今日の工房 2018年

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2018年6月20日(水)高知での保存修復学会の展示ブースで、新製品などへのお客様の様々な声を聞くことができました。

6月16日、17日の両日、高知県の高知市文化プラザかるぽーとを会場に40回大会文化財保存修復学会が開催されました。

 

当社ブースではアーカイバル容器のほか、新商品の新薄葉紙 Qlumin™くるみん「防カビ・殺虫ができる無酸素パックMoldenybe®モルデナイベ」「汚染ガス吸着シートGasQ®ガスキュウ」「ドライクリーニング・ボックス」を出展しました。ご来場くださった多くの皆様から、沢山のご質問やご意見を直接伺うことができ、大変参考になりました。弊社ブースにお立ち寄りくださった皆様に心より御礼申し上げます。

 

 

◎ブースに立ち寄って下さったお客様の声をまとめました。

 

・GasQやくるみんの開封後の保管はどうしたらいいか?保管用のガスバリアバックが欲しい。

・ガス検知インジケータを他ブースで見かけた。GasQとの組み合わせで事例ができたら教えて欲しい。

・アニメーションセルや近代のプラスチック製品などの博物・美術系文化財の保護に特化した保存資材を開発して欲しい。

・資料保存器材のホームページをよくみる。とても勉強になり学生にも紹介している。今後できれば、近代紙資料以外の文献紹介や翻訳、保全事例を特集する機会があればぜひやって欲しい。

・薬剤を使った木工品の殺虫処理では木の内部に潜んでいる虫まで薬剤がとどかず効果が上がらないと聞いた。無酸素パックなら手軽に確実に殺虫できるので早速使いたい。

・モルデナイベは1年半ほど無酸素がもつのがいい。袋サイズで脱酸素剤の量が決まっているのも便利。

・モルデナイベのガスバリア袋を1枚単位で購入したい。

・神社仏閣の蔵や保管庫はきちんとした環境制御ができない所が多いのでモルデナイベは資料の一時的な避難法として使える。蔵やお寺での調査に持ち込んで殺虫処理、隔離袋に使いたい。

・GasQは機能があり加工しやすく、博物館での資料管理の色々な場面で活用している。50M巻以上のロットで購入できれば嬉しい。

・考古学関連のフォーラムでGasQを紹介され使用している。実際に使ってみたら薄く柔らかくてとても使いやすい。

・ラミネートコートしたドライクリーニング・ボックスは資料クリーニング後、アルコールでボックス内を掃除できるのがよい。

・旧バージョンのドライクリーニング・ボックスを使っているので、ラミネートコート版は囲い部だけ販売して欲しい。

・ドライクリーニング・ボックスに大、中、小など、サイズ展開があるといい。紙資料だけでなく、立体物や博物系の資料用にも使いたい。

・民俗資料の殺虫には、モルデナイべはこれ以上ない商品で、ぜひ購入したい。大型の袋もサイズ展開が増えて嬉しい。

・くるみんは漆器を包んだり、緩衝材用の紙に最適。紙の表面が一般の薄葉紙よりソフトに感じるし、薄葉紙で、ある程度の汚染ガス対策ができるのは嬉しい。

・今使用している薄葉紙が使いにくいので、くるみんに変えたい。くるみんは紙の目、強度、かたさ、引裂き具合が丁度いい。紙の品質をしっかり試験して情報公開しているからユーザーは安心感がもてるのでないか。

・薄葉紙は主に書籍カバー、クッション材、展示台、テーブル用として使っている。今使っている薄葉紙は引っ掛かかったり、資料の角が当たっただですぐに破ける。くるみんの品質、機能を高く評価したい。色が白なのもいい。

・薄葉紙は、素材や価格がピンキリで、品質が見た目で判断し辛い。これまで不安に感じながら薄葉紙を使っていたが、くるみんなら安心。早速購入したい。

・昔は展示会のたびに、美術輸送の方々と一緒に薄葉紙を裂い作る紙ヒモやわた布団を大量に作った。とても手間がかかる作業だが、くるみんのヒモは手早く紙ヒモが作れるのでとても便利だと思う。3個セットで販売するのはどうか。

2018年6月13日(水) 紙ヒモ用の「薄葉紙くるみん」を試作しました。

1月に販売を開始した新薄葉紙「Qluminくるみん」で、このほど紙ヒモ用の小型ロール品を試作しました。お客様に試していただいている段階ですが、「薄くても丈夫」、「スペースをとらずに、すぐに作れて、扱いやすい」、「大きな紙からカットしないので無駄なく作れる」等々と好評です。

 

文化財や美術品を梱包する現場では薄葉紙は欠かせない存在であり、「包む」以外にも、緩衝材と資料を固定する「紙ヒモ」としてよく使われています。大判の薄葉紙を細長く裂き、それをしごいてヒモ状にするのですが、紙の柔らかさと加工性の良さで資料を傷つけず、手早く作れるのが利点です。

 

今回、より簡単に紙ヒモを作るための「紙ヒモ用くるみん」を試作しました。ロール型なので扱いやすく、好きな長さでカットできるのが特徴です。大型品の梱包に限らず、破損した資料の固定や、小物用の緩衝材としてもご利用いただけます。

 

この製品は今のところは試作品につき販売は致しておりませんが、ご興味のある方は当社のホームページ右上の「お問い合わせ・資料請求」からお問い合わせください。

 

2018年6月6日(水) 修復業務のアシスタントを募集します。

近現代紙資料(図書、雑誌、和装本、洋装本、新聞、地図、図面、写真など)の修復業務のアシスタントを募集します。

 

仕事内容は、資材の準備などのほか、実際の処置に携わる業務をお任せします。そのほか、保存容器の作製、劣化調査、出向業務、事務作業などをお手伝いいただきます。

 

募集要項はこちらをご確認下さい。

2018年5月30日(水)保存箱のサンプル撮影をプロに依頼しました。

デザインや仕様が変更になった保存箱9点の商品撮影を行いました。今回は美術品の撮影などを専門にされているフォトグラファーに依頼しました。

 

撮影画像はカメラと接続したPCにリアルタイムで出力されるので、構図の修正などの作業がスムーズに行えました。実際に箱へ資料を収納する時の使用イメージがお客様へ伝わるような商品の見せ方を心掛けました。準備が整い次第、商品カタログやホームページに掲載いたします。

2018年5月23日(水)寄贈資料のカビのクリーニング作業を、出向して屋外で実施しました。

松竹大谷図書館様より、寄贈された資料のカビのクリーニング作業を依頼された。対象は演劇台本など約700点。湿気の多い環境に長い間保管されていたようで、全体に湿っており、カビが発生していた。この状態で書庫に入れることは困難であるため、資料の乾燥とクリーニング作業を行うことになった。

 

他の資料へのカビ胞子の飛散を防ぎ、さらに資料の乾燥もあわせて行うため、図書館の近くにある東銀座・ 東劇ビル屋上をお借りして、屋外でのクリーニング作業を行った。当日は快晴で、屋上に資料を広げ、乾燥を促しながら、1点1点クリーニングを行った。

 

カビの付着が著しいものはブラシを装着させたHEPAフィルター付き掃除機で吸引した後、消毒用エタノールをクリーニングクロスに滲み込ませたもので、拭き取った。通常クリーニング作業は手袋を装着して行うが、今回は資料の乾燥状態を確認しながらの作業であったため、手袋は外して素手で行った。その後、乾燥が確認できた資料から無酸素パック「モルデナイベ」に収納し、万が一取り残しのあったカビ胞子の不活性化と殺虫を行った。

 

作業に当たっては、松竹大谷図書館様のスタッフの方々にもお手伝いいただき、スムーズに作業を進めることができました。暑い中お手伝いいただきましたこと、心より御礼申し上げます。

2018年5月16日(水)夏のごあいさつにむけて手拭いの柄はどれに?

毎年お正月と夏にお客様にお配りする弊社オリジナルの手拭い。風鈴、ラムネ、金魚と夏らしい柄が候補にあがりました。これからスタッフ一同どれにするか検討します。どのデザインかは、皆さまのお手元に届く7月中頃までお待ちください。

 

2018年5月9日(水)資料を洗浄する時の水の物性の変化を確認する計測機器。

修理作業では、毎回異なる性質の資料を扱うにあたり、処置結果を同じレベルにするための目安として、計測機器を用いて処置に使用する材料の物性の変化も測り、その値を参考にしながら処置を行います。特に資料の洗浄などの水性処置では、処置中の水のpH・TDS(総溶解固形分)・温度等の変化を測り、処置後の各種値の変化を確認します。

 

これまでは計測結果の表示画面と計測用の電極が一体になったハンディータイプの計測機を使用していましたが、新たに、河川などの水質検査用の電極投げ込みタイプを導入しました。手元の画面で数値の変化を確認しながらチェックシートの記入が行え、また、大きな洗浄槽の中でも計測機の水濡れを気にせず処置を行いながら数値が確認できるようになり、重宝しています。なお、4枚目の画像は処置中・処置後の洗浄液の色の変化を比較したもので、数値の確認と併せてこうした目視観察・記録も行っています。

2018年4月25日(水) アニメプロダクションのアーカイブ構築に大型ドライ・クリーニングボックスが活躍

アニメ製作プロダクションの株式会社トムス・エンタテインメントのアーカイブ部様よりご依頼をいただき、セル画や原稿、絵コンテなどのクリーニング用に大型サイズのドライ・クリーニングボックスを製作しました。

 

同社では、映像資産としての利活用を目的としたアニメーション資料のアーカイブ化に取り組んでおり、整理作業の一環で資料のクリーニングを行っています。セル画のクリーニング作業では、固着したセルを剥がしたり、作画時のインクの 微細な飛び散りを除去する際に有機溶剤を使用し、また、セル画の材料である酢酸セルロース(トリアセチルセルロース)は経年劣化によって加水分解し酢酸ガスが生じるなど、チリやホコリだけでなく、作業者がこうした有害化学物質を吸引しないように、これまでも様々な対策を講じられてきました。

 

今回製作したのは、ボックス内の作業スペースが定型品(幅550×奥行き350×高さ220ミリ)に比べて約2倍の幅1,000×奥行き700×高さ330ミリのもの。幅、奥行き、高さ共に広くしたことで、資料が収納されたB4やA3サイズのクリアブックからセル画を出し入れしながら作業できる十分なスペースが確保できました。また、周囲へのホコリの飛散防止のために取り付ける透明アクリル板のたわみを抑制するため端にL字曲げ加工を施し、サイドバーには開閉時の衝撃吸収とボックス内の密閉度を高めるための緩衝材(プラスタゾート)を設置。十分な吸引気流が発生するよう作業に支障のない範囲内で開口部も小さく調整し、作業中に舞い散る細かいチリやホコリ、カビ、有機溶剤蒸気などに汚染された空気を作業者が吸い込まないようになっています。

 

 

関連情報
・『今日の工房』2018年2月7日(水)スタッフの健康を守るために、 有機溶剤などの化学物質、粉塵・ カビなどへの対策の一環として、防塵・ 防カビマスクを一新しました

2018年4月19日(木) 北原白秋の晩年を記す籔田義雄の日記を修理し展示へ

小田原市立図書館様より、昭和初期の日記帳2点の修理製本をご依頼頂きました。この日記帳は、北原白秋のお弟子さんで、秘書も務めた、詩人の籔田義雄(1902-1984)の昭和14年と昭和17年のもの。ともに、白秋の晩年の記録にあたります。4月21日(土)からの町田市民文学館ことばらんど企画展「童謡誕生100年 童謡とわらべ唄 ー 北原白秋から藪田義雄へ 」に、昭和17年のものが展示されます。

 

処置としては、破れや欠損のあるブックジャケットへの修補と、外れたヒンジの修理を行いました。修補ではジャケットの色に染色した和紙とでんぷん糊で繕い、ヒンジの修理ではオリジナルの背ごしらえを除去し、新たに和紙や中性紙で背ごしらえを行いました。新しい背ごしらえにより背が支えられ、本体を開いた状態での展示にも、安全に対応できるようになりました。

2018年4月11日(水) より安全に出し入れしたい資料にはフラップ付きをお勧めしています。

資料を保管するための容器に大切なことは、使用材料の品質や、容器としての強度もさることながら、資料の出し入れの際の「使いやすさ」が挙げられます。容器への出し入れがスムーズにできれば、資料にかかるストレスを軽減し、かつ安全に取り扱うことができるからです。

 

弊社の製品も、なるべく使いやすい形状にすることを心がけています。例えば、被せ蓋式保存箱は蓋と身からなる最も基本的な形状の箱ですが、ご希望に合わせて箱の身の側板が開く「フラップ式」という構造にすることができます。これにより、資料を箱の横から取り出すことができるようになります。例えば、壊れやすく高さのある花瓶は、箱の上から手を入れて持ち上げて出し入れするよりも、フラップを倒して横からしっかり持って引き出す方が安全です。また、つかみにくい書類束や重量のある書籍など、箱の底までしっかりと手先を入れて取り出したい資料にも効果的です。

 

箱型の容器に入れたいのだが「どうも出し入れが面倒だな」という資料がありましたら、ちょっとした工夫で解消できるかもしれません。お気軽にご相談ください。

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