今日の工房 

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2017年4月19日(水) 少量のデンプン糊を電子レンジで作る

工房では毎日の作業用に、かなりの量のデンプン糊を使うため、鍋で糊を炊くが、防腐剤を含まないデンプン糊の保存期間は冷蔵庫で一週間程度。傷みやすいデンプン糊を必要な分だけごく少量作りたい場合に、電子レンジを使う。深さのある耐熱ガラスの容器にデンプン粉(5 ~10g程度まで)と水を1:5で入れ、ダマが残らないように混ぜる。電子レンジ600wで加熱し、10~20秒ごとに取り出してよく混ぜる。様子を見ながら合計加熱時間5分程を目安に、この工程を繰り返す。水に取って冷やし、漉して完成。用途に応じて濃さを調整して使用する。

2017年4月12日(水)専図協主催「館内でもできる簡易修理」セミナーの受講者へのアンケート結果を掲載しました。

2017年3月2日に開催された専門図書館協議会主催「平成28年度 資料保存セミナー(関東地区) 館内でもできる簡易修理」に参加された受講者の皆様への、受講後のアンケートの集計結果がまとまりました。このほど専門図書館協議会様から弊社サイトでの紹介をご快諾いただきましたので、以下に掲載いたします。なお、総数51のご意見の中から、4つの質問項目に対して、内容が重複するご意見を除き、取捨選択させていただきました。同セミナーの参加者は25名、アンケートの回答者は23名でした。

 

1.   全体としての感想は

 

大変良い 20

まあまあ良い 2

普通 1

 

2.受講して、あなたが最も興味深く学んだ(印象に残った)ことはなんですか?

 

⚫︎資料の修理自体をメインとするのではなく、資料の今後ことを考えた修理や管理者・利用者の用途を考えた修理をすることが頭になかったので(根本的なことですが抜けておりました…)、改めて資料保存について考える良い機会になりました。講師のお二人の経歴を伺えてよかったです。お二人のお人柄にも癒されました。

⚫︎修理の講座は初めて参加したが、最初から最後までの工程をひととおり実習できたのは、大変勉強になった。講師の説明もわかりやすく、質問にも丁寧に答えていただき、さすがプロだなと感じました。参加してとても良かったです。

⚫︎とても有意義な時間で、あっという間の1日でした。身近なモノを代用して、ドリルの台なども作ることが可能だったり、今までこうしたらいいのか、と思うことがなかった作り方も教えていただけて、とても良かったです。本のしめ機がなくてもホータイで代用できるなど、身近な道具がいろんな道具になることがわかってとても良かったです。

⚫︎(和紙や不織布等を除いて)図書館に普段から備えてあるものを用いて、資料の補修が出来る点が非常に興味深かったです。今までは補正テープを貼る段階までの修理にとどまっていたが、今回教えていただいたことを取り入れていきたいです。

⚫︎ ホチキス針の処理方法。今まで一気に引き抜くものと思っていたが、針を短く切りながら抜く方法はより資料に優しいと思った。

⚫︎ 背の構造を理解できたことで、修理のポイントがつかめた(ボンドをつける場所、つけてはいけない場所がわかりました)。

⚫︎ とても有意義な時間で、あっという間の1日でした。身近なモノを代用して、ドリルの台なども作ることが可能だったり、今までこうしたらいいのか、と思うことがなかった作り方も教えていただけて、とても良かったです。本のしめ機がなくてもホータイで代用できるなど、身近な道具がいろんな道具になることがわかってとても良かったです。

⚫︎ 館内手当て時に綴じ穴をあける際、目打ち(木づち)を使用していたが、紙の劣化が進んだ資料にはドリルの方が損傷が少ないということ。

 

 

3.他にききたかった(不足していた)ことがありましたら、お書きください。

 

⚫︎ 接着剤を使用する時、市販のものを使う時は「弱アルカリに近くなるように調節したほうが良い」と言われたが、具体的にどのようにすれば市販品を使えるようにできるかも教えていただければと思いました。

▶︎ 当方の工房では市販の「ボンド」(ポリビニルアセテート)を使うのは書籍の構造部などの修理で、強い接着力を必要とする場合のみですが、この場合は水酸化カルシウム水溶液(アルカリ性)をつくり、これで酸性の「ボンド」を溶いて中性域にしたものを使っています。ただ、貴重な資料ではなく、一般的な書籍の館内修理には、「ボンド」をそのまま水溶きしたものを使っていただいて結構かと思います。

⚫︎ 糊、ボンドを使用するので、ウエットティッシュの持参をご案内していただけるとよかったです。

⚫︎ 持ち物に、エプロンとマスクがあった方が良いと思いました。

 

 

4.   今後、研修会で取り上げて欲しいテーマ

 

⚫︎ 引き続き、形態の違う図書の修理講習会を開いていただけるとうれしいです。とじ直し作業も興味があります。時間と技術が必要とのことですが。

⚫︎プロの方の修理を見学してみたいです。

▶︎ ご要望があれば適時、弊社の工房見学会を行なっております。 「2016年2月3日(水)アーキビスト養成のための資料保存手当て実習講座と工房見学会を実施しました。」  
⚫︎簡易修理だけでなく、応用的な修理の実習が可能でしたら、是非開催していただきたいです。

⚫︎ 和装本や和紙などの、紙質が特殊なものの扱いを聞いてみたいと思います。虫喰いなどの補修現場をみてみたいとも思います。

⚫︎ 背ラベル(Bコート貼付)のはがし方、再補修の仕方を教えていただけたら実務に有用です。ご検討いただければ幸甚です。

⚫︎ ソフトカバーの資料の簡易処置など。のど見えやページの脱落したものの処置なども集せて処置したい。

⚫︎ カバーが切れてきたときの補修方法。表紙全体でなく、1部だけ破損した場合の補修方法。

2017年4月5日(水)大きな額装作品を縦置きで保管する、留め具付きの台差し箱

大型の台差し箱を縦置きで保管するには、蓋を平紐などで縛る必要があるが、資料を出し入れする度に紐を結び直す手間がかかる。留め具にボアテープ(面ファスナー)を使用すると蓋の開閉が簡便になり、身とピッタリ固定ができる。

 

箱の中で資料が動かないよう、内寸をタイトに設計した。そのため箱の中にスペーサーを取り付け、作品を取り出す手掛かりを設けた。箱の壁にはボードが二重になる補強を加えており、高さが低い薄型の箱でもたわまない堅牢な構造になっている。

2017年3月29日(水)工房はいま、繁忙期真っ只中です。

おかげさまで、例年同様、工房はいま繁忙期真っ只中です。ご注文いただいた保存容器やお預かりした資料は順次お客様の元へ発送、ご納品に伺っております。修理部門では、ご納品と併せて、次年度案件の資料のお引取も相次いでおり、すでに工房内は資料で溢れています。

2017年3月22日(水) 書架に収納する大型雑誌用ファイルボックスをブリヂストン美術館様に

公益財団法人石橋財団ブリヂストン美術館様が収集している海外の美術雑誌の多くは大判で薄く柔らかいため、書架にそのまま立てて並べると自重で湾曲してしまう。当初利用されていた一般的な事務製品は、大型本を支える強度がなく、また、箱の手前の壁が資料の下半分を隠してしまい、本のタイトルや管理用ラベルが見えづらく、出し入れに手間がかかっていた。そこで強度のあるアーカイバルボードを使い、資料をしっかりと支えられる構造にした。手前の壁がなくなることで資料の背がすべて見え、出し入れも安全に行うことができるようになった。

2017年3月15日(水)和装本(四つ目)を仕立て直す。

和装本の修理の行程は、綴じを解体して一丁ずつ本紙を修補することと、修補後の綴じ直しに大別される。綴じ直しは、元穴や元表紙が問題なく再使用できたり、本紙の状態が良好であれば、さほど難しい工程ではない。しかし、損傷状態によっては綴じ穴を新しく設けたり、表紙を新しくする仕立て直しをすることも多い。綴じ穴の位置やちりの具合を調整する仕立て直しの作業は、資料の「顔」を決める重要な工程といえる。
 
まずは本紙を中綴じする。修補後の本紙を折り直し、丁を揃えながら元の順番通りに重ねる。重ね終えたら、目打ちで綴じ穴を開けて、紙縒りで中綴じを行う。周辺に残る補修紙については化粧裁ちを行う(薄手の資料であればカッターなどで、厚いものは断裁機を使用する)。角裂(かどぎれ)は、あらかじめ修補または新しく用意しておき、中綴じと化粧立ちの後に付け直す。
 
次に、表紙の四辺を折り込む「表紙掛け」を行う。中綴じした本紙と、表紙の内側を、軽く糊付けして固定したあと、表紙の背、天地、小口の順に、ヘラで筋を付けながら折り込み、最後に、折った紙が重なる四隅を斜めに切り落とす。本紙をきちんと保護できるよう、表紙が出過ぎたり内に入りすぎたりしていないか、指先で確認しながらちりの具合を調整する。その後、表紙と見返し紙の小口を糊で貼り合わせる。
 
最後に、題箋やラベルを元の位置に貼り戻した後、元糸を参考にして、似た色合いと太さの糸で外綴じを行って完成させる。

 

 関連情報
今日の工房2015年9月9日  和装本の綴じ直しに使う絹の糸と布
今日の工房2005年10月11日  ボーディングで紙縒りを作る
スタッフのチカラ2015年5月20日  シリアス染料による補修用和紙の染
スタッフのチカラ2011年5月27日  馬込家文書に対する保存修復処置事例
スタッフのチカラ2010年3月29日  和書「往来物」への保存修復処置

2017年3月9日(木)殺虫処理が館内で簡単・安全・確実にできる無酸素パック『Moldenybe®モルデナイベ』の大型サイズをラインアップしました。

「サイズが大きい博物資料、絵画、美術工芸品、テキスタイルなどの殺虫処理や保管にも対応できる大型袋が欲しい」そうしたお客様からのニーズを受けて、これまで特注品(都度対応品)として製造していた『Moldenybe®モルデナイベ』の大型袋3種を定番化します。材質も形も多種多様な文化財の密閉・脱酸素処理に最適なサイズを揃えました。

 

内寸mm 外寸mm セット数 価格
(税抜)
モルデナイベ大型 1,110×1,280 1,140×1,320 5セット

スライド・チャック式ガスバリア袋(マチなし平袋)5枚+エージレスセット25個

¥53,000
モルデナイベ大型 310×1,360 380×1,400 10セット

スライド・チャック式ガスバリア袋(マチなし平袋)10枚+エージレスセット10個

¥65,000
モルデナイベ大型 430×929 440×944 10セット

スライド・チャック式ガスバリア袋(マチなし平袋)10枚+エージレスセット10個

¥42,000

 

無酸素パック『Moldenybe®モルデナイベ』は、酸素を遮断できる高性能な3連スライド・チャック式ガスバリア袋と医薬品や化粧品にも使用されている安全性の高い脱酸素剤を使い、誰でも手軽に無酸素の密閉空間を作ることができる包装資材です。無酸素の環境にすることによって、貴重な資料、染織品、木製品、革製品等に付く害虫やカビを、人体に有害な殺虫剤や防カビ剤などの化学薬品を使うことなく確実に殺虫・防カビ処理できます。また、酸素をゼロにして「酸化」を防ぐ特性を生かし、衣類の酸化による色褪せ、黄ばみ・染みの発生防止や金属材料の腐食防止・保管など様々な用途に活用できます。通気を遮断するので乾燥をある程度防ぎ、臭い移りが起こらないので一時的な隔離袋としても使用できます。

 

ご購入方法

 

本製品のお見積り・ご購入は下記リンク先の販売代理店窓口までお問い合わせ下さい。

メールまたはFaxでお問い合わせの際は件名に「モルデナイベ問合せ」とご明記をお願い致します。
メールは(at)を@に変えて送信して下さい。
なお販売代理店は取りまとめ店のみを記載しております。このほかの営業所は各販売代理店までご連絡下さい。

 

 

販売代理店 お問い合わせ先

 

・日本ファイリング株式会社 特販部
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-2 新御茶ノ水アーバンビル
Tel:03-5294-3037 Fax:03-5294-3014  メール t.sudo(at)nipponfiling.co.jp(担当:須藤)

 

・株式会社クマヒラ 企画本部 ミュージアムグループ
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町1-10-3
Tel:03-3270-4393 Fax:03-3270-4394  メール info(at)kumahira.co.jp

 

・金剛株式会社 業務本部 企画・調達センター
〒860-8508 熊本市西区上熊本3丁目8-1
Tel:096-355-8889 Fax:096-352-0227  メール contact(at)kongomail.com

 

・中部資材株式会社 燻蒸部
〒490-1447 愛知県海部郡飛島村西浜28番地
Tel:0567-55-1290 Fax:0567-55-1777  メール bunkazai(at)chubushizai.co.jp

 

・トラッドマテリアル
〒589-0007 大阪府大阪狭山市池尻中2-2-26
Tel:072-205-2027 Fax:072-205-2028  メール mail(at)tradmaterials.jp

 

・第一合成株式会社 営業部文化財課
〒192-0051 東京都八王子市元本郷町1-25-5
Tel:042-625-5070 Fax:042-622-1884  メール info(at)daiichigosei.co.jp

 

・沖縄サニタリー株式会社
〒900-0036 沖縄県那覇市西2丁目13-15
Tel:098-868-8458 Fax:098-862-0825  メール sanitary(at)woody.ocn.ne.jp

 

・寺田倉庫株式会社 保管事業グループ 東京支店
〒108-0022 東京都港区海岸3-24-12
Tel:03-5439-6100  メール bunsho(at)terrada.co.jp(担当:三俣)

 

 

 

関連情報

2016年8月3日(水) 無酸素パック「モルデナイベ」は工房でも加湿や修理用の材料の保管などに活用しています。

 ・2015年03月27日(金) 無酸素パックの大型タイプを開発—-段ボール4箱をそのままパックして安全に殺虫。

2017年3月2日(水)本日の専図協のセミナー「館内でもできる簡易修理」はこんな内容です。

本日(2017年3月2日)開催される専門図書館協議会主催の資料保存セミナー「館内でもできる簡易修理」の講義内容です。

 

図書資料でもよく見かける、金属の綴じ具が錆びた小冊子や、表紙が本体から外れかかっているくるみ製本などへの、簡易修補のデモンストレーションと実習を行います。午前は、小冊子の金属除去・綴じ直し・修補。午後は、くるみ製本の解体・背ごしらえ・本体と表紙の接合、というプログラムです。実習後には質疑応答、意見交換会も予定しております。

 

セミナーの参加者の方々には、日頃、現場で抱えておられる様々な課題に対し、少しでも解決のお手伝いになるような情報をお持ち帰り頂けると思います。

2017年2月22日(水) ひな人形をGasQ®️で養生し、元の木箱に保管する。

桃の節句も近づき、あちこちでひな人形の展示公開が行われる季節となった。この時期、資料館や個人の方などからひな人形の保管についてお問い合わせをいただくことがある。

 

今回ご紹介するのは一般家庭に伝わるひな人形の保管例。収納用の木箱もなるべく元のまま使い続けたいとの要望から中性紙保存箱への入れ替えはせず、人形の養生に汚染ガス吸着シートGasQ®️を使うことにした。

 

人形を収納する際には、顏や手といった繊細で壊れやすい部分を和紙などの柔らかい紙で養生する。今回は顔と衣装の部分をGasQで、形が複雑な手の部分はきめの細かい不織布で養生するなど、素材を使い分けた。最後に薄葉紙で全体を包み、元の木箱に収めた。年に一度、箱から出した時にGasQを交換すれば継続した効果が得られる。

2017年2月16日(木)修理に使う水を作る逆浸透膜(RO)装置を一新しました。

修理に使う水を作っているRO(逆浸透膜)水装置。専門業者の方に定期的にメンテナンスをしていただきながら使用し、10年以上稼働し続けていました。この度、装置自体を一新。最新の設備に切り替えていただきました。ろ過装置がパワーアップしてタンクも小型になり省スペースに。今日も処置に必要な水を供給してくれています。

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