今日の工房 

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2005年10月27日

貴重書庫内での革装幀本の劣化対策。赤茶けた革にセルロース・エーテルを含浸させ、ラノリンとシリコン油を主した保革油を塗って磨く。表面(吟)が赤茶けたものの栗色が回復する。

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2005年10月20日

洋式製本のためのさまざまな綴じ方。麻紐を埋め込み支持体にしたオール・アロング(左)、オーバーソウイング(中)、革テープの支持体による抜き綴じ(右)。 右端は、綴じ支持体のテープを、表紙の芯材ボードの間に挿入するスプリット・ボード製本の雛形。

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2005年10月11日

和書を中綴じするための紙縒(こより)を、ボーディングという方法で作る。少し湿らせた板の上で、板に押しつけるように縒ってゆくと、誰でも楽に、大量に作ることができる。

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2005年10月03日

インク焼けが生じ始めた手書きの楽譜2,000枚への抗酸化処置。水処理で滲むインク部を不溶化したのちに、フィチン酸+炭酸水素カルシウム液に浸す。

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2005年09月26日

ネパールのアサ古文書館で「パーム・リーフ写本」へのボランティアでのコンサベーションを行っている中堂さんと前田さんを迎えて報告会。巻かれた文書を開き、デジタル化した後に巻き戻し、当社の提供した専用の保存箱に収納された。

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2005年09月20日

小冊子を綴じた針金を除き、こよりで綴じなおす。昭和初期~中期に出版された1,500冊の針金は、ほとんどが酸化して崩れ、丁が外れているものもある。本文紙を傷めないように注意しながら針金をニッパで切断してゆく。こよりで結び、表紙を戻す。

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2005年09月13日

機械油が全頁に染みこんだ、ミシンの使用説明書。病理標本の脱脂に使う脱パラフィン剤で油を抜いてゆく。その後にエタノール・水での洗浄を繰り返し、元の「紙」の状態に復元する。写真の左の容器のが抜けたミシン油、右が洗浄で紙から出た汚れ。

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2005年09月08日

印刷・書写部の耐溶剤性と耐水性をスポット・テストで確認後、サクション・プレート上で溶剤によりセロファン・テープを除く。耐水性が無く、処置中に滲んでしまうインクは、昇華性のシクロドデカンをホット・ブラシで塗布し養生してから、洗浄や脱酸性化等の水性処置する。

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2005年08月30日

全長が3メートルを超える長尺の箱を作る。定寸のアーカイバル・ボードを継いで、歪みが生じないように3人がかりで組み立ててゆく。蓋も同じように作成して、桐箱なみの安定した小環境(minimum environment)を形成する大型巻子箱が完成。

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2005年08月23日

革装幀本修復の最後の工程のレザー・ドレッシング。レッド・ロットと呼ばれる、皮の表面が赤茶けて粉状になる状態を抑えた後に、ラノリンとシリコーン・オイルで作った保革油を含浸させ、乾かした後に、柔らかいクロスで磨くと、革に艶が出て、金箔の輝きも戻る。

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2005年08月16日

多段トレー付きアーカイバル容器。既存の棚のサイズに合わせて作成された。前のフラップが上下に開き、中のトレイを別々に引き出すことができる。仕切もお客様の希望に添って作る。

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2005年08月08日

明治から昭和前期の新聞の洗浄と還元漂白。茶褐色に変色した新聞を洗浄し、脱酸性化の後に還元漂白を施し、白色度を戻す。当社独自のクリーニング・ポケット養生(特許出願中)により、傷んだ新聞も難なく扱える。

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2005年07月30日

ポリエステル・ブックをつくる。酸性劣化した合冊製本を解体し、クリーニングから脱酸性化までの一連の処置後、丁の背に和紙を付けて綴じ代にし、フィルムとともに溶着して綴じる。両面印刷のページで構成される冊子体に適したコンサベーションの一例。

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2005年07月23日

虫損の激しい漢籍を修補する。塵埃や虫の糞を除き、洗浄の後、本文紙や表紙の色に染め分けた楮紙、雁皮紙で欠損部を補填してゆく。根気のいる作業である。

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2005年07月16日

ドライクリーニング用の粉状の消しゴムを作る。粉砕したものをメッシュの大きさの異なる4段重ねの篩で選り分けた。対象の紙の表面の粗密にあわせて使い分ける。昭和60年代のポスターはコート紙やアート紙が使われており、表面が蜜なので粒径の小さなものを使う。

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2005年06月27日

コート紙に印刷された明治期の書籍のコンサベーション・バインディング。「元の製本方法」が弱く、元通りに直すと元通りに傷む。ベラム支持体を表紙ボードに挿入し、背にトウイング革を二重に貼って固め、適度な開きと閉じができるようなスプリング・バック構造にした。

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2005年06月20日

絹織物を入れる大型の被せ蓋式保存箱を作る。絹はタンパク質であり、使用されている染料は酸にもアルカリにも敏感で、変質・変色しやすい。一般に、テキスタイルを長期に保存する容器は、接触する容器の内壁を3F(無酸・無アルカリ・無サイズ)にすることをお奨めしている。

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2005年06月13日

「材木から紙を作る」のCSS。割り箸を削ったチップを、還流冷却をしながら加熱して繊維を取り出し、木枠で漉く。紙になる際の水素結合が実感できる。ご指導してくださった杉原和男先生にお礼を申し上げます。

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2005年06月06日

「アルカリ残留量の測定」のCSS。ISO 10716 :Paper and board -Determination of alkali reserve に基づく。脱酸性化処置の効果をシュミレーションするためだが、「アルカリ残留量が明確な標準紙」が存在しないのが辛い。

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2005年06月01日

5~6月は基礎体力強化月間。各人がそれぞれテーマを持ち、約1ヶ月、ルーチンの仕事を離れて専念する。写真は「濡らし・洗浄・乾燥」のCSSの作成。こ のほか、今年度は7つのテーマがあり、年度をまたぐこともある。ここから次の確かな技術や、新しい機能を持つ製品が生まれる。

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