今日の工房 

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2021年11月26日(金)本紙の補修に使われる粘着テープ

紙資料の修理に関するご相談の中でも特に多いのが、粘着テープによる本紙の損傷です。補強としての役割を果たしている間はまだ良いのですが、粘着剤が変色して紙に色が移ったり、テープの縁からベタつきがはみ出て汚れが溜まったり、他の資料に付着して破損を引き起こすなど、これらはそこまで年数が経たなくとも簡単に起きてしまう劣化症状です。

 

粘着テープを除去する際、テープの基材と粘着剤の種類によって処置方法と使用する有機溶剤を選択しますが、特にメンディングテープや透明度の高いテープなど、見た目で種類を判別できることはほとんどありません。しかし、一度貼ってしまった粘着テープを剥がすことは非常に難しく、資料を傷めないよう安全な方法で処置を進めるためにも、できるだけテープの性質を把握する必要があります。

 

そこで、事前調査の際に紫外線照射観察を行い、テープの蛍光反応の有無を確かめます。さらに、弊社内に保管している粘着テープのシミュレーション・サンプルと照らし合わせて、基材と粘着剤の種類を予想し、処置方法の見当をつけています。視覚的に分かりやすいので、例えば一つの紙面に数種類のテープが使われている場合なども見やすく、また、それぞれに合った除去の方法を的確に選択することができます。実際には資料形態、紙の種類、書写材料、劣化状態などを考慮すると、予定していた処置を必ず実施できるわけではありませんが、指標の一つとして参考にしています。

 

【関連記事】
『今日の工房』
・2015年10月28日(水) 13年前に脱酸性化処置した資料はいま、どうなっているか?

・2016年7月6日(水) 修理の第一歩はカルテの作成、時間をかけて丁寧に

・2019年4月10日(水)様々な機関様から寄贈していただく除籍本は、このように活用しています

・2019年6月12日(水)ロール・エンキャプシュレーションのサンプルを作る

・2020年11月6日(金)汚染ガス吸着シート 「GasQ」のガス吸着効果を可視化した展示サンプルをご紹介します

ページの上部へ戻る