今日の工房 2016年 11月

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2016年11月30日(水)パソコン内蔵のHDD用の保存箱、より長期保存が可能なLTOなどへの移行時に使用。

映像制作会社や放送局では、デジタル制作された作品の動画素材や、関連する文書・画像などの資料がデータファイルで保管されている。現在、それらのデータをパソコン内蔵のHDDなどから、LTO(大容量磁気テープ)に代表される長期データ保存用の記録メディアへ移行する作業が進められている。

 

アニメ制作会社株式会社プロダクション・アイジー様よりご依頼を受け、データ移行までのHDDの保管と、作業のための持ち運びにも安全な専用箱を製作した。

 

パソコン内蔵のHDDは基盤部分がむき出しになっており、ホコリや静電気、落下の衝撃などによるデータ破損のリスクが大きい。そこで、箱の中で各HDDが接触しないよう仕切りを設け、床面は振動を吸収するクッション構造にした。データ移行作業が終わったものは箱の仕切り板を組み替えて、LTOテープの保存箱として利用される。

 

磁気テープやディスクの記録層を湿気や酸性ガスから保護するため、箱は表面をプルーフ加工にし、中に、取替え可能な汚染ガス吸着シート GasQ®︎を組み込んだ。

 

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2016年11月16日(水)紙焼き写真資料の整理と保存のためのアーカイバルバインダーとリフィル

紙焼きの写真資料は環境の影響を受けやすく、取り扱いには細心の注意が必要です。なかでも温湿度や大気中の汚染ガス、光、ほこり等に曝されると退色、変形、剥離などを引き起こします。

 

一般的な写真用のアルバムやバインダーは天地や前小口など露出する面が多いため、光やほこりの影響を受けます。また、写真を収納するリフィルには可塑剤や溶剤を含んでいるものがあり、素材の劣化等により発生した揮発物等で写真に化学的影響を与えます。

 

弊社のアーカイバルバインダーは写真用リフィルとともにISO18916:2007 PAT=写真保存用包材のための写真活性度試験をパスしており写真包材の国際基準に準拠しています。バインダーは蓋を綴じると外気への露出部分がなくなり、光やほこりの影響を防ぎます。オプションで汚染ガス吸着シート「GasQ®」 の組み込みも可能です。

 

リフィルのバリエーションは全部で12種類。L判やキャビネ、六つ切りなどの紙焼き写真用、35㎜、6×6(ブローニーサイズ)、4×5などネガ・ポジフィルム用、スライドマウント用と一般的な写真資料を網羅しております。

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2016年11月2日(水) 茶道具を仕覆(しふく)ごと収納する保存箱。

茶道具の茶碗・茶入・棗などを「仕覆(しふく)」ごと収納する保存箱。仕覆は茶道具全体を覆う布製の保護容器だが、名物裂や古代裂と言われる歴史のある染織布が使われているものも多く、剥き出しだと光や大気中の汚染物質に曝されて傷む。

 

これを「汚染ガス吸着シート GasQ®ガスキュウ」を敷いた中敷ボードに乗せて収納する専用の容器を製作した。染織布に直接触れることなく収納でき、また蓋にはポリエステルフィルム製の窓が付いているので、そのまま棚に飾り蓋を閉じた状態のままでも仕覆を眺めることができる仕様となっている。

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