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スタッフのチカラ

酸性紙・中性紙・アルカリ紙の新しい見方「挿入法」

酸性紙・中性紙・アルカリ紙の新しい見方
「挿入法」で全面的な見直しが可能に

木部徹 2003/07/23

 

「挿入法」という、これまでになかった新しい紙の促進劣化試験法により、酸性紙、中性紙、アルカリ紙の全面的な見直しができるようになった。中野修氏(特種製紙総合技術研究所)が2年半かけた研究「挿入法による中性紙の見直し」であきらかになったもの。これまでの紙の促進劣化試験法は、ある温度と湿度を設定したオーブンの中に、一枚もののサンプル紙を吊して劣化の状態を見るハンギング法といわれるものだったが、挿入法は、サンプル紙を別の紙の束に挿入し、そのままオーブン内で促進劣化させる。紙の束とサンプル紙の相互作用を見ることで、実際の本や文書の劣化と、それに接する紙との劣化の関係がはっきりすることになる。これは、いわゆる中性紙でできた保存用の紙やボードでできた箱や封筒が、それに収納された酸性紙資料や和紙資料にどのような影響を及ぼすのかを見ることににもつながる。その他、「中性紙」というふれこみの酸性紙はなにが問題か、大気中などからの酸の攻撃への緩衝剤として働くとされたアルカリ(炭酸カルシウムなど)の量はどのぐらいあれば良いのか、和紙の保護紙としての性能、紙の汚染ガスに対する優れた吸着性能など、挿入法を駆使した紙の劣化に関する新しい知見が得られた。

以下は同論文 10章、p.10 から引用。

中野氏の研究成果は2002年10月11日に開催された資料保存協議会のセミナーで口頭発表され、セミナーでのディスカッションも含めた論文としてこのほどネット上に全文が発表された。

中野修「挿入法による中性紙の見直し」(PDF)
http://www.hozon.co.jp/cap/con-con/archives/nakano021018.pdf

同論文の目次は次の通り。

1. はじめに.
2. 中性紙に関する内外の規格と指針
3. 紙の強制劣化処理条件と処理方法
4. 挿入法で処理した各種pHの冊子及び試験片と接触した部分の変色
5. 便宜的な中性紙の分類
6. 保護・保存用紙の材料と製法
7. 各種晒化学パルプの評価
8. 使用薬品の評価
9. 各種染色紙の評価(染・顔料の種類と添加量の違い)
10. 保護・保存用紙の再評価
11. 市販和紙(25 種類)の評価
12. 強制劣化処理条件の違い
13. 80℃-80%RHの条件下で一体何が起こっているのか?
14. 保護・保存用紙の汚染ガス吸着性能
15. 1000年ペーパー( millennium paper )の根拠
16. 今回の見直しで確認できたこと
17. 調査した主な文献と規格
18. おわりに
Q&A

文責:木部徹(資料保存器材)

 

 

 

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