープ) Pressure sensitive tape 接着剤を塗ったり、水分を与えたり、または表面を処理する必要なく、表面に圧力が与えられると接着する前処理されたテープ。加圧性粘着テープ。
ヘラ Folder 木、骨、象牙やその他の素材でできていて、長さは約15~30cm、幅が約2.5~0.3cmの厚みのない薄いものが一般的。厚みはおよそ3mm。先端は尖ったものと丸みを帯びたものがある。紙を折る際など、様々な製本作業に使用される。
ペロン Pellon 紙に接着することなく、水分を通す、市販の繊維または布。
放射状のパターン Starburst pattern 紙の中心から外側の端に向かって、接着剤や水を塗布する際の動作。
ボード(表紙芯材) Board 一般用語として、本の表紙に使用する堅いカードボード(厚紙)。製本用ボードとも呼ぶ。
ポリエステル フィルム Polyester film エンキャプシュレーションやマスキングに利用される、科学的に不活性で安定性のある透明なポリエステルシート。
ホリテックス Hollytex 水分を通し、紙には接着しない市販のポリエステル製の不織布。
ポリビニール・アセテート Polyvinyl acetate 液体重合によって単量体からつくられたビニール樹脂や透明または白色の合成樹脂。通常、PVAと呼ばれ、水に希釈しやすい液体で扱いやすく、塗布しやすく、非可燃溶剤のために安全である。液状のままでもすぐには劣化せず、カビも発生しない。成分の分離や接着能力の低下が生じるので、凍らせてはいけない。
Book 文書、印刷、イラスト、または余白の紙をまとめて製本されたもの。今日、その中で最も一般的な形態の本は、1枚もしくは複数枚の折り丁やペラを集めたものを、連続した揃いのページを形成するように、まとめて綴じられたものとされている。
本体 Text block 製本や修理のために束ねられた、本紙や括からなる本の中身。
マイクロスパチュラ Microspatula およそ15~20cmの長さ金属の道具。片方は丸い先で、もう片方はとがっている。マイクロスパチュラは糊のついた修理用和紙のストリップを扱うときや、小面積の範囲に接着剤や糊を塗るときに用いる。
マイラー(デュポン製) Mylar 水分バリアや、資料のエンキャプシュレーションに用いる、安定した透明のポリエステル製のもの。
前小口 Fore edge 本の背と反対の端。フロント・エッジ、とも呼ばれる。
前小口側の本紙の余白部分 Fore-edge margin 本紙の前小口側の余白部分。
前小口側の本紙の余白部分 Outer margin 「前小口側の本紙の余白部分(Fore-edge margin)」参照。
マスキング Masking 不要な紙を用いて本紙の一部を覆うこと。それ以外の部分は保護された状態で、特定の部分にだけ接着剤を塗ることができる。
見返し Endpapers 本の表裏の表紙と本体の間に添える、2枚もしくは複数枚の紙。本の表側の見返しは前見返し、裏側の見返しは後ろ見返しと呼ぶ。表紙に一番近い見返しは効き紙、表紙に貼り付けない見返しを遊び紙という。見返しは無地であったり、模様、地図、その他の情報が印刷されたものがある。
ミクスチャー Mixture 混合接着剤のこと。通常、PVAとでんぷん糊。
水引き Water-tear 水で描いた細い線によって紙の繊維を弱くさせ、その線に沿って紙をちぎること。
生地端 Selvage ほつれや破れを防ぐため、密に織ってある生地の端や、製本用クロスの端。どの素材も縁は切り落とされる。
無酸 Acid-free 原則として酸を含まず、pH7.0以上のもの。これにはいくらかの許容範囲がある。素材によってかわる場合もあるが、製紙業者はpH6.0以上の紙を中性紙と考える。この数値を使うことにより、素材が中性かアルカリかを示す。
綿紗 Mull 「寒冷紗」参照。
モールド ライン Mold line 「チェーン・ラインズ(簾のこの糸目)」参照。
ラウンディング Rounding 本体の背を真円の約1/3の弧の形に丸くする工程。ラウンディングは綴じや接着により本紙をまとめた後、背ごしらえの前に、行われる。ラウンディング用のハンマーで、背をやさしく打ちながら形作られる。
リケイシング、くるみ直し Recasing 厳密にいうと、本体は表紙ケースとは別々であり、本体と表紙の修理では、新しい見返しによってオリジナルの表紙と接合させることがある。一般的には、本体がオリジナルの表紙から外されて、新しい表紙に貼り直される。初めのケイシングは、製本家による仕事であり、二度目のケイシングは図書館製本家によるものとされる。
濾紙 Blotter paper ボロ布や綿クズでできた、全くサイジングされていない紙。一般に、水分の吸収に用いる。
 

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