今日の工房 2017年 2月

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2017年2月22日(水) ひな人形をGasQ®️で養生し、元の木箱に保管する。

桃の節句も近づき、あちこちでひな人形の展示公開が行われる季節となった。この時期、資料館や個人の方などからひな人形の保管についてお問い合わせをいただくことがある。

 

今回ご紹介するのは一般家庭に伝わるひな人形の保管例。収納用の木箱もなるべく元のまま使い続けたいとの要望から中性紙保存箱への入れ替えはせず、人形の養生に汚染ガス吸着シートGasQ®️を使うことにした。

 

人形を収納する際には、顏や手といった繊細で壊れやすい部分を和紙などの柔らかい紙で養生する。今回は顔と衣装の部分をGasQで、形が複雑な手の部分はきめの細かい不織布で養生するなど、素材を使い分けた。最後に薄葉紙で全体を包み、元の木箱に収めた。年に一度、箱から出した時にGasQを交換すれば継続した効果が得られる。

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2017年2月16日(木)修理に使う水を作る逆浸透膜(RO)装置を一新しました。

修理に使う水を作っているRO(逆浸透膜)水装置。専門業者の方に定期的にメンテナンスをしていただきながら使用し、10年以上稼働し続けていました。この度、装置自体を一新。最新の設備に切り替えていただきました。ろ過装置がパワーアップしてタンクも小型になり省スペースに。今日も処置に必要な水を供給してくれています。

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2017年2月1日(水) レコード盤保存容器「グラモボックス」の販売を開始しました。

グラモボックス」は、文化財向けの保存箱に使われるアーカイバルボードを材料としたレコード盤保存箱です。ボードの原料は100%純粋なケミカルパルプで、ISO18902:2013(イメージング材料の保存用品に関する国際規格)に定められた品質基準に準拠しています。ボード自体の酸性劣化を防ぐためpHを弱アルカリに調整し作られています。

 

「グラモボックス」はまた、一般的な段ボール箱に比べ2~3倍の強度があり、収納したレコード盤の反りや変形を防ぐ事ができます。フタは前面でロックする構造なので、持ち運びの際も不用意に開かない設計になっています。SPレコードは割れやすく、一度反りが起きると修復する事が困難なため平置きでの保管が望ましいです。LPレコードは箱を棚に立てて保管することもできます。付属の中性ラベルシールにジャケットデザインやレコードタイトルを印刷し箱に貼ると、中身の判別に便利です。

 

古いレコードジャケットには酸性劣化している物が多く、傷みが目立ち側面が裂けている物も見かけます。むき出しで保存している際の大気中の酸性ガスが主な原因ですが、従来の木製のレコードケースも木材から発生する酸性ガスが箱の内部に溜まり、レコードジャケットの劣化を早める危険があります。

 

「グラモボックス」への収容時には、別売りの中性紙スリーブや汚染ガス吸着シート「GasQ」の採用もお勧めします。スリーブに移し替え、オリジナルジャケットはまとめて「グラモボックス」に収納することで、出し入れの際のジャケットへの物理的ダメージを防ぐ事ができます。更にジャケットの間に汚染ガス吸着シート「GasQ」を挟み込むこむことで、ジャケットの酸性劣化や変色を予防できます。

 

関連情報

今日の工房』2016年7月13日(水)SPレコードを保存するには

 

 

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2017年2月1日(水)資料に挟み込まれた押し花も保存する

お預かりした資料の一冊からたくさんの押し花が綺麗な状態で出てきました。本そのものに保存処置を施すにあたり、一旦取り出したものの、押し花が接触していた箇所は紙が焼けてしまっている状態なので、再び挟み込むことは考えられず、汚染ガス吸着シートGasQと間紙を挟み込んだアーカイバル・クリアホルダーに押し花を収納することにしました。ホルダー内で押し花が動かないよう、細い帯状にカットした薄い和紙を、押し花の要所要所に渡し、間紙に帯を糊付けすることで、薄く脆い押し花を傷めずにホルダー内に収めることができました。

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