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週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2017年12月7日(木) 国立女性教育会館主催の保存修復研修実技コース後のアンケートで、さまざまなご感想、ご意見をいただきました。

11月20日(月)から11月22日(水)に開催された国立女性教育会館女性アーカイブセンターが主催する平成29年度アーカイブ保存修復研修のうち、21日(火)と22日(水)の実技コースとオプション(弊社工房見学)を、昨年度に続き担当しました。

 

実習内容は昨年度と同様で、「ソフトカバー(小冊子)などの図書資料への簡易処置」、「ハードカバー(くるみ製本)などの図書資料への簡易処置」を行いました。昨年度は資料管理を業務としている参加者が多く、日常的に手を動かして処置をしているわけではないが、資料の構造や適切な処置の方法を知ることで、今後の資料の保存や管理に役立てたいと考えている方々が多かったように感じましたが、今回の参加者は、自館で修理業務に携わっている方や、修理技術を身に着けたいという目的で参加された方も多く、実習の最後に行った質疑応答では、昨年度に比べ技術的な質問を多く頂きました。

 

また、研修後に実施された「平成29年度アーカイブ保存修復研修(実技コース)アンケートの集計結果」によると、研修内容についての満足度では、参加者26名のうち、「非常に満足した」が20名、「概ね満足した」が5名、「少し物足りなかった」が1名と、大半の方に満足していただけました。

 

 

各設問に対して自由に記述するアンケートでは、以下のような回答をいただきました(抜粋して掲載)。

 

「どのような点に興味を持ち参加しましたか?」

▶︎補修の研修を受けたことがなく、職場で所蔵資料の劣化を見るにつけ、何とか自分でもできる技術を学ばせていただきたいと思いました。

▶︎プロの講師の方の指導を受けられる点、「自館でもできる処置」という実用性の高さとハードルの低さ。

▶︎日頃は委託スタッフさんにお願いしている針抜き和綴じの作業やハードカバーの簡易製本の修理など、製本担当なので、しくみとして知っていた方が修理の依頼も出しやすいので希望しました。

 

「研修の内容はいかがでしたか。」「実技コースの満足度は?」

▶︎ ていねいにわかりやすく進めてくれました。実際にやってみるので、話を聞いただけではうろ覚えになってしまうことを確認しながら身につけることができました。

▶︎ 作業のスピードも丁寧でたくさん質問をする機会もあり有意義でした。

▶︎ 通常業務にすぐ活かせる内容でとても役に立つと思います。撮影OKなのもあとで復習する際の助けになるのでたいへん有り難かったです。

▶︎ 各自の館で出来る修復の基本がわかって良かったと思います。一つ一つの作業や手順も難しいものではなく、初心者でも知っていればできるようなものなので現場で役立てられると思います。専門家に相談した方がよいのか判断するのにも参考になる内容で良かったです。

▶︎材料や道具を用意していただけるのが良いと思いました。自分で準備するとどのようなものがよいかわからないため、身近にあって使いにくいもので間に合わせてしまいがちなので何から揃えればよいのかがわかって参考になりました。

▶︎ 厚紙・伸縮包帯・市販のりなど手近にあるものでも一応の修理ができるというアイデアを教えてくださったのは、実に有意義でした。

 

「今後、どのような内容の研修を希望しますか?」

▶︎ 背の壊れたハードカバーの修理
▶︎ 水濡れ資料の処置

▶︎ 切れたり破れた頁の補修

▶︎ 無線綴じや和綴じの本の補修

▶︎ 防虫、防カビ、カビからの修復や手当など

▶︎ 資料クリーニング等の実技研修

▶︎ 打ちなど一枚モノで紙が劣化している資料の修復や手当の方法の実習

▶︎ レベル別(初級・中級・上級のような感じ)でより様々な保存修復処置。

 

ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。いただいたご意見、ご感想は、今後弊社で行う実習等に取り入れさせていただきます。

 

なお、実習で使用した配布資料は国立女性教育会館リポジトリからご覧になれます。

 ・ソフトカバー(小冊子)などの図書資料への簡易処置

・ハードカバー(くるみ製本)などの図書資料への簡易処置

2017年11月29日(水)東京大学経済学部図書館資料室と慶應義塾大学のスタッフの方々を弊社にお招きし、洋式製本についての研修を行いました。

東京大学経済学部図書館資料室は経済学図書館が所蔵する貴重な一次資料を保存・管理することを主な目的としています。資料保存についてもさまざまな調査・ 研究を行い、その成果を発表しています

 

今回の研修では、同資料室と慶應義塾大学などのスタッフの方々による科学研究費助成事業(科研)の、「日本の洋式製本の技術伝播に関する歴史的研究 : 洋装本資料保存のための基盤整備」というテーマに即して、実際の書籍やモデルを使い、明治期に日本に伝わってきた洋式製本の構造の紹介と、手作業による体験講座を行いました。

 

洋式製本の構造は西洋では19世紀初めに、それまでの綴じ付け製本(sewn board binding, laced-in binding)からくるみ製本(cased binding)へと大きく転換します。前者は本文紙の綴じを行った後に、表紙の芯材(board)を、綴じた本文紙の束(本体=text block)に綴じ付け、その後に革や布で表装しますが、後者のくるみ製本は、本体の綴じとは別に、表装も含めた表紙を別工程で作り、これで本体をくるむ(casing)という方法です。本体と表紙を別々に作成できるため、商業的な大量製本向けの方法として採用され、以後、現在に至るまでハードカバーの書籍の製本方法として多く使われています。

 

日本では明治期に、当時の大蔵省印刷局がお雇い外国人を招き、洋式製本技術を教わるとともに、民間への普及に努めました。この時に、古典的な綴じ付け製本も伝わりましたが、すぐにくるみ製本に移行したようです。

 

今回の研修では、明治期に伝わった複式帳簿の製本(stationary binding )を軸として、綴じ付け製本法やくるみ製本法などを用いて、本体の構造や綴じ方、本体と表紙の接合方法の違いを比較するため、製本を解体し、通常では隠れているところをご覧いただきました。また、かがり綴じや、表紙と本体の接合などの工程を実践し、製本モデルの試作も行いました。

 

帳簿は、あらかじめ本文が印刷された「読むための本」と違い、製本されたものに記帳していく「書き込むための本」であることから、頻繁な開閉にも耐えるように、堅牢でバネ(spring)の効いた背であること、記帳しやすいようにノドの奥まで180度開くことが要求されます。これらを叶えるため、構造的な工夫がいくつも施されています。

 

書籍は、製本後は中の構造や構成物が見えなくなる立体物のため、酷い傷みによりバラバラになった本を目の当たりにしない限り、内側まで見る機会はあまりないとのことでしたので、一層のご理解をいただけたことと思います。研修中は様々な意見交換ができ、私どもにとっても大変有意義な時間でした。

 

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ステーショナリー・バインディングに対する保存修復処置

2017年11月15日(水) 修理工房で使う2種類の加湿器

修理工房内で使用する加湿器は2種類あります。乾燥しやすくなるこれからの季節、紙や革が反ったり丸まったりするのを防ぐため、室内の湿度調整用に気化式の加湿器を導入しています。これとは別に、修理作業に用いるのは超音波加湿器です。超音波振動で発生するミストによって、資料に対してゆっくり穏やかに水分を与えることが可能となります。例えば、トレーシングペーパーの様に水分に敏感な素材のフラットニング処置などで使用されています。

 

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2016年8月3日(水) 無酸素パック「モルデナイベ」は工房でも加湿や修理用の材料の保管などに活用しています。

2013年11月28日(木)修理工房の温度・湿度を管理

2012年06月21日(木)巻き癖の強い図面の水蒸気による加湿フラットニング

2012年02月16日(木)経年劣化により物理的強度が低下したトレーシング・ペーパーの修復

2017年11月1日(水) 修理に欠かせない手道具の骨ヘラを頂戴しました。

日頃の修理作業において、欠かせない手道具の骨ヘラ。この度、弊社古くから大変お世話になっている方が、大切に持っていらした骨ヘラを私どもにプレゼントしてくださいました。かつてその方がドイツで購入したものとのこと。小ぶりで小回りが利き、手に大変馴染みやすく、大切な道具の一つとなりました。このあとの年末年度末のさらなる繁忙期を乗り越えるにあたり、心強い贈り物でした。

2017年10月18日(水)接着剤で無線綴じされた図録を折丁仕立てに作り直し、きれいに見開くように再製本する。

無線綴じされた図録。本紙の背を断裁し、それぞれのページを一枚ものにして束ね、背側の端を接着剤で固めて製本されている。経年により接着剤が劣化し、本紙は一枚ずつバラバラの状態に外れている。本紙が厚く柔軟でないため、そのまま糸で平綴じで修理を行うと見開きが悪くなり、紙への負荷もかかる。

 

断裁された本紙の背を短冊状の和紙でつなぎあわせて折丁の背を作り直した後、折丁を組み合わせた括を作り、糸で綴じ合わせてゆく(かがり綴じ)。手間のかかる工程であるが、これにより、のど元まできれいに見開ける仕上がりになる。

 

* かがり綴じ、平綴じ、中綴じ、無線綴じの断面図

2017年9月20日(水)本紙の破れを修補するときの道具・材料とセッティング

本紙の破れを修補するとき、デンプン糊を和紙に塗布、もしくは本紙に塗布して和紙を当てて補強する。デンプン糊は接着力が非常に強いので、水で薄めて使用するぐらいがちょうど良いが、薄すぎると和紙が剥がれたり輪染みになったり、濃すぎると紙がこわばる原因になる。

 

 糊を塗布する際は筆や刷毛を使用する。修補の範囲によって、細筆、平筆、小刷毛、糊刷毛を使い分ける。このほか、糊が手や道具、作業台など余計なところに付かないよう注意し、もし付いたときにはさっと拭き取れるよう、濡らした布巾を用意しておく。

 

修補に使う和紙は、本紙の厚みや色、補強の程度によって選択する。喰い裂きの和紙は毛羽の影が目立つこともあるので、あえて断ち切りの和紙を使用することもある。冊子や新聞などの紙資料は、最初から最後のページまで同じ箇所が破れていることがよくあるので、このように同じ破損を一度にたくさん修補するときには、断ち切りした短冊状の和紙をあらかじめ用意しておく。

 

最後に、修補した箇所が不均一な乾燥によってシワになったり、つっぱったりしないよう、不織布ろ紙、更に重石をのせてしっかり乾燥させることが、良い仕上がりのためのポイントとなる。

 

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今日の工房 2017年1月18日(水)修理に欠かせな道具・材料ーリーフキャスティング(漉き嵌め)で使用する竹簾

 

2017年8月23日(水) 修理に使う2種類のポリエステル製不織布。

修理に使う2種類の不織布。不織布とは繊維を織らずに絡み合わせて、熱などでシート状にしたもの。どちらの不織布もポリエステル製で、水を通すが吸水性は低く、薄くて柔軟性がある。

 

2種類のうち一方は目が詰まり表面が平滑で、繊維の毛羽立ちがないタイプの不織布で、作業中のデリケートな資料の表面を保護する目的で使用される。また、ポリエステル製であるため基本的にデンプン糊が効かず、貼り付いたとしても簡単に剥がすことができる。そこで糊を使う処置をした箇所は不織布で挟んでから、ろ紙や重石を置いて乾燥させ、ろ紙や資料同士の貼り付きを防ぐ。

 

もう1種類は比較的目が粗いタイプの不織布。水の通りが良く、資料を洗浄する際の洗浄ポケットや、和紙を染色する際の養生に適している。

2017年8月9日(水)資料の修理に不可欠な道具のひとつがプレス機です。

弊社では様々な形状、大きさのプレス機を用途に合わせて使い分けています。

 

本の場合は、定位置に本を固定させてスムースに手作業をするために、作業台に載るような小・中型のプレス機を使います。本を挟んだプレスごと、縦に置いたり横にしたりできます。

 

一方、図面やポスタ―などの一枚モノで比較的大きなサイズの資料の場合は、床に据え置きの大型プレス機が不可欠です。波打ちしていたり、全面にわたる破損部を修補した後に、わずかに湿らせ、濾紙を挟み、何度も濾紙を交換しながら、資料が均一にフラットになり落ち着くまで、時間をかけて乾燥させます。

 

さらにより強い圧をかけたい場合はスタンディングプレスを使います。下段右端の画像は、水損した本をまとめてフラットニングと乾燥をしている様子。水分を含んで歪んでしまった本を、数日かけて徐々に圧を加え、歪みを正しながら元の形に直していきます。

2017年6月28日(水) 明治期の国産リボン工場跡から発見された見本帳への手当て

洋装の浸透とともに、明治中期には一般にも普及したリボン。東京都台東区谷中にあった、日本で最初のリボン工場跡が2013年に解体・整地されました。工場はその屋根がノコギリの刃のような形状のために「鋸屋根工場」として、この地域の住民に親しまれてきました。 その後、リボン工場の建物は印刷工場として使われてきましたが、2013年の解体にあたり、 リボン工場時代のものと思われる洋書を中心とした1900年前後の繊維産業関係の文献資料や研究ノート、国内・国外製の多数のリボンを貼った見本帳などが発見され、これらの遺産の保存と継承を図る「谷中のこ屋根会」様が譲り受け管理してきました。今回の弊社でのリボン見本帳への処置は同会様からの委託です。

 

見本帳は、リボンを貼った二つ折りの台紙30枚を洋装本風のケースに収納したもの。リボンは織りの裏面を見ることができるよう、上辺のみ、あるいは4隅のうち3点のみで糊止めされている。そのため、開閉時にリボンが垂れ下がって折れた状態で挟まれやすく、繊維が脆弱になったリボンが、折れ目で破断しているものも見受けられる。

 

刷毛等で表面の塵、埃をクリーニングした後、接着剤が劣化して台紙から外れたリボンをデンプン糊で貼り戻した。リボンの折れは、わずかに加湿して折れを伸ばし、フラットニングした。リボン端のほつれは、糊差ししてほつれが広がらないよう止めた。処置後、台紙は二つ折りした中性紙のフォルダで挟んだ。フォルダは開閉時のリボンの垂れ下がりやリボン同士の接触を防ぐため、内側にも挟み込んだ。ケースは強度が低下しているため台紙の再収納はせず、革装部分に対して劣化した革表面の粉の剥落を抑えるレッドロット処置を行った。フォルダに挟んだ台紙を重ね、ケースを GasQシートに包み、まとめて保存容器に収納した。

2017年6月14日(水) 学習院大学図書館様所蔵の華族会館寄贈図書(漢籍・和装本)277点の修理報告書を掲載しました。

弊社では平成26年度から平成28年度までの3年間、学習院大学図書館様が所蔵するコレクション「華族会館寄贈図書」の保存修復処置をお引き受けする機会をいただき、処置を行ってきました。平成26年度は洋装本62点を対象とし、弊社HPにもその報告を掲載しております。今回は平成27年度から平成28年度までの2年間で行った漢籍、和装本277点に対する保存修復処置についての報告『学習院大学図書館様所蔵「華族会館寄贈図書」漢籍・和装本の保存修復処置事例』を掲載しました。

 

なお、このコレクションは同大学のデジタルライブラリーで公開されております。

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