国際図書館連盟 IFLAの新しい資料保存の原則
邦訳がWeb と紙媒体の両方で
木部徹 2003/07/23
国際図書館連盟(IFLA)の資料保存委員会が作成した新しい「資料保存の原則」(邦訳)の掲載が国立国会図書館のホームページではじまった。IFLAは過去に3回、「原則」を発表しているが、今回のは「IFLA図書館資料の予防的保存対策の原則(IFLA
Principles for the Care and Handling of Library Material)の表題が示すように、現場で導入しやすく、また効果が高い「予防策」に重点が置かれている。その意味で、改訂というよりも、これまでの原則に不足していたものを捕捉する内容になった。1998年に英語版が出版され、仏語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語他の各国語に翻訳されいるが、日本語訳も進められていた。内容は以下の通り。
IFLA Principles for the Care and Handling of Library Material by Edward P. Adock with the assistance of Marie-Therese Varlamoff and Virginie Kremp International Preservation Issues No.1, 1998
「IFLA 図書館資料の予防的保存対策の原則」
IFLA Principles for the Care and Handling of Library Material
エドワード P.・アドコック編集
マリー=テレーズ・バーラモフ,ヴィルジニー・クレンプ編集協力
木 部 徹 監修
国立国会図書館,日本図書館協会資料保存委員会 訳
日本図書館協会資料保存委員会 編集企画
目次
序文
1 序論
2 セキュリティと防災計画
3 保存環境
4 伝統的な図書館資料
5 写真及びフィルム媒体資料
6 音声・画像資料
7 媒体変換
8 用語解説
9 参考文献
10 関連機関
また、印刷物としての『原則』も、シリーズ・本を残す 9 として、この7月(2003年)に日本図書館協会から出版された。Web版との違いは、解説付きの参考文献,、関連機関リスト等が付いた。

定価:1900円(税別)
発行者:社団法人 日本図書館協会
電話:03-3523-0811 FAX: 03-3523-0841
国立国会図書館「資料の保存・資料を保存するために」からの原則のダウンロード
翻訳者の一人である竹内秀樹氏(国立国会図書館)による周到な解説
2002年12月20日に開催された資料保存協議会セミナーの記録としてまとまっている。
竹内秀樹氏 「「治す」 から 「防ぐ」 へ -- IFLA 図書館資料の予防的保存対策の原則」
講演記録 (PDF ファイル 241KB)
パワーポイントによるスライド (PPT ファイル 248KB)
ディスカッション (PDF ファイル 156KB)
「日本語版」監修担当者から一言
従来の「原則」は、対象資料や方法が、少し欧米よりだった感が否めませんでした。今回のはその点が大幅に改善され、世界のいろいろな地域の現場で使えるような普遍的な内容に近づいたと思います。ただひとつ、残念なのは、4章の「伝統的な図書館資料」です。ここでいう traditional library materials というのは、要するに本や雑誌に代表される紙媒体資料のことで、古いとか、稀少だということを意味しているのではありません。ところが他の章と比べると、どうしても欧米の、それも革装丁の古典籍や、古文書を豊富に持つ図書館に偏重した内容になっています。もっと具体的にいうと、英国オックスフォード大学のボードレアン図書館のシステムを下敷きにしています。そこに限っていえば役に立つところが多いのですが、欧米以外の図書館が圧倒的に持つ「伝統的な資料」の保存のためには、違う「原則」も必要なのは明らかです。アチラにもたくさんの「欧米生まれではない伝統的な資料」があるのですから。コチラからの発信が問われているのでしょう。
文責:木部徹(資料保存器材)
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