今日の工房 

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2008年11月19日(水)

布帙を作る。昔ながらの四方帙だが、資料の表面に直接触れるところに一工夫している。内側に折り返る表装布の端で資料の表面に跡が付くのを防ぐために、クッション性のある材料を採用した。材料は長期安定性が確認されたものである。

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2008年11月14日(金)

作家ヴィクトル・ユーゴーの書簡。インク焼けする没食子インクで書かれていることがチェック・ペーパーで解る。フィチン酸カルシウムによるキレート処置と炭酸水素カルシウムによる脱酸性化処置の後に再びチェックして効果を確認する。

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2008年10月31日(金)

パーシャル・リーフ・キャスティング。吸引テーブルの上で、欠損部だけに部分的に(パーシャルに)繊維を流し入れて填め込む。紙が厚く、両面に文字があるような場合に用いる。文字に繊維がかからないように流すこと、吸引のわずかな間に指で調整してゆくのがポイントになる。

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2008年10月24日(金)

中村正直著『西国立志編』(明治9年)は表紙の芯材に初めて国産の板紙を使った製本とされている。しかし、現在のようなボール紙ではなく、数種の紙を貼り 合わせた paste board だった。芯材が見える部分は補修もせず、本体の開きなどの構造的な傷みだけを直し、少量の保革油を入れるに留めた。

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2008年10月10日(金)

お客様のご希望にあわせて作製した様々なオプション。上記以外にもアルカリに敏感な染織品やテキスタイル向けの3F仕様(無酸、無アルカリ、無サイズ)など、多岐にわたるオプションを用意している。

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2008年09月26日(金)

虫損のはげしい近世文書。損じた穴の周辺には虫の糞が固着し、穴の周辺の端に黒い汚れができている。この汚れをあらかじめきれいに除いておかないと、リーフキャスティングによる繊維装填が上手にゆかない。

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2008年09月19日(金)

専門図書館様での弊社スタッフによる採寸・収納作業。対象は主に洋書が中心の2,500冊余のコレクション。お客様と相談し、サイズ・形態・劣化状況に合わせて一冊ずつ最適な保存容器を作製した。

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2008年09月16日(火)

中央大学図書館のスタッフの方々を招いての館内補修のワークショップ。対象は一般書で、いわゆる「くるみ」製本されたものだが、くるみをくるみでではなく、それ以前の表紙綴じ付けの方法で丈夫に直す方法や、無線綴じのダブル・ファン接着剤製本などを、一日たっぷりかけて学んでもらった。

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2008年09月08日(月)

紙媒体記録資料のコンサベーションの文献の棚。背番号が振られた論文と書籍は約2,000点ある。内外の学会等で発表される新しい論文も逐次入手してデータベースに加えられ、問題やテーマに即したアクセスができるようになっている。

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2008年09月01日(月)

コンサベーション(保存修復)部門を拡張した。資材置き場等のバックヤードを含めた工房全体の広さは約100坪(330㎡)。スタッフ一人ずつの机がある事務処理だけのスペースも確保できた。

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2008年08月25日(月)

弊社スタッフ2名がロンドンとダブリンへ出張し、現地の図書館や博物館を見学してきた。写真はダブリンのトリニティ・カレッジ図書館のコンサベーション・スタジオの様子。様々な方から担当している資料の保存修復方法についてお話を伺うことができた。

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2007年07月03日

本の背の天地に付けられるバンド(headband, tailband)は名前通り、綴じを強化するためのバンドだったが、やがて装飾的な意味が強くなり、絹糸等で編み込むかたちになった。現在は布切れになり、日本語では花布(はなぎれ)という。

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2007年03月14日

いろいろな保存容器に貼られるカードホルダー。保存容器の材料と同じもので、お客様の要求と箱のサイズに合わせて作る。書誌事項等を書いたカードを、直接箱に貼らずに、抜き差しして使える。

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2007年03月05日

コンサベーションでも容器の制作でも使う、いろいろな重さと形の重石。小さなものは資料補修時の抑えに、大きなものは容器の作成時の一時的な固定や、蒸気加湿した大きなポスター等のフラットニングに。写真右二つは市販の「漬け物石」。

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2007年02月26日

特攻隊の若者が父母に当てた遺書。半世紀以上を経て、いま在る。破れや欠損部はエビデンス・ホウル(evidence hole)、すなわち状況と経時の証であり、涙の跡もそうだ。化学的な劣化を止め、分離しそうなところだけを繊維でブリッジして繋ぐ。

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2007年02月20日

漢籍 7,600冊の綴じ直し。うち、タイトルなどの書誌事項が載った表紙の場合は、外糸の綴じ部(ヒンジ部)から書脳までを取り除き、薄葉紙(楮製)で袋折りを作り、これに収納し綴じ付ける。薄い紙を通して元のタイトルが見える。

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2007年02月13日

背が赤い革で装幀された写真帳(アルバム)を直す。酸化・酸性劣化した背革は、活かせる部分を除いて、全体を和紙で治す。本体と表紙のヒンジ部を補強した後に、同系統の色染めをした厚めの和紙で背ごしらえをして元の革を貼り、保革用樹脂を塗り、磨く。

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2007年02月06日

大型の保存容器を作る。現在では、ほとんどのパーツをCAD連動カッターで切り出すが、要所のパーツは押し切りでのカットのほうが良い場合がある。立ち上げ部や底板の補強、内壁の無酸・無アルカリ化の後に完成。巨大な羽毛布団が収納される。

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2007年02月01日

虫損の激しい和書の紙葉の欠損部をリーフキャスティング(漉き填め)で補填する。溜め漉きと流し漉きとを組み合わせた独特の方法で、紙の繊維を欠損部に埋め込み、後々にも補填部が外れる心配のないキャスティングができた。

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2007年01月25日

東京大学東洋文化研究所主催「第2回アジア古籍保全講演会」のメインスピーカーの周崇潤氏(中国国家図書館善本特蔵部図保組組長)が当社を訪れた。2時間たっぷり、中国の古籍や近現代資料の保存と修復についてお話をうかがうことができた。

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