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週替わりの工房風景をご覧ください。毎日こんな仕事をしています。

2022年7月1日(金)文豪・泉鏡花の兎(うさぎ)コレクションを収納する保存箱を作製しました。

慶應義塾大学三田メディアセンター(慶應義塾図書館)様では、泉鏡花の自筆原稿・遺品を多数所蔵しており、今回は、そのなかから泉鏡花の兎コレクションを収納する保存箱をご依頼いただきました。

 

鏡花は自身の干支(酉)の向かい干支である兎(卯)の置物を愛し生涯に渡って蒐集しました。そのきっかけは、幼少のときに母親からもらった水晶の兎だそうです。向かい干支にまつわるものを身の回りに置くと縁起がいいという言い伝えから、置物や玩具などの物に留まらず、身に着ける着物の帯に兎柄をいれるほど徹底していたそうです。

 

■泉鏡花が憑かれたように集めた兎の置物【文士の逸品No.16】2018/4/19 サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイトより
https://serai.jp/hobby/302443

 

兎の置物は陶磁器、張り子、竹細工など、いろいろな材料が用いられており、薄葉紙に包まれ一つの箱にまとめて収納されていました。

 

保存箱として、兎の置物を個別に収納するための仕切り付き台差し箱と、コレクションをまとめて収納するための被せ箱を製作しました。個々の兎は、和紙の揉み紙のように揉みこんで柔らかい布地のようにした新薄葉紙Qlumin™くるみんで包み、各部屋へ収納しました。部屋の隙間にもクッションのように使用しています。箱の床面には緩衝材としてプラスタゾートを敷いています。

 

本事例の掲載にあたり、慶應義塾大学三田メディアセンタースペシャルコレクション担当の倉持隆様、竹内美樹様に多大なるご協力をいただきました。誠にありがとうございました。

 

 

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『今日の工房』2021年10月29日(金)慶應義塾大学三田メディアセンター様所蔵「A.N.L. Munby旧蔵 書字の歴史に関する資料箱」を収納する保存容器を作成しました。

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2022年4月15日(金)貴重な書籍や資料の展示に使う展示台をアーカイバルボードで製作しました。

今回180点にも上る展示台を作製するにあたり、書籍一点一点の特徴に合わせて、文字や挿絵が鑑賞しやすいよう、ご担当者様との綿密な打ち合せを行いました。

 

書籍ごとに展示台の左右の大きさや傾斜角度、展示台にかかる荷重バランスも変わるため、強度が必要な箇所には補強を入れたり、重く分厚い書籍の場合には本の背を支える背当てを組み込んだり、コンパクトな構造ですが開いた状態の書籍をしっかりと支えかつ開いたページを鑑賞しやすいつくりになっています。また、該当ページをきれいに開きたい場合は、傾斜面の裏にポリエステル製のテープを通して資料の端を抑えることもできます。

 

資料を展示する際に、より良く見せたい、また展示品に変化をつけたいと思うあまり、書籍の背やページが湾曲したり、無理な力がかかり全体がゆがんだ状態になったり、負担のかかる展示方法をとることがあります。また、本は綴じの構造や装丁形式そのものが破損の原因になることもあるので、それぞれの装丁形式の特徴やストレスポイントを考慮しながら展示台を設計しました。

 

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2022年2月28日(月)長期保存文書約200箱の殺虫・殺卵とカビの不活性化、クリーニング処置 事例紹介

日常的には使用しないものの残しておく必要がある大量の重要な長期保存文書があり、段ボール箱に入った状態でコンクリート壁・床の倉庫に保管されていました。段ボール箱は文書が重いために変形、破損しているものもあり、中の文書は表紙や小口への塵芥の堆積、虫の死骸や、卵、巣、カビが発生した痕跡が見受けられました。こうした資料は、利用の際に手を介して表面に堆積した汚れを本紙の内側に広げてしまったり、飛散した塵芥やカビによる健康への影響があるだけでなく、資料の移動に伴い付着していた虫やカビなどを別の場所に持ち込んでしまう恐れがあります。これら文書のうち、約200箱の目録化と保存倉庫への移動を行うにあたり、事前にクリーニングと無酸素処置による殺虫・殺卵、カビの不活性化処置を行いました。

 

資料は、飛散を防止するためのドライクリーニング・ボックスやHEPAフィルター付きの掃除機を使い、1点ずつ表紙や小口、段ボール箱を吸引し、資料の素材に応じて消毒用エタノールを噴霧したクリーニングクロスで表面のふき取りを行いました。さらに、本紙の点検を行い、汚れの著しい箇所をクリーニングしました。
今回の事例では、運び出しまで引き続き倉庫に保管されるため、クリーニング後に段ボール箱ごと無酸素パック「モルデナイベ」に収納し、3週間以上無酸素状態にすることで完全な殺虫・殺卵、カビの不活性化処置を行い、搬出までその状態を維持するようにしました。対象の文書には薬剤に敏感な青焼き図面が多数含まれていましたが、無酸素パック「モルデナイベ」による処置は薬剤を用いないため、こうした多様な素材の紙を含む文書類にも区別なく使用することができ、文書1冊、1箱からの処置も可能です。

 

 

【関連情報】
資料に付着した汚れやカビのドライ・クリーニング
東京学芸大学附属図書館様 耐震改修工事に伴う、貴重書のモルデナイベ収納、および資料・書棚のクリーニング

 

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2019年6月19日(水)共立女子大学図書館様の貴重書1900点のカビ被害のクリーニングから保存容器収納まで。

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2022年2月18日(金)早稲田大学中央図書館様での組み立て式棚はめ込み箱の設置事例。

早稲田大学中央図書館は全体で27,705平方メートルを有し、収蔵可能規模は400万冊にのぼります。すべての図書は一部の重要書をのぞき利用者がじかに手にとってみることができる開架式書架に配架されています。この他に、閲覧個室、展示室、AVホール、マイクロ資料閲覧室など、多彩な利用者のニーズにこたえる施設が準備されています。
早稲田大学中央図書館ホームページより抜粋https://www.waseda.jp/library/libraries/central/about/

 

今回、図書館蔵書の未製本雑誌(特殊コレクション)約9,000冊を収納するための組み立て式棚はめ込み箱の製作と設置作業をご依頼いただき、雑誌・新聞が配架されているバックナンバー書庫の棚50段に100箱を設置しました。棚はめ込み箱の前蓋には書誌情報カードを差し込むカードホルダーRを取り付けています。

 

この度の事例紹介にあたり、 早稲田大学中央図書館様より掲載のご協力をいただきました。心よりお礼申し上げます。

 

 

【関連商品】
組み立て式棚はめ込み箱
カードホルダーR

 

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2021年2月15日(月)山階鳥類研究所様のご依頼で棚はめ込み式保存箱を製作しました。

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2022年1月21日(金)「文書資料の整理・保存に欠かせない収納容器を考えるー 」

古文書と新聞用の組み立て式保存箱を試作しながら検討を行っています。
従来品の中性紙製もんじょ箱は容積が大きく、古文書や新聞を大量に収納できることがメリットですが、重量がかさむと持ち方によっては持ち手部分が破けてしまったり、通い箱のように何度もくり返し使用すると裂けたりすることがありました。また、書架の棚サイズに合わないことから、もんじょ箱に収納した状態で書庫の床や廊下に直接置かれて埃が積もったり、積み重ねた状態で環境が安定しない場所に長期間置いたことで、箱が潰れて資料が損傷してしまうなどの状況も多々見受けられました。

 

大量収納できる点とその価格から多くの支持をいただいているベストセラーの箱ですので、新しい視点で従来品を見直し、組み立てやすさや使用感を一段と改善することを目標に試作を続けています。

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2021年12月17日(金)汚染ガス吸着シートGasQ®ガスキュウの保管に便利なガスバリア袋

汚染ガス吸着シートGasQ®ガスキュウのロール品を購入されたお客様よりその保管方法をご相談いただくことがあります。ご相談の理由は、保管場所に問題がある、茶段ボールでの梱包は避けたい、既存の梱包材を再利用できなくなってしまった、密封してガス吸着性能を維持したい、汚れやホコリから守りたい等々、空気に触れることがないように状態良く保管できる「密封袋」が欲しいという声もありますので、ロール品専用の保管袋として使うガスバリア袋をあわせてご案内しています。

 

この保管袋はMoldenybe®モルデナイベの大型サイズ「内寸:310×幅1,360ミリ」を転用したもので、GasQ®ガスキュウのロール品を収納するのに最適なサイズです。長辺開口部がスライドチャック式で使い勝手が良く、保存性にも優れています。

 

モルデナイベのガスバリア袋は空気と液体を通さない高いバリア性能を持つので、大気中の汚染物質、汚染ガス、外気からの湿気を遮断します。袋内に入れるシリカゲルや吸湿剤の吸湿効果を長く持続させることもでき、これらと組み合わせて文化財修復で使用する和紙や裂、不織布シートなどの素材を適切に保管するための袋としても活用されています。

 

GasQロール品専用保管袋の価格:1枚 4,500円(別途消費税10%・梱包輸送費)

 

【関連商品】
無酸素パックMoldenybe®モルデナイベ 
汚染ガス吸着シートGasQ®ガスキュウ 

 

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・2016年8月3日(水) 無酸素パック「モルデナイベ」は工房でも加湿や修理用の材料の保管などに活用しています。

・2017年3月9日(木)殺虫処理が館内で簡単・安全・確実にできる無酸素パック『Moldenybe®モルデナイベ』の大型サイズをラインアップしました。

・2020年6月25日(木)これからの時期に気をつけたい虫菌害―無酸素パック「モルデナイベ」の効果的な導入・運用のために

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2021年11月11日(木)アーカイバルボードで作品展示用の斜台を製作しました。

美術館・博物館の展示ケース内で使われる作品置台や展示台は、木製の下地材の上にクロスを貼ったものが多く、用いている材料から発生する微粒子や揮発性ガスが文化財を傷めることがわかっています。また、展示ケースは温湿度の安定や大気汚染物質等の流入を防ぐために高気密設計となっており、これはー方で、展示物に影響を与えるガスの残留と改善の難しさの要因にもなっています。

 

こうした汚染ガスは、枯らし換気等による軽減、展示ケースにも使用可能なガス吸着材・ガス吸着シートを使用した、対症療法的な対応が行われていますが、確実な効果が必ずしも担保されるものではありません。そのため、展示ケースの内装材、展示台の素材には、化学物質含有量の低い素材を選び、また十分な枯らしをおこなったうえで、施工、制作することが望ましいとされています。

 

今回製作した展示台に使用した材料は、資料に直接触れても影響の出ない素材でPhotographic Activity Tests(PAT):ISO18916:2007 写真保存用包材のための写真活性度試験に合格したものを使用しています。アーカイバルボードの断面が露出しない作りで正面から見た時の鑑賞の妨げにならない、斜面に対して直角の「かえし」を取り付け展示物に負担がかからないようにする、内部を補強した堅牢な作りで大きな展示台でも安定して展示物を載せられるなど、デザイン面でも構造面でも工夫しました。アーカイバルボードを使用しているためオフガスや汚染物質の影響はなく、また、展示する資料の大きさや形態に合わせて、斜台角度や高さを自由設計できる点もメリットの一つです。

 

 

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2021年10月29日(金)慶應義塾大学三田メディアセンター様所蔵「A.N.L. Munby旧蔵 書字の歴史に関する資料箱」を収納する保存容器を作成しました。

歴史的な資料を数多く所蔵している慶應義塾大学三田メディアセンター(慶應義塾図書館)では、その特性を生かし、多岐にわたるテーマでの展示が随時企画されています。今年4月には、(西洋)文字景―慶應義塾図書館所蔵西洋貴重書にみる書体と活字とのタイトルで、様々な時代の貴重な手書き写本や活版印刷本、特殊コレクションが展示されました。現在この展示会は終了していますが、KeMCo(慶應義塾ミュージアム・コモンズ)360 VIEWで「(西洋)文字景」のデジタル展示がご覧いただけます。

 

 

 

今回、三田メディアセンター様よりご依頼いただき、本展示会で展示された「A.N.L. Munby旧蔵 書字の歴史に関する資料箱」の保存容器を作成しました。

 

A.N.L. Munby旧蔵 書字の歴史に関する資料箱」について Keio Object Hub

 

資料箱の蓋を開けると木製の引き出しが3つ積み重ねられており、各引き出しには様々な形態、素材でできた資料が仕切り板で区切られた部屋に納められていました。なかには額入りの手書き写本やガラス板で挟まれたパピルス文書も収納されていました。これらの引き出しや仕切り板は、経年劣化で所々に傷みがみられ緩衝材なども劣化が進み変質していました。そのため、資料を個別に収納するための仕切り付き保存箱と、資料箱本体を収納する箱を作成しました。額、ガラス板は蓋付きのシンクに収納しました。緩衝材には新薄葉紙Qluminくるみんと文化財保護用フォーム材のプラスタゾートを使用しています。

 

本事例の掲載にあたり、慶應義塾大学三田メディアセンタースペシャルコレクション担当の倉持隆様、竹内美樹様に多大なるご協力をいただきました。誠にありがとうございました。

 

▼慶應義塾大学三田メディアセンターのスペシャルコレクション担当では、職員と利用者に対して、閲覧前に手を洗い清潔な手で資料を扱うよう促しています。また、「貴重書を閲覧するにあたって」(PDF) では、取扱いに際し「資料は素手で取り扱い、手袋等は使用しないでください。また資料は閲覧机の上に置いたままご覧ください。」と明記しています。貴重で繊細な資料ほど、手から伝わる触感が材料の脆弱性を理解するために必要だからです。資料の適切な取扱いについて利用案内等に明記することは資料の破損・汚損の予防につながります。

 

【参考文献】
『スタッフのチカラ』

・2008年09月19日「貴重書は白手袋を着けて」という誤解 蜂谷伊代訳

・2011年04月05日 洋装貴重書の取扱い ブリティッシュ・コロンビア大学図書館貴重書・特別資料室の指針 高田かおる訳

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2021年8月20日(金)長さ4m超の水引幕を平置き保管するための、大型保存箱

神社の祭礼の出し物として使われる「笠鉾」の胴体部に巻く水引幕を収納する保存箱の製作依頼を受けました。水引幕は豪華な刺繍が施された飾り付け用の幕で、広げると全長が4mを超える物もあります。幕の刺繍や布地の保護のため、なるべく折り畳まずに平置きで保管ができるよう幅1.1m×長さ4.3mの大型の保存箱を製作することになりました。

 

保存箱の身は持ち運びの際にたわみや歪みが起きないよう壁を6重に積層し補強をしています。また納品先での搬入通路を通るためには荷物の長さを3m程度に収める必要があり、保存箱の身を半分に折り畳んだ状態で輸送ができる箱の構造を考案しました。箱の身は収蔵庫内へ搬入後畳んだ状態から開いて箱の形に戻し、箱中央(折り目部分)の壁の切断箇所を固定するため、アルミ板の留め具を壁に埋め込みました。

 

蓋は取り外しを簡便にするため乗せ蓋式とし、全体を3分割にして、それぞれの蓋裏に四方桟を取り付けました。箱を積み重ねて保管するため、上からの荷重で蓋がたわまないように蓋の四方と中央にH型のアルミハカマを組み込み補強しました。水引幕を収納した箱は箱紐で結び蓋が不用意に外れないよう固定しました。

 

 

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2021年7月19日(月)横浜英和学院様所蔵の卒業アルバムのドライクリーニング、保存容器への収納

横浜英和学院は1880(明治13)年にアメリカの女性宣教師H.G.ブリテンにより横浜山手の居留地に女学校として創立されました。1886(明治19)年には校名を「横浜英和女学校」と改めました。その後、生徒数の増加に伴い、1916(大正5)年に現在地の横浜市蒔田に移転しました。戦争の影響などでの幾度かの校名変更を経て、2014年(平成26年)の中学高等学校と青山学院大学との提携を機に、2016(平成28)年に校名が青山学院横浜英和中学高等学校となり、2018(平成30)年には中高男女共学化となりました。 
▪学院の沿革:横浜英和学院ホームページより抜粋 https://www.yokohama-eiwa.ac.jp/
 
同学院では、横浜英和学院の歴史に関する文書、写真、記念品のほか、卒業生寄贈資料の卒業アルバムを、大切な歴史資料として収集・保存を行っています。今回、2020年の創立140周年記念事業の一環で、1910(明治43)年~2019年(令和元年)までの卒業アルバム約100冊の内、カバーのない約80冊分のドライクリーニングと保存容器への収納を行ないました。これらの卒業アルバムは、スチール製の引き戸付きキャビネットに収納されていましたが、アルバムの外装、特に小口に経年によるチリやほこりの堆積が見られました。 
 
卒業アルバムは作られた時代によって様々な形態があります。1980年代以前の古い卒業アルバムの特徴として、外装に布クロスやビニールレザーが使われていたり、綴じ紐・金具、台紙の厚紙、プリント写真、手書き文書(インク、墨書き)の貼り込みがあるなど、さまざまな材料が複合してつくられていることが挙げられます。構造的に見ると、写真が台紙に貼られていたり、三角コーナーで留められていたりするので、書籍や冊子にくらべ「隙間」が多く、内部にまで細かなチリや埃が入りやすいといった特徴もあります。そのため、クリーニングする際のポイントとして、各ページののど、そして写真の縁や画像面もクリーニングすることをお勧めします。 
 
クリーニング作業では、ブラシノズルを装着したHEPAフィルター付き掃除機とクリーニングクロスを使い、アルバム外装と本体内部のチリやほこりを除去しました。スチール棚は、消毒用エタノールを含ませたペーパータオルで拭き取って清掃しました。 
 
酸性台紙に貼られた写真は、台紙から発生する酸性物質の影響で、画像面の銀鏡化、退色が生じるため、新薄葉紙くるみんで台紙サイズに合わせた間紙を作りました。ページごとに挟むことで酸性台紙の影響から画像面を保護します。 
 
クリーニング処置を行い各頁に間紙を挟んだアルバムは、一点毎に採寸しタトウ式保存箱へ収納しました。保存箱の背に発行年度を印字したラベルを貼付し、キャビネットへ発行年度順に再配架しました。 
 
本事例掲載にあたり、横浜英和学院理事長の伊藤美奈子様に多大なるご協力をいただきました。誠にありがとうございました。 
 
 
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2021年6月18日(金)重量のある額縁に入った絵画を収納する保存箱を製作しました。

絵画作品の額縁は、大きな肖像画作品を飾るために用意された彫刻のような額縁で、総重量が40kgもあります。さらに、前面の保護ガラスの重さが加わり、桁違いの重量がありました。額縁のレリーフは、木地に石膏を塗り成形し金箔で装飾された古典技法で作られており、石膏が剥がれ、突き傷や擦れた跡が随所にみられました。

 

今回、収蔵庫スペースの都合から縦置きに保管する必要があり、箱の仕様設計にあたっては、取り扱い面と荷重に耐えられるだけの十分な強度の確保に配慮した工夫を保存箱に施しました。

 

保存箱の仕様は台差し箱をベースに、額を固定するL字スペーサーを四隅に取り付け、取り外しができるブロック状のスペーサーを側面に組み込みました。各スぺーサーの内側は補強が施されており、頑丈で堅牢なつくりです。スペーサーは作品を支える部材として、また、荷重に対して保存箱の反りやたわみなどの変形も抑える効果もあります。

 

絵画の裏面には展示用の金属ワイヤーが付いており所々が凹凸していたので、箱の潰れ・穴あきを防ぐため、内装に文化財保護用フォーム材のプラスタゾートを一面に施工しました。蓋の内側にも、額縁の表面に沿うように微調整されたプラタゾートを設置し、レリーフに負荷がかからないようにしました。

 

 

 

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2021年5月17日(月)小石川植物園様所蔵の大型革装丁本のドライクリーニングと保存容器収納を行ないました。

小石川植物園の名で親しまれている東京大学大学院理学系研究科附属植物園は、自然誌を中心とした植物学の研究・教育を目的とする東京大学の教育実習施設です。この植物園は日本の近代植物学発祥の地でもあり、現在も東アジアの植物研究の世界的センターとして機能しています。植物園本館には植物標本約70万点(植物標本は、東京大学総合研究博物館と一体に運営されており、全体で約170万点収蔵されています)、植物学関連図書約2万冊があり、内外からの多くの植物研究者に活用されています。園内には長い歴史を物語る数多くの由緒ある植物や遺構が今も残されており、国の史跡および名勝に指定されています。

 

▪植物園の概要:東京大学大学院理学系研究科附属植物園ホームページより抜粋 https://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/koishikawa/

 

今回、植物学関連図書約2万冊の内、劣化が進んだ植物標本図約120冊に対して、今後の取り扱いと保存状態を改善するための資料と書架のクリーニングと保存容器への収納作業を行いました。対象資料の多くが大型の革装丁本で、レッドロット(革が長い時間にわたり光や空気中の汚染物質に曝されることで赤茶けた粉状になる現象)が進み亀裂や剥落が著しい状態でした。この状態になった資料は、利用に支障をきたすだけではなく、本紙や書庫全体の汚染の原因となります。また、隣り合う資料との摩擦によって、レッドロットの状態になった資料自体がさらに傷んでしまいます。

 

クリーニング作業では、ブラシノズルを装着したHEPAフィルター付き掃除機とクリーニングクロスを使い、資料や周辺に飛び散り堆積したチリやほこりを除去しました。スチール棚に蓄積された汚れは、消毒用エタノールを含ませたペーパータオルで拭き取って清掃しました。

 

表装の革が劣化した資料はGasQくるみんで外装を包み保護しました。これにより、取り扱いの際のレッドロットの粉による手の汚れや周囲の汚損も防ぎます。資料は一点ずつ採寸し、適切なサイズ・仕様の保存容器を作製しました。ある程度厚み・重さのある資料は組み立て式シェルボックスに、その他の資料はタトウ式保存箱に収納し、保存容器にはタイトルを印字したラベルを貼付して、これまでの配架方法を変えることなく、閲覧性を維持できるよう再配架しました。こうした資料への予防的保存措置によって、破損の拡大をおさえ、環境も改善され、良好に保存することができます。

 

本稿の掲載および写真の撮影・使用にあたっては東京大学大学院理学系研究科附属植物園様と東京大学理学図書館様の多大なるご協力を頂きました。誠にありがとうございました。

 

 

【関連商品】
汚染ガス吸着シートGasQ®ガスキュウ 
新薄葉紙Qlumin™くるみん 
組み立て式シェルボックス 
タトウ式保存箱 
中性ラベル 

 

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2021年4月16日(金)棚板に高強度な樹脂製パネルを用いた、引き出し付き保存箱

過去のブログ記事で紹介した『今日の工房 2020年6月18日(木)大判の絵図を収納するマップケース型の専用保存箱』引き出し付きの保存箱に、棚板の強度を高める改良を加えました。

 

以前製作した引き出し付き保存箱は、棚板内にアルミ製の角パイプを組み込み、これをアーカイバルボードで覆うような構造でした。そのため一棚ごとの貼り合わせ工程が多く、箱の骨組みになる大事な箇所になるのですが、1箱を完成させるまでに大変時間がかかりました。今回製作した改良版は、箱の構造材と棚板に厚み約8㎜のポリプロピレン樹脂製パネルを使用し、内壁のパネルにアルミパイプを梁のように取り付け棚板を下から支える構造にしました。高強度化の要になるこの連結方法で耐荷重性能が格段に上がり加工時間も短縮され、強度面で金属製の棚にも引けを取らない頑丈さを持たせる事ができました。(画像では、撮影のためパネルとアルミパイプをテープで仮止めしています)。組み上げた棚板ユニットをアーカイバルボードで作成した保存箱の外装パーツに貼り合わせて仕上げます。この樹脂製パネルは中芯がハニカム構造で、高強度・超軽量、曲げ剛性もあり変形しにくいという特徴があります。一般用途では電気自動車の内装材や家具にも採用されています。

 

保存箱は移動式書架のスチール棚にぴったり収まるサイズで設計されています。また、書架のどちら側からも資料の取り出しができるように保存箱の両面に扉が付いています。3段の引き出しトレイ付きで収納効率もよく資料へのアクセスもし易くなりました。

 

 

【関連商品】
トレイ付き棚はめ込み箱 

 

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・『今日の工房』2011年4月7日 

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2021年4月1日(木)香雪美術館様のご依頼で刀装具(とうそうぐ)を収納する保存箱を製作しました。

香雪美術館は朝日新聞社の創業者・村山龍平が蒐集した日本、東洋の古美術コレクションなどを収蔵する美術館として昭和48年(1973)に開館しました。所蔵品は、仏教美術、書跡、絵画から茶道具、武具に至るまで幅広く、重要文化財19点、重要美術品33点を数えます。広大な敷地内にある旧村山家住宅は、和洋の建物を擁する明治、大正期の邸宅の面影を今に伝え、国指定重要文化財となっています。また、同美術館が開館45周年を記念し、新たな展示施設として2018年にオープンさせたのが中之島香雪美術館です。大阪屈指のビジネス街である中之島エリアの中之島フェスティバルタワー・ウエスト4階にある美術館では、村山コレクションが順次公開されています。

 

今回、刀装具(とうそうぐ)を収納する保存箱のご依頼をいただきました。およそ600点ある刀装具は昨年から調査が進められており、さまざまな形や種類の刀装具を分類・整理するための保存箱を製作しました。

 

保存箱は、鍔、目貫、笄(こうがい)などの各刀装具の寸法に応じて、一つの箱内で、分かりやすく収納できるよう、簡単に取外し組み替え可能な仕切りを設けました。刀装具を収納する各部屋には、資料番号と資料画像を印刷したラベルが貼られ、資料情報を一目で識別でき、出し入れ等などの管理が楽にできます。また、保存箱の外寸を揃えたことにより、保管する収蔵棚やキャビネットに無駄なく納まり、取り扱いがし易い状態になっています。

 

本稿の掲載ならびに写真の撮影・使用にあたっては香雪美術館様の多大なるご協力を頂きました。誠にありがとうございました。

 

 

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郷土玩具(土人形・土鈴)を収納する仕切り付台差し箱の製作 めぐろ歴史資料館様の事例

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たばこと塩の博物館様からのご依頼で「嗅ぎたばこ入れ」を収納する保存容器を製作しました。

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2021年3月19日(金)古い手書き資料の保存事例―製品の特徴を組み合わせて、最適な保存方法を提案する―

弊社では、お客様ごとに異なる固有の課題に合った資料の保存方法を提案するため、製品と製品を組み合わせて使用することがあります。ここでは、お問い合わせをいただいたお客様への対応から、具体的な実践を紹介します。

 

お預かりした資料は、古い手書きの原稿や文書で、紙の酸化・酸性化に伴う劣化が著しく、周辺部の破れ、捲れ、テープ跡、金属留具の錆びといった損傷がみられました。修復処置は、ドライ・クリーニング、損傷箇所の修補などを行った後、フラットニングを行い、取扱いに支障がない状態にしました。保存対応については、もともと使われていた酸性素材の封筒、フォルダを保存性の良い包材へ入れ替え、資料の取り扱い方法を改善するため、1枚毎に透明リフィルでファイリングし、管理ラベルを貼付したアーカイバル・バインダーに収納しました。保存整理・分類を終えた資料は、アーカイバル・バインダーごとファイルボックスにまとめ、一括管理できるようにしました。

 

今回ご依頼頂いた資料は、南アジアの国へ運び、保管・管理するそうで、資料の修復以外に、輸送、保管、取り扱いに関して、地域の実情を考慮しつつ現状で出来うる限り安全な保管環境を保存容器で実現したい、というご相談をいただきました。年間通じて温湿度変化が激しく、スモッグ等の公害による影響もあり、特に建物屋内の温湿度制御が難しいといった場所で、安定した状態を維持できる「安全な囲い」を保存包材で提供することが必要でした。

 

こうした固有の環境条件下で資料を保管・管理するにあたり、複数の製品を組み合わせることによってお応えしました。

 

アーカイバル・バインダースライド・チャック式ガスバリア袋へ収納し、吸湿材(Kodak社製モレキュラー・シーブ)、汚染ガス吸着シートGasQを一緒に封入しました。外気の極端な湿度変動を緩衝するとともに、害虫の侵入や空気中の有害物質をシャットアウト、資料自体から放出されるガスはガス吸着シートに吸着される仕組みです。

ガスバリア袋に収納したアーカイバル・バインダーをまとめて入れるファイルボックスは、不活性フィルムをコートした中性紙ボード「プルーフ」で作成しました。フィルムで被覆したボードは高い撥水性と防汚性をもち、万が一の水害が発生した場合でも、収納した大事な資料を水濡れから守り、埃や汚れも簡単にふき取れます。プルーフ製の保存箱は防湿性にもすぐれ、資料を保管するには理想的とは言い難い環境下でも、収納した資料を安定した状態で保存することができます。

 

各製品のご紹介
アーカイバル・バインダー  
ファイルボックスR 
プルーフ(表面防水加工) 
汚染ガス吸着シートGasQ®ガスキュウ  
無酸素パックMoldenybe®モルデナイベ  
Kodak社製モレキュラー・シーブ 

 

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2021年2月15日(月)山階鳥類研究所様のご依頼で棚はめ込み式保存箱を製作しました。

山階鳥類研究所様は鳥類学の拠点として基礎的な調査・研究を行う研究機関です。講演会や観察会を開催するなど、一般の方を対象とした普及啓発活動も行っています。研究の一環として標本や図書などの基礎資料の収集と整理を行っており、これらは研究者の利用に供されるほかデータベース化されウェブ上に公開されているものもあります。
現在、同研究所では山階芳麿氏や黒田長久氏をはじめ日本の鳥類学を支えた研究者の研究過程で集積した写真資料、ノート、書籍などの整理作業を進めており、そのうちの写真アルバムを収納する組み立て式棚はめ込み箱製作のご依頼をお受けしました。

 

組み立て式棚はめ込み箱は棚の収納スペースを最大限に生かすことを目的に開発された保存容器です。
容器の外面が棚の内側にぴったりと沿うように設計するため内寸を広く確保できます。資料が棚に配架された状態で左右2.5cm、天地1cm、奥行き0.5cmほどの余裕があれば元の並べ方を維持したまま保存容器に収納することが可能です。ヒネリ留め具で開閉する前面のフタは下方に大きく開くので、棚に配架されているときと同じ感覚で資料の出納を行えることも特長の一つです。また、棚にぴったりと収まった保存容器は資料を収納し重みが加わることで安定性が高まり、地震が発生した際の資料の落下リスクを大きく低減します。

 

本稿の掲載ならびに写真の撮影・使用にあたっては山階鳥類研究所様の多大なるご協力を頂きました。心よりお礼を申し上げます。

 

 

【関連商品】
組み立て式棚はめ込み箱

 

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2021年2月3日(水)仏像の宝冠(ほうかん)、装身具を収納する保存容器

仏像の装身具を平置きで収納するための保存容器を製作しました。薄い銅板製の装身具には精巧な細工が施されており、5つのパーツが容器の中で接触し破損しない工夫が必要でした。そこで、パーツの輪郭線を縁取り実寸大にくり抜いたボードを積層し、装身具を個別に収納できるベースを台差し式保存箱の中に組み込みました。宝冠を収納する箇所には、宝冠の湾曲した空洞部分を支えるアーチ状の土台を取り付けました。

 

こうした複雑な形状の資料に合わせた保存容器を作成する場合、資料の輪郭を写し取った型紙をスキャンして取り込み、CADデータに変換してから製図します。この方法により、精度の高さが求められる難しい形状の加工図面も簡単に作成することができます。

 

 

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2021年1月22日(金)定型サイズの保存容器のご紹介

弊社のフルオーダー以外の保存容器には規格サイズの資料に適したものが多くあります。写真、フィルム系資料、レコードなどに代表される、ISOやJISの統一規格に基づいた資料は素材や形状が標準化されています。そのため、これらの資料にはサイズ、形状、保存に適した保存容器を定型品としてご用意しています。

 

下記の表は、資料の種類とそれに対応する定型サイズの保存容器の一覧です。比較的低価格でシンプルなデザインの保存容器が多いのですが、フルオーダーの保存容器と同様に、取り扱いの利便性、運搬時の安全性、効率的な収納を念頭に置いて設計されています。こうした定型の保存容器は、お見積り前に形状と価格が分かりますので、ご使用・ご予算のイメージがつきやすいというメリットもあります。

 

 

     対象資料           保存容器
紙焼き写真、写真フィルム アーカイバルバインダー+写真資料用リフィル
紙焼き写真
ガラス乾板
映像フィルム
レコード グラモボックス+中性紙レコードスリーブ
1枚もの(地図、ポスターなど)
封筒、文書ファイル

 

 

資料のサイズごとのおおよその比率を把握しており、厚さ重さも含めて定型サイズに収まる場合は、ぜひご利用ください。

 

なお収納したい資料の特徴に合わせて上記保存容器の寸法を変更することや、上記にない保存容器を設計してお作りすることも可能です。保存容器への収納を検討しているが、どの保存容器にすれば良いのかお困りのときはお気軽にご相談ください。

 

「今日の工房」 これまでの保存容器への収納事例はこちら

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2020年12月4日(金)郷土玩具(土人形・土鈴)を収納する仕切り付台差し箱の製作 めぐろ歴史資料館様の事例

郷土玩具は日々の生活の中で伝承されてきた土地々々に特有の玩具です。現在でもだるまやこけし、張子、独楽などは身近な存在なのではないでしょうか。
玩具にはそれぞれに厄除け、お祝い、幸運祈願、更には地域風習の教材、教訓といった意味があります。そのため同じ動物をかたどった玩具でも土地柄が反映されて色彩や造形に違いがあったり、それと反対に離れた場所でも共通点があったりもします。このような性格を持つ郷土玩具は各地の文化や生活を知ることのできる貴重な資料であり、研究や収集の対象となっています。

 

めぐろ歴史資料館様所蔵の郷土玩具は同区内にお住まいだった菱田忠夫氏のコレクションを中心としています。上記玩具のほか土人形、土笛、土鈴、絵馬、御札、トランプ、かるた、マッチ箱、凧などを所蔵し、その数は1200点を超えます。
このうち菱田氏のお気に入りの土人形と土鈴は樹脂製のコンテナに収納していました。土人形(土鈴)の大きさに対してコンテナの容量が大きく、人形同士の接触防止のために、個々に箱に収めていたため、資料の出し入れがしづらい状態でした。

 

そこで上記の懸念点の解消を念頭に置いた保存容器製作のご依頼を頂きました。
箱内に仕切りを付け底面に緩衝材(プラスタゾート)を敷いたことで資料の出し入れを安全かつ容易に行えるようになりました。
また保管場所に合わせて大きさを統一し、保存容器自体の取り扱いやすさも上がりました。

 

保存箱の収納を終えて、担当の方々から「床の緩衝材で、土人形(土鈴)の出し入れに不安がなくなった」、「中仕切りがあることで閲覧性が向上した」、「担当者とやりとりを重ねたことで、必要な機能を盛り込んだ箱にすることができた」などの感想をいただきました。資料館の方々から、今回は所蔵資料の整理保存において、その緒に就いたところであり、継続して進めていきたいとの意気込みを頂きました。

 

なお本稿の掲載並びに写真の撮影・使用にあたり、めぐろ歴史資料館様の多大なるご協力を頂きました。誠にありがとうございました。

 

 

【関連商品】
台差し箱・被せ箱

仕切り

 

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2020年11月18日(水)陶器製のカップ作品を収納する保存容器を製作しました。

陶造形作家の村上仁美様よりご依頼を受け、カップアンドソーサーの作品を収納する保存容器を製作しました。作品を保存容器に収納した上でご購入されたお客様へ納品されるということで、収納作業は村上様立ち会いの元、作品を取り扱っているぎゃらりい秋華洞様にて行いました。

 

作品は「不思議の国のアリス」をモチーフにしたティーカップとソーサーが組みになっている陶製のオブジェです。立体的で可憐な装飾が繊細かつ複雑に施されており、些細な衝撃でも破損してしまう恐れがあるため、カップとソーサーはそれぞれ薄葉紙くるみんで丁寧に包装をしました。特に注意が必要な細工の細かい部分には、揉み込んで柔らかくさせたくるみんを緩衝材として当てています。包みを結ぶ紐にも細く裂いたくるみんを使用しています。

 

保存容器は被せ蓋式の箱の身を90°横に倒し、作品を横から出し入れできるように設計しました。箱の中は上下2部屋に仕切り、カップとソーサーを別々に収納する部屋を設けています。蓋を被せた箱は安全に持ち運びができるよう、箱紐で結びました。収納作業を終えた作品は、後日ぎゃらりい秋華洞様から購入者様へ無事納品されました。

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