今日の工房 

週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2026年3月12日(木)2025年度 東京造形大学附属美術館様 博物館実習と髙橋淑人大型作品の保存容器製作・収納事例

東京造形大学附属美術館では、桑澤洋子関連資料や小野かおる関連資料をはじめとする多数の資料を所蔵し、授業や展示に活用されています。弊社は株式会社紀伊國屋書店株式会社インフォマージュと協業し、所蔵資料の保存整理や修復、保存容器の製作に携わってまいりました。

 

昨年に引き続き、東京造形大学で学芸員課程を学ぶ学生の皆様を対象に、博物館実習の一環として各提携先の専門業務を見学する会が行われました。
弊社では修復部門と保存容器製作部門の業務を見学・体験していただきました。

 

修理部門では、実際の作業を見学しながら、修復が必要になる背景や目的、処置工程について解説を行いました。体験実習として、保存製本の基礎技法である「リンプ・ベラム・バインディング(Limp vellum binding/リンプ製本)」を取り上げ、それぞれ1冊ずつのサンプル製本を完成させました。

 

保存容器製作部門では、完成させたリンプ製本を採寸し、その寸法に合わせて専用の保存容器を製作し、組み立てから収納までの一連の工程を体験していただきました。あわせて、東京造形大学様が所蔵する髙橋淑人氏の大型作品を収納するための保存容器「台差し箱」の製作工程を見学していただきました。作品の特徴や収蔵場所に合わせオーダーメイドで設計された保存容器です。箱の構造や工夫についての解説を受けながら、スタッフが組み立てていく様子をご覧いただきました。

 

後日、完成した保存容器へ作品の収納を行いました。作品は6枚1組の大型絵画で、1点のサイズは約1,300×1,630×60㎜。重厚な木枠にキャンバスを貼った構造で、重量は20㎏程と推測されます。絵画面は絵具の塗り重ねによる凹凸感があり、とても繊細です。収納にあたっては、表面をキズや擦れから保護するため、滑らかなポリエステル製不織布で包んだうえで保存容器に収納しました。箱の天側には、取り出しやすいよう手が入る余白を設けています。保管時はその余白に着脱可能なスペーサーを挿入し、箱内部で作品が動かない構造としています。蓋は側面に取り付けた面ファスナーで固定され、縦置きの状態でも蓋が開くことなく、安定した移動・保管が可能です。

 

東京造形大学附属美術館では、専用の収蔵庫の替わりに校内各所の部屋を収蔵庫環境として整え、作品を分散保管しています。そのため、作品の保管・移動・環境からの保護を目的として、これらの保存容器が重要な役割を果たしています。

 

今回は収蔵作品のための保存容器を製作する工程をご覧いただくことができ、保存容器の役割をより身近に感じていただけたのではないかと思います。

 

 

【関連情報】
・2024年11月14日(木) 2024年度 東京造形大学附属美術館様 博物館実習の一環として見学会を行いました。
・2024年1月29日(月)2023年度 東京造形大学附属美術館様 博物館実習の一環で見学会を行いました。

ページの上部へ戻る