今日の工房 2021年 8月

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2021年8月20日(金)長さ4m超の水引幕を平置き保管するための、大型保存箱

神社の祭礼の出し物として使われる「笠鉾」の胴体部に巻く水引幕を収納する保存箱の製作依頼を受けました。水引幕は豪華な刺繍が施された飾り付け用の幕で、広げると全長が4mを超える物もあります。幕の刺繍や布地の保護のため、なるべく折り畳まずに平置きで保管ができるよう幅1.1m×長さ4.3mの大型の保存箱を製作することになりました。

 

保存箱の身は持ち運びの際にたわみや歪みが起きないよう壁を6重に積層し補強をしています。また納品先での搬入通路を通るためには荷物の長さを3m程度に収める必要があり、保存箱の身を半分に折り畳んだ状態で輸送ができる箱の構造を考案しました。箱の身は収蔵庫内へ搬入後畳んだ状態から開いて箱の形に戻し、箱中央(折り目部分)の壁の切断箇所を固定するため、アルミ板の留め具を壁に埋め込みました。

 

蓋は取り外しを簡便にするため乗せ蓋式とし、全体を3分割にして、それぞれの蓋裏に四方桟を取り付けました。箱を積み重ねて保管するため、上からの荷重で蓋がたわまないように蓋の四方と中央にH型のアルミハカマを組み込み補強しました。水引幕を収納した箱は箱紐で結び蓋が不用意に外れないよう固定しました。

 

 

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『今日の工房』2018年12月26日(水)全長4メートルの大型保存箱を製作しました。

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2021年8月2日(月)2021年夏の手拭いができました。

お客様へお届けする暑中お見舞いの手拭いが完成しました。今年はモチーフと手拭いの配色にご注目いただけたら幸いです。

 

米国の色見本会社PANTON(パントン)社では毎年パントン・カラー・オブ・ザ・イヤーを実施しています。パントン色彩研究所が世界のトレンドを分析して「今年の色」を選出するプロジェクトです。基本は単色ですが、2021年はUltimate Gray(アルティメット・グレイ) とIlluminating(イルミネイティング)の2色の組み合わせが選ばれました。グレイとイエローの配色について、パントンはこう解説しています。

 

 

「永続的なUltimate Grayと明るいイエローのIlluminatingの組み合わせは、不屈の精神に支えられたポジティブなメッセージを表現しています。実用的でしっかりしていると同時に、暖かみがあり楽観的なこのカラー・コンビネーションは、私たちに回復力と希望を与えてくれます。私たちは、励まされ、元気づけられる必要があり、これは人間の精神に不可欠なものです」

 

Ultimate Grayは「永続的でしっかりとした基盤をもたらす、強固で信頼できる要素の象徴」、Illuminatingは「生き生きとした輝きを放つ明るく陽気なイエローで、太陽の力を宿した暖かさを与えるイエロー・シュード」。コロナ禍における願いや祈りがこの2色にこめられていることがわかります。

 

このパントンの配色を取り入れ、今夏は、柔らかくすっきりとした色合いのグレイで染色した手拭いに、鮮やかなイエローのパイナップル型の挨拶状を添えました。

 

色に込められたメッセージと共に、みなさまの元へお届けいたします。楽しく使っていただけることを願っております。

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