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プリベンティブコンサベーション(予防的保存対策)の事例

東京大学社会科学研究所における「労働調査」資料及び「糸井文庫」の保全対策の事例

東京大学社会科学研究所における
「労働調査」資料及び「糸井文庫」の保全対策の事例

2009/04/21

東京大学社会科学研究所が所蔵している労働調査資料と糸井文庫の目録作成からクリーニング、 アーカイバル容器(タトウ式保存箱台差し箱及び被せ箱)の製作、収納までの作業をお引き受けした。

対象資料

1.労働調査資料

第2次大戦後、1946年~1968年にかけて東京大学社会科学研究所が中心となり行われた「労働調査」の報告書及び収集資料、調査原票。戦後初期の労働調査原票を保管している例は全国的にも少ないと思われ、非常に貴重な資料である。報告書は項目別に酸性紙封筒に収納され手書きで内容が記入されており、調査番号毎に分類され箱に保管されていた。本紙はもちろん箱自体も非常に酸性度の高い紙で作られているため、酸の移行による酸性劣化と変色がかなり見受けられた。特に調査原票はクラフト紙や新聞紙に包まれて保管されていた為、劣化は著しく紙力もかなり低下している。

2.糸井文庫

元東京府職業課長糸井謹治氏によって蒐集された日本労働事情に関する資料の一大集積である。文献・資料点数は大正から第2次大戦時期にわたり、総計1万点を超える。今回の保全対象資料は旧来の酸性紙ボードで作られた布帙に収められた49点。布帙に収納されている資料の中には、酸性度の高いクラフト紙封筒に入っているものも見受けられた。

労働調査報告
労働調査資料
調査原票

保全対策

目録の作成

調査報告書、収集資料、調査原票いずれも手書きの目録のみの為、ラベル用のデータを作成した。

採寸作業

1点ずつ採寸し、調査報告書はタトウ式保存箱に、収集資料や調査原票は台差し箱や被せ箱に収納した。

箱入れ

クリーニングクロスや刷毛で全体の埃や汚れを落とす。調査報告書は酸性紙封筒からアーカイバル封筒への入替を行い、タトウ式保存箱に収納。収集資料や調査原票は同様にクリーニングの後、資料毎に付与されていた荷札とともに台差し箱、被せ箱に収納した。元の封筒、箱、包み紙等は番号順に整理した上で返却した。 タトウ式保存箱にはラベルを、台差し箱、被せ箱にはカードホルダーを作成貼付し資料内容が一目で解るようにした。

 

① クリーニングクロスや刷毛で埃・汚れを落とした

  

 

② 1点毎に採寸。資料名を記載したラベルを作成貼付してアーカイバル封筒への入替を行った。

  


③ それぞれ目録名を記載したラベルとカードホルダーをつけて保存容器に納めた。

  


④ 書庫への収納

  

 

東京大学社会科学研究所では、この他イギリス労働党パンフレット(Labour Party Pamphlet and Leaflets, 1913-1981)オリジナル版、憲政調査会関係資料、ドイツ労働総同盟旧蔵文書(DGB文書)極東国際軍事裁判記録など様々な原資料や稀少資料を所蔵している。

 

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