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2026年4月28日(火)マンガ原画を保存する保存容器

マンガは日本発のコンテンツとして広く読まれていますが、近年は原画そのものも、メディア芸術の資料として位置づけられるようになってきました。保存対象としての関心も高まり、2023年には一般社団法人マンガアーカイブ機構が設立され、昨年にはマンガ原画保存の手引きも公開されています。

弊社でも、作家やスタジオ、管理団体、出版社などから保存に関するご相談をいただき、用途に応じた保存用品や保存箱の製作を行ってきました。今回ご紹介するのは、出版社のご要望に基づいて製作した保存容器の事例です。

 

マンガ原画は一般に、紙(原稿用紙)を支持体として、インクやトーンなどで構成された複合的な資料です。インク(主に耐水性のある描画材)やスクリーントーン、修正材、糊など、複数の素材が重なっており、部分ごとに性質が異なります。このため、擦れや圧による表面の損傷、支持体(紙)の反りや変形、素材間の接触による影響といったリスクを前提に、保管方法を考える必要があります。

 

今回のケースでは、出版社からの要望として、透明なOPP袋での保管が前提にありました。原画は印刷やグッズ制作などで使用されることが多く、1枚単位での出し入れや確認が必要になります。そのため、中身が見えることと作業性の良さは重要な条件です。OPP袋はこの点で扱いやすく、コスト面も含めて現実的な選択です。保管方法を検討する際には、OPP袋の特性にも配慮が必要になります。OPP袋は軽量で透明性が高く、扱いやすい一方で、柔らかいため面支持には制約があります。また、フィルム素材のため、取り扱いには配慮が必要です。これらの特性を踏まえ、可視性と作業性を優先してOPP袋での保管を基本としています。

 

保管は、単行本単位でまとめる構成としています。原画は巻ごとに管理されることが多いため、組立式のシェルボックスに収納しています。巻ごとに厚みが異なるため、スペーサーを用いて内部寸法を調整し、箱内で動かないようにしています。また、長期保管を考慮し、汚染ガス吸着シート(GasQ)を併用しています。

 

なお、長期保管や取り扱い時の安定性をより重視する場合には、アーカイバルクリアホルダーと保存用台紙を組み合わせる方法もあります。この構成では、
– 台紙によって原画を面で支えることができる
– 反りや歪みを抑えられる
– 1点ごとの取り扱いが安定する
といった利点があります。透明ホルダーを用いることで、保護しながら内容を確認できる点も特徴です。

 

本事例では、作業性(中身の確認・出し入れ)、コストバランス、長期保管時の安定性、この3点のバランスを踏まえて構成を組み立てています。マンガ原画は、保管だけでなく使用されることも前提とされる資料であるため、保存性と運用の両方に無理のない構成としています。

今回ご紹介したように、保管方法は用途や運用条件によって適切な構成が異なります。OPP袋、クリアホルダー、シェルボックスはいずれも個別仕様での対応となりますので、詳細はお問い合わせください。

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