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週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。
2015年03月04日(水) 個人様の漢和字典の修理。尋常小学校時代から今までずっと大切に使ってこられた。
個人のお客様からお預かりした漢和字典。所蔵者様が尋常小学校に通っていた時から戦後を経て今に至るまで、大切に使ってこられたとのこと。本紙の破れは和紙で補修し、綴じ糸が切れている箇所は糸で綴じ直した。綴じの支持体には薄いが丈夫な不活性不織布を採用した。外れた表紙も染色した和紙で補修して本体と再接合し、再び字典としてお使い頂けるようになった。弊社は個人のお客様からのご要望も承っております。どうぞお気軽にご相談ください。サービス提供の流れはこちらから。
2015年02月25日(水) 新仕様のガラス乾板保存箱を開発、保護性はそのままに価格を大幅ダウン
ガラス乾板用保存箱を全面的に見直し、保護性はそのままに価格を40〜50%ダウンした新製品を開発しました。従来品は完成箱として提供してまいりましたが、新製品はお客様に組み立てていただく仕様です。従来品同様、国際規格ISO 18918:2000に規定されている「乾板の長辺を底にして、垂直に立てて収納する」保管方法に準拠しています。乾板は画像層を保護するため、1枚ごとに専用のフォルダーに包みます。乾板定型サイズの4×5インチ、5×7インチ向けの箱が定番ですが、これ以外のサイズに合わせても設計いたします。ご覧のように異なるサイズの乾板を1つの箱に部屋分けをして収納する設計もできますので、ご相談下さい。
2015年02月19日(木)大船渡で被災したアルバムの復旧に尽力してきた金野さんが工房に。元の持ち主への返却率は90%
紙本・書籍修復家の金野聡子さんが来社された。金野さんはコンサーバター養成機関である英国Camberwell College of Artsでアート・オン・ペーパーのコンサベーションを学び、地元の大船渡市で紙本・書籍保存修復の仕事をしておられる。2011年の東日本大震災では、民間の被災写真やアルバムの復旧に尽力され、弊社と東京地区の図書館員やアーキビストが協力して立ち上げたボランティアグループ東京文書救援隊の被災資料復旧システムをいち早く導入し、活用して下さった。今回は、大船渡市でお会いして以来の再会となった。現在も被災資料の復旧作業は継続中で、処置後、所在不明の資料の90%が、大船渡市の社会福祉協議会を通して持ち主のもとに返却されているとのことで、返却率の高さに金野さんらの活動に対する市民の方々の関心の高さを感じる。金野さんの活動を記録した『思い出をレスキューせよ:“記憶をつなぐ”被災地の紙本・書籍保存修復士 』(堀部薫著、くもん出版 2014)も。金野さんのブログはこちら。
2015年02月13日(金) 読売新聞社様が所蔵する新聞合冊製本の保存容器を観音開きに
読売新聞社様が所蔵する新聞の合冊製本を対象に、株式会社ニチマイ様、日本ファイリング株式会社様、弊社の3社で悉皆調査、脱酸性化処置、保存容器の作製、収納を2008年から行ってきた(「新聞合冊製本の保存事例―読売新聞社様の導入事例―」)。今回、担当者様から、調査業務など資料を出し入れする機会が多く、容器の扉をより開けやすくするよう要望があった。検討の結果、上下開きから観音開きに改良することで、資料の出し入れがいっそう楽にできるようになったと好評価をいただいた。
2015年01月30日(金) The University of the Philippines Diliman college of musicのJosephine Baradasさんが国立音楽大学附属図書館の方々と共に弊社を見学
The University of the Philippines Diliman college of musicのJosephine Baradasさんが国立音楽大学附属図書館の方々と共に弊社を訪れ、修理部門とアーカイバル容器作成の現場を見学された。20世紀初頭のフィリピンの作曲家の自筆楽譜の修理と保存の具体的なことを知りたいということで、特に基本的な補修技術、使用する材料、そして容器のバリエーション等に興味を持たれ、熱心な質問が相次いだ。
2015年01月26日(月) 没食子インクによるインク焼け破損箇所修補のため、極薄の補修紙を作成する
没食子インクによるインク焼けの破損箇所を修補するため、極薄の補修紙を作成する。インク焼けを部分的に処置する場合、水分を多く含む接着剤を用いると、没食子インクの劣化要因である鉄イオンや有害な酸化合物を拡散させる危険性があるため、なるべく水分を用いない方法で行う。まずポリエステルフィルムの上にテープで型を作り、ヒドロキシプロピルセルロース溶液を塗布し、均一になるようガラス板でならす。和紙を被せて乾燥させた後、テープごと持ち上げることで薄い和紙でも破れずにはがすことができる。処置の際は、破損箇所に補修紙を当て、溶剤(イソプロピルアルコールなど)で再反応を促しながらスパチュラで押さえて接着する。
2015年01月15日(木) 東京信用保証協会発行の情報誌「T.G.Press」に弊社の記事が掲載
昨年、東京信用保証協会主催の「江戸・TOKYO技とテクノの融合展」に出展したことがきっかけとなり、この度、同協会発行の情報誌「T.G.Press」に弊社が取り上げられることになりました。アーカイバル容器製作や修理作業といった資料保存への取り組みを紹介していただく予定です。掲載は春ごろの予定です。
2015年01月05日(月) 新年のご挨拶
謹んで新年のご挨拶を申しあげます。旧年中は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申しあげます。当社も心新たに新年をスタートさせることができました。本年も相変わりませず、ご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。
2014年12月18日(木) 襖絵を収納する保存箱
襖絵を収納する被せ箱。襖の縁の幅に合わせたスペーサーの板を、箱の底と天井に取り付けた。襖の縁部分のみがスペーサーに触れる構造のため、描画面は箱の内面に接触しない。収納後は箱を紐で縛り、立てて保管する。
2014年12月2日(火) カナダ、メキシコ国立公文書館の修復担当者が東京文化財研究所 近代文化遺産研究室の中山様、小林様と共に来訪
東京文化財研究所主催「第28回近代の文化遺産の保存修復に関する研究会-洋紙の保存と修復-」でご講演されたアン・フランセス・マヒューさん(カナダ国立図書館・公文書館 紙修復部門責任者)とアレハンドラ・オドア・チャヴェスさん(メキシコ国立公文書館 修復部門長)が東京文化財研究所 近代文化遺産研究室の中山様、小林様と共に弊社を訪れた。2時間たっぷり、カナダ、メキシコの近現代紙資料に対する保存の方策や考え方についてお話を伺うことができ充実した交流の機会となった。また弊社が海外の知見を学ぶと同時に、技術・製品の開発に積極的に活かしている点や細かな配慮がされた様々な保存容器にも大きな関心を持って頂けた。アレハンドラさんが専門とされている没食子インクに関する劣化と保存修復に関する研究は、オランダやスロベニアを中心に海外では1980年代半ばから盛んに行われてきており、その成果はすでにコンサベーションの現場で確立された技術として実用化されている。弊社の実例もお目にかけ評価して頂けた。美術作品以上にさまざまなコンディションが予想されるアーカイブ資料を扱うために、今後もしっかりと内外の動向を捉えていく必要があると感じた。
2014年11月20日(木) 学習院大学大学院アーカイブズ学専攻の皆さんによる工房見学
工房見学にいらした学習院大学大学院アーカイブズ学専攻の皆さん。修理や保存容器の技術・工程・材料の話だけでなく、保存計画の中における弊社の役割から、方針が決まるまでにお客様と打合せる内容など、実際的な流れに沿った話や質問も多く大変充実した内容となった。毎年、熱意を持って資料保存に取り組んでいる方々が集まるこの見学会は、私たちにとっても貴重な意見が伺えるコミュニケーションの場として恒例行事となっている。
2014年10月23日(木) 新聞資料に対する洗浄・脱酸性化処置
新聞資料に対する洗浄・脱酸性化処置。基材の紙とイメージ材料へのスポットテストを行い、使用するアルカリ性溶剤に対する耐性が確認できたため水性の処置を行った。資料をクリーニング・ポケットに挟んで養生し、弱アルカリに調整した洗浄液、その後脱酸液に浸漬する。画像4枚目は処置後の洗浄・脱酸液。紙の中の可溶性の酸性物質が洗い出されて白色度としなやかさが回復し、処置後の平均pHは3.6から8.5に上がった。
2014年10月16日(木) 新製品「スリムフォルダー」「スリムボックス」
新製品の「スリムフォルダー」と「スリムボックス」の販売を開始しました。薄くて丈夫な板紙を採用し、機能的で丈夫なデザイン(意匠登録出願済み)にしたことで、配架スペースを大幅に節約できます。サンプル発送もいたしますのでお問い合わせ下さい。配布用チラシ(PDF)はこちらです。
2014年10月6日(月) 「江戸・TOKYO技とテクノの融合展 2014」に出展
10月2日に東京国際フォーラムで開催された「江戸・TOKYO技とテクノの融合展 2014」の展示ブースに弊社も出展しました。東京企業力!をテーマに幅広い分野から特色ある企業が集まり、異業種間の活発な交流の場となりました。弊社も多くの来場者の皆様から貴重なご意見を伺うことができました。お立ち寄りいただいた皆様に厚く御礼申し上げます。
2014年09月26日(金) カビが発生した資料のクリーニング
カビが発生した資料のクリーニング。資料をモルデナイベでパッキングしてカビ残滓の飛散を防止した状態でお預かりし、工房内に設置した簡易ドライクリーニング・ボックスの中でクリーニングを行う。カビ資料を扱う際は特に、作業設備、使用する道具を専用に備えて、作業者自身も手袋やマスク、エプロン等を着用して防御する。
2014年09月18日(木) ブックマット形式の染織布用保存箱
染織布用の保存箱。9種類の布は色の比較見本として使うため、ブックマット形式に。布に直接触れることなく扱えるので、汚れや物理的な傷みも少ない。箱から取り出し易いようにスペーサーを兼ねた下敷き付き。保存性と閲覧のしやすさ両方を兼ね備えている。
2014年09月11日(木) 市販の桐箱から出る有機酸ガスを観る実験2
7/17の「今日の工房」では市販の桐箱から出る有機酸ガスを観る実験をした。今回は、同じ桐箱を直接アーカイバル容器に入れたものと、GasQ(汚染ガス吸着シート)に包んでからアーカイバル容器に入れたものをそれぞれガスバリア袋に入れ、検知剤の色の変化を観察した。2週間後、アーカイバル容器に直接入れた方は検知剤がやや緑色に変化したにとどまり、さらにGasQで包んだ方はほとんど元の青色のままであった。アーカイバル容器とGasQを併用することで汚染ガスに対する抑制効果が格段に上がることがわかる。
2014年09月05日(金) デジタル撮影の事前処置
脆弱化した資料をデジタル撮影するための事前処置。本紙のしわを伸ばして極薄の和紙を重ね、上から薄めたデンプン糊を均一に噴霧する方法で補強とフラットニングを兼ねた裏打ちを行った。文字も判読しやすく、撮影時安全に取り扱える。画像3枚目が処置前、4枚目が処置後。
2014年08月29日(金) アーカイバル容器新製品の撮影風景
秋に発行予定の製品カタログ改訂版に掲載する、アーカイバル容器新製品の撮影風景。薄い冊子用のタトウ箱や、大きめの薄い資料を平置きできる台差し箱を開発しました。その他にもより利便性を上げるためモデルチェンジした製品を掲載予定です。ご期待下さい。