今日の工房 2016年 3月

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2016年3月30日(水) デジタル化のためなど、お客様の館内へ出向しての作業をお引き受けすることが増えました。

弊社では資料のクリーニングや配架ラベルの除去、デジタル化やマイクロ化に伴う資料の解体・復元といった作業を、出向でも承っております。とりわけ今年度は出向での作業が立て込みました。館外に資料を持ち出すことができない場合や、館内で作業した方が効率がいい場合などに、お客様の一部スペースをお借りして現地で作業を行います。作業内容によって必要資材は様々ですが、弊社では作業内容別に資材リストを作成しており、このリストに添って資材を揃え出向準備を行います。今回はデジタル化の撮影のためにペラ(一枚ずつの状態)に解体したハードカバーの簿冊資料を元の状態に復元する作業(ペラの綴じ直し、元表紙との再接合)の場合の必要資材を揃えました。組み立て式の作業台やプレス機なども持ち込み現地に設えます。

 

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2016年3月23日(水) 茶道具の風炉先屏風を木箱ごと収納する差し込み箱

都内のある美術館様からのご依頼で、風炉先屏風を収納する保存容器を作成した。この屏風は、茶の湯で茶室と道具畳の向こうを囲む茶道具の一つである。屏風は木箱に収められており、これまでは木箱をエアキャップにつつみ、輸送に使用した茶色の段ボールに収納されていた。ご担当者様より「1箱に複数の木箱(屏風)を収納するため、利用頻度の高い木箱(屏風)の出し入れが容易な箱を」との希望をいただき「差し込み箱」を提案した。出し入れの際の摩耗の抑制と重量補強用に床面にポリプロピレン製のボードを設置した。

2016年3月16日(水) 明治新聞雑誌文庫様所蔵の屏風の下張りから新聞を取り出す。

東京大学大学院法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター 明治新聞雑誌文庫様よりお預かりした屏風の下張り。今回、下張りの一部に明治期の貴重な新聞資料が使われていることがわかり、解体して新聞を取り出し修理を行うことになった。資料は下骨から2層目(胴張り)にあり、酸性紙化によって紙力が極限まで低下していて非常に脆い。まずは1枚の新聞紙になるまで、張りついた和紙を少しづつ丁寧に剥がす作業を行っている。

 

屏風やふすまの下張りは5〜6層の紙の重なりで構成されており、不要になった書類や手紙、新聞紙など再利用されることがよくある。今回も新聞以外の層からは、地方の尋常小学校の試験問題や答案用紙、成績表などが多数見つかった。

 

 

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2016年3月9日(水) ゲームソフトのフロッピー、テープ、CDを保存するには。

NPOゲーム保存協会様からのご依頼で磁気ディスク用(3.5インチFD、カセットテープ、5.25インチFD)、CDなどのゲーム資料の保存容器を作成した。ゲーム資料は複数の異なる素材から構成されている。例えばゲームソフトであれば、フロッピーやテープなどのデータを記録した媒体とともに、プラスチック製のケース、紙に印刷されたマニュアルや外カバーがあり、これらも大事な資料である。こうした資料は、構成素材や環境要因が複合的に影響することで劣化が進んでしまう。ゲーム保存協会では、資料を素材ごとに分離し、各々適した方法で、環境や素材からの腐食性ガスを吸着し、温湿度の急激な変化がない、涼しく乾燥した場所(温度20℃以下/湿度50%RH以下)でメディアを保管している。保存容器は酢酸他のVOCを吸着する汚染ガス吸着シートGasQ®を組み込んだ新きりなみ仕様。ガス吸着機能とともに、容器内の相対湿度を安定させる調湿効果を発揮し、環境要因からくる収納物の劣化を最大限に抑制できる。

2016年3月2日(水) 活字の鋳造から組版までの作業の見学会に参加しました。

新宿区榎町にある有限会社佐々木活字店で鋳造から組版までの作業を見学しました。佐々木活字店は大正6年に活字鋳造販売業を始め、今年で創業99年。現在では、鋳造、文選、植字、組版から印刷までの全行程を請け負っている。鋳造の作業場内には、ポイント(活字の大きさ)違いの鋳造機10台ほどや、鉛・アンチモン・錫の合金からなる活字の材料のインゴット、珍しい花型を含む母型庫などが所狭しと並び、鋳造機が小気味好い音をたてながら、次々に活字を作っていた。文選も体験させてもらい、自分の氏名を探してみましたが、常用漢字4文字にもかかわらず数十分かかりました。昔は歩合制の日雇いの職人さんが何人もいたとのこと。近年では地金屋さんも減ってきて調達が簡単でないことや、昔の鋳造機には、インゴットの適正な溶融状態を見るための温度計がついていなかったので、職人さんは溶融釜に紙を当てて燃やし、火加減を確認していたなど、興味深いお話をたくさん伺うことができました。最後の1枚の画像は、最近ある展示会用のポスターの組版。様々なポイントや書体、行間、段落、スペースを使ってデザインしていく、気の遠くなるような作業が続く。

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