今日の工房 2026年

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2026年7月6日(月)徳川宗家史料 『諸事留』修復事例 ― 著しく損傷した近代古文書の保存修復

公益財団法人徳川記念財団は、幕末維新期から、公爵家となる明治以降の近代の歴史資料を中心に、徳川宗家伝来の品々約2万点を所蔵しています。主な収蔵品は、重要文化財の初花肩衝をはじめとする歴代将軍関連資料、天璋院(篤姫)、静寬院宮(和宮)を中心とした将軍正室・側室関連資料、16代家達、17代家正の旧華族資料です。 (公益財団法人徳川記念財団ホームページより引用)

 

このたび、同財団様より所蔵資料の修復をご依頼いただき、古文書8点の修復を行いました。今回はそのなかから『諸事留』の修復事例をご紹介します。

 

『諸事留』(明治30年)は、徳川宗家第16代当主・家達を中心に、徳川宗家に関する書状や記録類を綴じ合わせた資料です。宗家の事務を担う家扶(かふ)は、当主の日々の動静を記した「家扶日記」や会計帳簿などを年ごとにまとめていました。ところが、明治30年については、会計帳簿も「家扶日記」も現存していません。この年の徳川宗家の様子を伝えるほぼ唯一の史料が、本『諸事留』なのです。こうした歴史的・学術的価値の高さから、保存・活用を目的にご依頼いただきました。

 

資料は、平綴じの綴り形態でしたが、綴じ紐はすでに切れて、綴じ穴には糸だけが残っている状態でした。汚損や水損、害虫被害による損傷も著しく、右上部には大きな欠損がありました。本紙はフケ(紙力が低下し、表面が脆く崩れやすくなった状態)が進み、ページ同士の境界さえ判別しにくいほどでした。とくに茶色く変色した部分は非常に脆く、一部は粉状になっており、欠損部の周囲には塵埃や虫糞などが堆積していました。全体に損傷が進行し、慎重な取り扱いと修復処置が求められる状態でした。

 

作業は、ドライ・クリーニングと解体を並行して進めました。まず表紙を取り外し、本紙同士の境界が確認できる箇所から慎重にヘラを入れて、一枚ずつ剥離しました。続いて、袋折りを開き、毛先の柔らかい刷毛で表面の塵埃や虫糞を丁寧に除去しました。

次に本紙の修補を行いました。本紙は一枚の中でも紙力にばらつきがあったため、とくに脆弱な箇所には極薄の和紙で部分的な表打ちを施し、あらかじめ補強したうえで、裏面から修補を進めました。欠損部は本紙と同程度の厚みの和紙で補填し、最後に本紙全体の強度を確保するため裏打ちを施しました。今後の展示や活用を見据え、補填箇所が目立たないよう、補修には染色和紙を用いました。仕上げに元の折りに折り直し、一定期間プレスしたのち、丁を揃えて綴じ直して修復を完了しました。

 

公益財団法人徳川記念財団様には、弊社ホームページへの掲載をご快諾いただきました。心より御礼申し上げます。

 

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2026年6月26日(金)光ディスクは本当に長持ちするのか―劣化事例から考えるCD・DVD・Blu-rayの保存

光ディスクは、1982年の音楽用CDに始まり、DVD、Blu-rayへと容量を増やしながら、音楽・映像・データの記録に広く使われてきました。針や磁気ヘッドが触れず、レーザー光で読み書きするため、登場当初は「長く保存できるメディア」と期待されていました。
ところが現在、光ディスクは二つの方向から時間に追われています。ひとつは、メディア自体の劣化。もうひとつは、読み書きする機器の減少です。たとえばソニーでは、ブルーレイディスクメディアの生産終了に続き、ブルーレイディスクレコーダーも出荷終了が案内されています。ディスクそのものだけでなく、「読み出す手段」も、いつまでも当たり前に残るとは限りません。
見た目には変わらないように見えるディスクでも、材料や構造、置かれた環境によって、少しずつ劣化は進みます。その弱点を知っておくことで、保管や取り扱いで注意すべき点も見えてきます。

 

なぜ劣化するのか―構造と弱点
CD・DVD・Blu-rayに共通するのは、レーザー光で記録された情報を読み取るという仕組みです。記録面側から入ったレーザーが、記録層の凹凸や反射率の差を、反射層が返す光の強弱として読み取ります。
記録の方法は方式で異なり、プレス盤は物理的な凹凸を成形し、CD-RやDVD-Rなどの追記型は記録層の色素に光学的な変化を与え、書き換え型は相変化材料の状態変化を使います。Blu-rayの追記型には、色素を使うタイプと、無機材料を使うタイプがあります。
この薄い層が何層も重なった構造は、どこか一つが傷むだけで、レーザーが正しく反射光を読めなくなります。しかも劣化は一気に起こるより、小さなきっかけから少しずつ範囲を広げていくのが特徴です。代表的な劣化の例を見てみます。

 

[写真1:レーベル面から記録層までが剥がれ、穴のあいたディスク]
ひとつは、反射層・記録層の剥離(層の欠落)です。とくにCDは記録層がレーベル面のすぐ下にあるため、表側の保護層(ラッカー)の傷や劣化が引き金になります。そこから反射層が剥がれ始めると、その部分は光が透ける透明な抜け(ピンホール)になり、抜けが広がるほど読み取れない領域が増えていきます。

 

[写真2:不織布のディスクケースに収納し、接触面が変質したディスク]
次に、層間剥離です。湿気の侵入や接着の劣化で層と層のあいだに微小な空隙ができると、油膜のような虹色のムラ(干渉色)が現れます。これは層が浮き始めたサインで、進行すると層そのものが分離し、データを読み出せなくなります。やわらかく見える不織布でも、長期間の接触は表面の変質や、こうした剥離の入口になり得ます。

 

[写真3:反射層の金属が変色したディスク]
そして、ディスク・ロット(反射層の腐食・変色)です。反射層(プレスCDではアルミ、種類により銀など)が酸化・腐食すると、銅色〜黄褐色に変色し、反射率が落ちて読み取り不能に向かいます。金は比較的安定していますが、銀やアルミは硫化物・酸性ガスや湿気に弱いためです。現れ方はさまざまで、面全体がくもるように進むこともあれば、点状の斑点として散らばることもあります[写真4]。なかでも、空気や湿気の入口になる外周のエッジから内側へ進むものは「ブロンジング」と呼ばれ、進行すると光に透かしたときに無数の微小な透明斑(snow)が見えるようになります。古い例では、1980年代末〜90年代初頭に英国PDO社でプレスされた一部のCDで、ブックレットの紙に含まれる硫黄分が保護ラッカー層の欠陥から侵入してアルミ層と反応し、ブロンズ色に変色する「PDOブロンジング」が知られています。腐食や変色によって反射率が落ちると、レーザー光を正しく読み取れなくなります。

 

このほか、CD-RやDVD-Rでは記録層の色素が光・熱・湿気で少しずつ劣化(褪色)し、マークの判別が弱まってエラーが増えていきます。また、高温多湿の環境ではカビ(菌類)が発生することがあり、菌糸が表面にとどまらず保護層や基板、反射層まで侵食して、記録された情報そのものを壊してしまうこともあります[写真5]。高湿度では、基板のポリカーボネート樹脂が反りやひずみを起こすこともあります。

 

これらの劣化に共通するのは、熱・湿度・汚染ガス・光、そして高湿度が招くカビといった要因が引き金になり、いったん始まると徐々に広がっていく点です。保存では、こうした要因をできるだけ抑え、進行を遅らせることが基本になります。

 

保存環境で劣化を遅らせる
光ディスクの長期保存については、ISO 18925:2013に保存環境の考え方が示されています。温度は低めに、相対湿度は安定して保ち、高温多湿や急激な変動を避けることが基本です。あわせて、汚染ガスや光への露出もできるだけ抑えます。低温・低湿で安定した環境ほど、メディアの劣化を遅らせることができます。
参考までに、国立国会図書館は、光ディスクの寿命を一般に10年以上、条件がよければ20〜30年程度と紹介しています。ただし、寿命はディスクの種類、製造品質、記録状態、保存環境によって大きく変わります。

 

取り扱いと収納で傷みを防ぐ
環境を整えても、日々の扱いや収納で傷めてしまっては意味がありません。光ディスクの取り扱いについては、ISO 18938:2014や、カナダ保存研究所(CCI)の「CCI Notes 19/1」などで考え方が示されています。要点は、次の4つです。
・ジュエルケース(ディスク用の硬質ケース)などに入れ、立てて保管する
・紙や不織布のスリーブに直接入れることは避ける
・ライナーノーツなどの付属物は、ディスクと分けて保管する
・重要な情報は、読めるうちに複製やデータ移行を検討する
複製については、3つのコピーを作り、2種類の異なる媒体に保存し、そのうち1つを別の場所に保管する「3-2-1ルール」の考え方も参考になります。

 

このうち、「不織布を避ける」「付属物を分ける」は、そのまま収納容器の設計につながります。

 

光ディスクと付属資料を分けて収納する
光ディスクを保存する際には、ディスク本体だけでなく、ライナーノーツや解説書、紙ジャケットなどの付属資料の扱いも考える必要があります。紙資料は湿気を含みやすく、印刷インキや紙質によっては、長期的にディスクへ影響を与える可能性があります。また、同じ場所に詰め込んで保管すると、出し入れの際に傷がついたり、資料が散逸したりすることもあります。そのため、ディスクと付属資料は、できるだけ接触しないように分けて収納することが望ましいとされています。

 

[写真6:樹脂ケース入りのディスクを、仕切りで分類して収納する保存箱]
樹脂ケース入りのディスクをまとめて保管する場合は、分類用の仕切りを設けることで、資料群ごと、分類ごとに整理しやすく、出し入れや管理もしやすくなります。

 

[写真7:ディスクとライナーノーツを部屋分けし、汚染ガス吸着シートGasQを組み込んだ保存箱]
さらに保存性を高める場合には、ディスクと付属資料を分けて収納し、容器内に汚染ガス吸着シートGasQ®︎ガスキュウを組み込む方法もあります。汚染ガスへの対策を加えることで、保存容器内の環境をより安定させることができます。

 

保管とあわせて考えたいデータ移行
保存箱や吸着シートは、光ディスクをより安定した環境で保管するための手段ですが、すでに劣化したディスクを元に戻すものではありません。また、光ディスクは再生機器やソフトウェアに依存するメディアです。ディスク自体が残っていても、読み出すための機器がなければ、記録された内容にアクセスできなくなる可能性があります。
良い環境で正しく保管し、劣化を遅らせること。そして、読めるうちに中身を別の媒体へ移すこと。光ディスクの記録を残していくには、保管と移行の両方を考えておく必要があります。

 

 

【参考・関連情報】
CCI Notes 19/1「Longevity of Recordable CDs, DVDs and Blu-rays」(Joe Iraci 著、2019年改訂・2020年公開)

CCI Notes 19/1は、記録型CD、DVD、Blu-rayの寿命と劣化要因を整理した資料で、ディスクの寿命は数年から長期にわたるものまで幅があり、製造品質、記録状態、保存環境、取り扱いによって大きく左右されるとしています。

 

ISO 18925:2013「Imaging materials — Optical disc media — Storage practices」
ISO 18938:2014「Imaging materials — Optical discs — Care and handling for extended storage」2024年に再確認され、現行版として維持)

光ディスクの保存環境や取り扱いについて考え方を示している代表的なISO規格です。なお、ISO規格は定期的に見直されるため、実務で参照する場合は最新版の規格情報を確認することが望まれます。

 

国立国会図書館「電子情報の長期的な保存と利用」

電子情報の保存では、媒体そのものを残すだけでなく、それを読み出す機器やソフトウェアをどう確保するかも課題になります。国立国会図書館も、電子情報の長期保存において、再生機器やソフトウェアの陳腐化を課題として挙げています。

 

【関連記事】

・今日の工房2016年3月9日(水)「ゲームソフトのフロッピー、テープ、CDを保存するには

・今日の工房2018年1月31日(水)「【文献紹介】 水没した電子記録媒体の復旧はどこまで可能か? 最良の乾燥法は? 保管の3-2-1 ルールとは?

・今日の工房2019年5月15日「NPOゲーム保存協会様からのご依頼でフロッピーディスクを長期保管するための専用容器を作成した

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2026年6月12日(金)筑波大学附属視覚特別支援学校 資料室様所蔵 凸字・点字資料の保存修復処置 -データベース作成、電子化、公開へ向けた取り組み-

筑波大学附属視覚特別支援学校は、その前身である「楽善会」が明治初期に創設されて以来、視覚障害教育の中心的役割を担ってきました。同校の資料室には、国内外の盲教育に関する資料や点字教科書が収蔵されており、点字制定以前の盲教育や文字教育の歴史をたどる展示も行われています。
筑波大学附属視覚特別支援学校ホームページ>資料室・常設展示室の紹介※見学は要問合せ
(本記事に掲載する画像は、弊社が撮影した作業記録画像の一部です)

 

日本において点字が制定されたのは1890年(明治23年)に遡ります。それ以前は、紙を文字の形に浮き上がらせた凸字が学校教育の教科書などで用いられていました。現在広く用いられている点字は、フランスのルイ・ブライユが1825年に考案した6点点字を基礎としており、各言語に対応した点字が使用されていますが、海外においても、それ以前はアルファベットによる凸字や、イギリスで開発されたムーンタイプ(丸と線で表す文字)など、文字の輪郭を触って読むものが主流でした。

 

 

日本近代の盲教育は、明治維新後、京都と東京それぞれに教育機関が設立されたことを契機に大きく発展しました。1887年(明治20年)に東京盲唖学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)の助教諭となった石川倉次(いしかわくらじ)は、ブライユの6点点字を日本語の五十音へ翻案する研究に取り組み、1890年(明治23年)に「日本訓盲点字」として制定されるに至りました。今回お預かりした資料の中には、石川が当時の教員や生徒らとともに試行錯誤を重ねながら研究を行った経過記録が多く含まれています。今回は、これら12点(約200枚)の資料についてデータベース作成を進めるにあたり、電子化に向けた処置や保存対策についてご相談を受け、所蔵元、および研究者との協議のもと、作業を実施することになりました。

 

私たちは常に、利用に供するための保存修復を意識して「資料保存」に取り組んでいますが、触覚型資料、なかでも点字のように視覚だけでは捉えきれない情報をもつ資料に対して、どこまでアプローチするかという判断は、すべての工程において難しい課題でした。特に、墨字が付されておらず点字のみで記された資料では、視覚的に確認できる手がかりが限られるため、文章のはじまりや終わり、紙の上下を判別するにも慎重な観察を要するなど、点字資料特有のこうした条件は、作業時の緊張感をいっそう高めるものでした。さらに今回は、斜光撮影による電子化を予定していたため、紙の波打ちや折れ、皺が撮影時に強調されないよう調整する必要がありました。一方で、過度な加湿や圧力は、点字そのものを変形させる可能性があります。そのため今回の処置では、「点を守りながら、点以外を整える」という非常に繊細な調整が求められました。

 

 

作業はまずドライ・クリーニングから開始しました。点の突出具合は1枚ごとに異なるため、紙質と点部分の堅牢さを見ながら、刷毛やクリーニングスポンジを数種類使い分けました。破れの修補では、点の位置を一つひとつ確認しながら、接着に用いるでんぷん糊の水分が移行して点を変形させないよう、慎重に作業を進めました。また、折れや皺の伸展には手元用の超音波加湿器を用いて加湿レベルを調整し、点部分に影響がないよう細心の注意を払いました。乾燥工程では、通常用いられる表面が滑らかなろ紙や、重石、プレス機を使用せず、厚手で柔らかいフェルト生地を使用することで、点への圧力を軽減しつつフラットニングを行いました。電子化を終えた資料は、保存環境を整えるためにそれぞれの形態およびグループに応じて適切なアーカイバル容器を作製し、収納しました。

 

これらの資料は、目で読むことができない人に文字をどう届けるかを問い続けた試行錯誤の記録でもあります。私たちもまた、その触覚情報を視覚だけに頼らず、どのように守るかという課題に向き合うことになりました。検討を重ねながら慎重に作業を進めた結果、処置内容そのものは基本的な範囲にとどまりました。しかし、過度な介入を避けることが、結果として資料本来の保存性を最大限に守ることにつながったと考えています。

 

 

今回の取り組みを通して見えてきたのは、点字や凸字に見られる凹凸そのものが資料の内容を構成していること、電子化の撮影方式が修復方針にも大きく影響すること、そして介入を最小限にとどめることが、結果として資料の保存性と情報の維持につながる場面があること——という三つの視点でした。触覚的な情報を含む資料をどのようにアーカイブしていくのか、本事例はその一端を示す試みでしたが、これを通じて、資料保存が単なる作業ではなく、所蔵者、研究者、撮影、そして保存修復に関わるそれぞれの立場が、目的を共有しながら進める協働の積み重ねであることを改めて実感しました。

 

 

最後に、筑波大学附属視覚特別支援学校様には弊社ホームページへの掲載をご快諾いただき誠にありがとうございました。また、お力添えいただいた関係者の皆さま、特に、DNP文化振興財団グラフィック文化に関する学術研究助成B部門の助成により本プロジェクトを実現されたお茶の水女子大学附属図書館の飯塚希世様と資料室担当の先生方には、盲教育の歴史と凸字・点字の製作方法について知見をいただき、保存方針の策定へ向けてご助言を賜りました。ご協力に心より感謝申し上げます。

 

 

【関連記事】
『今日の工房』

2015年3月30日 内外ニュース&レポート編:視覚障害者用の本(1840年刊)を修理する

2025年10月8日 立教大学図書館様所蔵 活字組版への処置・保存容器の作成

2026年2月9日 明治学院歴史資料館様所蔵 沖野岩三郎手稿コレクション ― 修復とデジタル公開の取り組み

 

【関連情報】

現在開催中の企画展『名著誕生展 ヴァチカン教皇庁図書館Ⅲ+』(印刷博物館 会期:2026年4月25日〜7月20日)にて、目の不自由な子供が地理の授業で使うためにフランスで制作された凸字の教科書『地理学の基礎(視覚障がい者のための地理入門書)』を展示中です。この機会にぜひ実物をご覧になってみてください。

 

【参考】

Helen Kuncicky. (2007). Saving Raised Dots: A Feel for Braille Materials and Preservation.

Lisa J Sisco. (2015). Braille preservation: recognising and respecting archival materials produced by and for the blind. Archives and Manuscripts. Volume 43, Issue 1.

Donna Koh. Digitizing Braille Music 2018. Library of Congress blogs posted on April 26, 2018

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2026年6月1日(月)感熱紙の鉄道切符をどう保存するか ― 一覧性・収蔵性・保護性から考える保存形態 ―

鉄道切符は小さな紙片ですが、近年の自動券売機などで発行される切符には、感熱紙が多く使われています。
感熱紙は、熱によって発色する記録材料です。インクを使わず印字できる一方で、熱、光、圧力、可塑剤などの影響を受けやすく、長期保存では注意が必要な素材でもあります。
鉄道切符の印字方式には、熱で券紙自体を発色させる感熱方式と、インクリボンの色材を熱で転写する熱転写方式があります。同じ切符でも、印字方式によって保存上の注意点は異なり、特に感熱方式の切符では、熱や光、圧力、可塑剤などの影響を受けやすく、印字に退色や変色が生じるおそれがあります。

実際、古い感熱紙の切符は、印字が薄くなったり、背景が黄変したり、全体が黒っぽく変化したりすることがあります。また、スリーブや粘着材など、接触する素材の影響を受ける場合もあります。そのため、鉄道切符の保存では、「何に入れるか」だけでなく、「どう使い、どう見返すか」によっても、適した保存形態が変わってきます。
今回製作したのは、アーカイバル・バインダー用リフィルに使用する、中性紙製の間紙です。鉄道切符を1枚の台紙に並べて貼り付け、整理・比較しやすくするためのものです。鉄道切符は、年代や鉄道会社によって、地紋、書体、券面レイアウト、紙質、印字方式などが少しずつ異なります。こうした差異は、1枚ずつ見るより、並べて比較したときに見えやすくなります。ただ、白紙の台紙に配置していく場合、角度や位置が少しずつずれやすく、ページ全体で見たときの比較性が保ちにくくなることがあります。そこで今回は、配置基準として、10mm間隔のドット方眼を中性紙に印刷しました。ドット色はグレーとし、閲覧時に視線を邪魔しにくい濃度に調整しています。また、上下左右の中心ドットのみを少し大きくし、ページ全体の配置基準としています。

 

この構成では、切符を保護するだけでなく、一覧しながら比較しやすい状態を維持することを重視しています。感熱紙の切符では、見やすさだけでなく、接触する素材や貼付方法も重要になるため、配置のしやすさとあわせて、長期的に資料へ負担をかけにくい間紙やリフィルの選択も必要になります。

 

一方で、すべての鉄道切符に、一覧比較を重視した保存形態が適しているわけではありません。以前、芝浦工業大学豊洲図書館様の鉄道切符コレクションでは、寄贈資料として受け入れられた多数の切符を収蔵するため、切符サイズに合わせた仕切り付きの台差し箱を製作しました。[芝浦工業大学豊洲図書館様 鉄道切符コレクション保存容器]

 

寄贈資料の場合、個々の切符だけでなく、寄贈時のまとまりや並び、分類の単位も資料の一部と考える必要があります。そのため、この事例では一覧性よりも、高密度収納、長期保管、管理性に加え、もとのまとまりや形態をできるだけ崩さないことを重視しています。古い切符には酸性紙や感熱紙も含まれるため、箱内部には汚染ガス吸着シート GasQも組み込んでいます。

 

また、切符を1点ずつ保護しながら閲覧したい場合には、プリザーバーやアーカイバル・バインダーを用いた構成もあります。この方法では、接触を減らし、出し入れ時の負担を抑えながら、一点ごとの状態を確認しやすくなります。ただし、収納効率は下がるため、どの方法が適切かは、利用頻度、点数、整理方法、閲覧目的によって変わってきます。

 

鉄道切符には、感熱紙や酸性紙、印字の退色、可塑剤の影響など、保存上の課題が多くあります。そのため、保存用品は「何を優先して残すのか」によって選び方が変わります。一覧して比較するならバインダー形式、まとまりを保って収蔵するなら仕切り付き保存箱、一点ずつ保護して閲覧するならリフィルやプリザーバーも選択肢になります。

 

同じ鉄道切符でも、目的によって適した保存用品や構成は少しずつ異なります。感熱紙のように変化しやすい資料では、接触する素材、並べ方、閲覧頻度も、保存用品や保存形態を考える手がかりになります。

 

 

【関連情報】

 

写真資料収納リフィル:プリントプリザーバーとは

 

▼ 感熱紙について
近現代資料では、紙そのものの劣化だけでなく、そこに記録された文字や画像が先に失われてしまうことがあります。特に感熱紙は、熱によって発色する性質を利用した記録材料であり、ワープロ印字紙やファックス紙、レシート、切符などに広く使われてきました。
公文書の分野でも、平成期に入ると、感熱紙にワープロで印字された文書や感熱ファックス紙が頻繁に見られるようになったことが報告されています。感熱紙に記録された情報は、熱や光、圧力などの影響を受けやすく、比較的早く退色・消失するおそれがあります。
そのため、紙資料の予防的保存処置では、作業中に感熱紙の公文書が見つかった場合、その場で中性紙に複写し、複製物を原資料の近くに添えて、中性こよりで綴じ直す対応が行われます。これは、原資料を残しながら、消えやすい記録情報を別のかたちで確保するための処置といえます。
感熱紙のほかにも、蒟蒻版、青焼、湿式コピー、写真紙焼、初期の電子複写など、近現代資料には記録内容そのものが不安定なものが多く含まれます。こうした資料では、媒体を保護するだけでなく、記録された情報をどのように残すかという視点も重要になります。

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2026年5月14日(木)磁器製釣花瓶の保存箱を製作しました-ドーナツ型綿布団による支持構造の工夫-

今回ご相談いただいたのは、磁器製の釣花瓶をどのように安全に保管するか、という内容でした。
釣花瓶は、上部と底部のリングに紐を通して吊り下げて使用する構造で、底部には紐と房が集まります。このため底面が安定せず、そのままではまっすぐ置くことができません。従来は横に寝かせて保管されてきましたが、接触面への負担や長期的な安定性を考えると、正位置での保管が望ましい資料です。

 

ただし、この形状にはいくつかの難しさがあります。
まず素材は磁器で、硬さはあるものの衝撃には弱く、接触や荷重のかけ方には注意が必要です。さらに形状は球体に近く、支持が一点に偏ると転がりやすくなります。加えて、底部のリングと紐が干渉するため、単純な受け構造では安定して支持することができません。

 

そこで今回は、箱内部を上下二層に分ける構造とし、花瓶を支える部分と紐を収める部分とを分けて考え、それぞれの役割を分離する設計としました。
上部は花瓶本体を支える空間です。ここでは、花瓶を面で受けながら安定させるための支持材として、ドーナツ型の綿布団を製作しました。中央に開口を設けた環状綿布団は、底部のリングと紐を下部へ逃がしつつ、花瓶本体は無理なく正位置で据えることができます。点ではなく面で支えることで、接触圧を分散し、局所的な負荷を抑えています。
さらに、側面と底面にはフォーム材(プラスタゾート)を貼り、外部からの衝撃を緩和する構造としました。あわせて、箱内の四隅には取り外し可能な柱状の綿布団を配置し、収納後の微細な動きも抑えています。
下部は、紐を収めるための空間です。この空間は全体の約4割を占めるため、花瓶を載せると重心が上部に偏り、箱として不安定になるおそれがありました。そのため、底部に重量調整用のボードを組み込み、重心を下げることで全体の安定性を確保しています。

 

見た目はシンプルですが、形状・素材・重心の条件を整理しながら、面で支えて安定させる支持方法を組み合わせた保存箱です。

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2026年4月28日(火)マンガ原画を保存する保存容器

マンガは日本発のコンテンツとして広く読まれていますが、近年は原画そのものも、メディア芸術の資料として位置づけられるようになってきました。保存対象としての関心も高まり、2023年には一般社団法人マンガアーカイブ機構が設立され、昨年にはマンガ原画保存の手引きも公開されています。

弊社でも、作家やスタジオ、管理団体、出版社などから保存に関するご相談をいただき、用途に応じた保存用品や保存箱の製作を行ってきました。今回ご紹介するのは、出版社のご要望に基づいて製作した保存容器の事例です。

 

マンガ原画は一般に、紙(原稿用紙)を支持体として、インクやトーンなどで構成された複合的な資料です。インク(主に耐水性のある描画材)やスクリーントーン、修正材、糊など、複数の素材が重なっており、部分ごとに性質が異なります。このため、擦れや圧による表面の損傷、支持体(紙)の反りや変形、素材間の接触による影響といったリスクを前提に、保管方法を考える必要があります。

 

今回のケースでは、出版社からの要望として、透明なOPP袋での保管が前提にありました。原画は印刷やグッズ制作などで使用されることが多く、1枚単位での出し入れや確認が必要になります。そのため、中身が見えることと作業性の良さは重要な条件です。OPP袋はこの点で扱いやすく、コスト面も含めて現実的な選択です。保管方法を検討する際には、OPP袋の特性にも配慮が必要になります。OPP袋は軽量で透明性が高く、扱いやすい一方で、柔らかいため面支持には制約があります。また、フィルム素材のため、取り扱いには配慮が必要です。これらの特性を踏まえ、可視性と作業性を優先してOPP袋での保管を基本としています。

 

保管は、単行本単位でまとめる構成としています。原画は巻ごとに管理されることが多いため、組立式のシェルボックスに収納しています。巻ごとに厚みが異なるため、スペーサーを用いて内部寸法を調整し、箱内で動かないようにしています。また、長期保管を考慮し、汚染ガス吸着シート(GasQ)を併用しています。

 

なお、長期保管や取り扱い時の安定性をより重視する場合には、アーカイバルクリアホルダーと保存用台紙を組み合わせる方法もあります。この構成では、
– 台紙によって原画を面で支えることができる
– 反りや歪みを抑えられる
– 1点ごとの取り扱いが安定する
といった利点があります。透明ホルダーを用いることで、保護しながら内容を確認できる点も特徴です。

 

本事例では、作業性(中身の確認・出し入れ)、コストバランス、長期保管時の安定性、この3点のバランスを踏まえて構成を組み立てています。マンガ原画は、保管だけでなく使用されることも前提とされる資料であるため、保存性と運用の両方に無理のない構成としています。

今回ご紹介したように、保管方法は用途や運用条件によって適切な構成が異なります。OPP袋、クリアホルダー、シェルボックスはいずれも個別仕様での対応となりますので、詳細はお問い合わせください。

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2026年4月13日(月)棚はめ込み保存箱に、スライド式格納扉タイプを追加しました

弊社のアーカイバル容器の定番品 組み立て式棚はめ込み箱は、棚に設置したまま資料の出し入れができる保存箱です。これまでの通常仕様では扉が前方に倒れて開く構造でしたが、このたび、扉を箱内部に格納できる「スライド式格納扉タイプ」を別注オプションとして追加しました。

 

■格納扉の開け方
通常タイプでは扉を固定するストッパーが上部にありますが、格納扉タイプでは下部に配置されています。ひねり留め具を開けてストッパーを倒すと、扉を引き出すための紐が現れます。紐をつまんで扉を天井部まで持ち上げ、そのまま内側へスライドして格納します。
箱内部の左右には樹脂製のレールを設けており、扉の出し入れがスムーズで、繰り返しの開閉による摩耗も抑えます。

 

■このタイプを開発した背景
設置場所によっては、前方に倒れる扉が資料の出し入れの妨げになる場合がありました。格納扉タイプは、こうした課題を解消するために開発しています。
<使用例①:棚の上段など、目線より高い位置に設置する場合>
脚立を使用した作業では、前方に倒れる扉が作業者に干渉することがあります。格納扉タイプでは扉が天井部に収まるため、干渉なく安全に作業できます。
<使用例②:棚の最下段など、床に近い位置に設置する場合>
通常タイプでは扉が床面に当たり十分に開かないことがあり、扉を避けて腕を伸ばす必要があります。格納扉タイプでは資料の正面から無理なくアクセスでき、作業負担の軽減につながります。

 

■そのほかの利点
格納扉タイプは、設置高さ以外の場面でも有効です。
扉を箱内部に収めて使用できるため、前方への張り出しがなく、通路が狭い収蔵庫でも作業スペースを確保しやすくなります。また、隣接する箱同士の干渉も避けることができます。
棚の中段など、扉の開閉が作業に影響しない場所に箱を設置する場合は、通常タイプでも問題ありませんが、設置条件に応じて格納扉タイプを選択いただくことで、より高い利便性を発揮します。
なお、格納扉タイプはオプション仕様(別途お見積り)となりますので、詳細はお気軽にお問い合わせください。

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2026年3月19日(木)写真資料収納リフィル 57-4P Ⓜ 販売開始のお知らせ

平素より弊社製品をご利用いただき、誠にありがとうございます。

 

このたび、写真資料収納リフィル 57-4PⓂ(米国 Print File 社製/弊社ODM品)が入荷し、販売を開始いたしましたのでご案内いたします。

 

|▶ プリントプリザーバーとは

ARCHIVAL PHOTO PRESERVER(プリントプリザーバー/フォトページ)は、プリント写真を保護しながら整理・閲覧するための収納リフィルです。バインダーや吊り下げファイルに綴じて使用し、写真を取り出さずにそのまま確認できる点が、封筒型やスリーブ型の保存方法との大きな違いです。

 

研究室や大学・図書館の写真資料整理、博物館・資料館の収蔵写真の管理、社史や広報写真のアーカイブなど、閲覧と保存を両立した管理方法として広く使用されています。写真保存用リフィルは、収納する写真サイズに合わせて選ぶことが最も重要です。本製品では用途に応じてサイズを選択できるラインナップを用意しています。

 

|▶ なぜアーカイバル品質が必要か

一般的なビニール製ポケットには可塑剤・触媒・溶剤などが含まれていることがあり、長期保管において写真乳剤に化学的影響を与える場合があります。57-4PⓂはPVCを一切使用せず、ポリプロピレンのみを素材に採用することで、そうした影響を避けながら写真資料を長期にわたり保護します。また、写真保存材料の安全性評価基準であるPAT試験(Photographic Activity Test)にも合格しており、写真保存用途の材料として国際的に認められたアーカイバル品質の製品です。日常的な資料整理から長期保存が必要なアーカイブまで、安心してお使いいただけます。

 

|▶ プリントプリザーバーの利点

写真は触れる回数が多いほど、指紋・摩耗・折れ・角欠けのリスクが高まります。プリザーバーに収納しておけば写真を取り出さずに閲覧できるため、取り扱いによる損傷を減らすことができます。また、箱や封筒での保管では取り出した際に順序が崩れやすくなりますが、プリザーバー方式では時系列・撮影場所・イベント単位などの整理状態を維持したまま管理できます。

 

バインダーに収納することで、何枚あるか・どこに何があるかを一覧で確認でき、「探す・取り出す・戻す」という手間が少なくなります。さらに、新しい写真を途中に追加したり、テーマ別に並び替えたりと、原秩序を維持したまま資料の追加整理を行うことができます。

 

写真保存に適した高透明ポリプロピレン素材を使用しているため、ポケット形状が安定しており、収納・閲覧ともにしやすい構造です。また、写真サイズに合わせたポケット設計により、大きすぎ・小さすぎによる折れ・波打ち・角潰れを防ぎ、安定した状態で収納することができます。

 

|▶ 57-4PⓂ の使い方と特長

57-4PⓂは上下2段・2ポケット仕様のリフィルです。1ポケットに写真を2枚背中合わせに収納でき、ページをめくるだけで両面の写真を確認できます。素材には高透明ポリプロピレンを使用しており、収納したままでも写真の細部まで鮮明に見ることができます。

 

総厚8mil(上下各4mil)の適度な厚みと剛性があり、写真がずれにくく・角が折れにくく・ページが扱いやすい設計です。薄手フィルムにはない安心感があり、日常的な閲覧や参照を伴う資料管理にも適しています。

 

|▶ サイズについて

57-4PⓂのポケットサイズは 130mm × 205mm です。現在欠品中のA5-4P(147×210mm)と、代替品としてご案内してきた57-4PⓈ(130×179mm)の中間サイズにあたります。57-4Psでは横幅がやや足りない場合や、130×180mm程度の大キャビネ判写真をゆとりをもって収納したい場合に特に適しています。

 

サイズ 品番 ポケットサイズ 状況
S 57-4PⓈ 130 × 179 mm 取り扱い中
M 57-4PⓂ 130 × 205 mm ★今回入荷
L A5-4P 147 × 210 mm 現在欠品中

 

|▶ 収納目安

Lサイズ:A5判・大判資料

Mサイズ:大キャビネ判・長め資料

Sサイズ:キャビネ判・2L判

 

⚠ サイズをお間違えのないようご注意ください

・A5サイズ(148×210mm)の資料は、S・Mサイズには収納できません。

・各サイズのポケット内寸をご確認のうえご注文ください。ご不明な場合はお問い合わせください。

なお、S・M・Lの各サイズは外寸を統一した設計となっており、バインダーやボックスバインダー、吊り下げファイルに複数サイズを混在させて綴じても、整理状態を保つことができます。

 

|▶ 価格・納期

3,190円(25枚入・税込・輸送費別)
在庫品のため、納期はご発注より約1週間となっております。

 

|▶ 57-4PⓂ の仕様

品番  57-4PⓂ(弊社ODM品) 
ポケットサイズ  130mm × 205mm 
構造  上下2段・2ポケット(1ポケット2枚収納可) 
素材  高透明ポリプロピレン 
材質特性  PVC不使用・総厚8mil 
保存品質  アーカイバル品質・PAT試験合格 
入り数  25 
価格  3,190円(税込・輸送費別) 
納期  在庫品:約1週間 

 

|▶ 上下2段・2ポケット仕様 ラインナップ(更新)

  Sサイズ  Mサイズ  Lサイズ 
品番  57-4P Ⓢ  57-4P NEW  A5-4P 
ポケットサイズ  130×179mm  130×205mm  147×210mm 
収納目安  キャビネ判・2L  大キャビネ判・長め資料  A5判・大判資料 
区分  メーカー標準品  弊社ODM  メーカー品 
取り扱い  取り扱い中  販売開始  欠品中 
納期  取り寄せ(約1か月~)  在庫品(約1週間)  未定 
価格(25枚入)  3,190円(税込・輸送費別) ※全サイズ共通 

 

|▶ Lサイズ(A5-4P:147×210mm)をお使いのお客様へ

A5-4Pは現在、製造ロットに起因する不具合が確認されたため、販売を一時見合わせております。製造元にて次回ロットからの品質改善が予定されておりますが、現時点では入荷時期は未定です。

 

57-4PⓂのポケットサイズは 130×205mm です。A5判(148×210mm)ジャストには対応しておりませんが、大キャビネ判写真や短辺が130mm以内の資料であれば実用的にご使用いただけます。収納予定の資料サイズをご確認のうえご検討ください。ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。

Lサイズ(A5-4P)の入荷につきましては、進展があり次第あらためてご案内いたします。

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2026年3月12日(木)2025年度 東京造形大学附属美術館様 博物館実習と髙橋淑人大型作品の保存容器製作・収納事例

東京造形大学附属美術館では、桑澤洋子関連資料や小野かおる関連資料をはじめとする多数の資料を所蔵し、授業や展示に活用されています。弊社は株式会社紀伊國屋書店株式会社インフォマージュと協業し、所蔵資料の保存整理や修復、保存容器の製作に携わってまいりました。

 

昨年に引き続き、東京造形大学で学芸員課程を学ぶ学生の皆様を対象に、博物館実習の一環として各提携先の専門業務を見学する会が行われました。
弊社では修復部門と保存容器製作部門の業務を見学・体験していただきました。

 

修理部門では、実際の作業を見学しながら、修復が必要になる背景や目的、処置工程について解説を行いました。体験実習として、保存製本の基礎技法である「リンプ・ベラム・バインディング(Limp vellum binding/リンプ製本)」を取り上げ、それぞれ1冊ずつのサンプル製本を完成させました。

 

保存容器製作部門では、完成させたリンプ製本を採寸し、その寸法に合わせて専用の保存容器を製作し、組み立てから収納までの一連の工程を体験していただきました。あわせて、東京造形大学様が所蔵する髙橋淑人氏の大型作品を収納するための保存容器「台差し箱」の製作工程を見学していただきました。作品の特徴や収蔵場所に合わせオーダーメイドで設計された保存容器です。箱の構造や工夫についての解説を受けながら、スタッフが組み立てていく様子をご覧いただきました。

 

後日、完成した保存容器へ作品の収納を行いました。作品は6枚1組の大型絵画で、1点のサイズは約1,300×1,630×60㎜。重厚な木枠にキャンバスを貼った構造で、重量は20㎏程と推測されます。絵画面は絵具の塗り重ねによる凹凸感があり、とても繊細です。収納にあたっては、表面をキズや擦れから保護するため、滑らかなポリエステル製不織布で包んだうえで保存容器に収納しました。箱の天側には、取り出しやすいよう手が入る余白を設けています。保管時はその余白に着脱可能なスペーサーを挿入し、箱内部で作品が動かない構造としています。蓋は側面に取り付けた面ファスナーで固定され、縦置きの状態でも蓋が開くことなく、安定した移動・保管が可能です。

 

東京造形大学附属美術館では、専用の収蔵庫の替わりに校内各所の部屋を収蔵庫環境として整え、作品を分散保管しています。そのため、作品の保管・移動・環境からの保護を目的として、これらの保存容器が重要な役割を果たしています。

 

今回は収蔵作品のための保存容器を製作する工程をご覧いただくことができ、保存容器の役割をより身近に感じていただけたのではないかと思います。

 

 

【関連情報】
・2024年11月14日(木) 2024年度 東京造形大学附属美術館様 博物館実習の一環として見学会を行いました。
・2024年1月29日(月)2023年度 東京造形大学附属美術館様 博物館実習の一環で見学会を行いました。

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2026年2月9日(月)明治学院歴史資料館様所蔵 沖野岩三郎手稿コレクション ― 修復とデジタル公開の取り組み

弊社では2023年より、株式会社紀伊國屋書店、株式会社インフォマージュと協業し、明治学院歴史資料館様が所蔵する「沖野岩三郎手稿コレクション」の修復および電子化作業に取り組んできました。その成果として、2025年10月より、これらの貴重な資料が明治学院歴史資料館デジタルアーカイブズにて公開されています。

 

作家、牧師として知られる沖野岩三郎(1876-1956)は、1904年(明治37年)28歳で明治学院に入学しました。卒業後も学院との関係を大切にし、晩年には、持病である糖尿病の悪化により視力を失いつつあるなかで、自身の蔵書や書簡、原稿類を明治学院へ寄贈しています。 本プロジェクトで修復・電子化を行った資料は、これら寄贈資料の一部にあたります。

 

今回修復の対象となったのは、主に草稿や原稿資料です。2023年から2025年までの3ヵ年にわたり、計22点の資料に処置を施しました。資料の多くは200字詰または400字詰の原稿用紙に記されており、なかには1作品で1,000枚を超える分量のものも含まれていました。

 

200字詰原稿用紙は、ボール紙の簡易表紙を付け、紙縒りで平綴じされた状態で保管されていましたが、原稿を捲る動作によって綴じ部分に負荷が集中し、表紙や綴じ部が破損している資料がほとんどでした。一方、400字詰原稿用紙は、原稿束を二つ折りにした状態で保管されていたため、強い折れ癖が生じていました。さらに、原稿の冒頭および末尾の頁では破れや欠損が顕著で、取り扱い自体が困難な状態でした。これらに加え、すべての資料に共通して、酸化や酸性劣化による紙力の低下、紙の茶褐色化が見受けられました。

 

こうした状態を踏まえ、電子化にあたっては、資料を安全に取り扱えるようにするための補修処置として、綴じられていた資料をすべて解体し、損傷部には和紙(楮)で修補を行い、劣化や破損が著しい原稿用紙は、裏打ちによって全体を補強しました。電子化完了後には、酸性劣化の進行を抑制するため、Bookkeeper法を用いた脱酸性化処理を施しています。その後、資料のサイズや形態に合わせて製作した専用の保存容器に収納しました。今後の展示や利用を考慮し、あえて綴じ直しは行わず、原稿束を3Fフォルダー(無酸・無アルカリ・無サイズの厚紙製)で包み、固定した状態で保存容器に収納しています。

 

修補 裏打ち 原稿束を3Fフォルダーで包み安定した状態で保護 資料サイズに合わせた専用保存容器に収納

処置後 200字詰原稿用紙

処置後 400字詰原稿用紙

 

 

なお、デジタルアーカイブ公開に先立ち、2025年9月1日より、企画展『書いて、書いて、また書いて 沖野岩三郎が伝えた資料たち』が開催されています。 原稿には、推敲の跡や赤字による修正が数多く残されており、沖野岩三郎の思考の過程をたどることのできる、非常に貴重な資料群です。ぜひ会場にてご覧ください。

 

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2026年1月5日(月)新年のご挨拶

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 

旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。 本年もスタッフ一同、技術およびサービスの維持・向上に努めてまいります。

 

引き続きご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

🐎 本年のご挨拶状と手ぬぐいは、「干支午」を題材に、イラストレーターのYuzukoさんにデザインしていただきました。

 

九頭の馬が駆ける姿に、「万事うまくいく」という意味を重ねた縁起語「馬九行駆(うまくいく)」をテーマとしています。メリーゴーランドの馬をモチーフに、馬が跳ねたり、猫が背に乗ったりと、躍動感のある楽しい表情を持たせています。また、すべての馬を、商いや勝負事に良いとされる「左馬」の向きで描き、新年のスタートにふさわしい吉祥の意図を込めています。

 

皆様の一年が「うまくいく」年となりますよう、お祈り申し上げます。

 

■ デザイン:株式会社アトリエ柚子

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